モナリザタッチが向いている症状・向かない症状|4,200件超の施術経験から医師が解説
更新日:2026.07.27
当院では2019年11月にモナリザタッチを導入し、2026年6月までに累計4,200件を超える施術を行ってきました。
導入当初は、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)による腟の乾燥や萎縮性変化を中心に治療していました。現在では、性交痛、外陰部のかゆみや乾燥感、灼熱感、尿もれ、頻尿、産後の変化など、さまざまな症状についてご相談をいただいています。
多くの患者さんを診察し、施術経験を積み重ねる中で、私が強く感じるようになったことがあります。
モナリザタッチは、すべての症状に同じように適する万能な治療ではありません。
症状によっては有力な選択肢になりますが、感染症や皮膚疾患、子宮・卵巣の病気など、まず別の診断や治療を優先すべき場合もあります。
大切なのは、最初からレーザー治療を前提にするのではなく、「どこに症状があり、何が原因となっているのか」を確認することです。
今回は、4,200件を超える施術経験を通して感じている、モナリザタッチを検討しやすい症状と、レーザーだけでは対応が難しい症状についてお話しします。
この記事で最もお伝えしたいこと
治療名から選ぶのではなく、
症状の原因と痛みの場所を確認してから治療を選ぶことが大切です。
モナリザタッチを受けるかどうかは、
診察所見、症状の背景、ほかの治療との組み合わせまで含めて判断します。
適応を検討しやすいケース
粘膜や外陰部の変化が症状に関係している場合
- GSMに伴う乾燥感やヒリヒリ感
- 腟の入口や腟前庭部の性交痛
- GSMに伴う軽度の尿もれ・頻尿
- 外陰部の乾燥や刺激感
- 産後・加齢に伴う腟のゆるみ
先に診断・別治療を優先するケース
感染症やほかの病気が疑われる場合
- カンジダ、細菌性腟症、性感染症
- 硬化性苔癬などの皮膚疾患
- 腟の奥や下腹部に響く性交痛
- 進行した骨盤臓器脱
- 不安や骨盤底筋の緊張が強い性交痛
モナリザタッチが向いている症状
ここでいう「向いている」とは、必ず治療効果が得られるという意味ではありません。診察で原因や組織の状態を確認し、治療の選択肢として検討しやすい症状を指します。
1.閉経前後・閉経後の乾燥感(GSM)
閉経前後の女性ホルモン低下によって生じるGSMは、モナリザタッチを検討しやすい代表的な状態です。
- 腟や外陰部の乾燥感
- ヒリヒリ感・しみる感じ
- 灼熱感
- 性交時の痛み
- 繰り返す違和感
- 尿道まわりの不快感
女性ホルモンが低下すると、腟や外陰部の粘膜が薄くなり、うるおいや弾力が低下します。モナリザタッチは、このような組織の変化に対して、粘膜や結合組織の再構築を促すことを目的として行う治療です。
ただし、症状や既往歴によっては、保湿、局所ホルモン療法、ホームケアなどを優先または併用することもあります。
2.腟の入口や腟前庭部に生じる性交痛
性交痛は、私が現在もっとも力を入れて診療している分野の一つです。
以前は腟内への照射を中心に行っていました。しかし診察を重ねる中で、痛みの中心が腟の奥ではなく、腟の入口にある「腟前庭部」に認められる患者さんが少なくないことに気付きました。
腟内
乾燥、萎縮性変化、腟内の違和感などを確認します。
腟前庭部
小陰唇の内側や腟口周囲など、挿入時に痛みが生じやすい部位です。
外陰部
乾燥、皮膚の菲薄化、かゆみ、灼熱感などを確認します。
当院では痛みの場所と組織の状態を確認し、適応がある場合には、腟内、腟前庭部、外陰部への照射を使い分けています。
また、レーザーだけで完結させるのではなく、保湿、腟内環境を意識したケア、痛みの評価、セルフケアなどを組み合わせて治療を進めます。
3.GSMに伴う軽度の尿もれ・頻尿
尿もれや頻尿は、骨盤底筋の衰えだけで起こるとは限りません。更年期以降では、腟粘膜や尿道周囲の組織の変化が、排尿時の違和感や尿トラブルに関係していることがあります。
診察の結果、GSMによる腟・尿道周囲の変化が関係していると考えられる場合には、モナリザタッチを治療選択肢の一つとして検討します。
一方で、過活動膀胱、膀胱炎、骨盤底筋の機能低下などが関係している場合には、尿検査、超音波検査、薬物療法、骨盤底筋への治療などが必要です。
4.外陰部の乾燥・かゆみ・灼熱感
外陰部の乾燥によって、かゆみ、ヒリヒリ感、灼熱感、摩擦による痛みなどが生じることがあります。
女性ホルモンの低下や皮膚・粘膜の菲薄化が関係している場合には、外陰部へのレーザー照射を治療選択肢として検討することがあります。
ただし、かゆみの原因には、カンジダなどの感染症、接触皮膚炎、硬化性苔癬などもあります。レーザー治療を行う前に、感染症や皮膚疾患が隠れていないかを確認することが重要です。
5.産後・加齢に伴う腟のゆるみ
出産や加齢に伴う腟のゆるみ、腟内に空気やお湯が入りやすいといった症状についても、ご相談いただくことがあります。
粘膜や結合組織の状態を確認し、適応がある場合には、腟内へのレーザー照射によって組織の状態を整えることを目指します。
ただし、腟のゆるみには骨盤底筋の機能低下や骨盤臓器脱が関係していることもあります。レーザー治療だけでなく、骨盤底筋への治療やほかの治療方法を組み合わせることがあります。
モナリザタッチだけでは難しい症状
次のような症状では、モナリザタッチを最初に行うのではなく、原因となる疾患の診断や治療を優先します。
1.感染症による症状
- カンジダ腟炎
- 細菌性腟症
- 性感染症
- 性器ヘルペス
モナリザタッチによって感染症そのものが治るわけではありません。かゆみ、悪臭、おりものの変化、ただれ、水疱などがある場合は、検査によって原因を確認します。
先に行うこと:検査と診断を行い、必要な抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬などによる治療を優先します。
2.治療が必要な皮膚疾患
- 硬化性苔癬
- 扁平苔癬
- 接触皮膚炎・慢性皮膚炎
- そのほかの外陰部皮膚疾患
外陰部の白色変化、強いかゆみ、ひび割れ、ただれなどがある場合は、皮膚疾患としての評価が必要です。
先に行うこと:皮膚疾患の診断と薬物治療を優先し、レーザーの併用は状態を確認したうえで慎重に判断します。
3.腟の奥や下腹部に響く痛み
性交時に腟の奥や下腹部が痛む場合は、次のような病気や状態が関係していることがあります。
- 子宮内膜症・子宮腺筋症
- 子宮筋腫
- 卵巣嚢腫などの卵巣疾患
- 骨盤内の炎症や癒着
- 骨盤底筋の緊張
- 腸や膀胱周辺の不調
このような深部性交痛では、腟や外陰部へのレーザー照射が第一選択になるとは限りません。
先に行うこと:内診や超音波検査などによって、子宮・卵巣・骨盤内の状態を確認します。
4.進行した骨盤臓器脱
子宮や膀胱、直腸などが下がり、腟から出てくるような進行した骨盤臓器脱を、レーザー治療だけで改善することは困難です。
優先する治療:症状や進行度に応じて、骨盤底筋への治療、ペッサリー、手術などを検討します。
5.不安や恐怖、骨盤底筋の緊張が大きく関係する性交痛
性交痛が続くと、「また痛くなるのではないか」という不安が強くなり、無意識に身体や骨盤底筋が緊張することがあります。その緊張によって、さらに痛みを感じやすくなる場合もあります。
これは単に「気持ちの問題」という意味ではありません。実際の痛み、不安、筋肉の緊張が互いに影響し合っている状態として考える必要があります。
組み合わせる対応:痛みの部位の評価、保湿、無理のないセルフケア、骨盤底筋の緊張を緩める取り組み、段階的なトレーニングなどを組み合わせます。
4,200件を超える施術経験から学んだこと
導入当初は、腟内へのレーザー照射を中心に治療を考えていました。
しかし、多くの患者さんを診察する中で、同じ「乾燥」「かゆみ」「性交痛」という訴えであっても、症状の原因や生じている場所は一人ひとり異なることを改めて実感しました。
感染・炎症
腟炎や性感染症などが隠れていないか
ホルモン・粘膜
女性ホルモン低下や萎縮性変化があるか
痛みの場所
腟前庭部、外陰部、腟内、奥のどこか
皮膚の状態
皮膚炎や白色変化、傷などがないか
神経・筋肉
神経の過敏化や骨盤底筋の緊張がないか
腟内環境
腟内フローラや分泌物の変化がないか
これらを見極めずにレーザー治療だけを行っても、患者さんが抱えている本来の症状に十分対応できないことがあります。
だからこそ私は、治療機器を選ぶことよりも、最初の診察を大切にしています。
当院では診察から治療を組み立てます
症状の場所を確認
乾燥や痛みが、外陰部、腟前庭部、腟内、腟の奥のどこにあるかを確認します。
原因を見極める
感染症、皮膚疾患、ホルモン、婦人科疾患、神経や筋肉などを総合的に考えます。
治療を組み合わせる
適応がある場合にレーザーを選び、薬物療法、保湿、ホームケアなどを組み合わせます。
一人ひとりの原因に合わせた治療を
モナリザタッチは、適応を見極めて使用することで、腟や外陰部の乾燥、萎縮性変化、性交痛などに対する治療選択肢になります。
しかし、本当に大切なのは「レーザーを照射すること」そのものではありません。
当院では、腟内だけでなく、外陰部、腟前庭部、皮膚や粘膜、腟内環境まで含めて状態を確認します。そのうえで、モナリザタッチが適しているのか、別の治療を優先すべきなのかを患者さんと一緒に考えていきます。
「モナリザタッチが自分に合っているのか分からない」「以前治療を受けたけれど、思うような変化を感じられなかった」という方も、まずは症状の場所と原因を整理することから始めましょう。
モナリザタッチについて
- モナリザタッチは自由診療です。
- 料金は、1回55,000円、ポイント照射33,000円、腟前庭部レーザー33,000円です。初診料、再診料、麻酔などが別途必要になる場合があります。価格は税込みです。
- 施術後に痛み、ヒリヒリ感、少量の出血などが生じることがあります。
- 症状の変化や治療への反応には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。
- 施術の適応、料金、治療回数、注意事項は診察時にご説明します。最新情報はモナリザタッチの治療ページをご確認ください。
治療・受診をご検討の方へ
症状に合う治療を、一緒に考えていきます
モナリザタッチを希望される場合も、まずは診察で症状の原因と治療の適応を確認します。
オンライン診療では症状や受診先についてご相談いただけますが、視診・触診・内診・検査・レーザー施術はできません。出血、強い痛み、発熱、急な悪化、できもの・ただれなどがある場合は、来院による診察をご検討ください。
2026年7月開催 無料WEBセミナーのご案内
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。



