外陰部のかゆみが治らない原因は?更年期・GSMとモナリザタッチによる治療
更新日:2026.07.20
「何年も外陰部のかゆみに悩んでいます」
当院には、このようなご相談で来院される患者さんが少なくありません。
婦人科や皮膚科を受診し、カンジダや細菌感染の治療を受けても改善しない。ステロイドを塗っている間は少し良くなるものの、やめるとまたかゆくなる。
そのような「難治性のかゆみ」に苦しんでいる方がいらっしゃいます。
外陰部のかゆみは、睡眠や仕事、外出、日常生活にも影響するつらい症状です。しかし、相談しづらい場所の症状であるため、「年齢のせいだから仕方がない」「どこに相談しても同じ」と、長い間我慢している方も少なくありません。
この記事でお伝えすること
- 外陰部のかゆみが長引くときに考えられる原因
- 感染症や皮膚疾患がなくても、かゆみが続く理由
- 更年期・GSMと外陰部のかゆみの関係
- 難治性のかゆみに対するCO₂フラクショナルレーザーの可能性
- レーザー治療後のホームケアと腟内環境の考え方
- 早めに婦人科を受診した方がよい症状
目次
外陰部のかゆみは、まず原因を正しく診断することが大切です
もちろん、外陰部のかゆみにはさまざまな原因があります。
考えられるものには、次のような病気や状態があります。
- カンジダなどの真菌感染
- 細菌感染や腟炎
- 湿疹や接触皮膚炎
- 硬化性苔癬などの外陰部皮膚疾患
- 洗浄剤、ナプキン、下着などによる刺激やアレルギー
- 糖尿病などの全身疾患
- 外陰部の腫瘍性病変や外陰がん
Check point
治療を急ぐ病気が隠れていることもあるため、まずは原因を正しく診断することが何より大切です。特に、出血、ただれ、しこり、できもの、強い痛み、急な悪化などを伴う場合は、自己判断で市販薬や外用薬を使い続けず、早めに婦人科を受診してください。
早めに婦人科で確認したい症状
- 外陰部から出血する
- 白く変色した部分や、皮膚が硬くなった部分がある
- ただれ、しこり、できものがある
- 強い痛みや急な悪化がある
- 強い悪臭や、おりものの大きな変化を伴う
- 発熱や強い下腹部痛がある
カンジダなどの治療をしても、かゆみが治らないことがあります
「外陰部がかゆい」と感じると、カンジダを疑う方は少なくありません。
カンジダでは、強いかゆみ、赤み、ヒリヒリ感、白くポロポロしたおりものなどがみられることがあります。
しかし、外陰部のかゆみがあるからといって、すべてがカンジダとは限りません。
細菌性腟症、接触皮膚炎、湿疹、硬化性苔癬、GSMによる乾燥や粘膜の変化などでも、かゆみやヒリヒリ感が起こります。
カンジダの治療を繰り返しても症状が改善しない場合や、検査では感染症が確認されない場合には、別の原因を考える必要があります。
感染症との違いを確認したい方へ カンジダ腟炎・細菌性腟症など、腟炎の原因と症状 かゆみ、おりもの、におい、痛みを伴う場合に考えられる腟炎と、検査・治療について解説しています。感染症や皮膚疾患がなくても、外陰部のかゆみが続くことがあります
診察や検査をしても、明らかな感染症や皮膚疾患が見つからない方もいらっしゃいます。
そのような場合、閉経やホルモン変化に伴う外陰部・腟粘膜の萎縮や乾燥、バリア機能の低下が、症状の背景にあることがあります。
更年期以降は、女性ホルモンであるエストロゲンが低下することによって、外陰部や腟の皮膚・粘膜が薄くなり、乾燥しやすくなります。
粘膜のうるおいや弾力が低下すると、下着との摩擦、汗や尿、洗浄剤などのわずかな刺激にも敏感になり、ヒリヒリ、しみる感じ、ムズムズ感、かゆみなどが起こりやすくなります。
更年期・GSMによって起こることがある症状
このような外陰部・腟・尿路の変化をまとめて、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)と呼びます。
GSMでは、かゆみだけでなく、次のような症状がみられることがあります。
- 外陰部や腟の乾燥
- ヒリヒリ感、灼熱感
- しみる感じ
- 性交痛
- 性交後の痛みや出血
- 頻尿
- 尿もれ
- 排尿時の違和感
- 繰り返す膀胱炎のような症状
更年期に外陰部がかゆくなる原因、セルフケア、感染症や皮膚疾患との違いについては、既存記事で詳しく解説しています。
難治性の外陰部のかゆみには、複数の要因が関係していると考えています
感染症や明らかな皮膚疾患がないにもかかわらず、外陰部のかゆみが長期間続く場合、「原因がない」のではありません。
当院では、次のような複数の要因が重なっている可能性があると考えています。
| 関係する要因 | 考えられる状態 |
|---|---|
| 粘膜バリア機能の低下 | 外部からの摩擦、汗、尿、洗浄剤などの刺激を受けやすくなります。 |
| 皮膚・粘膜の乾燥と萎縮 | 粘膜が薄くなり、わずかな刺激でもヒリヒリ感やかゆみを感じやすくなります。 |
| 神経の過敏化 | 以前は気にならなかった刺激を、ムズムズ感や強いかゆみとして感じることがあります。 |
| 慢性的な炎症 | 掻くことによる傷や刺激が炎症を長引かせ、さらにかゆくなる悪循環につながります。 |
| 血流低下 | 組織の健康状態や修復力に影響し、症状が長引く一因になることがあります。 |
| 腟内環境・マイクロバイオームの変化 | ラクトバチルスや腟内pHの変化が、粘膜のバリア機能や炎症と関係することがあります。 |
外陰部や腟の粘膜が薄くなり、バリア機能が低下すると、神経が外部からの刺激を受けやすくなります。
そのため、以前であれば気にならなかった程度の摩擦や乾燥でも、強いムズムズ感やかゆみとして感じることがあります。
また、かゆい部分を掻くことで粘膜や皮膚が傷つき、炎症が起こり、さらにかゆみが強くなるという悪循環に陥ることもあります。
難治性のかゆみに対するCO₂フラクショナルレーザーという選択肢
このような方に対して、当院ではCO₂フラクショナルレーザー「モナリザタッチ®」による治療を行っています。
私自身、4,200例を超える治療経験の中で、
- 「かゆみが楽になった」
- 「夜ぐっすり眠れるようになった」
- 「かゆみが気にならなくなった」
というお声を数多くいただいてきました。
モナリザタッチは、CO₂フラクショナルレーザーを腟や外陰部の組織に点状に照射し、熱刺激によって組織の再構築を促す治療です。
レーザー照射後には、次のような組織変化が報告されています。
- 上皮の成熟と上皮厚の回復
- コラーゲン・エラスチンの新生
- 新生血管形成による微小循環の改善
- 慢性炎症の軽減
- 神経終末を取り巻く組織環境のリモデリング
CO₂フラクショナルレーザーは、これら複数の病態に同時に作用する点が大きな特徴です。
なぜレーザーで外陰部のかゆみが改善するのでしょうか
かゆみが改善する作用については、まだすべてが解明されているわけではありませんが、現在考えられている理由はいくつかあります。
薄くなった上皮と粘膜バリアの回復
まず、レーザーによって粘膜の再生が促され、薄くなった上皮が厚みを取り戻します。
上皮や粘膜のバリア機能が回復することで、神経が外からの刺激を受けにくくなり、わずかな摩擦や乾燥によって感じていたムズムズ感やかゆみが軽減すると考えられています。
コラーゲン・エラスチンと血流の変化
新しいコラーゲンやエラスチンが作られ、血流が改善することで、組織そのものの健康状態が回復していきます。
また、神経終末を取り巻く組織環境が再構築されることによって、過敏になっていた感覚が落ち着く可能性も考えられます。
CO₂フラクショナルレーザーについて モナリザタッチの仕組み・治療内容・料金を確認する 粘膜や組織の再構築に関する研究、当院の治療方針、施術の流れ、治療回数、料金、注意点をご案内しています。腟内環境とラクトバチルスの変化も注目されています
さらに近年注目されているのが、腟内環境、いわゆるマイクロバイオームの変化です。
レーザー治療後には、上皮の成熟に伴ってグリコーゲンが増え、ラクトバチルスが増加しやすい環境になることが報告されています。
ラクトバチルスは、乳酸を作ることで腟内を弱酸性に保ち、病原性のある細菌が増えにくい環境を整えます。
また、炎症を抑え、粘膜の健康やバリア機能を維持するうえでも重要な役割を担っています。
レーザー照射後に腟内pHが改善し、ラクトバチルスが増加したという報告もあり、粘膜の成熟とマイクロバイオームの正常化が、バリア機能や炎症の制御を介して、症状改善に関係している可能性が考えられます。
腟内環境を詳しく知りたい方へ ラクトバチルスの働きと腟内フローラの関係 ラクトバチルスが腟内を弱酸性に保つ仕組みや、かゆみ・ヒリヒリ・おりものとの関係を解説しています。院長の臨床的な考え方
GSMと難治性のかゆみを、粘膜・神経・免疫・血流・マイクロバイオームから考える
私は、GSMを単なる「ホルモン低下による萎縮」としてだけ捉えているわけではありません。
として捉える必要があると考えています。
また、難治性の外陰部掻痒症についても、単に皮膚表面の問題やコラーゲンの減少だけではなく、粘膜バリア、神経、免疫、血流、腟内環境や外陰部マイクロバイオームが複雑に関係していると考えています。
そのため、レーザーの作用を単なる「コラーゲン再生」に限定するのではなく、
として捉えるべきではないかと考えています。
難治性外陰部掻痒症は、患者さんのQOLを著しく低下させる一方で、有効な治療選択肢が限られている領域です。
CO₂フラクショナルレーザーは、その病態に対する新たなアプローチとして、今後さらに検討される価値のある治療法であると考えています。
今後の研究で明らかにしたいこと
一方で、外陰部掻痒症そのものを主要評価項目とした前向き研究は、まだ十分とは言えません。
今後、かゆみの程度を評価する掻痒VAS、Vaginal Health Index(VHI)、腟内pH、ラクトバチルス評価に加えて、神経マーカーであるPGP9.5、CGRP、Substance Pや、炎症性サイトカインなどを組み合わせた前向き研究が行われれば、外陰部のかゆみに対するレーザー治療の位置づけが、さらに明確になることが期待されます。
当院では、これまでの診療経験を生かしながら、患者さんの症状だけでなく、粘膜、神経、炎症、血流、腟内環境を総合的に評価する診療を目指しています。
レーザー治療後のホームケアも重要です
私は、レーザー治療だけで終わるのではなく、その後の保湿や、腟内環境を整えるホームケアを組み合わせることが、症状を長く安定させるために大切だと考えています。
外陰部・腟まわりの状態を整えるためには、次のような日常的なケアも重要です。
- 洗いすぎや強い摩擦を避ける
- デリケートゾーンに配慮した洗浄料を使う
- 泡でやさしく洗う
- 乾燥する場合は保湿する
- 蒸れや摩擦を起こしにくい下着を選ぶ
- 香料や清涼成分など、刺激の強い製品を避ける
- 自己判断で市販薬やステロイドを長期間使い続けない
- 腟内環境やラクトバチルスを意識したケアを行う
当院独自のホームケア「EBINEシリーズ」
当院では、症状や粘膜の状態に応じて、外陰部の洗浄、保湿、皮膚・粘膜のバリアケア、腟内環境を整えるためのホームケアもご案内しています。
レーザー治療後のホームケアや、ラクトバチルスを意識した腟内環境の維持も、治療の重要な一部であると考えています。
すべての外陰部のかゆみにレーザー治療が適しているわけではありません
もちろん、すべての外陰部のかゆみにレーザー治療が適しているわけではありません。
感染症や皮膚疾患が原因であれば、それぞれに適した検査や治療を優先する必要があります。
また、外陰部のただれ、白い変化、しこり、出血などがある場合には、硬化性苔癬や腫瘍性病変などが隠れていないかを確認することが大切です。
診察によって原因を整理し、粘膜の萎縮や乾燥、バリア機能の低下が関係していると判断された場合に、CO₂フラクショナルレーザーが治療の選択肢となります。
次のような方は一度ご相談ください
- 何年も外陰部のかゆみが続いている
- 婦人科や皮膚科を受診しても改善しない
- カンジダの治療を繰り返している
- ステロイドをやめるとかゆみが再発する
- 検査をしても原因がはっきりしない
- 夜眠れないほどかゆい
- 外陰部の乾燥やヒリヒリ感もある
- 更年期以降に症状が強くなった
- 薬以外の治療方法についても相談したい
Check point
「どこへ行っても原因がはっきりしない」
「薬を塗り続けても改善しない」
「何年も同じ症状で悩んでいる」
という方には、CO₂フラクショナルレーザーが新しい選択肢となることがあります。
「年齢のせいだから仕方がない」と諦める必要はありません。
女性の外陰部や腟の健康は、睡眠や仕事、外出、性生活など、毎日の生活の質に大きく影響します。つらいかゆみでお悩みの方は、一人で我慢せず、ぜひ一度ご相談ください。
外陰部のかゆみが続く方へ
治らない外陰部のかゆみをご相談ください
まずは感染症や皮膚疾患などの原因を確認し、症状や粘膜の状態に合わせて、治療やホームケアをご提案します。「どこへ相談すればよいか分からない」という方も、一人で我慢せずご相談ください。
出血、強い痛み、ただれ、しこり、急な悪化などがある場合は、触診や検査ができる対面診療をご案内します。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。



