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性交中の圧迫感・違和感… 「骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱脱・直腸脱)かもしれません!」症状・原因・治療法を婦人科女医が解説!

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性交時に

「膣の奥に何かある感じがする」
「押し返されるようでうまく挿入できない」

 そんな違和感を覚えたことはありませんか?

 

それは「骨盤臓器脱」という女性に多い病気の初期サインかもしれません。

骨盤臓器脱は、子宮・膀胱・直腸など普段は骨盤の中に納まっている臓器が膣を通して下がってくる状態で、出産や加齢、日々の生活習慣などが原因で生じます。

脱出する臓器がひどくなると、排尿できない・排便しにくいといったトラブルや性行為の支障など、生活に大きく影響してしまうこともあります。

この記事では、性交時の違和感からはじまる骨盤臓器脱の【症状・セルフチェック・進行度・治療法】までを、婦人科専門医がやさしく丁寧に解説します。

「年齢のせいかな」

「恥ずかしくて聞けない

と我慢せず、
まずは正しい知識を知ることからはじめましょう。

 

目次

性交中に違和感それって骨盤臓器脱?

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「性交のとき、膣の奥に何かがあるような感じがする」

「圧迫感や違和感があって、うまく挿入できない」

——こうした不安を抱えて婦人科を受診される方が近年増えています。

性交中の違和感は、単なる気のせいや年齢のせいではなく、「骨盤臓器脱」という病態の初期サインである可能性があります。

骨盤臓器脱とは、骨盤の内側にある子宮・膀胱・直腸などの臓器を支える筋肉(骨盤底筋)がゆるみ、臓器が腟のほうへ下がってくる病態です。

この「臓器が下がってくる」という状態が、性交中に圧迫感や突っかかるような違和感として現れることがあります。

 性交時の違和感はあくまで“きっかけ”にすぎませんが、小さな違和感を通じて、体の変化に気づく貴重なサインになることもあります。

膣から何か出てくるような感覚、圧迫感、傷つくような感じ

性交中に以下のような症状を感じる方は、軽度の骨盤臓器脱を発症している可能性があります。

  • 膣の奥に何か「押し戻される」ような感覚がある
  • 膣から何かが飛び出しているような違和感
  • 挿入時に引っかかる、奥まで届かない
  • 性交後に出血がある
  • 強く動かれると痛みを感じる
  • 感じにくくなった、以前より性交時の満足感が減った
  • 膣の内側になにか触れるものがある

 
これらの感覚は、子宮や膀胱や直腸の一部が腟内に下がってきていることが影響している可能性があります。

性交ができている場合、重度の可能性は低いことも

骨盤臓器脱がある程度進行してくると、性交時に痛みや圧迫感を強く感じるようになり、性交自体を避ける方も多くなります。

一方で、性交が問題なく行えている場合は、比較的軽度の段階にとどまっている可能性が高いです。重度の場合は子宮や膀胱や直腸が膣の内側から外側に飛びだした状態になります。

ただし、自覚症状の程度は人それぞれ異なるため、気になる違和感がある場合は早めの受診をおすすめします。

 実際、骨盤臓器脱が進行しステージIII以上になると…
  • 臓器が腟の外に出てきてしまう
  • 挿入が困難になる
  • 膣の粘膜が傷つきやすくなる


といった問題が起こり、性交そのものを避けるようになる方が多くなります。

つまり、性交時に違和感を覚えるということは、「まだ軽度の段階で気づけたチャンス」ともいえるのです。

早期発見・早期対処が大切

性交中の違和感は、恥ずかしいことではありません。

放置せずに受診することで、骨盤底筋のトレーニングや保存療法など、手術をせずに改善できる方法が選べる可能性が高まります。

「なんとなく違和感がある」そんな段階で相談することが、QOL(生活の質)を保つためにも非常に大切です。

 

骨盤臓器脱とは?女性に起こる臓器の下がり

「骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)」は、女性に特有の病態で、骨盤の中にある臓器(子宮・膀胱・直腸など)が、加齢や出産などの影響によって膣の方向へ下がってくる状態を指します。

 骨盤内の臓器を支える「骨盤底筋」がゆるむと起こる

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骨盤の中には、以下のような臓器が収まっています。

  • 子宮
  • 膀胱
  • 直腸

 
これらの臓器は、本来「骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)」や靭帯といった支持組織によってしっかりと支えられています。

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しかし、以下のような要因で支えがゆるんでしまうと、臓器の重みを支えきれなくなり、腟の中、さらには腟口(出口)から外側へと飛び出してくることがあります。

  • 出産による筋肉や靭帯の損傷
  • 加齢による筋力の低下
  • 慢性的な腹圧(便秘・咳・重い物を持つ習慣など)やかがむ体勢が長い方

 
この状態が「骨盤臓器脱」と呼ばれます。

よくある3つのタイプ|子宮脱・膀胱脱・直腸瘤

骨盤臓器脱には、下がってくる臓器によって次の3つのタイプがあります。

1】子宮脱(しきゅうだつ)

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子宮が腟の中へと下がり、一部または全部が腟の出口から外に出てくる状態。股に異物があるような感覚を訴える方もいます

2】膀胱脱(ぼうこうだつ)

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腟の前側から膀胱が下がってくる状態。
「頻尿」「残尿感」「尿漏れ」などの排尿トラブルが現れやすくなります。

3】直腸瘤(ちょくちょうりゅう)

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腟の後ろ側から直腸が膨らんできた状態。
「便秘」「便がすっきり出ない」「いきんでも出づらい」といった排便トラブルにつながります。

一つだけでなく、複数同時に起こることも

骨盤臓器脱は、1つの臓器だけが脱出するのではなく、複数の臓器が同時に下がってくるケースもよく見られます。

たとえば、「子宮脱+膀胱脱」や「子宮脱+直腸瘤」などが同時に起こると、それぞれの症状が複雑に絡み合い、日常生活の質に大きな影響を及ぼすことがあります。

 初期の段階では気づかないことも

骨盤臓器脱は、ゆっくりと進行していく病態です。

初期のうちは自覚症状が乏しく、「なんとなく違和感がある」程度ですが、進行するにつれて日常生活や性交、排尿・排便にも影響が出るようになります。

早期に気づくことで、手術をせずに対処できる可能性が高くなるため、小さな違和感を見逃さないことが大切です。

 

あなたは大丈夫?セルフチェックで見る主な症状

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骨盤臓器脱は、初期段階でも「なんとなく変だな」と感じることがある一方で、気づかずに放置されやすい病気でもあります。

「膣から何かが出てくるような感覚」「股に異物感がある」など、明らかな症状が出るのは進行してからのことが多く、早い段階で気づくには小さなサインを見逃さないことが大切です。

こんな症状があれば骨盤臓器脱のサインかも?セルフチェックリスト

以下のような症状に思い当たることはありませんか?

該当する項目が多いほど、骨盤臓器脱の可能性が高まります。

  • 力を入れると、膣の出口から何かが出てくるような感じがある
  • 股の間に「何かが挟まっているような違和感」を感じる
  • 入浴時、陰部から丸い玉のようなものが出ているのを感じた
  • 座ったときに陰部に圧迫感がある
  • 下着と陰部が擦れる/下着に血がつく
  • 性交時に違和感・痛み・圧迫感がある
  • 頻尿・尿漏れ・残尿感がある
  • 便がすっきり出ず、便が出にくい・残便感がある
  • 下腹部が重たい/鈍い痛みがある
  • 長時間の立ち仕事や歩行後に、陰部に張ったような不快感がある

項目のみの軽い違和感であっても、骨盤底筋のゆるみが始まっているサインかもしれません。気になる症状がある場合は、婦人科での相談をおすすめします。

写真やイラストで見る骨盤臓器脱の進行段階

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多くの女性が「実際にどのように見えるのか知りたい」と感じています。当院では、医療監修のもと、骨盤臓器脱のステージを図やイラストでわかりやすく解説しています。

 たとえば、ステージIIになると、膣口から1cm以内に臓器が触れる程度に下がってくる状態になります。ステージIIIIVでは、臓器の一部が外に露出してしまうことも。

※ステージについては後述いたします

「違和感=初期段階で気づけたサイン」と前向きに捉えて

症状の重さや感じ方には個人差があり、「恥ずかしくて相談しづらい」と感じる方も多くおられます。

しかし、早期に気づくことで、手術を避けて改善できるケースも少なくありません。

「なんとなく膣のあたりに違和感がある」
「性交時に押し返されるような感覚があった」

そんな小さな変化が、骨盤臓器脱に気づく第一歩になります。

 

骨盤臓器脱のステージ分類と進行度

骨盤臓器脱は、一度に急激に進行する病気ではなく、少しずつ、段階的に進行していく病態です。

その進行度を医学的に判断するために、臓器の「下がり具合」によって分類されるステージ(重症度)があります。

骨盤臓器脱の進行度は、5段階に分類されます

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以下の分類は、実際の診察時にも使われる指標で、腟の入り口を基準に臓器の下がり具合を評価します。

ステージ 0

臓器がまったく下がっていない正常な状態です。

ステージ I

下がっている臓器が、腟の入り口より1cm以上内側にある状態。
この段階では多くの方が無症状で、違和感を感じないことがほとんどです。

ステージ II

臓器が、腟の入り口から内側1cm〜外側1cmの範囲まで下がってきた状態。
日常生活で軽い違和感や性交時の圧迫感などを感じる人もいます。

ステージ III

臓器が、腟の出口から1cm以上外に出ている状態。ただし、腟の長さから見て2cm以内に収まっている状態です
外陰部に明確な「何かが出てきている」感覚があり、排尿・排便障害も出やすくなります。

ステージ IV

臓器が完全に腟の外に出てしまっている状態です。
歩行や日常生活にも支障をきたすレベルで、手術が検討されるケースが多くなります。

 ステージIIから自覚症状が現れやすくなる

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医療の現場では、ステージII以上で症状ありと判断されることが一般的です。

  • 腟に何か触れる感じがある
  • 性交中に押し返されるような圧迫感
  • 下着に擦れる・出血する

 
といった症状がこの段階で現れ始め、患者さん自身が「何かおかしい」と気づくようになります。

 「性交できるかどうか」は1つの目安になる

臨床現場の見解として、骨盤臓器脱が重症化していれば、性交が困難になることが多いという特徴があります。骨盤内臓器が膣の外に脱出している場合は、膣の内腔が保てないため、性交渉のための膣内空間がありません。

性交が問題なく行えている場合は、ステージIII比較的軽度な段階にとどまっている可能性があり、この段階で対応すれば、骨盤底筋のトレーニングや保存療法で改善できることも多くあります。

 進行を防ぐには「今」のケアが大切

骨盤臓器脱は、年齢とともに少しずつ進行する可能性がありますが、早期に気づいて対策することで進行を食い止めることも可能です。

  • 排尿トラブルが増えてきた
  • 性交時に違和感がある
  • 下腹部が重く感じるようになった

 
といった変化があれば、まずは婦人科で相談してみましょう。

 

原因となりやすい生活習慣・リスク因子

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骨盤臓器脱は、誰にでも起こり得る病態ですが、特定のライフスタイルや身体状況がきっかけとなってリスクが高まることがわかっています。
とくに「妊娠・出産」「加齢」「腹圧がかかる生活習慣」などは、骨盤底筋に負荷をかける大きな要因です。

 代表的なリスク因子

以下のような特徴に心当たりがある方は、骨盤臓器脱のリスクが比較的高いと考えられます。

 1.出産歴(とくに経腟分娩)

  • 出産により骨盤底筋や靭帯が大きく引き伸ばされ、筋肉がゆるむ・損傷することがあります。
  • 特に、多産(2人以上の出産)や、赤ちゃんが大きかった(巨大児)場合、ダメージが大きくなりやすいです。

2.加齢・閉経

  • 加齢により筋肉のハリが低下し、骨盤底筋も自然とゆるんでいきます
  • また、閉経に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、腟や骨盤周辺の組織が薄くなり、臓器を支える力も弱くなります。

3.肥満

  • 体重が重いと、その分常に骨盤底筋に強い負荷(内臓の重み)がかかっている状態になります。

4.慢性的な腹圧

次のような習慣は、骨盤底に過度な腹圧をかけてしまいます。

  • 慢性的な便秘(強くいきむ)
  • 長時間の立ち仕事・重い物を持つ仕事
  • 喘息やアレルギー性鼻炎による慢性的な咳
  • ハードなスポーツ(バーベル系やトランポリンなど)

 5.喫煙

  • 咳を引き起こすだけでなく、筋肉の血流を悪くし、弱体化につながる可能性があります。

 6.かがんでいる体勢が多い

ガーデニングや草むしりのようなかがむ体勢は、臓器脱になりやすいです。

 セックスの有無は、膣圧の状態を確認するヒントになることも。性交が定期的に行われていること自体が骨盤臓器脱の予防になるかも

ただし、膣の締まり具合や圧迫感の有無は、骨盤底筋のゆるみを判断する目安になることがあります

 「性交で圧迫感を感じる」
「膣が締まりにくい」
「痛みがある」

といった症状は、骨盤底筋のゆるみや骨盤臓器脱の初期兆候である可能性も。

 性交は病気の原因ではなく、変化に気づくサインきっかけとして役立つこともあります

 予防のためにできることもある

リスク因子のすべてを避けることはできませんが、次のような習慣の見直しは、骨盤底筋の健康維持に有効です。

  • 適切な体重管理
  • 便秘の予防(バランスのよい食事と水分補給)
  • 重いものを無理に持たない
  • 喫煙を控える
  • 適度な骨盤底筋トレーニング
  • 適度な頻度での性交渉


日々の習慣を見直すことが、将来的な症状予防や進行抑制につながります。

 

骨盤臓器脱は放置してもいいの?進行とQOL低下

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骨盤臓器脱は軽症の場合、命に関わる病気ではありません。
しかし、「だからこそ」軽視されがちで、放置してしまうことで生活の質(QOL)が大きく損なわれるケースが多く見られます。

 進行すると「違和感」だけでは済まなくなる

初期のうちは「少し圧迫感がある」「膣の中に何か触れる」程度だった違和感が、進行とともに次のような症状へと変化していきます。

  • 腟から何かが出ているように感じ、歩行がしづらくなる
  • 立ち仕事や外出が億劫になる
  • 陰部と下着がこすれ、出血や痛みが生じる
  • 尿や便が出づらくなる(排泄時に指で臓器を膣内に押し戻さないと出ないことも)
  • 性交が困難になり、痛みや出血があるために避けるようになる

 
このように、身体的な不調だけでなく、心理的ストレスや性生活への影響も非常に大きくなっていきます。

性生活への影響はパートナー関係にも波及する

骨盤臓器脱が進行すると、性行為に不安や痛みを感じるようになるため、セックスレスやパートナーとの関係性にも影響を及ぼすことがあります。

また、ペッサリー(リング)治療中であれば、「性行為時にどうしたらよいか?」という具体的な悩みも出てきます。

こうした「身体の変化と向き合う悩み」を1人で抱える女性は多く、QOL(生活の質)の低下は、日常生活だけでなく人間関係にも波及していきます。

早期発見・早期対応で大きな差が出る

骨盤臓器脱は、軽度であれば保存的な治療やトレーニングで改善が可能です。

進行すればするほど、手術や長期的な管理が必要になる可能性が高まります。

「なんとなく変かも」
「でも、年齢のせいかも」

と見過ごしてしまうことで、
自分の身体と向き合うタイミングを逃してしまうことも少なくありません。

違和感に気づいたこのタイミングでケアを始めることが、将来的な不安を防ぐ大きな一歩になります。放置せず、まずは専門医に相談することで、無理なく快適な生活を取り戻す道が見えてきます。

 

検査と診断|婦人科でどんな診察をするの?

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「もしかして骨盤臓器脱かも

と思っても、

「何科を受診すればいいの?」
「どんな検査をされるの?」

と不安に感じて、

受診をためらう方も少なくありません。

 ここでは、婦人科での診察の流れや検査内容について具体的にご紹介します。

 まずは「婦人科」への受診を

骨盤臓器脱が疑われる場合、最初に受診すべきは婦人科です。
泌尿器科や内科でも相談できることはありますが、腟の状態や臓器の位置を直接診察できるのは婦人科です。

 診察の流れ

1.問診

まずは現在の症状について、医師が詳しくお伺いします。

たとえば、

  • どんなタイミングで違和感を感じるか(排尿時・性交時・立ち仕事後・かがみ姿勢など)
  • 出産経験・分娩回数・閉経の有無
  • 手術歴・持病・服薬中の薬など


症状の程度だけでなく、生活背景まで把握することで、適切な治療方針の選択につながります。

 2.内診

腟の中の状態を視診・触診により丁寧に確認しどの臓器がどの程度下がっているかを診断します。

  • クスコという腟鏡(腟を開いて内部を観察する器具)を挿入し、腟壁を開いて視認します
  • 力を入れてもらうことで、臓器の下がり方(下垂の程度)を確認します
  • 必要に応じて膣内に指を入れて圧をチェックすることもあります

 
圧迫感を覚えることもありますが、短時間で終わりますのでご安心ください

3.補助検査(必要な場合)

状況によっては、以下のような検査も行われます。

  • 超音波検査(エコー)
    腟内から子宮や膀胱の位置を確認

  • 尿検査・残尿測定
    排尿トラブルの評価

  • MRI検査
    臓器の位置関係や支えの状態を詳細に確認(手術適応を判断する場合)

  • 排尿日誌の記録
    1日ごとの尿回数や漏れの有無を記録することもあります

 恥ずかしさ・不安を感じる必要はありません

多くの女性が「診察が恥ずかしい」「相談しにくい」と感じています。

当院では、女性医師が丁寧に対応いたしますので、リラックスしてご来院いただけます。

早期診断は、進行を防ぎ、日常生活の不快感を減らすことに直結します。気になる症状があれば、「診てもらうだけ」でも構いません。

まずはお気軽にご相談ください。

 

治療法|軽度ならトレーニング、重度なら手術も選択肢

骨盤臓器脱の治療は、進行度(ステージ)や患者さんの症状・ライフスタイルに応じて段階的に選択されます。

「軽度だから何もしなくてよい」わけではなく、適切な治療を受けることで進行を食い止めたり、不快な症状を改善したりすることが可能です。

1.骨盤底筋トレーニング(自宅 or 医療サポート)

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ごく軽度の骨盤臓器脱であれば、ご自宅での骨盤底筋トレーニングや体操から始めてみてもよいでしょう。当院でも、骨盤底筋のトレーニング方法や体操を指導しております。

ただし、継続的におこなわなければならないこと、即効性はないこと、正しいフォームでおこなわなければ上手く効果が出ないことに注意が必要です。ほかの治療法を選ぶ方も、トレーニングを併用してください。

自宅でできる「骨盤底筋体操(ケーゲル体操)」

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  • お尻・肛門・膣まわりの筋肉を意識的に締める運動
  • 1日数回、定期的に続けることがポイント
  • 姿勢・呼吸法を誤ると効果が出にくいため、医師の指導や指導動画を活用するのが望ましい

2.医療機器を使ったトレーニング(エムセラ・エリトーン)

自力でのトレーニングが難しい場合や、短期間での改善を目指したい方には、次のような医療機器を活用したアプローチも有効です。

・エムセラ(EMSELLA

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高密度焦点式電磁波により、骨盤底筋群を効率的に鍛える機器です。 椅子のような形の機器に、128分間の治療では約17,000回の筋収縮が得られます。骨盤底筋体操(通常のケーゲル体操など)で達成できない筋収縮の強度および回数により、骨盤底筋を効率的に鍛えることができます

  • 服を着たまま座るだけでOK
  • 30分の治療で、高い筋力トレーニング効果
  • 尿漏れや膣のゆるみにも効果的
  • 痛みやダウンタイムなし

 
骨盤底筋体操が難しい方や高齢の方にも大変おすすめです。

尿漏れの程度によりますが、週に2回、合計68回の治療を行い、80%の方に尿漏れが40%以下に減少したとの報告もあり、当院でも推奨しています。

・ホームケア/エリトーン

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ご自宅で骨盤底筋トレーニングを継続できるFDA (アメリカ食品医薬品局)承認機器です。

非侵襲的・安全性が高く、日常生活に取り入れやすいのが特徴です。

  • 忙しい方にも続けやすい
  • 刺激がやさしく、産後ケアにも適している
  • モナリザタッチなどと組み合わせたケアも可能

 
専用パッドをデリケートゾーンに貼ることで、やさしい電気刺激を送り、日常生活の中で骨盤底筋を鍛えることができる治療器です。使用は簡単で、120分と日常生活に支障をきたすことなく取り入れられるため、忙しい生活を送る女性にもぴったりです。

モナリザタッチと組み合わせた治療もおすすめです。

3.ペッサリー(リング)療法

リングのような形状をした器具で、腟の中に挿入して子宮を支えるためのものです。子宮脱、膀胱脱の方に用います。

定期的な通院が難しい方や、ご年齢・体力面から慎重な判断が必要な方には、他の選択肢を検討いただく場合もあります。

自分で着脱ができますので、外出時や長時間の立ち仕事のときなどには装着し、性行為の前には外すなど、ご自身のライフスタイルに合わせて使用できます。

デメリットも!

きちんとケアできなかった場合や、サイズがあっていない場合などには、炎症・感染を起こしたり、おりものの変化が出たりする可能性があります。

  • 自分で着脱できる場合もある
  • 外出時や長時間の立ち仕事で使用し、性行為時は外すなど、生活に合わせて調整可能
  • 炎症やおりものの変化など、副作用に注意しながら定期的に交換が必要

4.手術療法|重度で症状が強い場合の選択肢

ステージIIIIVで症状が重く、保存療法で改善が見込めない場合は、手術も有効な選択肢となります。術式には以下のようなものがあります。

  • 子宮摘出術(必要に応じて)、膣壁形成術
  • 子宮を残す腹腔鏡下仙骨膣固定術
  • 腟閉鎖術(合併症があり、長時間の手術が不可能な場合に限る)

手術の注意点

  • 膣閉鎖術の場合、がん検診が受けづらくなる/膣形成術後に性交時に痛みが出る可能性があります
  • 排尿機能障害や再発リスクがあるため、医師との丁寧な相談が不可欠です

 

骨盤臓器脱のよくある質問

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Q1:性交時に「膣から何か出てくる」感じがします。これって病気ですか?

A:はい、骨盤臓器脱の初期症状の可能性があります。
性交中に膣の中に圧迫感や異物感を感じる場合、子宮や膀胱が腟の中に下がってきている状態かもしれません。
性交ができているということは、進行度としては軽度である可能性も高く、早期に対応すれば保存的な治療で改善することも期待できます。

Q2:ペッサリー(リング)を入れたまま性行為はできますか?

A:基本的には性行為の前に取り外すことを推奨します。
ペッサリーは膣内に装着する器具のため、挿入時の違和感や粘膜の傷つき・出血の原因になることがあります。
ご自身での着脱が難しい場合や、治療方針に応じて医師と相談しながら使用方法を決めることが重要です。

Q3:骨盤臓器脱になったら、もう性交はできないのですか?

A:いいえ、骨盤臓器脱でも症状や段階によって性交は可能です。
ただし、進行している場合は性交時の痛み・圧迫感・出血が出ることがあります。
医師と相談のうえ、骨盤底筋トレーニングや適切な治療を受けることで、症状が軽減し性生活を継続できるケースも多くあります。

Q4:自分が骨盤臓器脱かどうか、どうやって見分ければいいですか?

A:違和感や症状のセルフチェックに加え、婦人科での内診で診断が可能です。
腟から何か出てくるような感覚、股に何かが挟まっているような違和感がある場合は要注意です。
自己判断が難しい症状ですので、恥ずかしがらずに婦人科で相談することをおすすめします。

Q5:若い女性でも骨盤臓器脱になることはありますか?

A:はい、20代〜30代でも発症することがあります。
特に出産直後や、筋力が低下している方、便秘・重い物を持つ習慣がある方は要注意です。
若いうちに発見できれば、トレーニングや生活習慣の見直しで手術をせずに改善できる可能性が高くなります。

Q6:骨盤臓器脱を放置するとどうなりますか?

A:進行して臓器が完全に腟外に出ることがあり、生活に大きな支障をきたすようになります。

  • 排尿や排便が困難になる
  • 性交が難しくなる
  • 臓器が擦れて炎症や出血を起こす


早期であれば保存的治療が可能ですので、違和感があるうちに受診することで、保存療法での改善が期待できます。

 

当院での治療とサポート体制

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白金高輪海老根ウィメンズクリニックでは、骨盤臓器脱を含む女性のデリケートなお悩みに、専門的かつ丁寧に対応しています。

婦人科の診療経験豊富な女性医師が、問診から治療まで一貫して行い、患者さまの不安に寄り添いながら最適な治療法をご提案します。

女性医師による診療だから安心して相談できる

「こんな症状、誰にも相談できない
「診察されるのが恥ずかしい

そんなふうに感じて受診をためらってしまう方も多くいらっしゃいます。

当院では、すべての診療を女性医師が担当し、同性だからこそ共感できる目線で、患者さまの不安を受け止めています。診察中も常にプライバシーに配慮し、安心してお話いただける環境を整えています。

患者さまに合わせた多様な治療選択肢をご用意

骨盤臓器脱の進行度や生活スタイル、将来の希望(妊娠・性生活など)に応じて、以下のような治療プランを組み立てています。

 1.骨盤底筋トレーニング指導

セルフケアがしやすいように、わかりやすく実践的な指導を行っています。フォームや力の入れ方も個別にアドバイス可能です。

2.エムセラ・エリトーンなどの先進機器治療

時間が取れない方、自宅でのトレーニングが難しい方にも最適な治療プランを提供しています。
治療中も服を着たままでOK。痛みもなく、気軽に始められます。

3.ペッサリー療法

ご年齢や体調に応じて、日常生活に支障をきたさない範囲でリングの活用方法をアドバイスしています。使用中の性行為についても丁寧にご説明します。

4.手術が必要な場合は、連携する医療機関をご紹介

高度な手術が必要な際は、信頼できる連携先病院をご紹介し、スムーズな紹介状の発行・情報共有を行います。

当院オリジナル施術

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骨盤底筋由来の排尿トラブル・臓器脱に包括的にアプローチできる当院オリジナルの「尿漏れ集中セット」をご用意しております。

エムセラ・モナリザタッチ・レーザー治療を組み合わせて、骨盤臓器脱・排尿トラブルに対応した総合治療です。
  • 骨盤底筋を内側と外側から強化
  • 自宅トレーニングで改善しない方
  • 手術に頼らず改善を目指したい方に
  • 忙しい方・更年期の女性にも好評

【当院の尿漏れプログラム】

症状の程度や原因に応じて、下記のような段階的な治療をご提案しています。

STEP 01|軽い尿漏れの方

エムセラ 6回(有効期限2か月) 330,000円(税込)

STEP 02|腹圧時の尿漏れの方

モナリザタッチ 2回+レーザー尿漏れ(オプション)2回+エムセラ6 385,000円(税込)

STEP 03|日常での尿漏れの方

モナリザタッチ3回+レーザー尿漏れ(オプション)3回+エムセラ8 440,000円(税込)

※いずれもエムセラは週2回の施術が望ましい
※初診料・再診料・表面麻酔など別途費用あり

 排尿トラブルや軽度〜中等度の臓器脱が気になる方に、総合的なケアプログラムとしてご提案できます。

 

まとめ|性交時の違和感から気づく「骨盤臓器脱」、見逃さずに早めの相談を

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性交時に

「膣から何かが出てくる感じがする」

「奥に何かが詰まっているような違和感がある」

そんなちょっとした変化が、実は骨盤臓器脱の初期サインかもしれません。

骨盤臓器脱は、出産や加齢、生活習慣などによって誰にでも起こり得る女性特有の病態です。

誰にでも起こり得る自然な変化の一つです。

軽度であれば生活の工夫やトレーニングで改善が期待できることも多くあります。

「年齢のせいかも」

「恥ずかしいから様子を見よう」

そんなふうに我慢して放置してしまうと、やがて排尿・排便のトラブルや性生活への影響、日常動作の不快感など、生活の質(QOL)を大きく損なう結果につながりかねません。

 当院では、こうした女性のセンシティブなお悩みに女性医師が丁寧に対応し、症状やライフスタイルに合わせて無理のない治療方法をご提案しています。

「これって病気?」
「相談してもいいのかな

と思ったときが、ご自身の身体と向き合う第一歩です。

性交時の違和感や、腟のまわりの変化に気づいたときには、どうか一人で抱え込まずにご相談ください。当院では、あなたの気づきに医学的にも、そして心の面でも丁寧に寄り添います。

オンライン診療もご利用ください!

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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オンライン診療

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オンライン診療は、体調が悪く外出が辛い時や感染症リスクを減らしたい時、ご自宅から医師の診療を受けることができます。移動時間や待合室での待ち時間を削減できます。

※医師からの指示により、通院が必要となる場合があります。

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