性交渉中に会陰部が切れるのはなぜ?予防法と治療法を女医が丁寧に解説!
更新日:2024.01.30
性交渉中に、膣口と肛門の間の皮膚が切れてしまうことを経験する女性は少なくありません。性交渉後に傷口がなかなか治らず、パートナーや周りの人にも相談できず、我慢してしまい、性交渉が苦痛になることもあります。
この記事では、性交渉中に会陰部が切れたときの症状、切れる原因、予防法、治療法について解説します。そして痛みや不安を伴わない、安心した性交渉を行えるようお役に立てればと思います。
性交渉中に会陰部が切れたときの症状
性交渉中に、膣口の後ろ側にある会陰の部分が切れてしまうことがあります。
性交渉中の男性器挿入時に、会陰にピリッと痛みが生じます。性交痛もある場合は、とても辛い状態でしょう。後で確認すると会陰が裂けているのです。血も出ているし、しばらくの間は尿がしみて、トイレが辛く、何日間か痛みが続く場合があります。
最初のうちは何ともなかったのに、突然切れてしまうことが多いようです。しばらくして治っても、1度切れた所がちょっとした刺激でまた切れてしまいます。気をつけていても切れるため、困ってしまいますね。
また切れるかもと思って力が入り、よけいに裂けやすくなることもあります。パートナーに相談できない場合や周りにも相談しにくいこともあるでしょう。こうなると性交渉が苦痛になってしまいますね。
性交渉中に会陰部が切れる原因
会陰は胎児の時に、左右が合わさってできた部分です。
そのため性交渉中に引き延ばされると離れやすくなっています。会陰はもともと切れやすい部分なわけですね。
さらに膣口が狭い、皮膚が弱い、膣炎・外陰炎がある場合は切れやすいのが特徴です。
ただし、日常のデリケートゾーンケアを行い、膣炎・外陰炎がある場合は治療すれば、切れにくくなります。 また性交渉を行っている最中に乾燥が進んでしまうのも会陰裂傷の原因の一つです。日常からの性交渉の回数が少なく、座っている時間が長いことによる血流障害がある場合、外陰部の皮膚が薄い方が多いです。
性交渉中に会陰部が切れる場合の予防法
次のような7つの予防法があります。
1. 毎日デリケートゾーンケア
2. 保湿剤を使用する
3. 水分補給も大切
4. リラックスする
5. 膣萎縮や感染症の治療
6. 性交渉のやり方を工夫する
1. 毎日のデリケートゾーンのケア
毎日のシャワーやお風呂の後のデリケートゾーンのケアが最も大切です。
裂傷の原因は乾燥が主なので、美容液や保湿ジェル、オイルなどをお顔のケアと同じように丁寧に行うことが大切です。弱い会陰に力がかからないように、膣の左右や前側を伸ばすようにマッサージするのもいいでしょう。自分の指などを挿入して、少しずつ伸ばしてください。弱くて切れやすい会陰は優しくマッサージして血流改善に努めましょう。
性交渉の回数が少ない女性は、毎日のケアと同じようにマスターベーションなどで挿入の練習をしたり、皮膚を柔らかくキープするように心がけてください。膣口を伸ばすとともに、自分の気持ちのよい場所を探り、感度も磨いておけば、さらに効果満点。
2. 保湿剤を使用する
滑りをよくするために、会陰部を中心に膣に塗っておくと、少量でも効果があります。多くの潤滑ゼリーや保湿剤が入手できるようになってきております。可能であれば、防腐剤の少ないもの、使用かんのいいもの、オーガニックのものをお勧めします。 さらにコンドームの表面にオイルやローションのついた「うるおいタイプ」に変えるのも一法です。パートナーに頼んでみてください。ラテックスアレルギーには注意が必要です。
3. 水分補給も大切
水分が不足すると汗をかかなくなるのと同じく、膣の分泌液が減ります。
喉が渇いているときは膣も乾いている状態です。ですから水をしっかり飲むと、膣が濡れやすくなります。毎日の十分な食事や飲水は大切です。
4. リラックスする
ストレスがかかり、リラックスすることができないと、皮膚が乾燥して性交渉時陰部がきれやすくなります。緊張は保湿効果が失われるため、リラックスする会話をしたり、音楽を聴いたり、お風呂に入って暖めたり、パートナーと楽しいコミュニケーションをとることが大切です。
5. 萎縮性膣炎の治療
長期に低容量ピルを内服している方、エストロゲンが低下している方の場合、会陰部の血流障害が生じて会陰裂傷となる可能性があります。ホルモン補充療法や膣レーザーなど有効な治療があるので、ぜひ、婦人科受診をお勧めいたします。外陰部にヘルペスなどの感染症の場合、治療により疼痛はかなり良くなります。
6. 性交渉のやり方を工夫する
個人差がありますが、会陰に負担のかかる体位があります。性行為中に痛みを感じる場合、パートナーと相談し、体位を工夫すると良いでしょう。
痛い場合にちゃんと伝えることが大切です。
性交渉中に会陰部が切れる場合の治療法
・もともと、皮膚の弱い方
・膣炎外陰炎がある方
・膣口が狭い方
・外陰部萎縮の方
もともと女性性器が小さい方、小陰唇が小さい方、会陰部が薄い方など、会陰部が切れやすい体質がある方が沢山いらっしゃいます。どの方もデイリーケアでかなり良くなる場合がありますが、どうしてもよくならない場合は、婦人科受診をお勧めします。
外用薬でよくならない場合、膣口がもともと小さい場合は、レーザー治療が有効である場合があります。保険適応にならない治療法ですが、かなり有効である方も多いです。 膣炎外陰炎がある方は、炎症の治療を行うことで、痛みかゆみが良くなります。
ご心配な方は、是非診察にいらしてください。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。