モナリザタッチの副作用・デメリットは?安全性と受診目安を医師が解説
更新日:2026.08.11
「モナリザタッチに興味がありますが、副作用はありませんか?」
「腟にレーザーを照射して、やけどをすることはないのでしょうか?」
「治療後に性交痛が悪化したという話を見て、不安になりました」
診察室では、このようなご質問をいただくことがあります。
モナリザタッチは、腟や外陰部の乾燥、性交痛、灼熱感、かゆみ、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)などに対して行われる、マイクロアブレイティブ・フラクショナルCO₂レーザー治療です。
治療後の腟組織については、上皮の成熟、コラーゲンの再構築、線維芽細胞の活性化など、組織学的な変化を検討した研究も報告されています。
一方で、医療行為である以上、モナリザタッチにもデメリットや限界、副作用があります。
私は2019年にモナリザタッチを導入して以来、4,300件以上の施術を行ってきましたが、患者さんには効果だけでなく、
- 治療によって起こり得る症状
- まれでも注意すべき合併症
- 効果が得られない可能性
- レーザーが適していない状態
- ほかの治療を優先すべき場合
についても、治療前に理解していただくことが大切だと考えています。
今回は、モナリザタッチのデメリット、リスク、副作用について、婦人科医の立場から詳しく解説します。
効果・費用・治療回数・向いている症状などの基本情報は、 モナリザタッチ(腟レーザー治療)の治療ページ でまとめてご案内しています。
この記事で最初にお伝えしたいこと
軽い熱感、ヒリヒリ感、分泌物、少量の出血などがみられることがあります。
強い痛み、多量の出血、発熱、悪臭、排尿困難、症状の悪化には注意が必要です。
治療前の診察、適応判断、照射部位・条件、治療後のケアが重要です。
モナリザタッチは「まったく傷をつけない治療」ではありません
最初に理解していただきたいのは、モナリザタッチは、組織に何の変化も与えずに症状を改善させる治療ではないということです。
モナリザタッチでは、CO₂レーザーを非常に細かい点状に照射し、腟粘膜や外陰部に制御された微細な刺激を与えます。
この刺激をきっかけとして、身体の創傷治癒反応が起こり、
- 上皮の再構築
- 線維芽細胞の活性化
- コラーゲンの新生と再構築
- 弾性線維の再編
- 血流や細胞外基質の変化
などが生じると考えられています。
つまり、モナリザタッチは、正常な組織を広く残しながら、微細な組織反応を起こす治療です。
適切な出力、照射密度、照射部位を選択することが大切ですが、照射条件が組織の状態に合っていない場合には、痛みや炎症、熱傷などにつながる可能性があります。
「レーザーだから危険」なのでも、「副作用がほとんどないから誰にでも安全」なのでもありません。
患者さんの組織を診察し、適応を判断したうえで、適切な照射部位と条件を選ぶことが重要です。
治療後に起こり得る副作用・一時的な症状
モナリザタッチの治療後には、照射による組織反応として、次のような症状がみられることがあります。
- 軽い熱感
- ヒリヒリ感
- 腟や外陰部の違和感
- 軽度の腫れ
- 発赤
- 水様性の分泌物
- 少量の出血
- 一時的なかゆみ
- 排尿時の軽い刺激感
- 下着に触れた際の軽い痛み
無作為化比較試験やメタ解析では、レーザー治療後に報告される副作用の多くは、刺激感、軽い不快感、分泌物、少量の出血など、一過性で軽度のものでした。複数の比較試験では重大な有害事象は報告されていませんが、研究の対象者数や観察期間には限界があります。
治療後の軽いヒリヒリ感や分泌物は、必ずしも異常とは限りません。
ただし、症状が強い場合、数日経過しても悪化する場合、日常生活に支障が出る場合には、施術を受けた医療機関へ連絡してください。
1.痛みやヒリヒリ感
モナリザタッチでは、治療中または治療後に、軽い熱感やヒリヒリ感を感じることがあります。
腟内は比較的痛みを感じにくい方もいますが、腟入口部の前庭部や外陰部は知覚神経が豊富に分布しているため、腟内より刺激を感じやすい場所です。
特に、
- もともと前庭部痛がある
- 外陰部に炎症がある
- 皮膚や粘膜が非常に薄い
- 強い乾燥がある
- 痛みに対する恐怖が強い
- 骨盤底筋が過緊張している
といった患者さんでは、同じ照射条件でも痛みを感じやすいことがあります。
当院では、治療部位を一律に照射するのではなく、診察所見、痛みの場所、組織の厚み、炎症の有無などを確認し、必要に応じて出力や照射範囲を調整しています。
「痛みに耐えるほど効果が高くなる」という治療ではありません。
2.分泌物の増加
治療後、数日間にわたって水様性または淡い色の分泌物が増えることがあります。
軽度で、悪臭や強い痛みを伴わず、徐々に減っていく場合には、一時的な経過であることが多いと考えられます。
一方で、
- 黄色や緑色の分泌物
- 強い悪臭
- 発熱
- 下腹部痛
- 強いかゆみ
- 症状が日に日に悪化する
といった場合には、腟炎や感染症の可能性があります。
3.少量の出血
腟粘膜が薄い方、強い萎縮がある方、照射部位に炎症や脆弱性がある方では、治療後に少量の出血がみられることがあります。
通常は少量で一時的ですが、
- 出血量が多い
- 数日経過しても止まらない
- 血の塊が出る
- 強い腹痛を伴う
- 閉経後出血の原因が調べられていない
場合には、レーザーによる反応だけと判断せず、診察が必要です。
特に閉経後の不正出血は、子宮頸部、子宮内膜、腟、外陰部などの疾患が隠れていることがあるため、原因を確認することが重要です。
4.一時的なかゆみや乾燥感
治療後に一時的なかゆみや乾燥感が出ることもあります。
治療後の組織に、
- 強い洗浄剤を使用する
- 外陰部を何度も洗う
- ナプキンや下着による摩擦が続く
- 性交や腟内への挿入を早く再開する
などの刺激が加わると、かゆみやヒリヒリ感が強くなることがあります。
ただし、かゆみが強い場合には、カンジダ腟炎、接触皮膚炎、外陰部皮膚疾患などの可能性もあります。
5.排尿時の刺激感や頻尿
尿道口に近い前庭部や外陰部を治療した後には、一時的に排尿時のしみる感じや刺激感が出ることがあります。
また、もともと膀胱や尿道が過敏な方では、治療後に一時的に頻尿や尿意切迫感が強くなる可能性があります。
次のような場合には、膀胱炎や尿路感染症の検査が必要です。
- 強い排尿痛
- 血尿
- 発熱
- 残尿感
- 尿が出にくい
- 頻尿が急激に悪化した
モナリザタッチは、感染症そのものを治療するレーザーではありません。
6.感染症
レーザーによって感染症が頻繁に起こるというわけではありません。
しかし、治療前から、
- 細菌性腟症
- カンジダ腟炎
- トリコモナス腟炎
- 性感染症
- 外陰部の化膿性病変
などがある場合、照射後に炎症や症状が悪化する可能性があります。
そのため、分泌物の増加、悪臭、強いかゆみ、外陰部の炎症などがある場合には、必要に応じて検査を行い、先に感染症を治療します。
7.熱傷、びらん、潰瘍
頻度は高くありませんが、レーザーは熱エネルギーを使用する医療機器であるため、照射条件や組織の状態によっては、熱傷、びらん、潰瘍などを起こす可能性があります。
リスクが高くなると考えられるのは、
- 出力が組織に対して強すぎる
- 同じ場所へ過度に重ねて照射する
- 著しく薄く脆弱な組織へ照射する
- 強い炎症がある
- 放射線治療後などで組織の治癒力が低下している
- 手術後や出産後で治癒が完了していない
- 組織の状態を確認せず、一律の条件で照射する
といった場合です。
米国FDAは2018年、腟の「若返り」や閉経症状、尿失禁、性機能などをうたうエネルギー機器の販売促進について、安全性と有効性が確立していない使用目的が含まれているとして警告し、熱傷、瘢痕、性交痛、慢性的な痛みなどの重大な有害事象が生じる可能性にも言及しました。
これは、腟レーザーを受けた方に必ず重大な副作用が起こるという意味ではありません。
一方で、まれな合併症は比較的小規模な臨床試験だけでは把握しにくいため、治療前にリスクを説明し、適応と照射条件を慎重に判断する必要があります。
8.瘢痕や組織の硬さ
熱傷や強い炎症が起きた場合には、その後に瘢痕や組織の硬さが残る可能性があります。
特に腟入口部は、性交や診察の際に伸展する必要がある場所です。この部分に瘢痕や拘縮が生じると、挿入痛や性交痛につながることがあります。
腟粘膜、前庭部、外陰部皮膚では、組織の厚み、角化の程度、神経分布、痛みの感じ方が異なるため、それぞれの組織特性に合わせて照射範囲や条件を設定することが重要です。
9.性交痛や前庭部痛が一時的に悪化する可能性
もともと性交痛や前庭部痛がある患者さんでは、治療後に一時的に痛みが強くなることがあります。
特に、
- 前庭部の神経過敏が強い
- 骨盤底筋が過緊張している
- 慢性的な炎症がある
- 触れられることへの恐怖が強い
- 痛みが長期間続いている
場合には、組織だけでなく、末梢神経、筋肉、心理的な防御反応など複数の要因が関係していることがあります。
このような状態では、レーザーだけで十分な改善が得られない場合もあります。
治療後の経過や性交痛について詳しく確認したい方へ
効果・費用・持続性にもデメリットがあります
身体的な副作用だけでなく、効果に個人差があること、自由診療で費用がかかること、複数回の治療が必要になる場合があることも、治療を検討するうえで知っておきたいデメリットです。
近年の無作為化偽治療対照試験では、フラクショナルCO₂レーザーが安全に実施された一方で、症状によっては偽治療群との明確な差が示されなかった研究もあります。
組織学的な変化が報告されていることと、すべての患者さんで症状が必ず改善することは同じではありません。
そのため、症状の原因がレーザーで改善を目指せる組織変化にあるのかを診察で確認することが大切です。
効果・回数・費用について詳しく知りたい方へ
治療を行わない・延期することがある場合
腟の乾燥や性交痛があるからといって、すべての方にレーザー治療が適しているわけではありません。
例えば、次のような場合にはレーザーを行わない、または原因の診断・治療を優先することがあります。
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある
- 腟や外陰部に活動性の感染症がある
- 性感染症が疑われる
- 強い腟炎や外陰炎がある
- 原因不明の不正出血がある
- 悪性疾患や前がん病変が疑われる
- 外陰部に潰瘍や強いびらんがある
- 手術後や出産後で組織の治癒が十分でない
- 医師がレーザーより別の検査・治療を優先すべきと判断した
悪性腫瘍や放射線治療の既往がある方についても、一律に治療できないという意味ではありません。治療歴、現在の状態、組織の状態などを確認し、個別に判断します。
治療を受けられるか詳しく確認したい方へ
レーザーより先に、ほかの治療を行うべき場合があります
性交痛や腟・外陰部の不調には、レーザー以外の治療を優先した方がよい場合があります。
腟炎や性感染症を先に治療します。
硬化性苔癬、接触皮膚炎、湿疹などを診断し、疾患に応じた治療を優先します。
骨盤底へのアプローチや段階的な治療が必要な場合があります。
局所ホルモン療法や保湿なども含めて治療を検討します。
疼痛治療や薬物療法を含めた別のアプローチが必要です。
症状名だけで治療を決めず、原因を確認することが大切です。
レーザー以外の治療選択肢も比較したい方へ
治療方法の比較 GSMのホルモン治療と腟レーザーはどう使い分ける? エストリオール腟錠との違いと、症状に合わせた選び方を解説しています。治療後、早めに受診していただきたい症状
治療後に次のような症状がある場合には、通常の経過ではない可能性があります。
施術を受けた医療機関へ早めに連絡したい症状
- 強い痛みが続く
- 痛みが日ごとに悪化する
- 多量の出血がある
- 発熱がある
- 悪臭の強い分泌物が出る
- 排尿が困難になった
- 強い排尿痛や血尿がある
- 腟や外陰部に潰瘍や水疱がみられる
- 強い腫れが引かない
- 性交痛や接触痛が明らかに悪化した
このような場合には、我慢して経過を見るのではなく、施術を受けた医療機関へ早めに連絡してください。
安全性を左右するのは、機械だけではありません
同じCO₂レーザーを使用していても、すべての治療が同じではありません。
安全性には、
- 使用する機器
- 照射モード
- 出力
- 照射密度
- 照射時間
- 照射範囲
- 組織の厚み
- 炎症の有無
- 治療者の経験
- 治療前の診断
- 治療後のケア
が関係します。
特に、腟内、前庭部、外陰部は、それぞれ組織の性質が異なります。
私は4,300件以上の治療を行う中で、全員へ同じ条件で照射するのではなく、
- 腟内
- 腟前庭部
- 外陰部
をそれぞれ診察し、必要な部位を、組織に合わせた条件で治療することが重要だと考えています。
当院が行っている「3部位照射」とは、3か所すべてを必ず照射するという意味ではありません。
3領域を分けて評価し、症状の原因となっている部位を見極めるという考え方です。
当院の照射部位の考え方を詳しく知りたい方へ
照射部位の考え方 モナリザタッチはどこに照射する? 腟内・腟前庭部・尿道口周囲・外陰部を、症状に応じて確認する理由を解説しています。私が患者さんにお伝えしていること
私はモナリザタッチを非常に有用な治療の一つだと考えています。
実際に、長年続いていた乾燥感や性交痛、灼熱感、頻尿などが改善し、生活の質が大きく変わった患者さんもいらっしゃいます。
しかし、だからこそ、治療のよい面だけを強調するべきではありません。
治療を受ける前には、
- 期待できる効果
- 効果の個人差
- 起こり得る副作用
- まれな合併症
- 治療回数と費用
- 効果が持続しない可能性
- レーザー以外の治療法
について説明を受け、ご自身が納得したうえで治療を選択することが大切です。
「レーザーだから怖い」と必要以上に恐れる必要はありません。
一方で、「切らない治療だから絶対に安全」「誰にでも効果がある」と考えることも適切ではありません。
医療として診察を行い、適応を見極め、組織に合った条件で治療する必要があります。
まとめ|副作用を理解したうえで、自分に合う治療か判断することが大切です
モナリザタッチの治療後に比較的みられやすい症状は、
- 軽い熱感
- ヒリヒリ感
- 違和感
- 分泌物の増加
- 少量の出血
- 一時的なかゆみ
- 排尿時の軽い刺激感
などです。
多くは軽度で一時的ですが、まれに、
- 感染
- 強い炎症
- 熱傷
- びらんや潰瘍
- 瘢痕
- 長引く痛み
- 性交痛の悪化
などが起こる可能性があります。
また、身体的な副作用だけでなく、
- 効果に個人差がある
- 十分な改善が得られない場合がある
- 複数回の治療が必要になる場合がある
- 自由診療で費用がかかる
- 効果が永久に続くわけではない
という点も、治療を検討する際に知っておきたいデメリットです。
モナリザタッチは、単なる美容施術ではなく、腟や外陰部という繊細な組織へエネルギーを与える医療行為です。
だからこそ、治療前に原因を診断し、腟内、前庭部、外陰部のどこに問題があるのかを確認し、レーザー以外の選択肢も含めて治療方針を考えることが大切です。
私が目指しているのは、レーザーを照射することそのものではなく、患者さんの痛みや不快感を軽減し、安心して日常生活を送れる状態につなげることです。
治療が自分に合うか、まず症状の原因から確認します
モナリザタッチを希望される場合も、診察で症状の場所、皮膚や粘膜の状態、感染・炎症の有無などを確認し、治療の適応を判断します。
※オンライン診療では、視診・触診・内診・検査・レーザー施術はできません。強い痛み、出血、発熱、急な悪化などがある場合は、来院による診察をご検討ください。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。



