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淋菌感染症(淋病)とは? 女性の症状・喉やおりものの異変・検査と治療のポイントを解説!

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おりものの色や性状が、「いつもと違うな」と感じたことはありませんか?

量が多い、色が違う、匂いが強いなど、おりものは女性の健康状態を反映してさまざまに変化します。

もし

「黄色や黄緑色っぽい」
「膿のようなドロっとしたおりもの」
「水っぽいおりものがぽたぽたでる」

などの症状があれば、淋菌感染症(淋病)のサインかもしれません。

淋菌感染症は、自覚症状が少なく気づきにくいものの、放置すると発熱、骨盤腹膜炎、不妊症など重大な病態を引き起こすこともあります。

この記事では、淋菌感染症の症状や感染経路、検査・治療方法まで、女性の視点でわかりやすく解説いたします。

 

淋菌感染症とは?感染のサインは?

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まずは、淋菌感染症がどのようなものなのか、詳しく知っておきましょう。

淋菌感染症の特徴

淋菌(Neisseria gonorrhoeae)という細菌による感染症です。

日本を始め、世界中で感染者数が増加傾向にあります。男女ともにクラミジアに次いで感染者数が多く、とくに、20代〜30代前半の若い世代で注意が必要です。

おおよそ、日本では年間10,000件程度の報告があります。(令和5年:男性7,279件、女性2,395件) (※引用:厚生労働省

男性と比較すると女性の感染者数は少ないのですが、女性は症状がほとんどなく気がつきにくいためだと思われます。

淋菌で重要なのは、クラミジアとの混合感染が多いという点です。

淋菌とクラミジアは症状がやや似ていますが、治療方法は異なるため、しっかりと検査を施行して適切な治療をする必要があります。

淋菌とクラミジアの症状早見表

淋菌感染症 性器クラミジア感染症
原因菌 淋菌 クラミジア
潜伏期間 数日〜1週間程度 1〜3週間程度
感染経路 粘膜の接触、腟分泌液や精液との接触
女性の症状 ・おりものの変化(緑〜黄緑色、膿状)
・下腹部痛
・不正出血
・慢性骨盤痛
・卵管不妊
・おりものの変化(水っぽい、悪臭)
・下腹部痛
・不正出血
・慢性骨盤痛
・卵管不妊
男性の症状 ・尿道のかゆみ・熱感
・尿道から膿が出る
・排尿時痛
・性器全体の腫れ
・尿道のかゆみ
・精巣の腫れ
・発熱
・尿道からの分泌物
また、淋菌に感染していると、HIVへの感染もしやすくなると報告されております。

潜伏期間は?女性の淋菌感染のサインは?

淋菌は、感染している方との1回の性行為で30〜50%の確率で感染すると考えられています。

また、淋菌の潜伏期間は数日〜1週間程度です。

潜伏期間ののち、症状が出たり、他人への感染性も持ったりするようになるのですが、淋菌は症状が出にくく、多くの方が無症状の保菌者となります。

女性が淋菌に感染したときのサインとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • おりものの色が緑や黄緑色になる
  • おりものが膿のようにドロっとする
  • 軽い下腹部痛を感じる
  • 排尿時に痛みを感じる

淋菌との混合感染が多いクラミジアでも、似たような症状を呈します。クラミジアの場合、おりものの匂いが非常に強い点が特徴です。

放置は危険!合併症のリスク

淋菌は、無症状であっても自然に治癒することがないため、放置していると多様な合併症を起こすリスクがあります。

分類 合併症 症状
女性 卵管炎・卵巣炎 卵管や卵巣で炎症を起こした状態。
・発熱
・お腹の張りや痛み
・性交時の痛み
骨盤腹膜炎 感染が骨盤の腹膜まで広がった状態。
・発熱や寒気
・強い下腹部の痛み
・膿のようなおりもの、悪臭
男性 精巣上体炎 精巣に炎症が広がった状態。
・発熱
・陰嚢(いんのう)の腫れ
・歩くのがつらい(歩行困難)
・無精子症
前立腺炎 前立腺に炎症が生じた状態。
・発熱
・倦怠感
・排尿しにくい、頻尿
・排尿時の痛み
・筋肉痛
共通 播種性淋菌感染症 淋菌が血液に乗って全身に広がった状態。
※心膜炎・髄膜炎・肝周囲炎などを伴うこともあります。
・発熱
・倦怠感
・関節の腫れや痛み
不妊 女性:卵管の癒着や閉塞による不妊
男性:精巣上体や精管の閉塞・無精子症により不妊を呈することがあります。

感染が広がり、骨盤腹膜炎や播種性淋菌感染症にまで至ると、入院での点滴による治療が必要になり、治療にも時間がかかってしまいます。

 

感染経路・感染部位の特徴|性行為以外でもうつる?

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淋菌は、基本的には性的な接触(粘膜同士の接触)により感染します。

感染経路は性行為が中心

淋菌は、腟への挿入だけでなく、オーラルセックスでも感染するため、注意が必要です。

淋菌は、人の体から離れると長く生存できないため、性行為以外での感染はほとんどありません。

たとえば公衆浴場やトイレなどの使用で淋菌に感染することは、考えにくいです。ただし、感染した人とタオルや下着を直接的に共有した場合には、感染する可能性もあると思われます。

喉・目へ感染する可能性も

また、淋菌は性器だけでなく、口内(喉)、目などの部位にも感染するという点が特徴です。

実際、性器に淋菌が感染している方の10〜30%は、喉への感染もあることがわかっております

【咽頭淋菌の症状】

喉に淋菌が感染した場合、次のような症状が見られます。

ただし、ごく軽い症状であったり、無症状であったりすることも多いです。「風邪をひいたのかな」と思っていたらいつの間にか症状を感じなくなり、治療に結びつかないケースがよく見られますが、重症化する場合もあります。

・喉が痛い

・喉が腫れている

・扁桃に白苔がついている

・発熱

【淋菌性結膜炎の症状】

淋菌に感染している方の精液や腟分泌液が目に入ると、結膜炎を起こすことがあります。

重症化すると角膜潰瘍などを呈して視力低下につながるため、症状が出たらすぐに眼科へ行くことが大切です。

・充血する

・膿のような目やにが多量に出る

・まぶたが腫れる

性行為のあと手を洗わないうちに目を擦ることや、精液を顔にかける行為は、感染のリスクとなります。

心当たりがないのに感染?その理由と考えられる経路

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性感染症の診察をしていると、「心当たりがないのに」と、不安を感じられる方がとても多いです。

淋菌の場合、次のような理由から、「心当たりのない感染」になってしまっていると思われます。

1.性器への感染、咽頭感染はいずれも無症状の方が多く、見逃されやすいこと

パートナーが無自覚な保菌者だった可能性が考えられます。感染の時期は、特定が難しいです。

2.オーラルセックスでも感染すること

喉へ淋菌が感染している場合、オーラルセックスやディープキスでも感染する恐れがあります。

3.間接的な感染の可能性も否定できないこと

タオルの共有などによる間接的な感染の可能性も、ゼロではありません。

4.性行為時にきちんとコンドームを使用していても感染する場合があること

コンドーム装着時に、すでに手に淋菌が付着していることがあります。

感染で悩まれている方へ

感染してすぐに症状が出るわけではありません。

いつ?誰から?が気になってしまう気持ちは理解できますが、特定は難しいです。

心当たりがない場合、自分を責めすぎず、「治療をして治す」ことを大切にしていただきたいと思います。

 

検査方法と受診タイミング|即日検査も可能?

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淋菌の検査方法はいくつかあります。施設により採用している検査方法は異なります。

当院は、即日検査にも対応しています。

・即日検査

おりものや尿で、淋菌・クラミジアの即日検査が可能です。
15〜30分程度で感染しているかどうかがわかります。基本的に自費による検査となります。

・培養検査

結果が出るまで、数日〜1週間程度かかります。
抗生物質への耐性も調べることができるため、培養検査も重要です。
感染機会からすぐの場合、正確な検査ができないことがあります。

症状のある場合は保険適用で検査が可能です。

・PCR法、TMA法など(核酸増幅検査法)

おりもの、尿、咽頭うがい液から、ごくわずかな淋菌も検出することができる、感度の高い検査方法です。

感染機会の翌日から検査が可能です。症状のある場合は保険適用となります。

 

淋菌感染症の治療法

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淋菌に感染した場合、医療機関での治療が必要です。耐性菌が多いため、点滴治療が有効です。

治療法と耐性菌のリスク

淋菌感染症の治療は、感染部位や重症度により異なります。

・子宮頸管炎(咽頭淋菌の合併も含む)

1回の点滴で治療可能です。

・卵管炎、腹膜炎など

炎症が上行性に広がっている場合は、2週間程度の点滴・内服治療が必要です。膿が溜まっていて感染がコントロールできない場合は、手術が必要になる場合もあります。

淋菌の「耐性化」について

近年は、淋菌の「耐性化」が問題となっております。

きちんと治療を終えないままにしていたり、他の疾患の治療でたまたま抗菌薬を使用したりすることで、淋菌が特定の抗生物質に抵抗力を持ってしまう現象です。

淋菌が、通常使用する抗生物質に耐性化している場合、抗生物質の種類を変えてさらに治療をしなければなりません。

培養検査の結果が出る前に、淋菌だろうと推測して治療を開始する場合もあります。ですが、耐性菌であれば治療は有効でないかもしれません。

抗生物質を使用したからといってそこで通院は終わりではなく、培養検査の結果から抗生物質の選択が有効であること、再検査を施行して、淋菌感染症が治癒したことまでしっかりと確認する必要があることを、ご理解ください。

また、ほかのあらゆる性感染症と同様に、パートナーの方と同時に治療をすることも大切です。

治療中は、治癒が確認されるまで性行為は控えましょう。

市販薬で治る?自己判断のリスク

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淋菌は、市販薬で治療することはできません。

また、市販の腟洗浄剤で洗い流すことも、治療にはなりません。淋菌感染症は、症状が出にくく、いつの間にか症状が出なくなるということもあります。

「カンジダだろう」など自己判断で市販薬を使用しているうちに、なんとなく症状がおさまって、腹腔内に感染が広がってしまうというケースも経験しています。

もし、おりものの色や量、性状などに異変があり、感染症かなと思われたときには、必ず医療機関を受診し、検査を受けてください。

女性は婦人科・産婦人科、男性は泌尿器科がよいと思いますが、週末などで検査できるクリニックが探せない場合は、当クリニックで検査可能です。

 

当院の対応と受診の流れ|安心してご相談ください

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何か症状があって不安な方、定期的な検査をしたい方は、ぜひ当院へいらしてください。

女性医師・女性スタッフのみなので、デリケートゾーンの症状も気兼ねなくご受診いただけます。

【受診の流れ】

・ご予約

初診の方も再診の方も、24時間webでご予約が可能です。保険証をご持参ください。

・問診

いつから、どのような症状があるのかなどをお伺いします。

・内診、検体の採取

おりものなどの状態を確認し、検査に必要な検体(おりもの、尿、咽頭うがい液)を採取します。

即日検査(自費)も可能です。

骨盤内感染症や卵巣膿瘍、卵管膿瘍、子宮留嚢腫が疑われた場合、超音波検査や血液検査をおこなう場合があります。

・治療

症状から原因を推察し、結果が出る前に治療をおこなう場合もあります。
内服薬の場合、院内処方でお渡ししますが、点滴療法をおすすめする場合もあります。

 

よくある質問(FAQ)

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最後に、淋菌感染に関してよくあるご質問にお答えいたします。

Q:喉が痛いのですが、内科で喉は腫れていないと言われました。淋菌の検査をした方がいいですか?

通常の風邪症状と区別がつきにくいため、咽頭淋菌の可能性がある場合は、咽頭淋菌の検査をおすすめします。とくに、痛みが強い場合、発熱している場合は早めの受診が安心です。

Q:パートナーが淋菌感染症でした。私には症状がないのですが、検査や治療は必要ですか?

はい。性行為をしている場合は腟分泌液の培養検査、オーラルセックスをしている場合は、咽頭淋菌の検査をお勧めします。感染していれば治療をした方がよいでしょう。

淋菌感染症は1回の性行為で30〜50%程度の確率で感染します。また、多くの方は無症状です。パートナーが感染している場合、無症状でも検査をおすすめいたします。

Q:心当たりがないのに「淋菌感染症」と言われました。なぜですか?

淋菌による感染症では男女ともに症状が出にくく、無症状のまま何年も経過する場合もあります。

性交経験のある方であれば、いつ感染していてもおかしくありません。また、入浴施設やトイレの共有で感染する可能性もゼロではないため、誰から?いつ?どこで?などを特定するのは難しいです。

しっかり治療して治すことに専念いたしましょう。

Q:おりものが黄色っぽくてニオイが強いです。淋菌の症状でしょうか?

淋菌による症状の可能性はあります。
ですが、トリコモナスやクラミジアによる感染でも、似たような症状が出るため、外観や匂いだけでの特定は難しいです。そのほか、細菌性腟炎や萎縮性腟炎など、性感染症以外の原因も考えられます。

腟分泌液の性病検査をおこない、原因に合わせた治療をおこないましょう。

Q:検査は即日で結果が出ますか?

はい、当院では即日検査もおこなっております。
30分ほどで結果がでますが、結果に時間を要するPCR検査に比べるとやや検出率が低いこと、自費となることをご了承ください。ご希望があれば自費で治療薬の処方も可能です。

 

まとめ

黄色や黄緑色のおりもの、膿のようなドロっとしたおりものは、淋菌感染症の特徴的な症状です。

無症状でも感染しているケースが多いため、少しでも心配な機会があった方、パートナーに感染がわかった方などは、早めに婦人科で検査を受けましょう。

当院では女性医師・女性スタッフによる診療をおこなっており、即日検査も可能ですので、安心してご相談ください。

デリケートゾーンの症状は、「恥ずかしい」という気持ちから受診が遅れがちです。

当院は、医師を含めスタッフはすべて女性ですので、お気軽にいらしてください。
大切な体を守るため、早めのご相談をお待ちしております。

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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