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「排卵痛」とは?いつ起こる?痛みの場所・症状・妊活との関係まで産婦人科女医が徹底解説!

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皆さんは、「排卵痛」を感じることがありますか?

女性全体の約20〜40%の方が、大なり小なり排卵痛を感じるといわれており、決して珍しいものではありません。

通常、あまり激痛にはなりにくいですが、排卵痛の程度や持続時間によっては、なんらかの病気のサインの可能性があります。

今回は、排卵痛に着目し、メカニズムや原因、病気の可能性などについて幅広くご紹介したいと思います。

 

排卵痛はいつ起こる?|排卵日との関係を解説

「排卵痛」という言葉は、あまり聞き馴染みのない方もいるでしょう。まずは排卵痛について詳しくご紹介します。

排卵痛の時期・場所・感じ方

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※画像は参考イメージです(個人差があります)

月経と月経のちょうど中間あたりで、数時間〜3日間程度の下腹部痛であれば、「排卵痛」の可能性があります。

排卵痛を全く感じない方もいれば、強い痛みを感じる方もいて、月経痛と同じように個人差がある痛みです。排卵に伴って卵胞が破れ、このときに生じる卵胞液や血液が腹膜を刺激するために痛みが出るといわれています。少量、出血するケースもあります。

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たいていの場合、チクチクする程度の違和感や、鈍い痛みです。まれに「激痛」になることもありますが、そういった場合は子宮内膜症や卵巣出血の影響もあるように思います。

 

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排卵は、左右に1つずつある卵巣から、毎月交互に生じます。そのため、排卵痛は下腹部の真ん中ではなく、少し左右に寄った部位が痛むのが特徴です。

 

排卵痛と排卵のタイミングは?

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※画像は参考イメージです(個人差があります)

排卵痛は、必ずしも「ちょうど排卵の瞬間」だけに生じるわけではありません。一般的に、排卵の前後から数時間、長くて2~3日ほど続きます。排卵のために卵巣が膨らむのに伴って、排卵の少し前から痛みを感じたり、排卵後も卵巣の腫れや少量の出血により痛みを感じたりするのです。

排卵のタイミングを正確に知りたい場合は、排卵痛だけでの判断は難しいでしょう。

最近は、「排卵日予測検査薬」が販売されています。黄体形成ホルモン(LH)の分泌が急激に増加する「LHサージ」の40時間以内に排卵が起こる仕組みを利用したものです。「排卵日予測検査薬」を使うとLHサージを検出できるので、基礎体温と合わせて考えると、より正確に排卵日を予測できます。

※LH(Luteinizing Hormone)サージとは
排卵の直前に起こる黄体形成ホルモンの急増現象です。排卵を誘発し、妊娠のタイミングを知るうえで非常に重要な指標です。

排卵痛?症状のセルフチェック!

次のような項目のうち、当てはまるものが多ければ排卵痛の可能性が高いでしょう。

・月経と月経の間くらいの時期に痛みが出る

・チクチクする感じや鈍い痛み

・数時間〜3日間程度の短い期間

・下腹部の真ん中ではなく、左右に寄った部位が痛む

・左右同時ではなく、月ごとに片側だけが痛む

1週間など、長期間にわたって痛みが続く場合は、排卵痛ではないかもしれません。「大丈夫だろう」「いつものことだから」と自己判断せず、婦人科で相談しましょう。

排卵痛に伴うその他の症状

排卵痛があるとき、次のような症状が伴ってくる方もおられます。

・軽い吐き気

・腰痛

・下痢、軟便

・おりものの変化(透明、粘り気あり、やや量が増える)

・眠気

・倦怠感

 

子作り・妊娠のタイミングはいつ?

排卵したあとの卵子の寿命は24時間程度、精子の寿命は2〜3日であることから、最も妊娠しやすいタイミングは「排卵日の1〜2日前」です。

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※画像は参考イメージです(個人差があります)

・排卵日予測検査薬での判断

排卵日予測検査薬が陽性になったら、当日・翌日で性交渉を持つとよいでしょう。ただし、月経不順の方で排卵日前よりLHは陽性の方は、排卵日予測検査薬での排卵日の確認はできません。

・基礎体温での判断

排卵があると、基礎体温が上がり「高温期」となります。高温期に移行した日の周辺が排卵日と思われますので、当日に性交渉を持つとよいでしょう。あまり時間があいてしまうと、卵子が寿命を迎えてしまうことがあるため、注意が必要です。できれば、日頃の月経周期から排卵日をおおよそ予測し、高温期になる前から続けて性交渉を持っておくのがベストです。

・排卵痛での判断

おおよそ基礎体温で高温期になる時期と「下腹部痛」の時期が一致していれば、排卵痛と考えてよいでしょう。排卵痛のあった当日に性交渉を持ちましょう。

 

いつもより排卵痛が痛い・激痛になる原因は?

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一般的に、排卵痛はそれほど「強い痛み」にはなりにくいです。しかし、今月は排卵痛がある、いつもより痛みが強いという場合もあります。次のようなことが原因かもしれません。

・体が冷えていた

体の冷えにより血流が悪化することが、痛みの悪化に繋がる可能性があります。

・ホルモンバランスの乱れ

心身の疲れ、睡眠不足、無理なダイエットなどでホルモンバランスは簡単に乱れてしまいます。

・子宮内膜症の進行

子宮内膜症が悪化してくると、月経痛以外にも排卵痛や腰痛、下腹部痛などを呈します。

また、あまり強い痛みの場合は、病気のサインかもしれません。病気の可能性については、この先でさらに詳しく解説いたします。

・卵巣出血

排卵と同時に卵巣に内出血する方がいらっしゃいます。大きい血管の破綻の場合は、緊急手術が必要となる可能性があります。出血量が少量の場合は、自然に止血されることがありますが、その判断は難しいため、強い腹痛の場合は婦人科を受診しましょう。

・子宮内感染症

排卵期に子宮内感染症を起こした場合には、排卵期に疼痛を引き起こすことがあります。おりものが多い、発熱する場合には鑑別診断のために、婦人科を受診しましょう。

 

排卵痛をやわらげるために

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排卵痛かな、という痛みがあった場合に、ご自身でできる対処法についてお伝えします。

自宅でできるセルフケア

排卵痛も、月経痛と同じような対処法が有効です。

・カイロなどでお腹を温める

・安静にする

・ストレッチや深呼吸でリラックスする

・生活リズムを整える

無理のない範囲で、ヨガなどの軽い運動をすることは、排卵痛や月経痛をやわらげるのに役立ちます。

痛み止め・薬の使用は?

痛みを感じるときは、痛み止めを使っても問題はありません。さまざまな成分が含まれた薬ではなく、1種類の成分だけの薬の方が、さまざまな副作用のリスクが少なく、よいでしょう。

代表的な市販薬の成分について、お伝えします。

・ロキソプロフェン、イブプロフェン

市販の「ロキソニン」や「リングルアイビー」「イブA」などが該当します。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)という種類の鎮痛薬で、比較的効果も早く使いやすいです。胃の負担軽減するため、内服時には水分摂取をしっかりとしましょう。

妊活中の方、妊娠初期や妊娠中期の方は大きな問題はありませんが、妊娠後期の場合には主治医に相談しましょう。腎臓の病気がある方、腎臓が悪いと言われている方も主治医に相談しましょう。

・アセトアミノフェン

子どもから高齢者まで比較的安全に使える鎮痛薬です。多くの市販薬があり、「タイレノール」「バファリンルナ」のほか、プライベートブランドのものも販売されています。月経痛や頭痛にも使用可能です。

どの薬を使う場合でも、記載の使用方法は守りましょう。また、痛みには病気が隠れていることもありますので、定期的な婦人科受診で検査をすることも大切です。

 

排卵痛と性行為|痛みがあっても大丈夫?

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排卵痛があるときは、妊娠のタイミングでもあるため、性交渉を持とうと考える方も多いでしょう。

排卵痛があっても、性行為をすることに問題はありません。ただし、性行為による揺れや刺激で激痛を感じる、痛くて挿入も難しいというような方は、単なる排卵痛ではなく、子宮内膜症、卵巣出血、子宮内感染症などが原因となっているかもしれません。

性行為により女性側の苦痛が大きいときは、無理をせず体を優先にしましょう。こちらの記事で 、性交痛について詳しくご紹介しておりますので、参考にしてください。

「性交痛の原因は子宮内膜症?」を解説

 

排卵痛は産後や更年期・閉経後にもある?

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出産後

出産後に、排卵痛を感じるようになったとおっしゃる方がおられます。

妊娠や授乳によって排卵は抑制されます。断乳後に排卵が再開され、排卵痛が生じる場合があります。

更年期

更年期は、卵巣機能が徐々に低下して排卵したりしなかったりする時期です。うまく排卵されない後に、同時に2個3個と排卵されるような場合に排卵痛が生じることがあります。

閉経後

閉経後、排卵痛や月経痛のような症状を感じるということで、婦人科へいらっしゃる方もいます。閉経後であれば、「排卵痛」の可能性は非常に低いでしょう。下腹部には、子宮や卵巣以外にも腸や膀胱などがあり、便秘や尿路感染症(膀胱炎)を反映している場合が考えられます。

その他

それ以外の婦人科系の疾患として、子宮内感染症、子宮留嚢腫(子宮内に膿が溜まった状態)や子宮体がん、卵巣がんなどの可能性も否定できません。子宮体がんや卵巣のがんは、閉経後に罹患率が上昇する特徴があります。閉経後に下腹部痛、おりものの変化、不正出血などがありましたら、すぐに婦人科でご相談ください。

 

排卵痛と間違えやすい病気に注意!

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排卵痛ではなく、何らかの疾患が原因の腹痛という可能性もあります。とくに、婦人科疾患は「月経のときに症状が出る」と思われがちですが、月経以外のタイミングで症状が出ることも少なくありません。

女性の下腹部痛といっても、さまざまな疾患の可能性があります。「激痛・長引く・発熱や嘔吐がある」などの特徴に当てはまる場合は、すぐに医療機関へかかるようにしましょう。

子宮内膜症

子宮内膜に存在する組織が、子宮以外の部位に生じる病態です。20〜30代の女性に多く、不妊の原因にもなりえます。

その組織は、女性ホルモンの影響を受けて月経時に向けて増殖しますが、腟に開通していない部位に発生している場合、月経によって体外へ排出されません。子宮以外の場所でたまった子宮内膜は、出血して周囲の炎症や癒着を引き起こし、その部位が動かされたときに激痛を感じることがあります。

卵巣に子宮内膜症を呈している内膜症性卵巣嚢腫の場合、排卵痛が強くなる原因となることがあります。子宮内膜症は、進行すると月経以外の期間でも症状が出ますので、「排卵痛だろう」と放置せずに治療へ結びつけましょう。

「子宮内膜症」を詳しく解説

子宮腺筋症

子宮内膜症の一種で、月経中に子宮内膜組織が子宮筋層内での出血が認められる病態です。良性疾患ではありますが、部位・大きさによって症状がない方から過多月経や不正出血、月経困難症、不妊症が認められる方まで、症状の程度はバラつきがあります。

子宮腺筋症も女性ホルモンの影響を受けて大きくなるため、月経のある20代~40代のエストロゲン分泌が多い期間は徐々に悪化していきます。子宮内膜症と同様に、排卵痛が強くなる原因の1つです。

卵巣嚢腫

良性の卵巣嚢腫は、女性全体の5〜7%程度に卵巣嚢腫があると報告されており、比較的よくある病気といえます。

超音波検査で卵巣腫瘍を見つけることがあります。超音波検査の所見や、時間経過による大きさの変化などをみて、良性か悪性かを憶測しますが、摘出しない良性悪性の判断はできません。卵巣腫瘍はかなり大きくならない限り、あまり症状は出ないことが多いです。卵巣嚢腫があることで、排卵痛が強くなったり、排卵が不規則になったりすることがあります。

また、卵巣嚢腫が破裂すると、また、捻転すると非常に強い痛みとなります。

「卵巣嚢腫」を詳しく解説

卵巣茎捻転

腹腔内で卵巣嚢腫が捻れ、急激な強い腹痛を生じる病態で、緊急性が高いです。運動や性行為などの激しい動きに誘発されたり、妊娠中に生じるという場合もありますが、きっかけなく起こるケースも多くあります。

一般的に、卵巣が5~6cm以上のサイズになると動かなくなるため卵巣嚢腫茎捻転のリスクは高くないにですが、もう少し小さい場合は捻転しやすいです。処置が遅れると卵巣が壊死して卵巣機能を失ってしまいます。緊急手術により、卵巣機能が温存できる場合もありますので、女性で急激な強い腹痛があればすぐに医療機関へかかる必要があります。

虫垂炎

いわゆる盲腸のことです。女性に特有の疾患ではありませんが、右の下腹部痛のときは虫垂炎も鑑別します。

なんとなくの腹痛から、だんだん右側が痛むようになり、吐き気や下痢を伴うようになってきた…という経過の場合は、とくに疑わしいです。便秘の症状から始めるケースもあります。

尿管結石

尿管結石と聞くと「男性の病気」のように感じる方もおられるのですが、食生活の欧米化などで女性、とくに閉経後の方にも増えてきています。塩分や脂質のとりすぎ、肉の多い食事、水分摂取が少ないことなどが原因として考えられます。

脇腹から下腹部にかけての突然強い痛み、血尿、吐き気、冷や汗、顔色が悪くなるといった症状が代表的です。

子宮外妊娠

女性の腹痛は、妊娠しているか妊娠していないかにより鑑別診断は異なります。妊娠、特に妊娠に気づかない妊娠初期の場合には、子宮外妊娠の鑑別は大切です。疼痛が子宮外妊娠の破裂の場合、緊急手術が必要です。その他、切迫流産、切迫早産、子宮筋腫合併妊娠、常位胎盤早期剥離など、命にかかわることもあるので、腹痛の場合はまず妊娠確認しましょう。

 

受診の目安・婦人科でできること

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違和感や心配があれば、症状がわずかであっても、いつでもご相談ください。そうはいっても、忙しい毎日の中ですぐに受診ができないという事情もよくわかります。

まず、以前よりも痛みが強い、痛みのある期間が長くなっているなど、悪化しているなら受診しましょう。また、婦人科検診をしばらく(目安として1年以上)受けていないという方も、早いうちに検査をすべきです。

すぐに受診をしない場合、痛みの記録をつけてください。とくに、基礎体温をつけていれば排卵の時期と合うかどうかがわかりやすいです。痛みのあった日時、程度、痛み止めを飲んだかどうかなど、体調についての記録をつけ、持参していただけると、診断の助けになります。

【婦人科で実施すること】

・問診

症状がいつからあるのか、どの程度の痛みなのかなど、詳しく伺います。

・内診、超音波検査

内診や超音波検査を実施して、卵巣や子宮の状態を直接チェックします。排卵時期や卵巣嚢腫のサイズ、種類、破裂の有無などを確認します。

 

まとめ

排卵痛は、すべての女性に生じるわけではありませんが、自然なことです。妊活中の方は基礎体温や排卵日予測検査薬を合わせて考えることで、妊活の助けにもなります。

しかし、あまりにも痛みが強い、痛む期間が長いという場合には、何らかの病気のサインの可能性も否定できません。今回の記事を参考に、注意点に当てはまるような方は早めに婦人科でご相談ください。

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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