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デリケートゾーン

性交後に膣炎・膀胱炎を繰り返すのはなぜ?今日からできる5つの対策と治療法を女医が解説!

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繰り返す悩み、もう「運が悪い」で片付けない!

 

「新しいパートナーができた途端に、また…」

「コンドームを使っているのに、どうして私だけ?」

 

性交のたびに繰り返す、膣炎のムズムズとしたかゆみや、膀胱炎のツンとした排尿痛。

自分を責めたり、「運が悪い」と諦めたりしていませんか?

 その悩み、決してあなただけのせいでも、運のせいでもありません。

実は、繰り返す症状には明確な理由があり、正しい知識とケアで予防・改善することができます。

 

 この記事では、産婦人科専門医が、なぜ症状が繰り返すのかという根本原因から、今日からすぐに実践できる具体的なセルフケア、パートナーとの向き合い方、そして専門的な治療法まで、あなたのあらゆる疑問に答えます。

 

目次

 なぜ?膣炎と膀胱炎がセットで起こりやすい理由

そもそも、なぜ膣のトラブルとトイレのトラブルは一緒に起こりやすいのでしょうか。

それは、女性の体の構造に秘密があります。

▼女性器【断面】について

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▼女性器【正面】について

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図のように、女性の体は、「膣」「尿道口」「肛門」が非常に近い位置にあります。

そのため、性交渉によって肛門周辺にいる大腸菌や腸内細菌などの細菌が膣や尿道口に移動しやすく、そこから体内に侵入することで、膣炎や膀胱炎を引き起こしてしまうのです。

これが、性交後に症状が出やすい大きな理由の一つです。

 

本当の原因は「膣のディフェンス力」の低下にあった

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しかし、同じように性交をしても、症状が出る人と全く出ない人がいます。

この違いこそが、今回の最も重要なポイント、「膣のディフェンス力(防御力)」です。

膣の中は、体を守る「善玉菌」とトラブルを起こす「悪玉菌」などが暮らす「膣内フローラ」という生態系になっています。

 健康な膣(ディフェンス力が高い状態)

善玉菌の代表である「ラクトバチルス菌」が豊富に存在します。この菌は膣内を酸性に保ち、まるでガードマンのように外部からの悪玉菌の侵入や増殖を防いでくれます。

 不健康な膣(ディフェンス力が低い状態)

ストレス、睡眠不足、疲労などで体の免疫力が落ちると、このラクトバチルス菌が減少。ガードマンが手薄になった膣内では、性交時に持ち込まれた細菌が簡単に繁殖し、膣炎や膀胱炎を引き起こしてしまうのです。

つまり、症状を繰り返すのは、あなたの「膣内フローラのバランス」と「体の免疫力」が低下しているサインなのです。

 

【専門医が教える】今日からできる!膣と膀胱を守るための5つの新常識

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ディフェンス力を高め、つらい症状を繰り返さないために、今日から実践できる具体的なセルフケアをご紹介します。

 1.性交前後の正しいケア

性交時の細菌の侵入を最小限に抑えるための基本です。

▼性交前

できればシャワーを浴び、デリケートゾーンを清潔にしましょう。

▼性交後

症状を繰り返す方は、15分以内に排尿することを心がけてください。
尿で尿道口付近の細菌を洗い流す効果が期待できます。これが「ゴールデンタイム」です。

▼ウォシュレット

使いすぎは禁物です。
特にビデ機能で膣内まで洗うのは、善玉菌まで洗い流してしまうため絶対にやめましょう。
外陰部を優しく洗浄する程度に留めてください。

 2.デリケートゾーンの「洗いすぎない」洗浄

清潔にしたいあまり、洗いすぎると逆効果になります。

▼石鹸・ボディソープ

アルカリ性の強い製品は、膣内を酸性に保つ働きを弱めてしまいます。
弱酸性のデリケートゾーン専用ソープを使うのが理想です。

▼洗い方

ゴシゴシ擦らず、たっぷりの泡で優しく撫でるように洗いましょう。
膣の中まで指を入れて洗う必要は全くありません。

 3.下着・衣類の選び方

デリケートゾーンの「蒸れ」は、悪玉菌が繁殖する絶好の環境を作ってしまいます。

▼素材

通気性・吸湿性に優れた綿(コットン)素材の下着が最適です。

▼形状

スキニージーンズやガードルなど、体を締め付ける衣類は血行を悪くし、蒸れの原因になります。
普段はゆったりとした服装を心がけましょう。

▼おりものシート

使用する場合は、23時間に一度は交換し、清潔を保ちましょう。
布ナプキンなどの通気性がある製品が理想的です。

 4.菌を洗い流す「攻めの水分補給」

体の中から菌を追い出す、シンプルで非常に効果的な方法です。

▼目標量

1日に1.5リットルを目安に、こまめに水分(水やお茶)を摂りましょう。

▼効果

尿の量を増やすことで、膀胱や尿道にいる細菌を物理的に体外へ洗い流すことができます。頻繁にトイレに行くことが、膀胱のクリーニングになります。

 5.「腸活=膣活」で内側から強くする

意外に思われるかもしれませんが、腸内環境と膣内フローラは密接に関係しています。

▼積極的に摂りたい食品

納豆・味噌・漬物・キムチなどの発酵食品や、野菜・きのこ・海藻類などの食物繊維は、腸内の善玉菌を増やし、結果的に膣の善玉菌もサポートします。

チェックポイント‼

腸内環境を整えることは、全身の免疫力を高めることにも直結します。

【パートナーとの関係】どう伝える?どう協力してもらう?

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デリケートな問題だからこそ、パートナーとのコミュニケーションは非常に重要です。

 伝え方のポイント

相手を責めるような言い方は避け、「二人の健康のために」というスタンスで話すことが大切です。

会話例

「最近、性交のあとで体調を崩すことが続いてて。私の体質もあると思うんだけど、念のため、お互いに一度検査を受けておくと安心できるかなと思って。二人のために、協力してくれないかな?」

男性側に知っておいてほしいこと

男性は症状が出ないことも多いため、感染に気づかないケースがあります。

また、包茎などで恥垢が溜まっていると、そこに細菌が繁殖しやすくなります。パートナーも体を清潔に保つ意識を持つことが、お互いを守ることに繋がります。

 

将来への影響は?「不妊になる?」という不安について

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「こんなに繰り返していて、将来赤ちゃんを授かれなくなるんじゃ…」

という不安を抱く方も多いですが、落ち着いてください。

通常の細菌性膣炎や膀胱炎が、直接的に不妊の原因になることは、ほとんどありません。

ただし、その症状の裏に性感染症(STD)が隠れている場合は注意が必要です。

特にクラミジアや淋菌は、自覚症状が少ないまま放置されると、菌が子宮や卵管にまで侵入し、炎症を起こします。

これが卵管の詰まりや癒着を引き起こし、不妊や子宮外妊娠のリスクとなるのです。

さらに近年の研究では、膣内フローラの中でも「ラクトバチルス・クリスパタス」が多い女性は膣内環境が安定し、妊娠の経過や出産の安定に良い影響を与える可能性が報告されています【Staric M, Pathogens 2022】【Sharma PR, Sci Rep 2022】。

つまり、繰り返す膣炎や膀胱炎は「単なる不快な症状」ではなく、将来の妊娠や健康にもつながる大切なサインと捉えることができます。

 

【セルフチェック】専門家への相談を考えるべきサイン

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以下の項目に一つでも当てはまる場合は、セルフケアだけで様子を見ず、早めに婦人科や泌尿器科を受診しましょう。

  • [] 38度以上の熱がある、悪寒がする、腰が痛い
  • [] 尿に血が混じる(血尿)
  • [] 1年に3回以上、同じ症状を繰り返している
  • [] パートナーが変わるたびに症状が出る
  • [] おりものが黄色や緑色で、魚が腐ったような強い悪臭がする
  • [] 近い将来、妊娠を希望している、または現在妊娠中である

 

【医療機関でできること】市販薬との違いと専門的な検査・治療

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自己判断で市販薬を繰り返し使うことで、原因菌が薬に耐性を持ち、治療が難しくなるケースもあります。

医療機関では、原因を正確に突き止め、根本的な解決を目指すことができます。

1.精密検査で原因を特定

  • 尿検査やおりもの検査で、どのような細菌が増えているのかを調べます。
  • 性感染症が疑われる場合は、クラミジア・淋菌などのSTD検査を同時に行います。
  • 当院では、さらに詳細な「膣内フローラ検査」も可能です。


これにより、ラクトバチルス菌がどのくらいいるか、どのような菌叢になっているかを可視化し、よりパーソナライズされた治療や再発予防のアドバイスに繋げます。

2.的確な薬による治療

検査結果に基づき、原因菌に最も効果のある抗菌薬(抗生物質)や膣錠を処方します。

市販薬のように症状を一時的に和らげるのではなく、原因菌をしっかりと叩くことが目的です。

体質改善を目指す方には、漢方薬を併用することもあります。

3.「再発させない」ための根本的アプローチ

当院では、治療して終わりではなく、「いかに再発させないか」を重視しています。

先のセルフケア指導はもちろん、膣内環境を整えるための医療機関専売サプリメント(例:「EBINE フローラ」など)のご提案も行い、根本的な体質改善をサポートします。

【Check】妊娠とラクトバチルス

妊娠力には、ラクトバチルス・クリスパタスの報告が多くあります。

BINEフローラには、ラクトバチルス・クリスパタスも配合しております。

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「EBINEフローラ」について

 

よくある質問(FAQ

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Q1. ピルを飲んでいると膣炎になりやすいですか?

A1. 低用量ピルは女性ホルモンのバランスを変化させるため、一部の方で膣内環境に影響を与え、カンジダ膣炎などを起こしやすくなることがあります。気になる場合は、ピルを処方してもらっている医師にご相談ください。

Q2. 生理周期と関係ありますか?

A2. はい、関係します。生理前はホルモンバランスの変化で膣の自浄作用が弱まり、生理中は経血で膣内がアルカリ性に傾き、細菌が繁殖しやすくなります。特に生理前後のケアは丁寧に行いましょう。

Q3. 性交後の膀胱炎は癖になりますか?

A3. 「癖」というより、解剖学的な特徴や、その時の免疫状態、膣内フローラのバランスが複合的に影響しています。生活習慣を見直すことで、再発のリスクは大幅に減らすことができます。

Q4. 妊娠中でも治療できますか?

A4. はい、妊娠中でも安全に使える抗菌薬を選んで治療できます。胎児への影響を考慮して薬を処方しますので、自己判断で市販薬を使わず早めに受診してください。

Q5. 市販薬で治せますか?

A5. 一時的に症状が和らぐことはありますが、根本治療にはなりません。再発や耐性菌化のリスクがあるため、繰り返す場合は必ず医療機関へご相談ください。

 

【まとめ】自分を大切にすることが、一番の予防策

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性交後の膣炎・膀胱炎を繰り返すのは、あなたの「運」や「体質」のせいだけではありません。

項目 やるべきOK行動 ✅ やってはいけないNG行動 ❌
性交後 15分以内に排尿する すぐに寝てしまう
洗浄 弱酸性のソープで優しく洗う ボディソープでゴシゴシ洗う、膣内まで洗う
生活 水分を1.5L摂る、綿の下着を選ぶ、十分な睡眠をとる 体を冷やす、締め付ける服を着る、ストレスをためる
もしもの時 症状が繰り返すなら、すぐに専門医に相談する 「いつものこと」と市販薬でごまかし続ける


つらい症状から解放されるための第一歩は、「自分の体を正しく知り、いたわること」です。

そして、一人で悩まず、専門家の力を頼ってください。

【大事なこと】運のせいではなく、体質と環境の問題

性交後の膣炎や膀胱炎を繰り返すのは、「運」ではなく膣内環境や免疫の状態によるものです。

  • 生活習慣を整える
  • それでも改善しない場合は婦人科へ相談
  • 必要に応じてサプリやケア製品の活用 


このように取り組むことで、症状の再発を防ぎやすくなります。

「自分をいたわり、免疫を整えること」

これが、膣と膀胱の健康を守る第一歩です。

【当院でできること】

白金高輪 海老根ウィメンズクリニックでは、性交後の膣炎・膀胱炎でお悩みの方に、以下の診療を行っています。

  • 性感染症(クラミジア・淋菌など)の検査
  • 膣炎・膀胱炎の原因菌検査と適切な薬物治療
  • 再発予防のための生活習慣アドバイス
  •  膣内フローラを整える膣ピル、院内処方

 
女性医師が丁寧にお話を伺い、安心して治療を受けていただけるようサポートしています。
土日祝日も診療していますので、お忙しい方も受診しやすい環境です。

白金高輪 海老根ウィメンズクリニック

  • 都営三田線・東京メトロ南北線「白金高輪駅」徒歩すぐ
  • クリニックのご案内はこちら


「性交後の不調を繰り返す」

「市販薬で改善しない」

そんな時は、ぜひ一度ご相談ください。

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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