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性病かも?と思った女性へ|初期症状・原因・治療法を性病の種類ごとに婦人科女医が丁寧に解説

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「おりものがいつもと違う

「下腹部がチクチクする」

「排尿時に違和感がある」

 

そんなとき、頭によぎるのが

「性病かも?」

という不安ではないでしょうか。

 

性感染症(STD)は、女性の体にとってさまざまなリスクを伴う病気です。

早期であれば治療可能なものがほとんどですが、症状が軽い・無症状のまま進行するものも多く、気づかずに放置すると不妊症や流産リスクにつながることもあります。

この記事では、日本の女性に多い性感染症を中心に、初期症状・潜伏期間・感染経路・治療法をわかりやすく整理しています。不安を感じたときの参考にしてください。

 

目次

性感染症(性病)とは?

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性感染症とは、腟への挿入、オーラルセックス、アナルセックスなどあらゆる性行為によって感染する感染症のことです。

男女で症状の種類、自覚症状の感じやすさ、症状の重さなどが異なる場合も少なくありません。

基本的に、パートナーと同時に治療することが大切です。片方が治療していなければ、せっかく治療をしても、再度感染することになってしまいます。

治療薬が効きにくいケースもありますので、治療できたかどうか、チェックのために受診していただくこともお願いしています。

また、女性の場合、症状が進行し長期間罹患していると、不妊症や習慣流産・流早産などにつながるケースもあり、早期に見つけて治療するということが大切です。

さまざまな性感染症について、症状を知っておけば、早期発見ができるかもしれません。

 

まずは確認!性病の代表的な初期症状とリスク

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性感染症は、症状がある場合だけでなく、無症状のまま進行するケースも少なくありません。
以下のような変化に気づいたら、早めに婦人科に相談することをおすすめします。

よくある性病の初期症状

おりものの異常

  • 色:黄色・緑・灰色などに変化
  • におい:強いにおいや魚臭
  • 量:増える/ドロッとした質感

外陰部・腟の違和感

  • かゆみ・チクチク・ヒリヒリ
  • 赤み・腫れ・ただれ・かさぶた
  • イボや水ぶくれ・痛み・しこり

排尿や性行為での痛み

  • 排尿時にしみる・痛い
  • 性交時の痛み(性交痛)
  • 尿の濁りや血尿感

出血や腹痛

  • 不正出血(生理以外の出血)
  • 下腹部の鈍痛・圧迫感・腰痛

その他の症状

  • 喉の痛み・違和感(咽頭クラミジアや淋病)
  • 足の付け根(鼠径部)のリンパ節腫れ
  • 倦怠感・発熱・関節痛(HIVや梅毒の可能性)

「症状」から性病を
チェックしたい方はコチラ>>

 

女性に多い性病の種類と特徴【比較表付き】

以下の表では、日本の女性に多い代表的な性感染症について、初期症状・潜伏期間・感染経路・治療法を比較形式でまとめています。

「初期症状」

最もよく見られる体のサイン

「潜伏期間」

感染してから症状が出るまでの目安

「感染経路」

主にどのようにうつるか

「治療法」

医療機関で行う標準的な対応

※症状には個人差があり、まったく症状が出ないこともあります。気になる症状がある場合は、自己判断せず早めの受診をおすすめします。

性感染症名 初期症状 潜伏期間 感染経路 治療法 詳細解説
クラミジア おりものの変化・下腹部痛 1〜3週間 性行為(腟・咽頭) 抗菌薬内服 詳しく見る
淋病 黄緑色のおりもの・排尿時痛 数日〜1週間 性行為(オーラル) 抗菌薬内服・点滴 (記事準備中)
梅毒 潰瘍・発疹・リンパ腫れ 3〜6週間 性行為・血液感染 抗菌薬内服・注射 詳しく見る
性器ヘルペス 水ぶくれ・痛み・再発性 数日〜1週間 接触感染 抗ウイルス外用薬・内服・注射 詳しく見る
HPV 無症状〜不正出血・イボ 数か月〜年 性行為・接触 ワクチン 詳しく見る
尖圭コンジローマ イボ状の突起 2週〜数か月 性行為・接触 外用薬・凍結療法・レーザー治療 詳しく見る
トリコモナス腟炎 泡状でにおいのあるおりもの、かゆみ、排尿時痛 5〜14日 性行為・共用タオル・浴槽 内服・腟剤(ペア治療が基本) (記事準備中)
HIV 無症状または倦怠感・発熱・リンパ節腫脹 数週間〜数か月 性行為・血液感染・母子感染 抗HIV薬内服(継続管理が必要) (記事準備中)

 

性感染症にかかりやすい人・リスクの高い行動とは?

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性感染症は誰にでも起こり得るものですが、特に以下のような行動や状況に当てはまる方は、感染リスクが高くなる傾向があります。

1.コンドームを使用しない性行為(腟・オーラル・アナル)

粘膜や体液の直接接触により、感染リスクが大幅に上がります。

2.新しいパートナーとの性交渉

お互いの感染歴や検査状況が分からないままの接触は注意が必要です。

3.複数のパートナーとの関係

感染源が複数になることで、性病の重複感染や再感染のリスクが高まります。

4.若年層(1020代)で検査経験がない方

自覚症状がないまま感染しているケースが多く、クラミジア感染が特に多い年代です。

5.不特定多数との接触、または出会い系アプリ利用などによる性行為

感染経路が特定しづらく、予防行動も不十分になりがちです。

6.パートナーが風俗利用歴・複数交際歴を持っている

自身はリスクが少ないつもりでも、相手の行動がリスク要因になります。

これらに当てはまる方は、たとえ症状がなくても一度検査を受けることをおすすめします。当院では、プライバシーに配慮したオンライン検査・診察にも対応しておりますので、安心してご相談ください。

 

各種性感染症(性病)について

性感染症は原因となる微生物によって、「細菌」「ウイルス」「真菌」「原虫」の4つに分類できます。

それぞれで治療法や再発リスクが異なるため、分類ごとに代表的な病気を解説します。

さまざまある性感染症について、ご自身の症状と照らし合わせてみてください。

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※写真はイメージです

性器クラミジア感染症

日本では、最も多い性感染症です。
妊婦健診でも、5%程度の方に感染が見つかります。

原因・感染経路

クラミジア・トラコマチスという細菌が原因となって生じる感染症です。
ほかの細菌とは異なり、宿主の細胞内でのみ増殖する特性があります。 主に性行為(オーラルセックス、アナルセックスも含む)で感染します。腟、咽頭、直腸など、接した部位に症状をきたしますが、ここでは性器への感染を中心にお伝えします。

潜伏期間

感染から1〜3週間程度が多いです。長期無症状の方もいます。

特徴・症状

女性の場合、感染しても半数程度は無症状で、気が付きにくいです。

まずは子宮頸管上皮細胞に感染し、子宮頸管炎を引き起こします。その後、気が付かずに放置していると、上行性に感染が広がり、子宮内膜炎や骨盤腹膜炎となる場合があります。

混合感染を引き起こしやすいことや、水っぽく独特の悪臭があるおりもの、下腹部痛、不正出血、膀胱炎などを生じる点が特徴的です。腟炎を起こしている場合はおりものが増えますが、腟炎がない場合には、ほとんどおりものは増えません。

治療法

内服の抗菌薬で治療をおこないます。
使う抗菌薬の種類により、治療期間は異なりますが、1回内服で終了するものや、7日間連続投与するものもあります。

咽頭クラミジア

性器ではなく、咽頭(のど)にクラミジア が感染した場合についてお伝えします。

原因・感染経路

クラミジア・トラコマチスという細菌が原因となって生じる感染症です。
オーラルセックスにより、咽頭へ感染するケースが増えてきています。軽いキスや飲み物の共有で感染する機会は少ないです。女性では、性器よりも咽頭のクラミジア感染率の方が高いという報告もあります。

潜伏期間

性器への感染と同様に、1〜3週間程度のことが多いです。

特徴・症状

咽頭クラミジア では、喉の違和感、イガイガとした感覚、痛み、腫れ、咳などの症状が中心です。
発熱する場合もあります。 症状が重くなるのは稀ですが、自然に治ることもありません。

治療法

性器への感染と同様、内服の抗菌薬で治療をおこないます。
使う抗菌薬の種類により、治療期間は異なりますが、1回内服で終了するものや、7日間連続投与のものもあります。

クラミジアの感染経路に心当たりがない…原因は?自然治癒は?女性が知るべき潜伏期間や治療法を女医が解説。

淋菌感染症(淋病)

2020年以降、男女ともに感染者数が増えています。

原因・感染経路

淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による感染症です。
淋菌は弱い菌のため、人の体から離れると短時間で感染性を失って死滅します。そのため、性行為(オーラルセックスを含む)以外で感染することは稀です。

潜伏期間

数日〜1週間程度のことが多いです。

特徴・症状

緑色、黄緑色など濃い色で膿のようにドロっとしたおりものが出ることがあります。

女性の場合、自覚症状がないか軽度のこともあり、気が付かないまま上行性に炎症が波及して、骨盤内炎症性疾患(PID)、慢性骨盤痛、卵管不妊などの原因となる場合も多いです。 先ほどご紹介したクラミジアと同時に感染していることも多いです。

治療法

1回の注射や点滴で治療が可能です。内服治療もありますが、耐性菌も多いです。

咽頭淋病(淋菌)

オーラルセックスにより、咽頭に淋菌が感染することも多いです。

原因・感染経路

淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による感染症です。
オーラルセックスでは、コンドームによる予防をおこなわないケースが多く、咽頭感染が増えてきています。性器には感染がなく、咽頭だけ感染しているという方もいます。

潜伏期間

数日〜1週間程度のことが多いです。

特徴・症状

咽頭クラミジアと同様に、喉の違和感、イガイガとした感覚、痛み、腫れ、咳、咽頭に白苔がつくなどの症状が中心です。咽頭淋病だと気が付かないまま悪化すると、咽頭炎・扁桃腺炎となる可能性もあります。

治療法

1回の注射や点滴で治療が可能です。内服治療もありますが、耐性菌も多いです

梅毒

梅毒は、近年感染者数が急激に増えており、注意が必要な感染症です。

原因・感染経路

梅毒トレポネーマというらせん状の細い糸のような形をした菌による感染症です。
性行為による粘膜の接触が主ですが、感染者の精液・腟分泌液・血液などが傷口に触れて感染する場合もあります。

潜伏期間

最初の症状が出るまでは、感染から3〜6週間程度です。

特徴・症状

症状が出たり消えたりするため、感染の自覚がない場合が多くあります。
ほかの性感染症と異なり皮疹など全身に症状が出る点は、梅毒の特徴といえます。

【I期梅毒】
感染後3〜6週間程度の時期に、まずは感染部位にしこりや潰瘍ができたり、鼠径部(足の付け根)のリンパが腫れたりといった症状が出ます。 治療をせずとも自然と軽快しますが、梅毒が治癒したわけではありません。

【II期梅毒】
感染後数か月の時期には、手のひらや足の裏、体などにバラ疹と呼ばれる特徴的な赤い発疹が出てきます。数週間程度で自然と消えてしまいますが、これもまた、治癒したわけではありません。

【潜伏梅毒】
II期のあとの時期です。感染から1年以内(早期潜伏梅毒)であれば感染性があるといわれています。1年以上経過(後期潜伏梅毒)していれば、性行為での感染性はほとんどありません。

【晩期顕性梅毒・神経梅毒】
感染から数年〜数十年の月日を経て、ゴム腫、大動脈瘤や大動脈弁逆流症などの心血管梅毒、脊髄癆や進行性麻痺などの晩期神経梅毒と呼ばれる症状が出てきます。梅毒トレポネーマが中枢神経へ浸潤してしまうと、髄膜炎や脳梗塞を引き起こします。

しばしば致死的となりますが、現在はここまで進行するケースは稀です。

治療法

ペニシリン系の抗菌薬の内服で治療可能です。
また、早期であれば1回、後期梅毒でも3回の注射で治療を行うこともできます。ペニシリン系にアレルギーがある方は、ミノサイクリンという内服の抗菌薬で治療をおこなうのが一般的です。

梅毒の初期症状は?女性が注意したい妊娠妊婦への影響、類似する病気など梅毒を女医が徹底解説。

マイコプラズマ・ウレアプラズマ

マイコプラズマやウレアプラズマによる感染症は、近年増えてきました。

原因・感染経路

マイコプラズマとウレアプラズマは、腟炎を引き起こす菌です。
小児で流行し咽頭炎や気管支炎を引き起こす「マイコプラズマ」とは別のものであり、マイコプラズマによる腟炎になったからといって同居のお子さんへ影響することはほとんどありません。 キスや性行為など、粘膜同士の接触で感染します。

潜伏期間

感染から1〜5週間程度です。

特徴・症状

あまり聞きなじみのない感染症かもしれませんが、じつは腟炎の原因として、クラミジアと同程度の割合を占めます。
デリケートゾーンの匂いが強くなる、かゆみやヒリヒリ感がある、おりものの量が増えるといった自覚症状が代表的です。無症状のまま、不妊や流早産の原因となっているケースもあります。

治療法

内服薬の抗菌薬を服用します。
抗菌薬に対して耐性を持っている場合もあるため、治療できているかどうかの確認が重要です。

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※写真はイメージです

HIV・エイズ

近年、HIV感染症の治療が進歩し、他者への感染リスクをゼロに近いレベルにまで下げられるようになってきました。

原因・感染経路

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)による感染症です。
HIVは弱いウイルスのため、感染している人に触れたり、一緒に食事や入浴をしたりしても、基本的には感染しません。 HIVは精液・腟分泌液・血液に含まれるため、性行為や、注射器の使い回し(医療現場ではおこないません)により感染します。また、母子感染の可能性もあります。

潜伏期間

感染後、数週間経過したところで発熱・頭痛など風邪のような症状を呈することがあります。その後、自覚症状の全くない期間が10年以上続くのが一般的です。

特徴・症状

HIVに感染したことで免疫細胞(Tリンパ球、マクロファージ等)が減り、通常であれば感染しないような弱い病原体にも感染するような状態がAIDS(後天性免疫不全症候群)です。

AIDSを発症するまでには、感染から非常に長い時間がかかります。健常時と変わらない生活を続けるためには、発症しないよう、早期に治療を開始することが非常に重要です。

治療法

HIVを体内から完全に排除する方法は現在のところありませんが、抗HIV薬の服用を続けることで、血中のウイルス量をごく少ない状態に保つことが可能です。自身の健康の維持だけでなく、他者へ感染させるリスクを減らすことにも繋がります。

性器ヘルペス感染症

疼痛を伴い、再発を繰り返しやすい、厄介な感染症です。

原因・感染経路

ヘルペスウイルスによる感染症です。
一度感染すると、ウイルスは生涯にわたって完全に体から排出されることはありません。普段は神経の中に潜んでいますが、疲労が溜まっているときなど、免疫力の低下により活性化して、症状を引き起こします。

ヘルペスを発症している人の患部(性器粘膜、分泌物、水疱)と接することで感染します。必ずしも性行為による感染とは限らず、タオル、バスチェア、便座などを介した感染も知られています。

潜伏期間

数日〜1週間程度のことが多いです。

特徴・症状

初発の場合は、重症になることが多いです。
外陰部に、強い痛み・かゆみのある水疱が多発し、数日後には水疱が破れて潰瘍(ただれ)となります。

症状のピークは1週間前後で、違和感やかゆみから始まり、足の付け根のリンパ節の腫れ、高熱、排尿困難、陰部の痛みで歩けない、座れないなど、非常につらい症状を呈することも少なくありません。

再発の場合は、前兆として、陰部のチクチク・ヒリヒリ感や、足の付け根がビリビリと痺れる感覚などを感じることがあります。痛みのある水疱や潰瘍など、初回に発症した部位に、初感染時よりも軽度の症状や違和感などが出ることが多いです。

治療法

無治療でも症状は2〜4週間程度で軽快する場合がありますが、抗ウイルス薬等で治療をすると軽快までの期間を短くすることができます。 基本的には内服の抗ウイルス薬の外用薬または内服薬を処方いたしますが、重症の場合、点滴療法が有効です。

点滴療法は、主に入院で行う治療ですが、当クリニックでは点滴治療を自費でおこなうことも可能です。
早く治したい方には、適した治療法です。

性行為無しでも感染?性器ヘルペスの症状・原因・早期治療法から再発予防まで解説。

HPV(高リスク・低リスク)

子宮頸がんの原因にもなりうるウイルスです。

原因・感染経路

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、性行為により感染し、排除されなかった場合に子宮頸がんとなる可能性のあるウイルスです。

潜伏期間

潜伏期間という表現はいたしません。
多くの場合、時間の経過とともに自然とウイルスが排出されますが、持続的にHPVに感染していると、子宮頸部の細胞が変化し、「異形成」と呼ばれる、がんの前段階の状態から、子宮頸がんへと進展することがあります。

特徴・症状

HPVには約200のタイプが存在し、そのうちハイリスクHPV(16、18、31、33、35、 39、45、51、52、56、58、59、68型の13種)が子宮頸がんと関連します。ローリスクHPV(6、11型)は尖圭コンジローマの原因タイプです。

感染により特に症状はありませんが、子宮頸部異形成・子宮頸がんへ進展すると、不正出血や下腹部などを呈します。

9価ワクチンであるPPVワクチン(シルガード)は、ハイリスク7種とローリスク2種の免疫を獲得するため、子宮頸がんだけでなく尖圭コンジローマの予防するワクチンです。

治療法

HPVに感染した状態を治療するための薬はありません。
感染を予防するためには、HPVワクチンが有効です。 

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尖圭コンジローマ

いぼ・とげのようなできものが特徴的な疾患です。

原因・感染経路

ヒトパピローマウイルス(6、11型)の感染により、いぼのようなできものができる病態です。
オーラルセックス、アナルセックスを含めあらゆる性行為で感染します。時々、感染経路のわからない方もおります。

潜伏期間

ウイルスに接してから実際にいぼが目で確認できるようになるまでは、2週間〜数か月の時間がかかり、すぐにはわかりません。感染した人と性行為をした場合、半分以上の高い確率で感染するといわれており、感染力は高いです。

特徴・症状

初期段階では小さな突起が数個できる程度ですが、放置すると大きくなり、数も増えていくことがあります。色は白っぽいものからピンク、茶色、黒までさまざまです。腟や会陰の内側、肛門部など、ウイルスの感染部位と直接触れた箇所に、イボのようなものが生じます。肛門のコンジローマは完治が非常に難しい場合があります。

治療法

小さいものであれば、外用薬が有効です。
免疫抑制剤の軟膏を、1週間に3回使用します。患部に塗布後、6~10時間を目安に洗い流します。徐々にいぼが小さくなっていきます。 大きな病変、多発病変、腟内や子宮口の尖圭コンジローマの場合には、外科的治療がおすすめです。外用薬でよくならない場合には、凍結療法やレーザー治療を行います。

尖圭コンジローマの感染原因、(初期)症状、見分け方、治療から予防法まで女医が丁寧に解説

B型肝炎

B型肝炎は、性行為も感染原因の1つです。

原因・感染経路

B型肝炎は、ウイルス(HBV)による感染症です。感染者の血液や体液を介して感染するため、性行為で感染する可能性があります。

潜伏期間

感染から1〜6か月程度です。

特徴・症状

感染したときの健康状態により、一過性の感染で終わるか、生涯にわたり感染が持続するかが決まります。持続した感染になりやすいのは、出生時の垂直感染の場合や、3歳未満の乳幼児期に感染した場合です。

急性肝炎の症状としては、全身の倦怠感、食欲不振、吐き気、ウーロン茶のような濃い茶色の尿、黄疸などがあり、数週間程度で徐々に回復していきますが、症状の重篤な劇症肝炎になる方もいます。女性には比較的少ない感染症です。

治療法

急性肝炎の場合、症状に対する対症療法をおこないながら回復を待ちます。

劇症肝炎となった場合は、ステロイドの大量投与などの治療が必要になることがあります。 持続感染しているB型肝炎ウイルスは、完全に排除することはできません。慢性肝炎となった場合は、核酸アナログ製剤やインターフェロン製剤などで治療を続けます。

C型肝炎

C型肝炎は、ウイルス(HCV)による感染症です。肝炎から肝硬変、肝臓がんへと進行する、厄介なウイルスによる感染症です。

原因・感染経路

C型肝炎は、ウイルス(HCV)による感染症です。
感染者の血液を介して感染するため、日常生活(食事・入浴・体を接する等)で感染することはありません。感染率は低いものの、性行為により感染する可能性はあります。

潜伏期間

2〜14週間程度の潜伏期間を経て、急性肝炎を起こすことがありますが、稀です。多くの方は自覚症状のない「不顕性感染」のまま経過します。60〜80%の方は、ウイルスが自然には排除されません。

特徴・症状

慢性肝炎となった方のうち、30~40%の方は20年ほどかけて「肝硬変」へ、さらに肝硬変の方のうち年間約7%の方は肝臓がんへ進展するといわれています。

治療法

HBVとは異なり、HCVは約90%の方で体内から排除することができます。以前はインターフェロン製剤がよく使われましたが、近年は内服薬の抗ウイルス薬が主流です。

A型肝炎

A型肝炎は、国内ではあまり心配いりませんが、海外旅行で感染するケースが散見されます。

原因・感染経路

A型肝炎ウイルスによる感染症です。
性行為のほか、汚染された食品や水を摂取して感染することもあります。衛生状態の悪い地域では、水、氷、生野菜、カットフルーツなどを食べるのは避けましょう。日本、ヨーロッパ、北米、オーストラリア大陸を除くほとんどの国で、A型肝炎のリスクが高いです。

潜伏期間

ウイルスに接してから2〜7週間程度です。

特徴・症状

急な発熱、倦怠感、吐き気・嘔吐、黄疸などの症状が現れます。
一般的な風邪のような症状のため、確定診断が遅れるケースも報告されています。 B型・C型肝炎とは異なり、慢性化するのは稀です。6歳未満の小児ではほとんどのケースで症状がないのと比較して、成人では症状が現れやすく、高齢者では重症化・死亡することも少なくありません。

治療法

現在のところ、特別な治療法はありません。症状を薬で和らげながら安静にし、抗体ができるのを待ちます。予防のためのワクチンはありますので、A型肝炎のリスクが高い国へいく場合には、予防接種をご検討ください。

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腟カンジダ症

かゆみが強い、多くの女性が一度は経験する病態です。

原因・感染経路

カンジダという真菌(カビの一種)による感染症です。
性行為により感染し発症する場合もありますが、基本的には、自身の腟内環境の乱れによりカンジダが異常増殖することが原因となります。 カンジダは、時々腟内に存在するもので病原性は高くありませんが、何らかの原因で過剰に増えてしまうと腟炎を起こします。

潜伏期間

常在菌であるカンジダが異常増殖することにより発症するため、潜伏期間というものはあまり考えませんが、性行為により感染した場合には数日〜1週間程度といわれています。

特徴・症状

おりものはヨーグルト状で、デリケートゾーンのヒリヒリ感・かゆみが特徴的です。
頻度の高いトラブルで、基本的に性感染症ではありません。 寝不足、体調不良、ストレスなどで免疫の低下したタイミングや、おりものシートやストッキングによる蒸れが原因となり得ますので、生活を見直してみることも必要です。

また、最近は尿に糖を排泄させる薬剤を服用している方がたくさんいらっしゃいます。この糖分が菌を繁殖させ、外陰炎や腟炎を引き起こしている患者さんが増えております。

治療法

抗菌作用のある腟錠やクリームを使って治療することで、数日から1週間程度で症状は改善が見込めます。カンジダ自体は腟内の常在菌であるため、完全に除去するということは難しいです。

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トリコモナス腟炎

おりものの変化が特徴的な感染症です。

原因・感染経路

トリコモナスという原虫が腟内に寄生することによる感染症です。 主に性行為で感染しますが、感染者とタオルを共有する、同じ湯船に入るといった日常生活で感染する場合もあります。

潜伏期間

女性の場合、5〜14日間程度です。

特徴・症状

黄色〜緑色で悪臭を放つ泡状のおりものが増え、デリケートゾーンのかゆみ、排尿時痛なども感じるのが特徴です。感染者数は、一時期減少しておりましたが、近年はまた増加しています。

治療法

腟錠及び内服薬を使い、10日間前後治療を続けます。他の性病と同様にパートナーとの治療が大切です。ピンポン感染が多い印象です。

放置によるリスクとは?

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性感染症は、放置することで以下のような深刻な健康被害につながる可能性があります。症状が軽い、またはまったくない場合でも、体内で静かに進行し、女性の将来の健康やライフプランに大きな影響を与えることがあります。

不妊症の原因に

クラミジアや淋病などの細菌感染は、卵管炎や骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こし、卵子の通り道をふさいでしまうことがあります。数年気づかずに病状が進行すると、将来的な妊娠の妨げになることが多いです。

腹痛・骨盤腹膜炎の原因に

便秘や下痢、性交痛や腹痛の原因が性感染症の場合、内服治療だけでは症状が軽快しないことがあります。

虫垂炎との鑑別が非常に難しいこともあり、開腹手術にて診断治療を行う場合があります。治療が遅れることにより、骨盤内腹膜炎による癒着が生じ、癒着剥離術が必要な場合もあります。根治治療は非常に難しいです。

流産・早産・習慣流産のリスク

性感染症に気づかないまま妊娠すると、母体から胎児に感染し、早産や流産、胎児異常などのリスクを高めます。

このことから、妊娠初期に血液検査及び膣分泌検査を行うのが一般的です。梅毒の場合、母体から胎盤を介して胎児に梅毒トレポネーマを感染させることにより、先天性梅毒を発症します。

クラミジア、トリコモナスなどは混合感染を引きおこすことにより、流早産のリスクを高めます。

感染の拡大・ピンポン感染

本人が気づかずに感染したままでいると、パートナーとの間で感染を繰り返す「ピンポン感染」が起こることがあります。自分だけでなく、大切な人を守るためにも、早期の治療が必要です。

慢性炎症やがんのリスク

持続感染されたHPV感染は、子宮頸部に異形成(前がん状態)を生じ、子宮頸がんへと進行することもあります。

《ポイント》少しでも気になったら受診を!

性感染症は恥ずかしさや不安から受診をためらいがちですが、放置によるリスクの方がはるかに大きな問題を招くことがあります。不安な症状がある方や心当たりがある方は、できるだけ早く医療機関に相談しましょう。

 

症状が軽い・ない人も検査が必要な理由

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性感染症の中には、症状がまったく出ない、あるいは非常に軽いために気づきにくいものが多くあります。

特にクラミジア、淋菌、HPVHIV、トリコモナスなどは「無症状のまま進行」し、知らぬ間に体内で炎症が広がったり、大切なパートナーに感染させてしまったりすることがあります。

無症状でも検査が必要な理由

不妊や子宮外妊娠の原因に!

クラミジアは無症状でも卵管閉塞を引き起こし、不妊症や子宮外妊娠の原因になることがあります。

がん化のリスクがあるものも!

HPVの一部は子宮頸がんの原因になりうるため、定期検診やワクチンが重要です。

パートナーとの関係性にも影響!

感染を知らずにパートナーと性交渉を行うことで、再感染や関係性への不安を生む可能性も。

女性は特に要注意‼

特に女性の場合、体の構造上「外から見えない」「気づきにくい」部位に感染が起こるため、症状の軽さや無症状を自己判断せず、定期的な検査を行うことがご自身の健康とパートナーの安心につながります。

当院では、症状がない方でも気軽にご利用いただけるオンライン診療や郵送検査キットをご用意しています。

 

性感染症(性病)の検査方法は?

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性感染症は、おりもの、咽頭うがい液、血液、尿など、疑う疾患や症状によりおこなう検査が異なります。

おりものの症状がある場合や、デリケートゾーンの匂い・かゆみなどの症状がある場合は、おりものの検査が中心です。梅毒や肝炎を疑う場合、クラミジアや淋菌感染を疑うがおりものから検出されない場合などは、血液検査も必要になります。

性感染症の検査は、症状がある方はもちろん、無症状の方でも定期的に受けておくことが大切です。

忙しく受診のための休みが取りにくい、近隣に婦人科が少ないなど、気軽に通える婦人科がなくてお困りの方は、当院のオンライン診療で性感染症の検査をおこなってみませんか?

オンラインでの検査をご希望の方へ

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  • 忙しくて通院の時間が取れない
  • 近くに婦人科がなくて受診できない
  • できれば人に会わずに検査したい

このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ当院のオンライン検査をご利用ください。

オンラインで性病検査

問診の上、検査キットを使って検体をとって送付していただければ、検査結果に合わせた治療・処方をおこなえます。送料以外は保険適用となりますので、症状のある方は気軽にご相談ください。

 

院内での検査も実施中

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当院では、症状やご希望に応じて、保険適用または自費での性感染症検査に幅広く対応しています。

目的別に選べる性病検査セット(自費検査)

Aセット(11,000円)|クラミジア、淋菌、カンジダ、一般細菌

おりものから検出される一般的な性病を早期に発見できます。

Bセット(13,200円)|梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV

血液検査で判定。感染後2週間〜1か月で陽性反応が出ます。

Cセット(16,500円)|クラミジア、淋菌、カンジダ、トリコモナス、マイコプラズマ、一般細菌

より詳しいおりもの検査。再発や複数感染の可能性がある方にも。

Dセット(7,700円)|梅毒、HIV

最近流行している2項目に特化。梅毒は保険で注射治療が可能です。

A+Bセット(24,200円)

クラミジア、淋菌、カンジダ、一般細菌、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV

A+Cセット(29,700円)

クラミジア、淋菌、カンジダ、トリコモナス、マイコプラズマ、一般細菌、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV

 その他個別検査(症状や希望に応じて実施)

・咽頭検査
・血液検査(肝炎ウイルスなど)
・HPVタイピング検査(子宮頸部細胞診)
・マイコプラズマ・ウレアプラズマ(自費対応)

当院は、プライバシーに配慮した診療環境と女性医師による対応です。

安心してご相談いただけるよう、丁寧かつ配慮ある診療体制を整えていますのでお気軽にご相談ください。

 

性病に関するよくある質問(FAQ

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Q:性病の症状が出ても自然に治りますか?

 一時的に症状が治まることがありますが、完治したわけではありません。感染が残ったまま慢性化し、不妊や再感染のリスクが高まるため、必ず医療機関での検査・治療を受けましょう。

Q:市販薬で治療できますか?

一部の性病(カンジダなど)には市販薬がありますが、自己判断による誤診や重症化のリスクがあります。まずは医療機関の診察を受けることが安全です。

Q:検査は匿名で受けられますか?

当院のオンライン診療では実名確認が必要ですが、プライバシーに十分配慮した対応を行っています。診療情報は外部に漏れることはありません。

Q:妊娠中でも検査は受けられますか?

はい、妊娠中でも性感染症の検査は受けられます。母体と胎児への影響を最小限に抑えるためにも、妊娠中の検査は重要です。

Q:パートナーにどう伝えたらよいですか?

「一緒に検査を受けよう」と提案するのが第一歩です。性感染症は2人で向き合うべき健康問題です。当院ではパートナー同伴の受診や説明も可能です。

Q:どのタイミングで検査を受けるべきですか?

症状があるときはすぐに受診を。症状がない場合でも、新しいパートナーとの接触後や年に12回の定期検査がおすすめです。

Q:検査結果はどのくらいで分かりますか?

院内検査であれば数日〜1週間程度、郵送検査でもおおよそ2週間以内に結果をお伝えできます。

 

まとめ|不安を感じたら、まずは相談を

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女性に多い性感染症は、早期の検査と治療によってほとんどが改善可能です。 症状がある方はもちろん、症状がなくても感染しているケースは少なくありません。不安を感じたときに我慢したり、様子を見たりせず、まずは一度ご相談いただくことが大切です。

当院では、

・女性医師による丁寧でわかりやすい診察
・オンライン診療・郵送検査キットによる全国対応
・プライバシーに配慮した安心の診療環境
・保険適用での検査・治療対応(一部自費含む)

など、どなたでも相談しやすい体制を整えています。

「性病かも?」と悩んでいる方も、まずは一人で抱え込まずに、ぜひ当院にご相談ください。

 

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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