【婦人科医監修】更年期・閉経後のおりもの変化を徹底解説|正常な状態と注意すべきサイン、病気の可能性
更新日:2025.05.26
更年期・閉経後のおりもの、その変化に不安を感じていませんか?
多くの女性が経験する更年期や閉経後のおりものの変化。
「これって普通?」
「もし病気だったらどうしよう?」
といった不安を抱えていませんか?
加齢に伴う自然な変化である一方で、中には病気のサインである可能性も潜んでいます。
この記事では、婦人科医が監修し、更年期から閉経後にかけてのおりもの変化のメカニズムから、正常な状態、注意すべき異常なサイン、そして隠れた病気の可能性までを詳しく解説します。
さらに、当院で提供しているモナリザタッチをはじめとした、最新の治療法についても触れます。この記事を通して、皆さんが抱える疑問や不安を解消し、安心して毎日を過ごすための情報を提供できれば幸いです。
目次
更年期・閉経後、おりものはどう変化する?女性ホルモンが大きく影響
女性の体は年齢を重ねるにつれて、さまざまな変化を経験します。
特におりものは、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量に大きく左右されるため、更年期から閉経後にかけてその量や性状が変化するのが一般的です。
女性ホルモン(エストロゲン)の減少と子宮・腟への影響

40代後半から50代にかけて、卵巣の機能は徐々に低下し、エストロゲンの分泌量が減少します。このエストロゲンの減少は、以下のような子宮や腟への影響を通じて、おりものの変化を引き起こします。
1.おりもの量の減少
エストロゲンが腟の潤いを保ち、おりものの分泌を促進する役割を担っています。そのため、エストロゲンが減るとおりものの量が減少し、腟全体が乾燥しやすくなります。
2.腟粘膜の薄化と弱化
エストロゲンは腟の粘膜を厚く保ち、弾力性や抵抗力を維持しています。分泌量が減ると粘膜が薄くなり、炎症を起こしやすくなります。
3.腟内環境の変化
腟内は通常、デーデルライン桿菌(ラクトバチルス属)という善玉菌の乳酸菌によって弱酸性に保たれ、病原菌の増殖が抑えられています。エストロゲンの減少は腟内のpHバランスを崩し、細菌が繁殖しやすい状態になることがあります。
正常なおりものの状態とは?

更年期や閉経後において、以下のような状態であれば、一般的に正常なおりものと判断できます。
・色
透明から乳白色、または少し黄色みを帯びた白色。
・臭い
ほぼ無臭、またはわずかに酸っぱい臭い。
・量
少量で、下着にほとんどつかない程度。
・性状
サラッとしているか、少し粘り気がある程度。
※ごく少量の血液が混じる場合
一時的で少量であればホルモン変動によるものなど、心配が少ないケースもあります。
「いつもと違う?」注意すべき異常なおりもののサイン

もし以下のようなおりものの変化があった場合は、何らかの異常や病気が隠れている可能性があります。
迷わず婦人科を受診することをおすすめします。
1.色がおかしい
黄色っぽい、緑色、茶色、黒っぽい、灰色など、普段見慣れない色。
2.臭いが強い
生臭い、ツンとする、腐敗臭のような異臭など、不快な臭い。
3.量が異常に多い・少ない
急激に分泌量が増えたり、または極端に少なくなったりした場合。
4.性状がいつもと違う
泡状、カッテージチーズ状(酒粕状)、ドロドロしている、水っぽい、粘り気が強すぎるなど。
5.その他の症状を伴う
- 外陰部のかゆみ、痛み、ヒリヒリ感、灼熱感
- 性交時の痛み(性交痛)
- 不正出血(特に閉経後の出血は非常に要注意)
- 発熱や下腹部痛
更年期・閉経後の異常なおりものと関連する主な病気

異常なおりものは、加齢に伴う自然な変化だけでなく、さまざまな病気のサインであることがあります。ここでは、更年期・閉経後に関連する代表的な病気とその治療法について解説します。
1.萎縮性腟炎(いしゅくせいちつえん)
・原因
エストロゲンの減少により腟の粘膜が薄く、弱くなることで炎症を起こしやすくなる状態です。閉経後女性に非常に多く見られます。
・症状
おりものの変化(水っぽい、黄色い、悪臭)、腟の乾燥、かゆみ、ヒリヒリ感、性交痛、頻尿、膀胱炎の繰り返しなど、多岐にわたります。
・治療法
局所エストロゲン療法: 腟に直接作用する腟剤があり、萎縮した粘膜を回復させる基本的な治療法です。全身への影響が少ないため、安心して始めやすい方法です。
【当院の専門治療】モナリザタッチによる腟のレーザー治療

モナリザタッチとは
炭酸ガスレーザーを用いて腟の粘膜に組織に熱を加え、コラーゲン生成や血流改善を促す治療法です。これにより、腟の組織を健康な状態へと再生させます。
期待できる効果
腟の潤いの回復、弾力性向上、かゆみ、乾燥、性交痛、軽度の尿漏れなど、萎縮性腟炎のさまざまな症状の改善が期待できます。
モナリザタッチのメリット
ホルモン剤の使用に抵抗がある方や、乳がんや子宮体がんの既往などでホルモン剤が使用できない方にも選択肢として提供できます。非侵襲的(体を大きく傷つけない)で痛みが少なく、ダウンタイムも短いのが特徴です。
治療の流れ
当院では、患者様のお悩みや状態を丁寧に診察し、最適な治療プランをご提案します。モナリザタッチの治療プロセスや、推奨される治療回数、費用感の目安については、診察時に詳しくご説明いたします。
2.細菌性腟症(さいきんせいちつしょう)
・原因
腟内の細菌バランスが乱れ、特定の細菌が増殖することで起こります。
・症状
生臭いおりもの(灰色〜白色で、水っぽいことが多い)。かゆみや痛みはあまり伴いません。
3.カンジダ腟炎(かんじだちつえん)
・原因
真菌(カビの一種であるカンジダ菌)が腟内で異常増殖することで起こります。抗生物質の服用後や体調不良時などに発症しやすいです。
・症状
白くポロポロしたカッテージチーズ状や酒粕状のおりもの、非常に強い外陰部のかゆみ。
4.性感染症(STD)
更年期・閉経後も性行為があれば感染リスクはあります。
例として以下をご紹介します。
・淋菌感染症
黄色〜緑色の膿のようなおりもの、排尿時の痛みなど。
・腟トリコモナス症
泡状で悪臭のするおりもの、強いかゆみなど。
性感染症の詳細はコチラ>
5.子宮体がん・子宮頸がん・悪性リンパ腫
特に閉経後の不正出血や茶色い・血の混じったおりものは、子宮体がんや子宮頸がんの重要なサインである可能性があり、非常に注意が必要です。
・その他の症状
下腹部痛、性交時の出血など。
・対策
自覚症状がなくても、定期的な婦人科がん検診(子宮頸がん検診、子宮体がん検診)を受けることが非常に重要です。
早期発見・早期治療につながります。
6.卵管がん
稀なケースではありますが、水っぽいおりものが突然大量に出る、あるいは腹部不快感を伴う場合は、卵管がんの可能性も考慮されることがあります。
こんな場合はすぐに婦人科を受診しましょう

「もしかしたら…」と感じた時は、迷わず婦人科を受診してください。自己判断で様子を見ていると、症状が悪化したり、早期発見の機会を逃したりする可能性があります。
以下に当てはまる場合は、速やかに婦人科を受診することをおすすめします。
受診目安となる5つの症状
- おりものの色や臭いが明らかに異常で、改善が見られない場合
- 強いかゆみ、痛み、ヒリヒリ感、発熱、下腹部痛、不正出血を伴う場合
- 特に閉経後に性器出血(おりものに血が混じる、少量の出血など)があった場合
- 市販薬やセルフケアで対処しても症状が改善しない、または悪化している場合
- ご自身のおりものや体の変化について、不安や心配が続く場合
受診の際は、いつから、どのような変化があるのか、他に気になる症状はないかなどを医師に具体的に伝えることで、より正確な診断につながります。
更年期・閉経後のおりもの対策とデリケートゾーンケア

日々のセルフケアや生活習慣の見直しは、おりもののトラブルの緩和や予防に繋がることがあります。
デリケートゾーンの正しい洗い方
刺激の少ない弱酸性のデリケートゾーン専用ソープの使用を推奨します。強い洗浄剤やゴシゴシ洗いすぎは、かえって乾燥やトラブルの原因になるため注意が必要です。洗いすぎず、優しく洗浄し、よく洗い流すようにしましょう。
通気性の良い下着の着用
下着は綿素材など、吸湿性・通気性の良いものを選びましょう。締め付けの強い下着や化学繊維の下着はムレやすく、細菌の繁殖を助長する可能性があります。
ストレスケアと規則正しい生活
ストレスや不規則な生活は、ホルモンバランスに影響を与えることがあります。適度な運動、十分な睡眠、バランスの取れた食事を心がけ、ストレスを溜めない工夫をしましょう。
おりものシートの適切な使用
おりものシートは、下着の汚れを防ぎ、不快感を軽減するのに役立ちますが、通気性が悪く、雑菌が繁殖しやすい環境にあります。こまめに交換することが大切です。長時間交換しないとムレやかぶれの原因になることがあります。
医療機関での定期的な相談・検診
症状の有無に関わらず、定期的に婦人科を受診し、子宮頸がん・体がん検診、経腟エコー検査などを受けることを強く推奨します。早期発見・早期治療が何よりも重要です。
更年期・閉経後のおりものに関する質問(FAQ)

Q1: 閉経後のおりものは、全くなくなるのが普通ですか?
A: エストロゲン減少によりおりものの量は減りますが、全くなくなるわけではありません。ごく少量でも分泌されるのが一般的です。ただし、過度に乾燥を感じる場合は、萎縮性腟炎などの可能性があります。
Q2: おりものシートは毎日使っても大丈夫ですか?
A: 毎日使用しても問題ありませんが、通気性が悪く、こまめに交換することが大切です。長時間交換しないとムレやかぶれの原因になることがあります。肌が敏感な方や、かぶれやすい方は、布製のおりものシートを試すのも良いでしょう。
Q3: ホルモン補充療法(HRT)は怖いイメージがあるのですが?
A: HRTは、メリットとデメリットを正しく理解し、医師の適切な診断と管理のもとで行えば、製剤も改良されて比較的安全で効果的な治療法です。更年期症状の緩和だけでなく、骨粗しょう症予防などにも繋がります。不安な点は、診察時に医師にご相談ください。
Q4: モナリザタッチは誰でも受けられますか?
A: 基本的にほとんどの方が受けられますが、妊娠中や特定の婦人科疾患をお持ちの方など、治療の適応とならないケースもあります。治療をご希望される場合は、まず当院で診察を受けていただき、適応となるかご相談ください。
Q5: おりものの臭いが気になるのですが、自分でできることはありますか?
A: デリケートゾーンの清潔を保ち、通気性の良い下着を選ぶことが基本的なセルフケアです。しかし、強い臭いが続く場合は、細菌性腟症などの感染症の可能性もあるため、自己判断せずに婦人科を受診してください。
まとめ|不安を抱え込まず、専門医へ相談を

更年期や閉経後のおりものの変化は、女性の体に起こる自然な現象です。
しかし、「いつもと違う」と感じる変化があったり、不安や心配が続いたりする場合は、決して一人で抱え込まず、専門の婦人科医に相談してください。
当院では、患者様一人ひとりの症状や状況に合わせた丁寧な診察と治療を提供しています。
モナリザタッチをはじめとした、更年期・閉経後のおりものトラブルに対する多様な治療法も選択肢としてご提案できます。ホームケアのEBINEフローラもお勧めです。
些細なことでも構いません。
安心して健康な毎日を過ごすために、どうぞお気軽にご相談ください。
女性の体のお悩みは当院にご相談ください

「おりもの」で悩んで受診される方の中には、デリケートゾーンのトラブル、生理痛、PMS、更年期症状など、他の女性特有のお悩みを抱えている方も多くいらっしゃいます。
当院は、女性の健康と性の関する幅広いお悩みに対応しています。
おりもの異常の背景に、以下のような症状や疾患が隠れていることも少なくありません。どうぞ、まとめてご相談ください。
- デリケートゾーンのかゆみ、腫れ、かぶれ、乾燥
- おりものの異常、不正出血
- 生理に関するお悩み(生理痛、生理不順、PMSなど)
- 更年期症状、閉経周辺期のお悩み
- 性感染症の検査・治療
- 頻尿や排尿時の痛み
- 乳がん検診、子宮がん検診
全ての診療科目を女性医師が診察いたします。
患者様のお気持ちに寄り添い、安心して相談できる環境を整えています。
婦人科について詳しくはこちらをご覧ください。
院長をはじめ、スタッフ一同、皆様が心身ともに健やかで、自分らしい生活を送れるよう、全力でサポートいたします。
ご予約について
予約制となっております。
【土日祝日も診療】全ての医師やスタッフは女性です。ご安心してご来院ください。
平日受診できない方に通院していただきやすいよう、毎朝8時30分から診療を受け付けています。
※最新の診療情報は「お知らせ」よりご確認ください
オンライン診療も対応しておりますので遠方の方やご来院が難しい方は是非ご利用ください。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。