乳がん子宮がん治療後や乳房再建術後の膣の違和感(膣萎縮)。硬く切れやすくなった膣口の対処法を解説。
更新日:2024.04.21
乳がん子宮がん治療後や乳房再建術後の膣の違和感
膣の違和感。
抗エストロゲン療法による乳がん治療・子宮がん治療後の方は、このような状況になりやすいです。
外陰部の違和感から、掻きすぎてしまったり、擦ってしまったりすることで、外表面の組織が硬くなり、時には切れてしまった患者さんにお会いします。
同様に、乳房再建術後の方も膣の違和感で来院されます。
白っぽくなってほぼ血流がなくなってしまった膣/皮膚は、とても違和感を感じるようです。
膣の違和感の原因
どうしてこのような病態になるのかといえば、女性ホルモンの加齢性変化もありますが、抗エストロゲン療法による女性ホルモン(エストロゲン分泌)の減少が主な原因です。
女性ホルモンは、月経を作り出すだけでなく、体中のさまざまな細胞に作用しております。
とくにエストロゲンは、水分を細胞内に蓄え、さらにコラーゲンの合成を促す作用があり、弾力性のある皮膚を健康的に保つために重要です。腟に対しても、粘膜の潤いを保ったり、自浄作用を保持する乳酸菌がすみやすい環境を作ったりといった役割を果たしています。
主な症状
女性ホルモンの分泌量低下の影響で、膣萎縮が生じる女性は少なくありません。主な症状は下記になります。
性交痛、不正出血、腟や外陰部の乾燥やひりひり感、デリケートゾーンの違和感やかゆみ、おりものの増加、おりもののニオイの変化
頻尿、膣炎、性交痛の原因にも
この膣外性器委縮が頻尿の原因となったり、排泄物が接触しやすい場所であることから免疫力の低下により膣炎を繰り返すと生活しにくい状況になります。また、性交痛の原因として、膣や外陰部がしぼんでしまったり、分泌物が減少することで痛みが生じたりすることもあります。
モナリザタッチで治療
当クリニックでは、女性ホルモンを使用しないモナリザタッチ(腟レーザー)をおすすめしております。
お顔のリフトアップなどに使われている技術を、女性器の治療に応用した機械です。
局所的に治療を行うので、比較的安全に治療が行えます。レーザーの刺激により、デリケートゾーンの血流を改善し、腟粘膜のコラーゲン生成と腟粘膜上皮の生成を促します。このことにより、腟の状態が改善し、性交痛の緩和にもつながります。2〜3回の施術で効果を実感される方が多いです。綺麗なピンクの組織に置き換わる経験をしております。
チェックポイント
このような違和感で「夜も眠れない」と仰っていた患者さんから、お褒めの言葉を頂いております。
お悩みの方、是非ご相談くださいませ。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。