モナリザタッチは何回必要?3回・5回・6回の目安と尿関連GSM
更新日:2026.08.06
「モナリザタッチは何回受ければよいですか?」
診察で患者さんから最も多くいただく質問の一つです。
一般的には、モナリザタッチは4~6週間ごとに3回行う方法が広く知られています。
しかし、私は4,300件以上の施術・診療経験を重ねる中で、症状によって必要な回数は大きく異なると感じています。
特に、
- 頻尿
- 尿意切迫感
- 排尿時のヒリヒリ感
- 尿道口周囲の違和感
- 尿がしみる感覚
- 閉経後に繰り返す膀胱炎のような症状
などの尿関連GSMでは、3回で治療が完成するとは限りません。
当院では、尿関連GSMの患者さんについては、治療を重ねながら徐々に症状が改善し、6回前後で「かなり楽になった」と実感される方が最も多いという臨床的な印象を持っています。
目次
尿関連GSMとは何でしょうか?
GSMは「閉経関連泌尿生殖器症候群」と呼ばれ、閉経前後の女性ホルモン低下によって、外陰部、腟、尿道、膀胱周囲にさまざまな症状が起こる状態です。
GSMというと、
- 腟の乾燥
- 性交痛
- 外陰部のヒリヒリ感
をイメージされる方が多いかもしれません。
しかし、GSMには尿に関する症状も含まれます。
代表的なものとして、
- トイレが近い
- 急に強い尿意を感じる
- 排尿時にしみる
- 尿道口周囲がヒリヒリする
- 膀胱炎のような症状を繰り返す
- 尿が漏れやすくなった
などがあります。
これらを当院では、患者さんに分かりやすくお伝えするために「尿関連GSM」と表現しています。
なぜ閉経すると尿の症状が起こるのでしょうか?
腟と尿道は、非常に近い場所にあります。
また、腟粘膜だけでなく、尿道口周囲や尿道を支える組織も、女性ホルモンの影響を受けています。
閉経後にエストロゲンが低下すると、
- 尿道周囲の粘膜が薄くなる
- 血流が低下する
- 組織の弾力が減少する
- 尿道口周囲が乾燥する
- 外部からの刺激に弱くなる
- 腟内環境が変化する
といった変化が起こります。
その結果、感染症がないにもかかわらず、
「膀胱炎のようにしみる」
「トイレが近い」
「尿道の周りが不快」
と感じることがあります。
すべての頻尿や尿もれがGSMとは限りません
ここは非常に重要です。
頻尿や尿もれには、GSM以外にもさまざまな原因があります。
例えば、
- 過活動膀胱
- 腹圧性尿失禁
- 膀胱炎
- 骨盤臓器脱
- 骨盤底筋の機能低下
- 糖尿病
- 多量の水分やカフェイン摂取
- 神経疾患
- 使用している薬剤の影響
などです。
そのため、「頻尿があるからモナリザタッチを受ければよい」とは限りません。
まず尿検査や診察を行い、感染症やほかの疾患がないかを確認する必要があります。
当院では、症状だけで判断せず、尿道口周囲、外陰部、腟内の状態を診察し、尿関連GSMが関係しているかを評価します。
なぜ一般的には3回なのでしょうか?
モナリザタッチは、フラクショナルCO₂レーザーによって組織へ微細な刺激を与え、その後に起こる修復反応を利用する治療です。
1回の照射で直ちに組織が完成するわけではありません。
レーザー照射後には、
- 組織の修復
- 血流の変化
- コラーゲンの再構築
- 粘膜の状態の変化
が時間をかけて起こります。
そのため、一般的には4~6週間程度の間隔を空け、3回を一つの基本的な治療単位として行います。
乾燥や軽度のヒリヒリ感などでは、3回で十分な改善を感じる方もいらっしゃいます。
しかし、尿関連GSMでは、3回終了時点では「少し良くなった」という段階にとどまり、その後も治療を重ねることで症状がさらに改善することがあります。
当院では6回前後で改善を実感される方が多くいらっしゃいます
当院で尿関連GSMの患者さんを診療していると、
- 3回頃から夜間頻尿が減ってきた
- 4回頃から尿意を我慢できるようになった
- 5回頃から尿道周囲の違和感が減った
- 6回頃に尿症状をあまり意識しなくなった
とお話しになる方が多くいらっしゃいます。
そのため、私の臨床経験では、尿関連GSMについては6回前後で十分な改善を実感される方が最も多いと感じています。
ただし、これは当院における臨床的な経験であり、すべての患者さんに6回の治療効果を保証するものではありません。
尿症状の原因や程度、年齢、合併症、骨盤底筋の状態などによって、経過は異なります。
サルバトーレ教授から学んだ「5回」という考え方
私がイタリアで、モナリザタッチの開発初期から研究を牽引してきたサルバトーレ教授から直接学んだ際、教授も症状や病態によっては5回程度の治療が必要になるという考えをお話しされていました。
また、教授らは5回照射を行う治療プロトコールについても報告されています。
「すべての患者さんが3回で終了するわけではない」
「症状に合わせて治療回数を考える」
という考え方は、私が4,300件以上の施術・診療経験を重ねる中で感じてきたこととも一致しています。
特に尿関連GSMでは、腟内だけでなく、尿道口周囲や尿道を支える組織なども関係するため、改善に時間がかかることがあると考えています。
尿もれには種類があります
「尿もれ」と一言でいっても、原因は同じではありません。
咳やくしゃみ、運動時に漏れるものは、主に腹圧性尿失禁です。
急に強い尿意が起こり、トイレまで我慢できず漏れるものは、切迫性尿失禁の可能性があります。
また、GSMによる尿道周囲の萎縮や刺激症状が、尿もれや尿意切迫感を悪化させていることもあります。
モナリザタッチだけで十分な方もいれば、
- 骨盤底筋トレーニング
- エムセラなどの骨盤底治療
- 過活動膀胱の内服治療
- 生活習慣の見直し
- 骨盤臓器脱の治療
を組み合わせた方がよい場合もあります。
尿もれがあるからレーザー、という単純な考え方ではなく、尿もれの種類を診断することが大切です。
3回で良くなった場合こそ、メンテナンスが大切です
3回の治療で症状がかなり改善した場合、
「もう治ったので、次は悪くなってから受ければよい」
と思われるかもしれません。
しかし私は、強い不快感が戻ってから治療を再開するよりも、まだ快適に過ごせているうちにメンテナンスを行う方がよいと考えています。
GSMの背景には、女性ホルモンの低下や加齢があります。
レーザー治療によって組織の状態が改善しても、加齢やホルモン環境そのものがなくなるわけではありません。
症状が完全に元に戻ってから再治療するより、少し変化を感じ始めた段階でメンテナンスを行うことで、よい状態を維持しやすくなると考えています。
メンテナンスの間隔はホームケアでも変わります
メンテナンスは、全員が同じ間隔で受けるものではありません。
治療後に、
- 外陰部や腟入口部の保湿
- 摩擦を避けるケア
- 適切な洗浄
- 腟内環境を整えるケア
- 骨盤底筋のケア
を継続している方は、よい状態を長く維持でき、次の治療までの間隔を延ばせることがあります。
反対に、乾燥や刺激が続いている場合や、ホームケアが難しい場合には、比較的早めのメンテナンスが必要になることもあります。
つまり、モナリザタッチのメンテナンス間隔は、レーザー治療だけで決まるものではありません。
治療後にどのようなケアを続けるかによっても変わります。
抗エストロゲン療法中の乳がん患者さん
乳がんの治療として、
- アロマターゼ阻害薬
- タモキシフェン
- 卵巣機能抑制療法
などの抗エストロゲン療法を受けている方では、外陰部、腟、尿道周囲の乾燥や萎縮が強く現れることがあります。
治療が継続している間は、GSMを起こしやすいホルモン環境も続きます。
そのため、一般的な閉経後の患者さんよりも、症状が再燃しやすく、短い間隔でメンテナンスが必要になる場合があります。
ただし、乳がんの治療内容や症状は一人ひとり異なります。
乳腺科の治療内容も確認しながら、保湿などの非ホルモンケアを組み合わせ、慎重に治療計画を立てます。
高齢の患者さん
高齢の患者さんでは、
- 組織の萎縮が進んでいる
- 外陰部や腟入口部が狭くなっている
- 尿道周囲の変化が強い
- 尿もれや骨盤臓器脱を合併している
- 自宅でのケアが難しい
など、複数の問題が重なっていることがあります。
一方で、夜間頻尿が改善することで睡眠がとれるようになり、生活の質が大きく変わる患者さんもいらっしゃいます。
高齢だから一律に回数を増やすのではなく、現在の症状、診察所見、生活への影響を確認しながら、その方に合った治療間隔を考えます。
当院では一人ひとりに合わせてご提案します
モナリザタッチの治療回数やメンテナンスには、すべての患者さんに当てはまる正解はありません。
当院では、
- どのような尿症状があるか
- その症状がGSMによるものか
- 腟内や尿道口周囲の萎縮がどの程度か
- 3回終了時点でどの程度改善したか
- 骨盤底筋治療や薬物治療が必要か
- ホームケアを継続できているか
- 抗エストロゲン療法を受けているか
- 年齢や合併症
などを確認し、治療回数とメンテナンス時期をご提案します。
まとめ
モナリザタッチは、全員が3回で終了する治療ではありません。
乾燥や軽度のGSMでは、3回で十分に改善する方もいらっしゃいます。
一方、当院の経験では、頻尿、尿意切迫感、尿道口周囲の違和感などの尿関連GSMでは、5~6回程度治療を重ねた時点で、十分な改善を実感される患者さんが最も多いと感じています。
サルバトーレ教授も、症状に応じて5回程度の治療が必要になるという考えを示されており、複数回照射のプロトコールについて報告されています。
そして、3回で症状が改善した方も、強い不快感が戻ってからではなく、まだ状態がよいうちにメンテナンスを行うことが大切です。
保湿や腟内環境を整えるケアによって、メンテナンスの間隔を延ばせる可能性もあります。
抗エストロゲン療法中の乳がん患者さん、高齢の患者さん、尿もれを合併している患者さんでは、症状や病態に合わせた個別の計画が必要です。
当院では、回数だけを機械的に決めるのではなく、診察で経過を確認しながら、
をご提案しています。
5回照射を検討した論文
Athanasiou S, Pitsouni E, Grigoriadis T, et al.
Microablative fractional CO₂ laser for the genitourinary syndrome of menopause: up to 12-month results.
Menopause. 2019;26(3):248–255.
DOI: 10.1097/GME.0000000000001206
PMID: 30252804
著者にはStefano Salvatore教授も含まれています。
研究内容
閉経後GSMの女性94名を対象にした後ろ向き観察研究です。
照射終了後1、3、6、12か月で症状を評価しています。評価には、乾燥・性交痛などのGSM症状に加えて、女性下部尿路症状、尿失禁、排尿関連QOLを評価する質問票も使用されています。
具体的には、
ICIQ-FLUTS:女性下部尿路症状
ICIQ-UI Short Form:尿失禁
UDI-6:排尿に関する困りごと
FSFI:女性性機能
が用いられています。したがって、腟症状だけでなく、尿関連GSMも評価対象に含まれた論文です。
論文の重要な結論
論文では、3回、4回、5回のいずれでもGSM症状は有意に改善しました。
そのうえで著者らは、
4回または5回の照射は、3回照射よりも、短期および長期のGSM症状の強さを軽減する可能性がある
と結論づけています。ただし、4回と5回の間には明確な差は認められませんでした。
さらに臨床的に重要なのは、著者らが、
3回目の照射から1か月後が、4回目以降へ治療を延長するか判断する重要な時期
と述べていることです。
治療回数や尿症状でお悩みの方へ
まず症状の原因と、現在の状態を確認します
頻尿や尿もれがある場合も、モナリザタッチをご希望の場合も、診察で原因と治療の適応を確認したうえで、その方に合う回数や治療の組み合わせをご提案します。
治療内容・料金・注意事項 モナリザタッチの詳しいご案内オンライン診療では、症状や受診先、治療の選択肢についてご相談いただけます。視診・触診・内診・尿検査・レーザー施術はできないため、検査や施術をご希望の場合は来院予約をご利用ください。
2026年8月開催 無料WEBセミナーのご案内
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。



