ヒリヒリする性交痛の痛み!性交痛の原因と治療法を女医が丁寧に解説!
更新日:2024.06.18
性交時に痛みを経験する女性は少なくありません。痛みのために性交が苦痛になってしまうこともあります。
しかし性交痛は人には言いづらい悩みであり、一人で悩みを抱え込んでしまう方も多いかもしれません。
この記事では、性交痛とは何か、性交痛の原因・対策について解説します。 これを読んでいただき、性交痛がある場合にどうすればよいかを理解し、そして痛みのない安心した性交ができるようにお役に立てればと思います。
性交痛とは?
性交痛とは、性交時に感じる痛みのことです。性行為の最中もしくは性交後に、痛み・不快感を感じます。
年代に関係なく、女性の5〜10人に1人が経験するといわれており、パートナーに言えず、我慢してしまう女性が少なくありません。
痛みのせいで挿入が難しくなることもありますし、挿入後、動かされると痛くて続けられないこともあります。性交痛があると、性交がいやになりかねません。また婦人科的な病気が原因のこともあるため、注意が必要です。
痛む場所は、以下の3通りです。
●膣の入り口(挿入時の痛み)
●膣の中(こすれて痛む)
●膣の奥の方(奥まで突かれると痛む)
痛み方は、ヒリヒリと痛むことが多いのですが、ズキズキする痛み、ギュッと締め付けられるような痛み、刺すような痛みのこともあります。
性交痛の2つの原因
<原因1>外陰部、膣の浅い部分が痛い場合
挿入時やピストン運動でこすれたときに、外陰部や膣の浅い部分が痛む原因を解説します。乾燥している
外陰部や膣が乾燥していると、挿入時に痛みます。考えられる原因は以下のとおりです。乾燥(前戯が足りない)
ストレス・不眠
疲労
更年期障害(膣委縮)
一番多い原因は、乾燥していることです。膣の状態は日常より水分保持されていますが、挿入するために十分な準備ができているわけではありません。前戯の後に、膣潤滑液が分泌されて女性器が滑りやすい状態となり、苦痛ない挿入が可能です。
女性の膣の状況をよく知らないパートナーの場合、挿入しやすい膣の状態となっていない時の性交で、性交痛が生じます。 女性のストレス・疲労が原因でホルモンのバランスがくずれ、膣潤滑液の分泌が不十分となり、性交痛がみられることもあります。
また更年期に入ると、女性ホルモン(エストロゲン)の減少による膣分泌量の低下や、膣粘膜の萎縮、細胞内の水分保持の低下が起こります。膣の潤いと弾力性が失われていくのです。このことにより外陰部がヒリヒリしたり、かゆくなったりします。
トラウマ・ストレス
過去の性行がすごく痛かった、性行為はいけないことだと教えられて育ったなどの場合、性行為に対する不安・緊張がストレスになって、性交痛をおこすことがあります。 またパートナーとの関係に悩んでいる、妊娠などの不安感がある、パートナーへの愛情がないなどのメンタル的な問題を抱えている場合にも同様の現象が起こります。膣と男性器の大きさが合っていない
男性器が大きすぎる、膣が狭いなどの場合も性交痛の原因です。大柄の男性と小柄の女性の場合に可能性があります。ただし個人差があるため、一概には言えません。皮膚疾患
外陰部にみられる性交痛は、外陰部のただれなどの病気が原因のことがあります。 以下に例を示します。ナプキン・衣類の接触などによる接触性皮膚炎
脂漏性皮膚炎
バルトリン膣炎
外陰部の萎縮
陰部の感染症(梅毒・カンジダ・ヘルペス・トリコモナス・細菌・コンジローマ)など
膣炎
膣の中がこすれて痛む場合は膣炎が原因のことがあります。細菌・トリコモナス・カンジダ感染症
萎縮性膣炎など
膣炎の場合は、おりものの変化、かゆみ、不快感、頻尿などの症状をみることがあり、注意が必要です。委縮性膣炎は更年期にみられることが多いのですが、長期低用量ピルを内服している20〜30歳代で起こることもあります。
ラテックスアレルギー
ラテックス製のコンドームにアレルギー反応を示す皮膚病です。ヒリヒリ感、かゆみ、じんましんなどがみられます。状況によっては、呼吸困難・ショックを生じる場合もあります。
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<原因2>奥の方が痛い場合
奥まで突かれたときに痛む場合の原因を解説します。体位によるもの
体位により痛みがみられることがあります。男女それぞれの個人差があるので、工夫してみてください。子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮の内側にある子宮内膜が、それ以外の場所にできる病気です。
この病気により、子宮や卵巣に癒着が生じて、子宮が動かされたときに激痛を感じることがあります。以前は痛くなかったのに徐々に痛くなった場合、月経困難症が増悪した場合、この病気の可能性があります。日常生活で、排便時にも痛むなどの症状に注意してください。
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子宮筋腫
子宮筋腫は子宮にできる良性腫瘍です。
奥まで突かれたときに、子宮が動いて痛みを生じることがあります。性交痛以外に、生理痛が強くなる、貧血、便秘、頻尿などの症状がみられる場合もあります。
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骨盤内炎症性疾患
子宮・卵管・卵巣などのクラミジア感染症、淋菌感染症などの骨盤腹膜炎でも性交痛が起こります。
奥まで突かれたときに、子宮が動いて痛みを生じます。性交痛以外に、膣から膿のようなものが出る、おりものが増える、排尿時痛などがみられる場合は注意してください。
骨盤腹膜炎など骨盤内炎症性疾患(PID)の症状、治療法、感染原因、性行為との関係も含め女性が丁寧に解説。
骨盤内の癒着
骨盤内の手術後の癒着のため、性交痛を起こすことがあります。
虫垂炎、卵巣のう腫、子宮筋腫、子宮外妊娠などの術後の方に、比較的多いです。
性交痛の5つの対策
1.パートナーに相談する
婦人科的な病気ではないときには、パートナーに相談してください。状況を素直に相談するとよいでしょう。2.潤滑ゼリーを使う
分泌液を補い、膣に潤いを与えるアイテムです。指先に潤滑ゼリーをつけて膣に塗るか、 男性がコンドームを着用したあとで、先端につけて使ってください。摩擦で生じる痛みを和らげられます。ウォーターベース、シリコンベース、オイルベースなどさまざまな種類があり、オーガニックのものや香りのついたものもあるので、好みに合わせて使えます。大切なのは分泌液の成分に類似した粘着度です。
3.デイリーケア
デリケートゾーン用保湿液を使用した日常のケアが最も大切です。4.産婦人科を受診する
性交痛には、さまざまな原因があるため、性交障害がある場合、産婦人科を受診してください。とりわけ以下のような症状がある時には受診が必要です。
痛みのため性行為ができない
徐々に痛みが強くなっている
おりものの変化など、他の症状がある
原因が分からない
治療可能なことがあるので受診してみてください。
診察して治療が必要な病気と診断された場合、薬物治療、手術などを受けられます。
5.カウンセリングを受ける
精神的に性交渉が受け入れられない場合は、専門の医師やカウンセラーにカウンセリングを受けるとよいでしょう。オンライン診療のご案内
当クリニックでは、LINEドクターを使ったオンライン診療も受け付けております。時間がない・遠方にいる等、ご来院が難しい方はオンライン診療をご利用下さい。
※土日祝日も診療しています。
まとめ
性交痛とは、性交時に感じる痛みのことです。乾燥、ストレス・疲労などが主な原因ですが、膣炎・性感染症・子宮内膜症・子宮筋腫などの婦人科疾患で痛みが生じていることもあります。こういった病気が原因の時はちゃんと治療が必要です。
性交痛が痛くて性行為ができない、徐々に痛みが強くなっているなどの場合、放っておくと、病気が進行することがありますから、ためらわずに産婦人科を受診したほうがよいでしょう。
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白金高輪 海老根ウィメンズクリニック
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。