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デリケートゾーン

外陰部が白く・硬く・かゆい…それ“硬化性苔癬”かも?症状と治療法を婦人科女医が解説。

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外陰部が白く・硬く・かゆいその症状、放置していませんか?

「デリケートゾーンの皮膚がなんだか白っぽくて、かゆみが続く」

「カンジダ症かと思って市販薬を使ったけれど、一向に良くならない」

そんな経験はありませんか?誰にも相談できず、一人で悩みを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。

実は、こうした症状の裏に硬化性苔癬(こうかせいたいせん)という皮膚の病気が隠れていることがあります。

インターネットで画像検索をして、不安な気持ちになった方もいるかもしれませんが、ご安心ください。硬化性苔癬は、早期に正しく診断・治療すれば、症状をきちんとコントロールできる病気です。

この記事では、多くの女性の悩みに寄り添ってきた婦人科医が、硬化性苔癬の症状や原因、似た病気との違い、そして具体的な治療法まで、専門的な内容を分かりやすく解説します。

 

硬化性苔癬とは?

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硬化性苔癬とは、皮膚が慢性的な炎症を起こすことで、白く・薄く・硬くなり、次第に萎縮(いしゅく)していく病気です。

主に外陰部や肛門の周りに発症し、強いかゆみを伴うことが多くあります。更年期以降の女性に多く見られますが、ホルモンバランスや免疫の状態によっては若い世代でも発症することがあります。

大切なポイントは以下の通りです。

  • 感染症ではないので、他人にうつることはありません。
  • 放置しても自然に治ることはなく、症状をコントロールするためには医療機関での治療が必要です。

婦人科?皮膚科?どちらを受診すればいい?

硬化性苔癬は婦人科・皮膚科のどちらでも診療可能ですが、外陰部の症状は他の婦人科系疾患との鑑別も重要になるため、まずは婦人科で診察を受けることをおすすめします。

当院のように、デリケートゾーンの悩みに精通した女性医師が在籍するクリニックなら、安心してご相談いただけます。

硬化性苔癬の症状と見た目(セルフチェック)

硬化性苔癬は、進行度によって見た目や自覚症状が変化します。

「外陰部が白い粉を吹いたように見える」

「ヒリヒリ・ピリピリとした痛みを伴う」

「なんだかデリケートゾーンが硬い気がする」

などの訴えで受診される方もいます。ご自身の状態と照らし合わせてみてください。

見た目の変化

  • 白くツヤツヤ・テカテカして見える
    初期症状として、皮膚が白っぽくなり、光沢を帯びることがあります。

  • 皮膚が薄くなる
    炎症によって皮膚が菲薄化(ひはくか)し、細かなシワが減って、つるっとした見た目になります。

  • 進行するとデリケートゾーンが硬くなる
    進行すると、皮膚が硬化・萎縮し、ひきつれたような見た目になったり、小陰唇が小さくなったりします。

自覚症状

  • 我慢できないほどの強いかゆみ
    特に夜間や就寝中に悪化する傾向があります。

  • ヒリヒリとした痛みや灼熱感

  • 性交痛や排尿時のしみる感覚

  • 皮膚が裂けやすい
    皮膚が薄く脆くなり、下着との摩擦や少し掻いただけでも白い皮膚がめくれるように裂け、出血することがあります。

進行段階の見た目と症状

段階 見た目の特徴 主な自覚症状
初期 皮膚が白っぽく粉を吹いたようになる。かすかに光沢がある。 軽いかゆみ、乾燥感、時々ヒリつく。
中期 白さが際立ち、ツヤが出て薄くなる(羊皮紙様)。 強いかゆみ、掻き壊しによる痛み、ヒリヒリ感。
進行期 皮膚が硬化・萎縮し、ひきつれが見られる。小陰唇の癒着や腟口の狭窄。 慢性的な痛み、性交痛、排尿困難・排尿痛。

なぜ起こるの?

硬化性苔癬の正確な原因は、残念ながらまだ完全には解明されていません。

しかし、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

1,女性ホルモン(エストロゲン)の低下

特に閉経後の女性に多いことから、エストロゲンの減少が皮膚のバリア機能低下に関わっていると推測されています。

2,自己免疫反応

何らかのきっかけで、自身の免疫システムが正常な皮膚細胞を誤って攻撃してしまうという説です。

3.遺伝的要因

家族内での発症報告もあり、遺伝的ななりやすさが関与する可能性が指摘されています。

4.物理的な刺激

下着による摩擦や、かゆみによる掻き壊しが症状を悪化させる引き金になることがあります。

Check Point

特に「掻く」という行為は、皮膚の炎症をさらに悪化させ、症状を進行させる悪循環を生み出します。

かゆみと炎症の悪循環

このサイクルを断ち切ることが治療の鍵です!
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どの年代にも起こる?(年代別特徴)

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・閉経後女性に多い理由

閉経期を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少し、外陰部の皮膚は薄く、乾燥しやすくなります。これにより、皮膚のバリア機能が低下し、わずかな刺激でも炎症を起こしやすくなるため、硬化性苔癬が発症・悪化しやすいと考えられています。

「萎縮性腟炎」や「外陰部乾燥症」を併発しているケースも少なくありません。

 ・若い女性にも起こることがある

硬化性苔癬は、決して高齢者だけの病気ではありません。20代や30代で発症するケースもあります。

若い世代の場合は、アトピー性皮膚炎などのアレルギー素因、免疫バランスの乱れ、あるいはデリケートゾーンの洗いすぎやタイトな下着による慢性的な刺激が要因となることも考えられます。

「まだ若いから大丈夫」と思い込まず、年齢に関わらず症状があれば専門医に相談することが大切です。

 

似た症状を起こす病気との違い(鑑別ポイント)

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外陰部が白くなったり、かゆみが出たりする病気は硬化性苔癬だけではありません。

自己判断は禁物です。

疾患名 主な症状・見た目 硬化性苔癬との違い
扁平苔癬(へんぺいたいせん) 白いレース状・網目模様、ただれ(びらん)、強い痛み。 粘膜部分に発症しやすく、かゆみより痛みが主体。同じく自己免疫が関与。
萎縮性腟炎 白っぽく乾燥、ヒリヒリ感、性交痛、出血しやすい。 主に腟内から腟口にかけての症状が中心。エストロゲン低下が主な原因。
尋常性白斑(しろなまず) 皮膚の色素が抜け、境界明瞭な白い斑点が現れる。 かゆみや痛み、硬化といった炎症症状はない。見た目の変化のみ。
慢性皮膚炎(掻き壊し) 掻くことで皮膚が厚く(肥厚)、白っぽく見えることがある。 皮膚の硬化や萎縮はなく、掻くのをやめて適切に治療すれば改善しやすい。

※「白いから硬化性苔癬」とは限りません。

これらの病気を正確に区別するためには、専門医による視診が不可欠です。診断を確定するために、皮膚生検(局所麻酔をして皮膚の一部を採取し、顕微鏡で調べる検査)を行うこともあります。

>>デリケートゾーンの皮膚が白い・かゆい症状でお悩み方へ

 

放置するとどうなる?(進行・合併症)

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・どのくらいの期間で進行する?

硬化性苔癬は、数カ月〜数年単位で少しずつ進行するケースが多く、ご自身では変化に気づきにくいこともあります。だからこそ、初期のかゆみや違和感を見逃さず、早期に専門医に相談することが大切です。

・進行によるリスク

硬化性苔癬は良性の疾患ですが、治療せずに放置すると、症状が慢性化し、生活の質(QOL)を大きく損なう可能性があります。

  • 皮膚の変形
    炎症が続くと、皮膚の硬化や萎縮が進行します。小陰唇が小さくなったり、クリトリスが包皮に埋もれてしまったり、腟口が狭くなったりすることがあります。

  • 排尿・性交障害
    尿道口や腟口が狭くなることで、「排尿しにくい」「性交時に痛みがある」といった深刻な問題につながります。

  • 皮膚がんのリスク
    非常に稀ですが、長期間にわたる慢性的な炎症が原因で、皮膚がん(有棘細胞がん)が発生することが報告されています。

 ・医師からの補足

「がんになる」と聞くと非常に怖く感じるかもしれませんが、過度に心配する必要はありません。

これは何年も放置された場合に考えられるリスクであり、定期的に診察を受け、きちんと治療で炎症をコントロールしていれば、がん化のリスクは大幅に抑えることができます。

「怖い病気」ではなく、「治療でうまく付き合っていく慢性疾患」と捉えましょう。

 ・診断の流れ

当院では、患者様のプライバシーに最大限配慮し、安心して診察を受けていただける環境を整えています。

 ▼問診

いつから、どのような症状があるか、これまでの経緯などを詳しくお伺いします。

▼視診

医師が外陰部の皮膚の状態を丁寧に観察します。ほとんどの場合、特徴的な見た目から診断が可能です。

▼皮膚生検(必要な場合)

診断を確定するため、あるいは他の病気(特にがん)との鑑別が必要な場合に、局所麻酔をして米粒ほどの大きさの皮膚を採取し、病理検査に提出します。

Check Point

経験豊富な女性医師が診察を担当しますので、デリケートな悩みも気兼ねなくご相談ください。

 

治療法

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硬化性苔癬の治療は、炎症とかゆみを抑え、症状の悪化を防ぐことが目的です。

 第一選択:ステロイド外用薬

最も効果的で標準的な治療は、ステロイドの塗り薬です。

炎症を強力に抑えることで、つらいかゆみを和らげ、皮膚の硬化や白色化の進行を食い止めます。

「ステロイドは怖い」

というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、専門医が患者様一人ひとりの症状に合わせて薬の強さや塗り方、塗る期間を細かく指導しますので、副作用の心配はほとんどありません。医師の指示通りに使えば、安全に長期的なコントロールが可能です。

補助療法・併用ケア

ステロイド外用薬の効果を高め、再発を防ぐために、以下のようなケアを併用することがあります。

  • 保湿剤
    皮膚のバリア機能をサポートし、乾燥を防ぎます。

  • 腟エストロゲン外用薬
    萎縮性腟炎を合併している場合に有効です。

  • レーザー治療(例:モナリザタッチなど)
    腟や外陰部の皮膚に潤いと弾力を取り戻し、萎縮した組織をふっくらさせる効果が期待できます。

 治療でどこまで良くなる?

治療を始めると、まず数週間でつらかったかゆみが驚くほど軽くなります。

その後、時間をかけて皮膚の硬さや白さも少しずつ改善していきます。

完全に元の皮膚に戻るわけではありませんが、かゆみや痛みといった不快な症状がなくなり、違和感なく快適に日常生活を送れるようになることが治療のゴールです。

治療期間 変化の様子 生活上のポイント
1〜2週間 かゆみが大幅に軽減される。 掻かないことを意識する。医師の指示通りに薬を塗る。
1〜2カ月 皮膚のツヤや白さが改善してくる。裂けにくくなる。 保湿ケアを継続する。下着の素材などにも気を配る。
3〜6カ月以降 症状が安定する。見た目も改善する。 自己判断で薬をやめず、定期的に通院して再発を予防する。

この症状があれば受診を(受診勧奨チェックリスト)

一つでも当てはまる項目があれば、放置せずに婦人科への受診を強くおすすめします。

□ 2週間以上、デリケートゾーンのかゆみが続いている

□ 皮膚が白っぽく、硬い、あるいはツヤツヤしている

□ 性交時や排尿時に痛みや、しみる感じがある

□ 保湿剤や市販のカンジダ薬を使っても改善しない

□ 少しの刺激で皮膚が裂けたり、出血したりする

早期発見・早期治療が、症状の悪化を防ぎ、快適な生活を取り戻すための最も大切な一歩です。

 

日常生活で気をつけたいセルフケア

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治療と並行して、日々の生活習慣を見直すことも症状の安定につながります。

1.洗いすぎない

ゴシゴシ洗いは禁物。ぬるま湯で、なでるように優しく洗いましょう。

2.専用ソープを使う

洗浄力の強いボディソープは避け、弱酸性で低刺激のデリケートゾーン専用ソープを選びましょう。

3.通気性の良い下着を選ぶ

締め付けが少なく、通気性の良いコットン(綿)素材の下着がおすすめです。

4.掻かない工夫

かゆい時は、掻かずに保冷剤などで冷やすと和らぐことがあります。

5.性交痛は我慢しない

潤滑ゼリーを使用したり、痛みが強い場合は無理をせず、パートナーに相談し、医師にも伝えましょう。

 再発を防ぐために【長期的なケアの重要性】

硬化性苔癬は、高血圧や糖尿病のように、症状が良くなっても「完治」するわけではなく、うまく付き合っていく必要のある慢性疾患です。

 症状が落ち着いても自己判断で治療を中断してしまうと、再発する可能性があります。

 当院では、治療によって症状が安定した後も、36カ月に一度の定期的な診察を通じて、再発の兆候や皮膚の変化がないかを長期的にサポートしています。

医師と一緒にご自身の皮膚の状態を継続的にモニタリングしていくことが、何よりの安心につながります。

 

よくある質問(FAQ

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Q1. 硬化性苔癬はうつりますか?

A1. いいえ。感染症ではなく、自己免疫やホルモン変化が関係する非感染性の病気です。性交渉や入浴などで他人にうつることは一切ありません。

Q2. 硬化性苔癬は完治しますか?

A2. 完全に元の皮膚に戻る「完治」を目指すというよりは、症状をコントロールし、快適な状態を維持していく病気です。外用薬と定期的な診察で、かゆみや痛みのない生活を送ることは十分に可能です。

Q3. ステロイドの塗り薬を長く使っても大丈夫ですか?

A3. 専門医の指導のもと、適切な強さと量を守って使用すれば安全です。医師が皮膚の状態を定期的に確認しながら、薬の強さや塗る回数を調整しますのでご安心ください。

 Q4. 自然に治りますか?

A4. 残念ながら、自然治癒することはなく、放置すると徐々に進行する可能性があります。症状をコントロールするためには、医療機関での適切な治療が必要です。

 Q5. かゆみがなくなったら、薬をやめてもいいですか?

A5. かゆみがなくなっても、皮膚の内部ではまだ炎症がくすぶっていることがあります。自己判断で中断すると再発のリスクが高まりますので、必ず医師の指示に従ってください。

 

医師からのメッセージ

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カンジダが治らない」と受診された方が、実は硬化性苔癬だった、というケースは少なくありません。

デリケートな部分の悩みは、恥ずかしさや不安から我慢してしまいがちですが、硬化性苔癬は、正しく診断し、適切な治療を続ければ、症状を安定させて快適な生活を送ることができる病気です。 

早期に診断がつけば、それだけ治療の効果も早く、皮膚の変形を防ぎ、再発予防にもつながります。どうぞ一人で悩まず、私たち専門家にご相談ください。

 まとめ

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最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。

  • 外陰部の皮膚が白く・硬く・かゆい場合、硬化性苔癬の可能性があります。
  • カンジダ症、扁平苔癬、萎縮性腟炎など、似た症状の病気との鑑別が非常に大切です。
  • 放置すると症状が悪化し、生活の質を損なうため、必ず婦人科を受診しましょう。
  • 正しい治療(主にステロイド外用薬)で症状は安定し、快適な日常生活を取り戻すことができます。

 早期に受診することで、症状の悪化や皮膚の変形を防ぎ、治療もよりスムーズに進めることができます。

 症状が続いている、あるいは皮膚の変化が気になる方は、一日でも早い受診が安心への第一歩です。

 

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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