性行為後の出血が鮮紅色のときは危険?妊娠・病気・がんの可能性と受診目安を婦人科女医が丁寧に解説!
更新日:2025.09.24

「性行為のあとに出血があった」
「毎回のように性交後に鮮血がつく」
性行為後の出血は、多くの女性が一度は経験する症状です。
一度きりで自然におさまるケースもありますが、頻繁に繰り返す場合や量が多い場合は、婦人科系の病気や性感染症、ホルモン低下による膣の萎縮 など、治療が必要な背景が隠れていることもあります。
また、
「妊娠初期の出血なのでは?」
「がんでは?」といった不安から、
誰にも相談できずに悩む方も少なくありません。
この記事では、性交後の出血について
- よくある原因とそれぞれの特徴
- 放置してよいケースと受診が必要なケース
- 妊娠や月経との関係
- 婦人科での検査・治療の流れ
- 再発を防ぐセルフケアと予防法
を、女性の視点からわかりやすく解説します。
こんな方におすすめの記事!
- 性交後に少量でも出血があると不安になる
- 出血が毎回あり「病気では?」と心配している
- 妊娠初期の出血かどうか区別がつかず戸惑っている
- 子宮頸部ポリープや子宮頸がんが心配
- 潤滑不足や乾燥で膣が傷つきやすい
- 出血を気にせず安心して性生活を楽しみたい
本記事を読むことで
- 出血の原因を整理して理解できる
- 「受診が必要かどうか」が判断できる
- 検査・治療・予防の流れがわかり、安心できる
是非ご覧ください。
目次
性行為後の出血とは?

性行為後出血(postcoital bleeding)とは、性行為の直後から数時間以内に膣や子宮から出血がみられる状態 を指します。
一度きりで少量
⇒ 粘膜の小さな傷や一時的な出血
繰り返す・量が多い・長引く ・臭いがする
⇒ 婦人科疾患や性感染症の可能性
【check】性行為後の出血は、年代を問わず起こり得ます。
若い世代
子宮頸部びらんや性感染症による炎症が原因になることが多い
妊娠を希望する世代
排卵期出血や妊娠初期の着床出血と重なることもある
更年期以降
女性ホルモンの低下による萎縮性膣炎で出血しやすくなる、または悪性腫瘍
Check point
このように、性交後の出血には年齢やライフステージによって異なる背景があり、「よくあること」と軽視せず、原因を正しく見極めることが大切です。
性行為後に出血する主な原因

性交後の出血は、医学的にいくつかのカテゴリーに分けて考えることができます。
大きくは 外傷性・感染性・腫瘍性・ホルモン性・その他 に分類され、それぞれで特徴が異なります。
1.外傷性(摩擦や裂傷による出血)
性行為中の摩擦や外的刺激によって膣や外陰部の粘膜に小さな傷ができ、出血することがあります。
・潤滑不足(アイ液の不足)
前戯が不十分、ホルモン低下、更年期、授乳期などで膣分泌液が少ないと、膣壁が摩擦で傷つきやすくなります。
・強い刺激や体位
無理な体勢や深い挿入で、膣壁や子宮頸部が刺激され、裂傷を起こすことがあります。
・爪や性具による損傷
爪が長い、グッズ使用の際に粘膜が引っかかるなど、物理的な損傷で出血することも。
外傷性の特徴
鮮やかな赤色の出血。量は少なく、数時間〜1日でおさまることが多い。
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2.感染性(膣炎や性感染症による出血)
膣や子宮頸部に炎症があると、性交による刺激で粘膜から出血しやすくなります。
・カンジダ膣炎
白い酒粕状のおりもの、強いかゆみ。性交後に擦れて出血することがある。
・細菌性膣症
灰白色〜黄色のおりもの、魚のようなにおい。炎症で粘膜がもろくなり出血。
・トリコモナス膣炎
泡立つ悪臭のおりもの。出血やただれを伴いやすい。
・クラミジア・淋菌感染症
おりもの増加、下腹部痛、排尿痛を伴い、頸管炎による出血が特徴。
感染性の特徴
おりものの性状やにおいの変化を伴う。かゆみが生じることもある。繰り返す、徐々に強くなるケースも多い。
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3.腫瘍性(子宮頸部や腟の病変による出血)
良性でも悪性でも、子宮頸部に病変があると性交で出血しやすくなります。
・子宮頸部びらん
若い女性に多い。病気ではないが、粘膜が露出していて出血しやすい。
・子宮頸管ポリープ
小さな良性腫瘍。性交でこすれると簡単に出血する。
・子宮頸がん/子宮体がん
進行すると「接触出血(性交や内診後の出血)」が起こる。長引く出血・多量出血は要注意。
腫瘍性の特徴
少量でも繰り返す、または長引く出血。加齢や定期検診未受診の女性では特に注意。
4.ホルモン性(萎縮性膣炎など)
エストロゲンが低下すると、膣の粘膜は薄く乾燥し、出血しやすくなります。
・更年期(閉経前後)
エストロゲン分泌の減少で膣粘膜が脆弱に。
・授乳期
プロラクチン上昇でエストロゲンが抑制され、萎縮状態になりやすい。
・低用量ピル
低エストロゲンのため、膣粘膜が薄くなり出血しやすくなる。
・不妊治療などのホルモン治療中
ホルモン値を高く維持することで、出血しやすくなることがある。
ホルモン性の特徴
性交のたびに少量出血。低エストロゲンの場合、乾燥感や性交痛を伴うことが多い。
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5.その他(排卵期出血・卵巣出血など)
・排卵期出血
排卵に伴いホルモン変動で少量の出血。性交のタイミングと重なると「性交後出血」に見える。
・卵巣腫瘍・卵巣嚢胞の破裂
直接腟からの出血を起こすことは少ないが、性交をきっかけに嚢胞が破裂し、卵巣出血(腹腔内出血)を起こすことがある。腟出血というよりは強い下腹部痛・貧血症状として現れるため、緊急受診が必要。
・処女膜の裂傷
処女膜の裂傷部位近くの血管が破綻すると出血することがある。
血の特徴から原因を推測するセルフチェック

性交後の出血は「量」「色」「持続時間」「随伴症状」によって、ある程度の原因を推測することができます。
自己判断だけで確定はできませんが、症状のパターンを知ることで、「受診が必要か」「様子を見てよいか」 の目安になります。
出血の量と持続時間
・少量ですぐ止まる(ティッシュに軽くつく程度)
膣の摩擦や小さな裂傷、軽度のびらんなどが原因のことが多い。
・ナプキンが必要なほど出血/数日以上続く
子宮頸部ポリープ、子宮頸がん、子宮体がんなどの可能性。受診が必要。
・急な大量出血
子宮外妊娠、筋腫分娩、流産など。すぐに受診。
出血の色
・鮮紅色の出血がある場合
摩擦や裂傷、子宮頸部びらん・ポリープ・筋腫分娩や子宮外妊娠よる鮮やかな赤色の出血。毎回起こる場合は要受診。
・ピンク色~薄い赤
粘膜表面からの軽い出血やホルモン性出血。排卵期・性病・萎縮性膣炎でも見られる。短期間で止まれば問題ないが、繰り返す場合は受診を。
・茶色や黒っぽい出血
子宮内膜や腫瘍性出血が関与する場合がある。子宮内膜症・がん・ホルモン異常などに注意。
・性交後に生理のような出血がある場合
ナプキンが必要なほど多い/数日続く場合は、不正出血のサイン。ポリープやがんの可能性も。
・性交後に水っぽい血が出る場合
細菌性膣症や性感染症が原因のことがあり、においを伴うこともある。
出血のタイミング
・性交直後にすぐ出血
外傷性(裂傷)や子宮頸部病変が疑われる。
・数時間後に出血
感染症や炎症性の出血である可能性。
・性行為の翌日に出血
感染や炎症による遅発性出血、直後の不安定な内膜が原因。繰り返す場合は受診が必要。
・周期に関連して起こる(排卵期・月経前後)
排卵期出血、黄体機能不全などホルモン関連が考えられる。
随伴症状での見分け方
・かゆみ、おりものの変化(色・におい・量)
膣炎・性感染症(クラミジア・淋菌・トリコモナス・カンジダなど)。
・下腹部痛、腰痛、発熱
子宮内膜炎・骨盤炎症性疾患(PID)、卵巣出血、性感染症の進行。
・性交痛や膣の乾燥感
萎縮性膣炎や潤滑不足による粘膜損傷。
・倦怠感・体調不良
妊娠初期、ホルモン変動、更年期または感染症による全身症状。
性行為後の出血セルフチェック表
出血の特徴 | 考えられる原因 | 受診目安 |
---|---|---|
少量・鮮紅色・すぐ止まる | 摩擦・裂傷・びらん | 経過観察可。ただし繰り返すなら受診 |
鮮紅色で毎回出る | 子宮頸部ポリープ・感染症 | 数日以内に受診 |
茶色や長引く出血 | 子宮頸がん・子宮体がん・内膜症 | 早期受診(精査必要) |
出血+おりもの異常 | 性感染症・膣炎 | 数日以内に受診(性交渉なし) |
出血+強い痛み・発熱 | 卵巣出血・PID | 緊急受診 |
出血の色・量・タイミング・随伴症状を整理することで、ある程度原因の目星がつきます。
ただし、「正常か異常か」最終判断は医師の診察が必要です。
特に繰り返す場合や不安がある場合は婦人科受診が安心です。
性行為後の出血は妊娠や生理と関係ある?見分け方と注意点

性交後に出血があると
「妊娠してしまうかな?」
「月経が周期かわったのかなあ?」
と心配になる方が多いです。
出血のタイミングや特徴を整理すると、月経や妊娠に伴うものかどうかをある程度見極めることができます。
月経前後の出血
・月経直前
月経が始まる直前は子宮内膜が不安定になっており、性交の刺激で少量の血が混じることがあります。数時間〜1日で月経に移行するケースが多いです。黄体機能不全の方もいらっしゃいます。
・月経直後
月経終盤で子宮内膜が完全に剥がれきっていない状態だと、性交刺激で残りの内膜が排出され、茶色い血が混じることがあります。
・特徴
鮮紅色というより茶褐色〜黒っぽい出血。
月経周期に一致することが多い。
排卵期の出血(排卵期出血)
排卵期(次の月経予定日の約2週間前)には、エストロゲン優位からプロゲステロン優位へのホルモン推移の変化が起こり、子宮内膜が一時的に不安定になります。
この時期に性行為をすると、排卵性の少量出血と性交の刺激が重なり、「性交後出血」と感じることがあります。
特徴
少量のピンク色〜薄い赤。
排卵痛や透明なおりもの増加を伴うこともある。
妊娠初期の出血
妊娠初期に見られる出血は大きく2種類あります。
1.着床出血
- 排卵後7〜10日目頃に受精卵が子宮内膜に着床するときに起こる少量の出血。
- 性交後の出血とタイミングが重なると混同されやすい。
- 出血はごく少量で、数日以内に止まる。
2.妊娠初期出血(流産のリスクを含む)
- 妊娠初期はホルモンの影響で子宮頸部が充血し、性交後に出血しやすくなる。
- ただし、大量出血や腹痛を伴う場合は切迫流産や子宮外妊娠の可能性もあり、早急な受診が必要。
特徴
・少量なら生理様出血と区別がつきにくい。
・妊娠の可能性がある場合は自己判断せず妊娠検査薬や医師の診断を。
妊娠との区別のポイント
・着床出血
少量・短期間・生理予定日の少し前
・流産や子宮外妊娠の出血
量が増える、腹痛や腰痛を伴う、鮮血が続く
「妊娠初期に性交後出血=必ず流産ではない」ものの、切迫流産や子宮外妊娠の初期症状である可能性もあるため、妊娠の可能性がある方は必ず医師に相談しましょう。
セルフチェックの流れ
1.月経周期を確認
・月経直前・直後 → 月経関連出血の可能性大
・排卵期 → 排卵期出血の可能性
2.妊娠の可能性があるか確認
・性交のタイミングと排卵日が重なっているか?・出血後に月経が来なければ妊娠検査薬で確認
3.症状の重さを確認
・少量で止まる → 経過観察可・大量出血・腹痛 → 早急に受診
まとめると、月経周期や妊娠の有無によって「正常な範囲」か「医療的対応が必要か」が大きく変わります。
受診が必要なケース

性交後の出血は一度きりで軽度なら経過観察でもよいことがあります。
しかし、以下のようなケースでは 婦人科の受診が推奨される、あるいは すぐに受診すべき緊急ケース があります。
1.今すぐ(緊急受診が必要なケース)
- 出血量が多く、ナプキンがすぐに真っ赤になる
- 出血が止まらない/鮮血が持続して流れている
- 強い下腹部痛・腰痛・発熱を伴っている
- めまいやふらつきがある(貧血や大量出血のサイン)
- 妊娠の可能性があり、鮮血や腹痛を伴う出血がある(子宮外妊娠や流産の可能性)
特に 妊娠初期の性交後出血で鮮血が持続する場合は救急受診 が必要です。
2.数日以内に受診すべきケース
- 性交後に毎回出血する
- 出血に加えておりものの異常(量の増加・色の変化・悪臭)がある
- 茶色の出血がだらだら続く
- 出血が数日〜1週間以上続く
- 不正出血(周期に関係なく繰り返す)がある
この場合は、子宮頸管ポリープ・感染症・萎縮性膣炎・子宮頸部病変 が疑われます。
3.経過観察でもよいケース
- 初めての少量出血で、数時間〜1日で自然に止まった
- 潤滑不足や摩擦で膣が傷ついたと自覚がある
- 他の症状(痛み・おりもの異常・体調不良)がない
ただし、繰り返す場合は「よくあること」と放置せず婦人科へ。
性行為後出血の受信判断目安
状況 | 考えられる背景 | 受診の必要性 |
---|---|---|
大量出血・止まらない | 子宮外妊娠、流産、筋腫分娩など | 今すぐ受診 |
毎回の性交後に出血 | 子宮頸管ポリープ、びらん、炎症 | 数日以内に受診 |
出血+おりもの異常 | 感染症(クラミジア・淋菌・膣炎) | 数日以内に受診 |
出血が長引く・茶色 | 内膜症、がん、ホルモン異常 | 数日以内に受診 |
一度だけ少量・すぐ止まる | 摩擦や小さな裂傷 | 経過観察可 |
婦人科で行う検査

性交後の出血が続く場合、原因を特定するために婦人科では以下のような検査を行います。
単なる粘膜の傷か、炎症か、腫瘍性の病変かを明確にすることが大切です。
1.問診・内診(視診・触診)
・出血が起きたタイミング、周期との関連、随伴症状(痛み・おりもの・発熱など)を詳しく確認します。・内診台で腟・子宮頸部を直接観察し、粘膜の裂傷やポリープの有無、炎症の程度をチェックします。
2.膣分泌物検査
・綿棒で膣内から分泌物を採取し、顕微鏡や培養で細菌・真菌(カンジダ)・原虫(トリコモナス)などを確認。・細菌性膣症や膣炎、性感染症の有無を判断できます。
3.性感染症検査(クラミジア・淋菌など)
・尿や膣分泌物を用いて、核酸増幅検査等を行います。・遺伝子レベルで病原体を検出するため、従来の培養検査よりも高感度で正確。
・無症状の感染も見逃さず、パートナーへの感染予防にもつながります。
4.子宮頸部細胞診・HPV検査
・子宮頸がんやその前段階(異形成)を早期に発見するための検査。
・子宮頸部の表面から細胞を採取し、顕微鏡で異常の有無を確認。
・必要に応じてハイリスク型HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染有無も調べます。細胞診での異常がない場合、自費での診療となります。
【Check point】
性交後出血が長引く場合、子宮頸がんの早期発見に欠かせない検査です。
5.妊娠検査
・性交後出血と妊娠の可能性が重なるケースでは、尿や血液で妊娠反応を調べます。・妊娠初期出血や切迫流産、子宮外妊娠などを早期に確認するために必要です。
6.血液検査
・炎症反応(白血球数・CRPなど)を調べ、感染や炎症の程度を把握。・ホルモン検査でエストロゲンやプロゲステロンの状態を確認し、排卵に関与した出血かどうかを判断。
7.必要に応じた追加検査
・経腟エコー
子宮内膜や卵巣卵胞の状態を観察。子宮筋腫・内膜症・卵巣嚢胞・子宮内膜ポリープなどの有無を確認。
・細胞診・組織診(生検)
がんや前がん病変が疑われる場合に、子宮頸部や内膜の一部を採取して病理診断を行う。
まとめ
検査を組み合わせることで、出血の原因が外傷性か、炎症性か、腫瘍性か、ホルモン性か を明確にできます。当院では、検査結果を丁寧に説明し、必要ならすぐ治療へとつなげる体制を整えています。
治療法

性交後の出血は、原因によって治療法が大きく異なります。
「自然に治るもの」もあれば、「放置すると進行する病気」もあるため、正確な診断のもとに適切な治療を受けることが大切です。
1.外傷性の出血(摩擦や裂傷など)
治療内容
・軽度なら安静と清潔保持で自然に治癒。
・粘膜の乾燥が原因の場合、潤滑剤や保湿ジェル(エビネジェル・エビネセラム) を継続使用して再発予防。
【Check point】
毎回起こる場合は、ホルモン低下や膣の炎症が背景にあることも多く、検査で確認が必要。
2.膣炎・性感染症による出血
・カンジダ膣炎
膣坐薬(内服薬は保険適応にならない場合が多いです)
・細菌性膣症
膣坐薬
・トリコモナス膣炎
膣坐薬および内服薬。パートナーも同時治療
・クラミジア・淋菌感染症
抗菌剤内服薬、パートナー治療必須
【Check point】
性感染症は「自分だけの治療」では不十分。パートナーも同時に治療しないと再感染を繰り返す可能性が高いです。
3.子宮頸部の病変による出血
・子宮頸部びらん
症状が軽ければ経過観察。
出血が頻繁ならレーザー処置で止血されることもあるが保険外診療のことが多い。
・子宮頸管ポリープ
小さい場合、 外来で切除可能。
数分で終わる処置で再発予防にもなる。
大きい場合は止血が難しいため、入院での処置となる。
・子宮頸がん、子宮体がん
精密検査のうえ、病期に応じて手術・放射線治療・化学療法が必要。
【Check point】
「毎回の性交で出血」「不正出血が続く」場合は、まずこの領域を除外することが大切です。
4.萎縮性膣炎(更年期・授乳期など)
治療内容
・局所エストロゲン製剤で膣粘膜を回復(膣坐薬)。
・保湿ケア(エビネジェル・セラム)を併用し、粘膜のうるおいを維持。
・モナリザタッチ(膣レーザー治療)
⇒コラーゲン再生を促し、膣の厚みと潤いを改善。性交痛・乾燥感・出血の改善に有効。
【Check point】
ホルモン補充療法に抵抗がある方や、長期的なケアを希望する方にも選択肢がある。
5.妊娠初期の出血
治療内容
・切迫流産が疑われる場合
⇒安静、子宮内感染予防
・子宮外妊娠が疑われる場合
⇒状況により 入院・外科的処置が必要
【Check point】
自己判断は危険。妊娠の可能性がある方の出血は、必ず医師に相談を。
6.再発予防・体質改善
- 性交前後のセルフケア(清潔保持・排尿)
- 保湿・潤滑ケア(エビネジェル・セラム)
- 膣内フローラの改善(EBINE flora)で菌環境を整える
- 定期的な婦人科検診で早期発見・早期治療
【まとめ】
このように、性交後出血は「一時的な傷」から「がんのサイン」まで幅広い原因があり、それぞれに適した治療法が存在します。
当院では、感染症治療から再発予防のケア、モナリザタッチまで一貫して対応可能です。
予防とセルフケア

性交後の出血を完全に防ぐことは難しいですが、日常生活や性行為の工夫によってリスクを減らすことができます。
また、粘膜環境を整えることで「出血しにくい状態」を作ることが可能です。
1.性交前の工夫
・性病がないことを確認しましょう
・お互いに手を洗う
性交の前には手を清潔にしておくことも大切です。
爪や手指に付着した細菌が膣内に入り込むと、膣炎や膀胱炎の原因になることがあります。清潔な状態で触れ合うことで、感染症のリスクを減らすことができます。
・十分な前戯で潤滑を高める
膣分泌液(アイ液)が不足した状態での挿入は裂傷の原因になります。リラックスと十分な保湿を心がけましょう。
当院では、膣粘膜の乾燥や摩擦ダメージを防ぐために エビネジェル・エビネセラム の使用をおすすめしています。普段から粘膜を保湿することで、摩擦による傷つきを予防できます。
2.性交後のケア
・排尿をする
性交後すぐに排尿することで、尿道から侵入した細菌を洗い流し、膀胱炎の予防になります。
・外陰部をやさしく洗浄
ゴシゴシ洗いは逆効果。ぬるま湯やデリケートゾーン専用の洗浄剤でやさしく清潔を保ちましょう。
3.膣環境を整える
膣フローラ(細菌叢)の改善
膣には「ラクトバチルス」という善玉菌が常在し、酸性環境を保つことで外からの細菌や病原体を防いでいます。
加齢・ストレス・抗生物質・ホルモン低下などで乱れると、膣炎や感染症にかかりやすくなります。
【Check point】
当院では膣内環境を整えるための膣内善玉菌をフリーズドライにしたカプセル、 膣ピル「EBINE flora」 をご用意しています。
4.生活習慣の見直し
- 免疫力を保つ生活
睡眠不足・ストレス・過労は膣内環境やホルモンバランスを乱し、感染や炎症を起こしやすくします。 - 下着・衣服の選び方
通気性のよいコットン素材を選ぶ。締め付けの強い服は避け、蒸れを防ぐ。おりものシートの日常使いはやめましょう。 - 食生活
食物繊維を摂る、ビタミンC・E・乳酸菌を含む食品を意識すると、粘膜の健康維持や膣フローラの安定に役立ちます。
5.定期的な婦人科検診
性交後出血の背景には、子宮頸部の異常や腫瘍性病変が隠れていることもあります。
- 子宮頸がん検診は20歳以上の女性に推奨されています。
- 出血がなくても、定期的に検診を受けておくことで「安心して性生活を送れる」ことにつながります。
性行為後出血の予防まとめ
1.潤滑・保湿を意識、性交後の排尿・洗浄で感染予防
2.膣フローラを整える(EBINE flora)
3.生活習慣を整え免疫力を維持
4.定期的な婦人科検診
当院では、治療だけでなく再発予防のケアまでトータルでサポートしています。
よくある質問(FAQ)

Q1. 性交後に少量の出血があるのは正常ですか?
A. 一度きりで少量、すぐに止まる出血は多くの女性に見られます。
ただし、繰り返す場合や量が多い場合は病気の可能性があるため受診をおすすめします。
Q2. 子宮頸部びらんは治療が必要ですか?
A. 子宮頸部びらんは月経のある女性の多くにみられる生理的な状態で、必ずしも病気ではありません。
しかし、出血やおりものの異常がある場合はレーザー治療などが検討されます。
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Q3. 妊娠初期の出血と性交後出血はどう見分けられますか?
A. 出血の色や量だけでは区別できません。
妊娠の可能性がある場合は妊娠検査薬を使用し、陰性でも月経が来ないときは再検査・受診してください。
Q4. 受診するなら婦人科と泌尿器科どちらですか?
A. 出血の原因は膣・子宮頸部など婦人科領域に多いため、まずは婦人科の受診が推奨されます。
膀胱や尿道の異常が疑われる場合は、婦人科から泌尿器科を紹介するケースもあります。
Q5. 出血を繰り返さないためにできることはありますか?
A. 膣の健康度の確認が大切です。
潤滑不足や乾燥を防ぐこと、性交後の排尿や清潔保持、膣フローラの改善(EBINE flora)、保湿ジェル(エビネジェル・セラム)の使用などで予防可能です。定期的な婦人科検診も重要です。
Q6.セックスの翌日に出血がありました。大丈夫ですか?
A. 翌日の出血は炎症や感染症による遅発性出血の可能性があります。繰り返す場合は受診をおすすめします。Q7.指による愛撫で血が出ました。異常ですか?
A. 一度きりの少量なら裂傷の可能性が高いですが、頻繁に起こる場合は膣炎や頸部病変の可能性があります。Q8.オーガズムのときに出血しました。受診が必要ですか?
A. 子宮収縮による一時的な出血のこともありますが、繰り返す・多量出血なら病気の可能性もあるため受診を。
Q9. パートナーが性行為で出血しやすいです。パートナーとして何か気をつけることはありますか?
出血にはさまざまな原因がありますが、パートナーの体をいたわり、性行為で痛みやつらさがないか配慮することや、爪を整えること、性行為の前には手や体を清潔にすることなどが大切です。 濡れにくい場合、乾燥が強い場合は、リラックスできるような雰囲気づくりをするとともに潤滑剤を使うことなどもよいでしょう。
まとめ

性行為後の出血は、多くの女性が一度は経験する症状です。
一時的な粘膜の裂傷や潤滑不足による軽度の出血であれば心配ない場合もありますが、繰り返す・量が多い・長引く出血は、婦人科系疾患や性感染症、ホルモン低下、さらには腫瘍性病変(子宮頸がんなど)のサインである可能性もあります。
- 出血の「量・色・タイミング・随伴症状」をセルフチェックする
- 妊娠や月経周期との関連も意識する
- 「繰り返す」「おりもの異常を伴う」「大量出血」なら早めに婦人科を受診する
- 婦人科では内診・感染症検査・細胞診・ホルモン検査などで原因を特定できる
- 原因に応じて、薬物療法・ポリープ切除・ホルモン治療・モナリザタッチ・エビネジェル/セラム・EBINE flora などの治療・ケアが可能
性交後出血を放置すると、病気の発見が遅れるリスクがあります。
少しでも不安があれば婦人科にご相談ください。
「異常かどうか分からない」という場合も、気軽に婦人科へ相談することが最も安心できる選択です。気になる出血が続く場合は早めにご相談ください。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。