性行為後の倦怠感・おりもの・腹痛・目のトラブル…出血以外の不調に要注意!受診目安を婦人科女医が解説。
更新日:2025.09.26

性行為のあとに起こる体の不調といえば「出血」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には、排尿時の痛みやおりものの変化、腹痛、さらには目のトラブルなど、さまざまな不調が性行為をきっかけに現れることがあります。
一時的な症状で収まることもありますが、性感染症や婦人科疾患が隠れているケースもあるため注意が必要です。
この記事では、性行為後に起こりうる代表的な不調と受診の目安について解説します。
目次
性行為が原因で起こりうる体の不調

出血以外にも、性行為が原因となって、体の不調を起こすことがあります。
出血以外によくあるトラブルについてご紹介します。
排尿時の痛み
性行為の際、細菌が尿道から体内へ侵入し、膀胱炎を起こすことがあります。男性に比べ、女性の方が性行為による膀胱炎を起こしやすいです。頻度は高くないですが、尿に血が混じる場合もあります。
女性のデリケートゾーンに元々存在する細菌が原因のこともあれば、男性器が清潔でなかったことが原因となることもあり、いずれにせよ清潔な状態で性行為をおこなうことが重要です。性行為の前に入浴する、性行為のあともシャワーで流すなど、衛生面に配慮しましょう。
また、体調不良のときや疲労が溜まっているときなどは免疫力が低下しますので、より衛生面に気をつけるか、性行為を控えた方がよいかもしれません。
女性の膀胱炎は、婦人科で対応可能です。違和感がある場合は、ご相談ください。
また、性病による膀胱炎のことも多いので、症状が強い場合は、泌尿器科や婦人科のクリニックを受診しましょう。
目が痒い、痛い
性器や体液に触れた手で目を触ってしまった場合や、精液が目に入った場合などには、目に感染症を起こすことがあります。
淋菌感染症や梅毒など、性感染症に罹患している人の体液が目に入った場合、痒みや痛みなどの症状が強くなり、失明につながるケースもあります。
目に違和感を覚えたときは、早めに眼科を受診しましょう。
性行為のあとは、手を洗うようにしてください。
おりものの変化
女性のデリケートゾーンは、文字通り繊細です。 清潔ではない手でデリケートゾーンを触ったり、疲労やストレスが溜まっているときに性行為をおこなったりすることで、腟内の細菌バランスが乱れ、細菌性腟症やカンジダ腟炎などを起こすことがあります。
パートナーが性感染症に罹患していた場合、数日〜数週間の潜伏期間を経て、おりものに変化が出てくることも考えられます。
・おりものの量が増える
・水っぽい、酒粕のようなど、おりものの性状が変わる
・匂いが強くなる
このような場合には、婦人科でご相談ください。
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腹痛
性行為の最中やあとに腹痛がある場合、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮内膜炎、卵巣嚢腫、卵巣膿瘍、卵巣嚢腫の破裂、卵巣出血、卵管炎、ひどい場合は骨盤腹膜炎に発展することも考えられます。病変部位が性行為によって動かされた結果、痛みが出るのです。
病気の治療をすることが腹痛の治療にもなります。性行為の最中やあとに腹痛がつらいという方は、まずは婦人科で病気の有無を確認しましょう。 そのほか、オーガズムにより起こる子宮収縮により腹痛を感じる場合もあります。
病気の可能性が排除できれば、あまり心配はいらないでしょう。排卵や月経周期と連動しているのであれば、女性ホルモン分泌量が周期的に変化する影響もあるかもしれません。
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まとめ
性行為後の不調は、単なる一時的な症状のこともあれば、性感染症や婦人科疾患などの病気が背景にある場合もあります。
「清潔を心がける」
「体調がすぐれないときは無理をしない」
といったセルフケアで予防できる部分もありますが、症状が繰り返す・強く出る・長引くといった場合には、自己判断せずに早めに婦人科や専門科を受診することが大切です。
安心して性生活を送るためにも、体のサインを見逃さず、適切なケアと受診を心がけましょう。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。