不妊治療後や卵子凍結・卵子提供後の性交痛。その原因と対処法を解説。
更新日:2024.03.26
不妊治療後、卵子凍結後、卵子提供後の性交痛
不妊治療や卵子凍結・卵子提供後、性交時に痛みを感じることがあります。
この問題には、大量のホルモンが投与された後に急激にホルモンが低下するという共通の要因が関係しています。
患者さんの症例から見る性交時の痛み
先日、性交痛で膣レーザーをしたいという患者さんが来院しました。
パートナーは変わっていないのに、突然に性交痛が出現。原因は、全くわからず。
性病検査は異常なし、婦人科疾患もなし、メンタルも普通。
パートナーとの関係性は良好。
「ホルモンバランスは?」と聞くと。
「私、卵子提供したのです!」とのこと。
大量のホルモン治療した?の質問に「はい」と答えるかわいい患者さん。
こんなことがあるのですね。
実は長年の不妊治療、特に40代で体外受精後の性交痛は時々聞くのですが、20代の患者さんは初めて。
本当にこれだけが理由かはわからないのですが、問診で気になるところはこれだけ。
いろいろな性交痛があるのですね。
治療と自然治癒
性交時の痛みにはさまざまな要因があります。
治療の進行や個々の状況によって異なりますが、自然治癒を待つことも重要です。
このケースでは、どのように治っていくかはわからないのですが、自然経過を見ること。
希望があれば、膣レーザーをお勧めします。多分、数年の間には、元の状態に戻ると思いますが、性交渉なしの状態が長く続くのは厳しいかなあ。粘膜面のレーザー刺激である程度回復すると思います。
膣レーザー治療の可能性
性交痛や膣萎縮の場合、必要であれば、膣レーザー治療をお勧めいたします。
これは、粘膜面のレーザー刺激によって回復が促進され、痛みの軽減効果を期待できます。
膣のレーザー治療(モナリザタッチ)は、デリケートゾーンの様々な変化と不快症状を緩和するための膣内及び外陰部、尿道口周囲に対する炭酸ガスレーザー治療機器です。
【まとめ】ホルモン治療の難しさと性交痛
最近、ホルモン治療の難しさを実感しております。
患者さんの症状や経過を丁寧に観察し、適切なサポートを提供することで、QOL向上に少しでも貧献できたらと考えます。
また、性交時の痛みは、患者さんにとって心身のストレスを引き起こすことも。
そのため、早期に適切な治療法を見つけることが重要です。しかし、完全な回復までには時間がかかる場合もあります。患者さんとのコミュニケーションを重視し、痛みや不快感に対するサポートをさせていただきます。少しでも不安や心配がある方はご相談にいらしてください。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。