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子宮体がん検診の検査は痛い?費用は?頻度は?初期症状のセルフチェック法から検査内容・検査結果まで女医が丁寧に解説。

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「子宮がん検診」といった場合、ほとんどは子宮頸がん検診を指してしまっているように 思います。

ですが、年齢を重ねるにつれて発症リスクが高まる「子宮体がん」の検査も、大切です。 そこで今回は、子宮体がんの初期症状や、おこなう検査について詳しくご紹介いたします。

受診を迷っている方の後押しになれば幸いです。

 

子宮体がんとは?

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子宮体がんは、年間に約18,000人が新たに診断され、約3,000人が亡くなっている疾患です。

まずは、子宮体がんについて正しい知識を持ちましょう。

子宮体がんになりやすい年齢やリスク要因は?

子宮体がんは、20歳代・30歳代で発症する方は非常に少なく、40歳代から徐々に増え始め、50歳代〜60歳代が発症年齢のピークとなっています。排卵・月経のあるうちは、子宮内膜がきちんと月経として毎月排出されるため、子宮体がんにはなりにくいです。

子宮体がんは、子宮頸がんと比較して発症年齢が高く、患者さんの人数も多いです。

子宮体がんは、エストロゲンが過剰になることがリスクの1つとして知られております。一部、エストロゲンが関与しないケースもわかってきています。

次のような項目に当てはまる方は、そうでない方と比較して子宮体がんのリスクが高いです。

・妊娠出産経験がない、少ない
・閉経が遅い
・子宮内膜増殖症の既往がある
・生理不順
・肥満
・糖尿病
・ホルモン治療
・リンチ症候群

子宮体がんの症状

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子宮体がんは、がん発症の初期から症状が出ることが多いです。

【初期症状】

・月経期間以外での不正出血
・おりものに血が混じる、茶色〜赤のおりもの
・閉経後の腟からの出血

【進行してきた時期の症状】

・下腹部痛
・下肢のむくみ
・排尿障害、排便障害
・性交時痛
・お腹の張り
・腰痛

40代、50代での不正出血は、「更年期だから、月経周期が乱れているのだろう」と自己判断をしてしまう方もおられます。不正出血がある場合、更年期によるものなのか、それとも他に要因があるのか、一度は検査しておくことをおすすめします。

また、閉経(最後の月経から1年以上経過した)後に月経が再開することはまれです。腟からの出血があった場合、量が少量であっても、がん検診をおすすめいたします。お早めにご相談ください。

子宮体がんの種類

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子宮がんは、子宮体部にできる子宮体がんと、子宮頸部にできる子宮頸がんに分かれます。子宮体がんのほとんどは、子宮内膜に発生する「子宮内膜がん」であり、一般的に子宮体がんと呼んだ場合には子宮内膜がんのことを指していることが多いです。

子宮体がんの中には、3つの組織型があります。

「類内膜(るいないまく)がん」「漿液性(しょうえきせい)がん」「明細胞(めいさいぼう)がん」の3つに分類され、類内膜がんが最も割合が多く、悪性度の低い順にG(グレード)1〜3に分類されます。

漿液性がん、明細胞がんは悪性度が高いため、グレードには分類されません。
組織型や悪性度によって、術後の再発リスクが異なります。

子宮体がんのステージ別の生存率は?

子宮体がんも、他のがんと同様に、やはり早期発見が重要です。

 

 


実測5年生存率

ステージ I

がんが子宮体部より外に出ていない状態。


92.1%

ステージ II

がんが子宮体部を超えて
子宮頸部に拡がるが子宮の外には出ていない状態。


84.8%

ステージ III

がんが子宮の外に拡がるが小骨盤腔をこえていない、
または領域リンパ節に転移する状態。


64.0%

ステージ IV

がんが明らかに小骨盤腔をこえているか、
膀胱や直腸の粘膜に浸潤している場合で
肺や肝臓、鼠径リンパ節などの離れた臓器に転移している状態。


21.0%

・2014-2015年の5年生存率
・実測生存率:死因に関係なく、すべての死亡を計算に含めた生存率です。
出典:国立研究開発法人国立がん研究センター
・該当記事URL:https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c14#h-title

ステージIやステージ IIの段階で発見・治療を開始できれば、5年生存率も80%以上と高く比較的予後のよいがんですが、発見が遅れるほど生存率は下がってしまいます。

 

子宮体がんの検査について

画像 子宮体がんの検査は「痛みが強い」と聞いた方もいるかもしれません。少しでも不安を和らげて検査を受けられるよう、どのような検査をするのか、簡単にご説明いたします。

子宮体がん検査の内容

子宮体がんの検査でおこなうことをご紹介します。

・問診

妊娠・出産の有無、持病やその治療方法、不正出血などの症状がいつからあるか等をお伺いします。

・内診

医師が腟に指を入れ、もう片方の手は下腹部にあて、両方の手で挟みながら子宮の位置や大きさ、形、周囲の組織と癒着がないかなどを調べる方法です。少し圧迫感があります。最近は、経腟超音波検査の精度が上がり、内診を重視しない傾向にあります。

・細胞診

クスコ診を行い、子宮頸部を確認します。

その後、経腟超音波検査で子宮の傾きや子宮内膜の厚さを確認します。子宮内腔の状態を超音波検査で確認した後、子宮内に器具(ブラシ)を挿入してその部の細胞を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。

組織診と比較すると精度は劣りますが、出血がある場合は、まず細胞診を行います。細胞を擦り取る際に若干の痛みや少量の出血を伴うことがあります。

・組織診

細胞診で異常があった場合や、症状や超音波検査所見からから子宮体がんの可能性が高いと判断した場合には、組織診をおこないます。

子宮内膜の一部を採取し、正常な子宮内膜か、子宮内膜増殖症、子宮体がんかを調べます。 子宮の内膜組織を採取するときに、月経痛のような痛みと、数時間〜数日程度続く出血が伴いうことがあります。痛みの程度は、医師の技術や子宮の傾き、子宮のサイズにより異なります。

また、当クリニックでは、痛みを最小限で行う工夫を行っております。

・子宮内膜全面掻爬術

確定診断が難しく、さらに多くの組織を採取しで判断したいとき、子宮内膜全体的に掻把する子宮内膜全面掻把を行います。外来でおこなうのが難しい場合は、入院し、麻酔下で検査を行う場合もあります。

・超音波検査

更年期以降の方、出産経験のない方では、腟の萎縮や子宮口が閉じているなどの理由により、子宮まで検査機器を挿入するのも難しい場合があります。

そういった場合は、超音波検査で子宮の大きさや形、子宮内膜の状態などを確認し、麻酔下で検査をおこなうことがあります。 ただし、超音波検査では初期の子宮体がんは見つけにくく、精度は組織診に劣ります。

子宮体がん検診の痛みを和らげるポイント

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腟に器具を入れて、子宮内の細胞診や組織診を採取する検査の場合、疼痛を感じにくくさせるためには、リラックスしていただくこと、ゆっくり大きく息を吸って力を入れないことが大切です。疼痛や恐怖心が強い場合であっても正確な診断をするためには検査が必要ですので、麻酔を使って検査ができるかをクリニックで相談してみてください。

検査は痛みを伴いやすいですが、当院では検査機器の選定にもこだわっており、また、麻酔を使用することも可能ですのでお気軽にご相談ください。

検査結果の見方

検査でどのような結果が出るかについて、簡単にご紹介いたします。子宮頸がんの検査と比べると、結果の分類は少なく、わかりやすいです。

【細胞診の場合】

細胞診の場合、結果は以下の通りです。 (※クラス分類の場合とそうでない場合の2パターンを記載しております。)

▽パターン1

陰性

クラス I

正常な状態です。

クラス II

正常ですが炎症がある状態です。

疑陽性

クラス IIIa

軽度〜中程度の異形成細胞があります。

クラス IIIb

高度の異形成細胞があります。

陽性

クラス IV

上皮内がんを疑います。

クラス V

浸潤がんを疑います。


▽パターン2

陰性

正常な状態です。

疑陽性

子宮内膜増殖症や子宮体がんを疑います。

陽性

子宮体がんやその他の悪性腫瘍を疑います。

疑陽性の場合、主に子宮内膜増殖症を考えますが、子宮体がんの場合もあります。疑陽性ないし陽性の結果だった場合、組織診による精密検査が必要です。

【組織診の場合】

組織診断の結果はやや複雑ですが、細胞診よりも高い精度で判定でき、大きく以下の3つに分類されます。

正常内膜

正常な状態です。

前がん病変

子宮内膜増殖症、子宮内膜異形増殖症です。

悪性腫瘍

子宮体がんやその他の悪性腫瘍です。

組織診で悪性腫瘍とわかったら、がんの広がりや多臓器への転移を調べるためのCT/MRI検査、PET検査などが追加されます。

子宮体がん検査の頻度

子宮体がん検査は、子宮頸がん検診のように、「何歳以上の全ての女性に、何年おきに」というご案内をしないことが多いです。子宮体がん検診は、検査を行う際に、超音波検査による補助が必要であり、さらに、その細胞を採取する技術が必要なため、一般検診として普及しておりません。

現在、子宮体がん検診は、次のような子宮体がんの高リスク群の方を対象に、早期診断のための内診・超音波検査・細胞診・組織診などを受けていただくよう推奨されています。

最近6か月以内に不正出血があった方
月経異常のある方
褐色帯下(茶色のおりもの)が出ている方

子宮体がん以外にも、不正出血やおりものの異常をきたす病態はさまざまあります。受けた方がよいかどうか、どのくらいの間隔で受けたらよいかなどは、個別にご相談ください。

子宮体がん検査で陽性となる確率は?

子宮体がん検査は、基本的に何らかの症状がある方を対象におこなうという性質の影響もあり、細胞診の場合で60%以上の方が疑陽性・陽性になると報告されています。 細胞診は精度が低く、「本当は陽性であるが、陽性と判断されない」というケースが約10%あります。

子宮体がん検査の費用

子宮体がんの検査に関しては、子宮頸がんのように自治体からの助成はありません。 おこなう検査の内容、超音波検査をおこなうかや麻酔を使うかどうか等により異なりますが、症状のある方は保険適用となりますので、概ね10,000円前後と考えてください。

 

子宮体がんの予防と治療

画像 子宮体がんの予防や治療について解説いたします。

子宮体がんの予防策

子宮体がんに特徴的な予防法というのは、現在のところ確立されてはおりません。ですが、肥満は子宮体がんのリスクを高めますので、適正体重を保つために、運動や健康的な食事などを意識するとよいでしょう。

また、ホルモン補充療法など、子宮体がんのリスクを高めてしまうような治療をおこなっている方は、医師の指示通りに定期的な検査を受けるようにしてください。

子宮体がんの治療

子宮体がんは、子宮と両側の卵巣・卵管を摘出する手術が基本です。子宮体がんは卵巣に転移しやすく、また、卵巣がんを同時に発生するケースも多いためです。(一定の条件下では、子宮や卵巣を温存できる場合があります。)がんの浸潤度合いによっては、リンパ節郭清もおこなわれます。

摘出した子宮や卵巣、リンパ節などを調べ、最終的に子宮体がんのステージを決めます。手術の前にMRI等から判断していたステージとは、異なる場合も少なくありません。再発のリスクが高いと考えられる場合には、抗がん剤による化学療法や放射線療法が必要になる場合もあります。

がんが再発した場合には、改めて化学療法や放射線療法、ホルモン療法などを検討します。

術後の再発について

ステージにもよりますが、手術で子宮や卵巣を切除したとしても、再発のリスクはゼロではありません。腟、骨盤内、腹腔内、肺などに好発します。 漿液性腺がんは再発率が比較的高く、類内膜腺がんでもグレードにより再発率は高くなります。治療をおこない、定期的なフォローアップを受けることが重要です。

子宮体がん検査に関するQ&A

画像 子宮体がんの検査に関連して、よく寄せられるご質問にお答えします。

Q. 子宮体がんの検査後は、いつから性行為をしてよいですか?

子宮体がんの検査後は、どうしても出血や下腹部痛が続いてしまう場合があります。検査当日の性交渉は子宮内膜への感染となる可能性もあるため、避けてください。出血や疼痛が完全になくなれば、性行為は問題いないと思われます。主治医にご確認ください。

Q. 子宮体がんの前日に性行為をしても問題ありませんか?

特に問題ありませんが、挙児希望の場合は、主治医と事前に相談しましょう。妊娠中の方は、子宮体がん検査を受けることができないためです。挙児希望の方で、不正出血のために子宮体がんの検査をおこないたい場合は、月経後のタイミングをおすすめいたします。

Q. 子宮体がん検査後に腹痛や発熱、不正出血が起こることはありますか?

時々、子宮体がん検査後に子宮内膜炎を起こしてしまうことがあります。事前に、おりものが多い、性病の可能性がある、子宮内膜症があるという場合は、主治医に相談しましょう。 細菌性腟症や性病がある場合には、子宮内膜を採取する際に子宮内膜に感染症を引き起こしてしまうことがあります。腟炎のある場合は抗生剤による治療を行う、検査後に感染が疑われる場合はすぐに医療機関を受診することは大切です。

Q. 子宮体がん検査を受ける場合、医療機関はどのように選べばよいですか?

子宮体がんの検査は、子宮口の奥へ器具を挿入するという検査の特性上、痛みや出血を伴いがちな検査です。痛みやつらさに配慮してくれる医師のいる医療機関(麻酔を使用できるなど)を選ぶと、不安が軽減できるのではないかと思います。 また、医師の技術にもよりますので、検査経験の豊富な医師を選ぶのも重要でしょう。

まとめ

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今回は、子宮体がんの症状や検査内容についてお伝えしました。

子宮体がんは、早期から症状が出やすいため、何らかの症状がある方はお早めに婦人科を受診しましょう。検査は痛みを伴いやすいですが、当院では検査機器の選定にもこだわっており、また、麻酔を使用することも可能です。

子宮体がんは早期に発見できれば、予後のいいがんです。検査にご不安がある方も、症状のある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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