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デリケートゾーン

バルトリン腺嚢胞の原因・症状と効果的な治療法を女医が丁寧に解説。

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「デリケートゾーンが腫れている」「腫れが大きくなってきている」「腫れて痛い」

このような症状で受診された場合、「バルトリン腺」という部分のトラブルのことがあります。

それほど頻度は高くありませんが、熱が出たり、痛くて座れなかったり、腫れたバルトリン線 内の液体を針で抜いても繰り返してしまったりと、やっかいな疾患の1つです。

今回は、バルトリン腺に起こるトラブルについて、原因や対処法をご紹介したいと思います。

 

バルトリン腺の役割と起こりうる疾患

「バルトリン腺」という名前は、あまり聞きなじみがないかもしれません。
まずは、バルトリン腺の役割や、起こりうる疾患についてご紹介します。

バルトリン腺の役割

画像 バルトリン腺は、腟の左右・後ろ側(肛門側)にある小さな腺で、通常、見たり触ったりしても場所はわかりません。
性交渉時などに粘性の液体を分泌し、腟内や外陰部に潤いを与える役割があります。

バルトリン腺に生じる疾患と治療法

腟の入口周辺に腫れや痛みを感じた場合、バルトリン腺に関わる疾患かもしれません。
代表的な疾患を3つご紹介します。

1.バルトリン腺嚢胞

バルトリン腺には分泌液を出すための小さな穴があり、穴がなんらかの理由で閉じて分泌液が内側にたまり、袋状に腫れてしまった状態が「バルトリン腺嚢胞(のうほう)」です。

分泌液のみが溜まっている状態で、感染には至っておりません。小さければほとんど自覚症状はありませんが、デリケートゾーンの違和感や腫れを感じることもあります。さほど頻度の高い疾患ではありません。20歳代から50歳代までに生じることが多いです。

バルトリン腺嚢胞(のう胞)の治療

・痛みがなく、のう胞が小さい場合は、そのまま経過をみていきます。自然に軽快することが多いです。
・のう胞が大きく、違和感などで生活に支障が出る場合、痛みが生じる場合、発熱する場合には、のう胞に針を刺し、中の液体を抜きます。

2.バルトリン腺炎

バルトリン腺という分泌液の通り道に細菌が入り込んで炎症を起こした状態がバルトリン腺炎です。
炎症によって痛みや腫れを生じ、歩く・座るといった日常動作に支障をきたすことがあります。時には発熱します。

バルトリン腺炎の治療

・抗菌薬の外用薬塗布や内服で感染の治療をおこないます。

3.バルトリン腺膿瘍

バルトリン腺炎がさらに進行し、内部に膿が溜まった状態がバルトリン腺膿瘍(のうよう)です。

デリケートゾーンには日頃からたくさんの細菌が存在していますので、複数の菌による感染が起きていることもあります。 痛みや腫れ、ヒリヒリ感などを生じ、座ることもあることもできない状態になります。強い炎症の場合、発熱することがあります。

バルトリン腺膿瘍の治療

医療用レーザーで切開し、中の膿を取り除きます。
その後、のう胞内の消毒をおこないます。局所麻酔を使用しますので痛みも少なく、レーザーでの切開ですので、処置の時間も短く、縫合糸を用いないので感染のリスクを減らすこともでき、傷もきれいに治療可能です。

合わせて抗菌薬の内服をおこない、感染を治療します。

詳しくは下記をご覧ください。
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バルトリン腺嚢胞(のう胞)の原因とは?

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バルトリン腺嚢胞(のう胞)が起こる原因は、まだはっきりとわかっていないのが現状です。
炎症や機械的な衝撃(自転車やガードルなどの圧迫)によって引き起こされる可能があります。

バルトリン腺に炎症を起こす原因としては、大腸菌やブドウ球菌といったデリケートゾーンに存在する菌に感染したり、性感染症(淋菌感染症など)から波及したりすることが考えられます。細

菌感染に機械的衝撃を与えることにより、病態は悪化します。

 

バルトリン腺嚢胞(のう胞)と自覚症状の似た疾患とは?

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デリケートゾーンの腫れやできものを自覚されるような疾患としては、以下のようなものがあります。

・尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルスによって、イボのようなできものが重なり合ってできる疾患です。
できものの他に自覚症状はないことも多いですが、かゆみや痛み、おりものの増加を感じる場合もあります。水がたまった感じより、とげとげしたいぼ(疣贅)が特徴です。

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・性器ヘルペス

性器ヘルペスは、ヘルペスウイルスによって小さな水ぶくれがいくつもできる疾患です。
初発の場合は症状が辛いことが多く、水ぶくれによる強い痛みで排尿もできないというような場合もあります。再発の場合、あまり症状が強くなりません。 デリケートゾーンの違和感(チクチク・ヒリヒリ)や、足の付け根のしびれなどが前兆として知られています。小さな水ぶくれが多発することが多いです。

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・毛嚢炎(もうのうえん)

毛穴の中に細菌が入り込み、炎症を起こした状態です。デリケートゾーンにカミソリを当てることが原因の1つで、毛穴を中心に赤く腫れ、触ると少し痛むこともあります。 膿が溜まってしまうと、腫れが少し大きくなり、痛みも強くなります。

・外陰部腫瘍

バルトリン線のう胞の場合、のう胞に液体貯留があるのですが、実質成分により構成されているものは外陰部腫瘍の可能性があります。良性の腫瘍である場合が多いです。外科的処置で治療をおこないます。

・リンパのう胞

バルトリン線ではなく、リンパ液が溜まる疾患です。
のう胞のサイズは大きい場合が多く、切開だけでは完治しない場合があります。
いずれの場合でも、デリケートゾーンの状態を見せていただき、適切な治療をご案内いたします。

 

バルトリン腺のトラブルに関してよくあるご質問

バルトリン腺のトラブルに関して、よくあるご質問にお答えしました。

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Q1. バルトリン腺嚢胞(のう胞)の原因にストレスは関係ありますか?

バルトリン腺のう胞ができる原因は、現在のところはっきりしておりません。

バルトリン腺に感染を起こす場合は、ストレスも1つの原因になっている可能性はあるでしょう。過度なストレスは、体の免疫力を下げてしまいます。精神的なストレス、疲れ、寝不足などを避け、体を労わるようにしてください。

患部の刺激により症状は悪化しますので、なるべく圧迫しないようにしましょう。

Q2. バルトリン腺嚢胞(のう胞)をくり返す場合はどうしたらよいですか?

バルトリン腺のう胞をくり返す方は、分泌液が出てくる分泌腺が閉鎖していることが原因です。
再発率が低いことから、医療用レーザーで切開する処置(バルトリン腺開窓術)をおすすめしております。

外来で当日におこなうことができます。再発予防には、再度その穴がふさがらないように創部を解放した状態にしておくことが重要です。 バルトリン腺のう胞は、違和感や痛みなど不快な症状を伴うだけでなく、悪化するとバルトリン腺炎・バルトリン腺膿瘍となることもあります。

くり返す症状でお悩みであれば、ぜひご相談ください。

Q3. バルトリン腺を摘出する際のデメリットは?

バルトリン腺嚢胞(のう胞)やバルトリン腺膿瘍などを繰り返してしまう方は、摘出するのも1つの方法です。
ただし、手術には入院を要するので、入院施設のある病院に相談しましょう。
術後、分泌液が出なくなるため、性交渉時に潤滑剤などを使わなくては痛みが出てしまうというデメリットがあります。

Q4. バルトリン腺嚢胞(のう胞)を放置するとどうなる?

バルトリン腺嚢胞(のう胞)を放置していると、腫れが大きくなって違和感が強くなる、バルトリン腺炎やバルトリン腺膿瘍に進展するなどの可能性があります。卵ほどの大きさにまで腫れ上がることもあり、また、疼痛や発熱により生活に大きな支障が出ますので、大きくなるようであればお早めにご相談いただきたいです。

バルトリン腺嚢胞(のう胞)が大きくなって、自然に破裂してしまうと、破裂した箇所から細菌が入り込み、炎症を起こすことがあります。自分で判断することが難しい病態なので、婦人科医に相談することをおすすめします。

 

バルトリン腺の治療を受けた患者様の声

当クリニックでバルトリン腺膿瘍のレーザー治療を受けた患者様の声をまとめました。

バルトリン腺嚢胞レーザー治療後の患者様の声

院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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