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モナリザタッチ(腟レーザー)

腟ハイフ(HIFU)とモナリザタッチの違い|効果・料金・安全性を比較

患者さまからよくいただくご質問

「腟ハイフは、腟レーザーより深い層まで届くので、腟のゆるみに効果が高いのでしょうか?」

「膣ハイフは1回の施術で効果が長く持続するなら、モナリザタッチより費用対効果はよいですか?」

「腟のゆるみ、尿漏れ、乾燥、性交痛には、どの治療を選べばよいですか?」

診療の中で、このようなご質問をいただくことがあります。

腟ハイフ(腟HIFU・膣ハイフ)は、専用プローブを腟内に挿入し、集束超音波を用いて設定した深さの組織に熱エネルギーを集中させる治療です。国内では、腟のゆるみ、お湯漏れ、尿漏れ、乾燥、性交痛など、幅広い悩みを対象とした自由診療として提供されています。

一方、モナリザタッチは、フラクショナルCO₂レーザーを腟内に照射し、主として腟壁の粘膜表層、粘膜固有層に働きかける治療です。こちらも自由診療として提供されています。

両者を比べるときに重要なのは、「どちらが深く届くか」だけではありません。

腟のゆるみや尿漏れ、乾燥、性交痛は、すべて同じ組織の変化によって起こるわけではないからです。

この記事で最もお伝えしたいこと

治療では、症状の原因となる組織を確認し、その組織に適した方法で、安全かつ再現性をもって働きかけられるかを考える必要があります。

当院でも、腟HIFU機器の導入を検討したことがありました。国内で流通している代表的な機器の資料や臨床研究を確認しましたが、当時は、適切な焦点深度、比較試験、周囲臓器への影響、長期的な安全性を判断するための情報が限られていました。

このため、当院では医学的な研究の蓄積があるモナリザタッチを2019年に導入し、診察で適応があると判断した患者さまに、モナリザタッチの施術を4,300件ご提供させていただいております。

本記事における「腟HIFU」と機器名の扱い
腟HIFUには複数の機器があり、焦点深度、出力、プローブ構造、照射範囲、施術回数が異なります。
本記事は特定の製品を否定することを目的とするものではありません。腟HIFUという治療の特徴と研究状況を整理し、使用機器を確認できる臨床研究については、医学的な正確性のため製品名を明記しています。

本記事の比較パートでは、腟HIFU・モナリザタッチともに主として腟内治療を取り上げます。

この記事の結論

腟HIFUとモナリザタッチを検討するときに、まず知っておきたいことは次のとおりです。

  • 腟HIFUは、設定した深さに集束超音波の熱作用を与える治療です。
  • 腟HIFUを使用した小規模な研究では、腟の締まり感、GSM、性機能、尿失禁などの指標で改善が報告されています。
  • 一方、機器、焦点深度、出力、照射範囲、施術回数が統一されておらず、偽照射との比較試験や長期的な安全性評価は限られています。
  • 熱エネルギーを深く届かせることが治療の特徴ですが、一つのプローブやカートリッジでの深さを選択する必要があり、深い組織に熱を届けられることがそのまま高い効果を意味するものではありません。
  • 腟壁の厚さには個人差・部位差があり、前方には尿道と膀胱、後方には直腸が近接しています。
  • モナリザタッチを含むフラクショナルCO₂レーザーには、ヒト腟組織の研究、前向き研究、無作為化比較試験、偽照射試験、システマティックレビューがあります。
  • ただし、モナリザタッチを含むフラクショナルCO₂レーザーの研究結果も、すべて一致しているわけではありません。
  • 腟HIFUとモナリザタッチを直接比較し、どちらが優れているかを示した質の高い試験は確認できません。
  • 腟のゆるみを対象に研究されている治療には、腟HIFUやCO₂レーザー以外に、Er:YAGレーザーや高周波(RF)もあります。現時点で「最も有効な機器」が確立しているわけではありません。
  • 骨盤底筋の低下や骨盤臓器脱が主な原因である場合は、モナリザタッチでも腟HIFUでもなく、骨盤底筋治療や専門的な治療を優先します。

結論

「腟HIFUは深く届くから優れている」とも、「モナリザタッチは研究が多いから必ず効果がある」とも断定できません。

当院では、診察によって症状の原因を見極め、標的となる組織、治療の作用、研究の蓄積、安全性、患者さまの希望を踏まえて治療を選択することを大切にしています。

腟のゆるみとGSMは、同じ状態ではありません

腟HIFUとモナリザタッチは、同じ「腟の治療」として比較されることがあります。しかし、両者が主に研究されてきた症状や治療目的には違いがあります。

腟のゆるみ

「腟が広がった感じがする」「以前より締まりにくい」「入浴後にお湯が漏れる」といった自覚症状です。背景には、次のような要因が考えられます。

  • 出産後の腟壁や会陰の変化
  • 腟壁の結合組織や弾力の変化
  • 骨盤底筋の筋力低下
  • 骨盤臓器脱
  • 腟入口部の拡大
  • 閉経後の粘膜・組織変化

GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群/Genitourinary Syndrome of Menopause)

GSMは、閉経前後の女性ホルモン低下によって起こる、腟・外陰部・尿まわりの症状の総称です。主な症状には、次のようなものがあります。

  • 腟や外陰部の乾燥
  • ヒリヒリ感、灼熱感
  • かゆみ
  • 潤滑不足
  • 性交痛
  • 頻尿、尿漏れ
  • 排尿時の違和感
  • 繰り返す膀胱炎

腟のゆるみとGSMが同時に起こることもありますが、必ずしも同じ原因・病態によるものではありません。

モナリザタッチを含むフラクショナルCO₂レーザーの研究蓄積の中心は、腟弛緩そのものよりも、GSM、外陰腟萎縮、乾燥、性交痛、粘膜・結合組織の変化です。

一方、腟HIFUは、腟のゆるみへの対応や深部組織への熱作用を主な特徴として案内されることがあります。

そのため、単純に「どちらがより腟を締めるか」という一つの軸だけで比較することは適切ではありません。

腟HIFUとモナリザタッチの違い

比較項目 腟HIFU モナリザタッチ
使用するエネルギー 集束超音波(HIFU/MFU) フラクショナルCO₂レーザー
主に働きかける領域 機器・カートリッジで設定した焦点深度の組織 腟壁の粘膜表層、粘膜固有層
主に研究されてきた症状 腟弛緩、性機能、尿失禁、GSMなど GSM、腟萎縮、腟乾燥、灼熱感、性交痛、尿症状など
深さの考え方 1.5mm、3.0mm、4.5mmなど、固定された焦点深度 出力、パルス時間、照射密度、照射部位などを調整
骨盤底筋への作用 骨盤底筋を反復収縮させて鍛える治療ではない 骨盤底筋を反復収縮させて鍛える治療ではない
組織学的研究 機器によって異なる。個別機器固有の組織学的研究は限られる 10以上あり
無作為化比較試験・偽照射試験 機器固有の質の高い比較試験は限られる 10以上あり
世界的な導入状況 Ultra Veraを含む製品別の世界累計導入台数の公式公開情報は確認できず[8][45] DKSHから当院への提供情報では世界6,000台以上[15]

比較表の読み方
この比較表では、腟HIFUとモナリザタッチの違いを分かりやすくするため、どちらも主として腟内から腟壁に対して行う治療として比較しています。

腟HIFUには複数の機器があり、焦点深度や出力、施術方法などが異なるため、研究結果は使用された機器ごとに確認する必要があります。

なお、実際の診療では、腟HIFU・モナリザタッチともにプローブを変更して、腟内以外の部位へ施術されることがあります。 腟HIFUでは大陰唇への外側照射、モナリザタッチでは腟前庭部・外陰部・尿道口周囲などへの照射が行われる場合があります。本記事の比較では主に腟内治療を扱い、当院のモナリザタッチの治療部位については後半で詳しくご紹介します。

腟HIFUとはどのような治療ですか?

HIFUは「High Intensity Focused Ultrasound」の略で、高強度または高密度焦点式超音波と呼ばれます。

超音波エネルギーを一点へ集中させ、組織の表面ではなく、あらかじめ設定した深さに熱作用を与える技術です。

腟HIFUでは、専用プローブを腟内へ挿入し、機器ごとに設定された深さへ照射されます。

一般には、熱作用によって組織の収縮やコラーゲンの再構築を促し、腟の引き締まりや弾力の改善を目指す治療として説明されています。

HIFUの技術は、どのように腟へ応用されたのか

HIFUは、もともと顔の美容治療として生まれた技術ではありません。

1940年代から、集束超音波によって体内の限られた領域へ組織変化を起こす研究が始まり、その後、神経外科、前立腺、肝臓、子宮筋腫などの治療へ応用されました。

2000年代以降には、設定した深さに熱凝固点を形成する技術が、顔のたるみやリフトアップなどの美容医療にも展開されました。

一部の商用腟HIFU機器は、美容医療で用いられてきた深度別カートリッジや集束超音波技術を、腟内用プローブへ展開して開発されています。

ただし、顔の皮膚、皮下組織、SMASと、腟粘膜、結合組織、平滑筋、周囲臓器は解剖学的に異なります。

そのため、顔で使われてきた深度設定を、腟へそのまま当てはめられるわけではありません。

腟HIFUは骨盤底筋を鍛える治療ではありません

腟HIFUは、設定した深さへ熱作用を与える治療です。

骨盤底筋トレーニングの医療機器(エムセラ)のように、筋肉へ反復的な収縮を起こして骨盤底筋を鍛える治療とは、作用が異なります。

骨盤底筋の筋力低下がゆるみや尿漏れの主な原因である場合は、骨盤底筋トレーニング、医療機器エムセラ、ホームケアの医療機器エリトーンなどを検討することをお勧めします。

腟HIFUは国内でどのような目的で提供されていますか?

国内の複数の導入医療機関の公開ページを確認すると、腟HIFUは主に次のような悩みを対象とした自由診療として提供されています。HIFUの研究データは少ないのですが、その効果は、それぞれの医師や施設の臨床経験に基づくものと思われます。

  • 出産後や加齢による腟のゆるみ
  • 入浴後のお湯漏れ、腟からの空気漏れ
  • 腹圧性尿失禁などの尿漏れ
  • 腟の乾燥、不快感
  • 性交痛
  • 性交時の感覚や満足度

なお、一部の医療機関では、腟内へのHIFU照射とは別に、大陰唇へ外側から照射する「大陰唇タイトニング」を、追加メニューまたは独立した施術として案内しています。腟内のゆるみを対象とする腟HIFUとは照射部位が異なり、使用するプローブやカートリッジ、料金も別に設定される場合があります。そのため、大陰唇への外側照射と腟内HIFUは分けて考える必要があります。

たとえば尿漏れでも、骨盤底筋の筋力低下、尿道支持組織の障害、GSM、過活動膀胱、膀胱炎、骨盤臓器脱では、必要な治療が異なります。

性交痛も、GSMによる乾燥、腟前庭部痛、感染症、皮膚疾患、骨盤底筋の過緊張、子宮内膜症、子宮筋腫や卵巣疾患などによって治療方法が異なります。

治療機器を先に選ぶのではなく、症状の場所と原因を確認することが重要です。

「深く届くほど効果が高い」とは限りません

腟HIFUでは、腟レーザーよりも深い場所へ熱を届けられることが、治療上の特徴として説明されることがあります。

しかし、産婦人科の立場からは、深く届くこと自体を、そのまま治療効果の高さとは判断できません。

治療で重要なのは、最も深い場所へ熱を加えることではなく、症状の原因となっている組織へ必要なエネルギーを届けながら、治療対象ではない周囲の組織や臓器への影響を避けることです。

腟壁は、均一な一枚の膜ではありません

腟壁は、表面からおおまかに次のような組織で構成されています。

腟上皮

腟の内腔を覆う非角化重層扁平上皮です。女性ホルモンの影響を受け、閉経後やGSMでは薄くなり、乾燥や刺激に弱くなることがあります。

粘膜固有層

腟上皮の下にある結合組織です。コラーゲン、弾性線維、血管、線維芽細胞などを含み、腟粘膜の弾力や伸展性、上皮への栄養供給に関係します。

モナリザタッチを含むフラクショナルCO₂レーザーでは、主にこの粘膜表層から浅い結合組織への組織反応を利用します。

筋層

平滑筋と結合組織が混在しています。腟壁の筋層は、境界が明瞭な一枚の筋肉ではなく、輪走方向、縦走方向、斜め方向の筋束が混在しています。

外膜・傍腟結合組織

腟壁の外側には、血管、神経、結合組織が存在し、膀胱、尿道、直腸、骨盤筋膜などの周囲組織へ連続しています。

腟のすぐ近くには、尿道・膀胱・直腸があります

腟は、尿道・膀胱・直腸などの周囲臓器と近接して位置しています。

  • 腟の前方には尿道と膀胱
  • 後方には直腸と肛門
  • 側方には血管、神経、骨盤筋膜

深部へエネルギーを集中させる場合は、腟壁だけでなく、周囲臓器との距離を考える必要があります。

これは、深い焦点を設定すると必ず膀胱や直腸へ影響が出るという意味ではありませんが、患者さまごとの腟壁厚や部位差を考慮せず、固定された焦点深度を一律に「深いほど優れている」と評価することもできません。

腟壁の厚さは、患者さまや部位によって異なります

腟壁の厚さは、すべての患者さまで同じではありません。次のような条件によって異なります。

  • 年齢
  • 閉経前か閉経後か
  • 出産歴
  • 腟粘膜の萎縮
  • 手術歴
  • 骨盤臓器脱の有無
  • 腟の入口、中央、奥側
  • 前壁、後壁、側壁

同じ患者さまでも、腟のすべての場所が同じ厚さとは限りません。

実際の腟壁の厚さ

2022年の外科解剖学的レビューで引用された超音波研究では、中部腟壁の厚さが約2.5~3.5mmと報告されています。[20]

経腟超音波を用いたパイロット研究では、次のような差も報告されています。

  • GSM群:約2.25mm
  • 閉経前対照群:約4.17mm

この研究では、GSM群の平均腟壁厚は、閉経前対照群よりも薄かったと報告されています。[21]

なお、このGSM群はアロマターゼ阻害薬を使用している閉経後の乳がんサバイバーを対象としており、すべてのGSM患者さまに当てはまる標準値を示すものではありません。

また、組織標本、超音波、MRIでは測定対象や測定方法が異なるため、数値を単純に比較することはできません。超音波では、粘膜だけでなく周辺組織を含めて腟壁全体を測定している場合があります。

さらに、Wangらが2024年にScientific Reportsで報告した成人女性348例の病理組織研究では、腟粘膜の厚さは年齢とともに薄くなる傾向が示されました。特に、年齢による腟粘膜の菲薄化には、粘膜固有層よりも腟上皮の厚さの変化が大きく関係していると考察されています。また、出産回数などとの関連も報告されており、腟粘膜の厚さには個人差があることが示されています。[22]

このように、腟や腟粘膜の厚さは年齢やホルモン環境、出産歴などによって一様ではありません。さらに、同じ患者さまでも腟の部位によって解剖学的な条件は異なります。

たとえば、腟壁が比較的薄い部位に深い焦点を設定した場合、焦点が腟壁内ではなく、壁外の傍腟組織へ形成される可能性があります。

腟HIFUの研究では、4.5mmを使用しなかった例があります

腟HIFUには複数の機器があり、使用する焦点深度やカートリッジ、出力などは機器によって異なります。そのため、焦点深度について考える際には、実際にどの機器を使い、どのような条件で治療した研究なのかを確認することが重要です。

国内でも使用されている腟HIFU機器の一つに、HIRONIC社のUltra Vera(ウルトラヴェラ)があります。Ultra Veraには1.5mm、3.0mm、4.5mmなどの焦点深度が設定されたカートリッジがあります。

2022年にUltra Veraを使用して行われた20例の研究では、このうち1.5mmと3.0mmのカートリッジが使用され、4.5mmは使用されませんでした。

研究者らは、平均的な腟壁の厚さを踏まえると、4.5mmでは腟壁を越えて周囲組織へ作用する可能性があると説明しています。

これは、Ultra Veraの4.5mm照射が一般に危険であることを示した研究ではありませんが、一方で、腟HIFUの焦点深度は「深いほどよい」と一律に考えるのではなく、患者さまの腟壁の厚さ、照射する部位、治療対象となる組織との関係を踏まえて検討する必要があることを示す一例といえます。

骨盤底筋は、腟壁の深い層ではありません

骨盤底筋は、腟壁の中にある一つの層ではなく、腟、膀胱、子宮、直腸などを外側から支える筋群です。

腟壁には平滑筋がありますが、尿禁制や骨盤内臓器の支持に関わる骨盤底筋は、主として横紋筋で構成されています。

腟内から一定の深さへ熱作用を与えたからといって、骨盤底筋全体を均等に鍛えられるわけではありません。

解剖学から考える結論

腟治療で重要なのは、最も深く届く機器を選ぶことではなく、症状の原因となる組織へ、必要な深さとエネルギーで安全に働きかけることです。

腟HIFUの主な臨床研究

腟HIFUには、症状の改善を示唆する臨床報告があります。一方、研究結果を評価するときは、どの機器、焦点深度、出力、施術方法が使用されたかを確認する必要があります。

使用機器を確認できる研究については、以下のような報告があります。

年・国 症例数・内容 掲載形態 判断
2017年・日本 Ultra Vera、9例、1か月評価 『The Journal of Sexual Medicine』学会抄録号 学会抄録
2018年・日本 Ultra Vera、29例、3か月評価 『The Journal of Sexual Medicine』学会抄録号 学会抄録
2022年・ポーランド GSM・腟弛緩20例、2回治療、6か月評価 『Journal of Clinical Medicine』原著論文 査読付き原著論文
2022年・日本 尿失禁46例、ICIQ-SF評価 『日本女性骨盤底医学会誌』掲載論文 学会誌掲載論文

研究から分かること

Ultra Veraを用いた経腟HIFUについて、現時点の研究からは以下のことが示唆されています。

  • 腟のゆるみ感や腟の健康状態(VHI)が改善する可能性がある
  • 性機能(FSFI)や性機能に関連する悩み(FSDS-R)が改善する可能性がある
  • GSMに伴う腟萎縮、乾燥、性交痛などの症状改善が期待される
  • 尿失禁では、ICIQ-SFスコアが改善する可能性がある
  • 報告された範囲では、大きな有害事象は少なく、比較的低侵襲な治療と考えられる
  • 効果が3~6か月程度持続したという報告がある

今後の検討課題

  • 症例数が9~46例と少ない
  • 対照群・偽照射群がない
  • 無作為化比較試験ではない
  • 患者・評価者とも治療を知っている非盲検研究
  • 締まり感や性機能など、主観的な評価が中心
  • プラセボ効果や自然経過、骨盤底筋訓練などの影響を除外できない
  • 長期的な効果や、治療回数・出力の最適条件が確立していない
  • 2017年・2018年の日本の報告は学会抄録で、詳細な解析や査読情報が限定的

腟HIFUに考えられるメリット

腟HIFUには、治療の特徴として次のようなメリットがあります。

  • 切開を伴わない
  • 腟粘膜表面への影響を抑えながら、設定した深さへ熱作用を与える設計
  • 施術時間が比較的短いと案内されることが多い
  • 麻酔なし、または表面麻酔で行われることが多い
  • 少ない回数で提供される施設がある
  • 小規模研究では、腟弛緩、GSM、性機能、尿失禁などの改善が報告されている

深部の結合組織へ、切開せずに作用させるという治療コンセプトには、一定の合理性があります。

ただし、理論上の特徴と、患者さまごとの臨床効果が確立していることは同じではありません。

腟HIFUのデメリットと、まだ分かっていないこと

最適な焦点深度が確立していない

どの症状に、どの深さが適切かについて、十分な比較研究がありません。

また、前壁、後壁、側壁、入口、奥側で、同じ焦点深度を使用してよいかも明確ではありません。

プローブの接触状態によってエネルギーの伝わり方が変わる

超音波は、プローブと組織の間に空気があると反射しやすくなります。

腟には皺があり、形状や広さにも個人差があります。

プローブが腟壁へ均一に接触しているか、設定した焦点が実際にどこへ形成されているかを、どのように確認するかが重要です。

機器と施術条件が統一されていない

腟HIFUでは、機器名、焦点深度、出力、カートリッジ数、手前・奥などの照射範囲、周回数・ショット数、施術回数、再施術までの期間が施設によって異なります。

そのため、ある機器や施設の結果を、別の機器・施術プランへそのまま適用することはできません。

主観的な評価の影響を受けやすい

腟の締まり感、性交時の感覚、性機能などは、治療への期待、心理状態、パートナーとの関係、自然変動などの影響を受けます。

治療そのものの効果を確認するには、偽照射群を設けた試験や、患者さま・評価者を可能な範囲で盲検化した研究が重要です。

長期的な安全性を評価できる規模の研究が少ない

20~46例程度の研究で重篤な有害事象が報告されなかったとしても、発生頻度の低い合併症を十分に評価することはできません。

腟HIFUが一律に危険であるという意味ではありませんが、深度別のリスクや長期的な安全性については、今後さらに検証が必要です。

腟HIFUの料金・回数・持続期間

料金

国内の腟HIFUは、照射範囲、焦点深度、カートリッジ数、周回数、ショット数によって料金が異なります。

2026年8月17日時点の公開料金では、限られた範囲や1周の施術で約5万~8万円台、腟全体や複数周回では10万円台から20万円を超えるプランも確認できます。[13][14][16][17]

施術回数

国内では、腟HIFUを1回の施術として案内する施設があります。

一方、Ultra Veraを用いた2022年の20例研究では、6週間隔で2回施術が行われています。

機器、症状、照射範囲ごとの標準回数は確立していません。

持続期間

国内の施術案内では、「3~6か月」「約1年」など、施設によって異なる説明がされています。

Ultra Veraを用いた腟弛緩・GSMの研究では6か月まで評価され、国内の尿失禁研究では最長2年後まで症状スコアの改善が報告されています。

ただし、いずれも治療を受けていない群や偽照射群との比較はありません。

そのため、現時点では、「1回で1年間持続する」とは断定できず、平均的な持続期間や適切な再施術の時期を一般化できるだけのデータも十分ではありません。

腟HIFUの世界的な導入状況

今回、HIRONIC社およびUltra Vera(ウルトラヴェラ)の公式情報を確認しましたが、Ultra Veraを含む腟HIFU機器について、製品別の世界累計導入台数や累計施術件数を示す公式な公開情報は確認できませんでした。[8][45]

HIRONIC公式では、HIFU・MFU製品ラインやDoubloシリーズの累計販売・導入情報は公開されていますが、これらは美容医療向け機器などを含む情報であり、Ultra Vera単独の導入台数ではありません。今回確認した範囲では、Ultra Vera固有の世界累計導入台数を示す公式情報は確認できませんでした。[45]

そのため、現時点では腟HIFUの世界的な普及規模を、公式な導入台数から正確に示すことはできません。なお、導入台数が公表されていないことは、腟HIFUが普及していないことを意味するものではありません。

モナリザタッチとはどのような治療ですか?

モナリザタッチは、腟内にフラクショナルCO₂レーザーを照射し、主として腟粘膜表層から粘膜固有層に組織反応を起こす治療です。腟治療専用のレーザー機器をイメージされる方もいるかもしれません。実際には、CO₂レーザー装置「SmartXide Touch」を技術基盤とし、婦人科の粘膜治療用スキャナー「HiScan V²LR」を組み合わせて行う治療です。[9]今回は、膣内だけのプローブを使用した場合の検討を行います。

フラクショナル照射とは、治療する面全体へ一様にレーザーを当てるのではなく、微細な点状に照射する方法です。出力、パルス照射時間、照射密度、照射間隔などを調整し、腟粘膜・腟壁の状態に応じて照射条件を設定します。

以下の研究比較では、腟HIFUとの条件をそろえるため、主として腟内照射・腟壁を対象とした研究を取り上げます。

SmartXide Touch本体は日本で承認を受けたCO₂レーザー装置ですが、GSM、腟乾燥、性交痛、尿症状などに対するモナリザタッチ治療は、国内で承認された効能・効果の範囲外となる自由診療です。機器本体が承認されていることと、これらの症状に対する効能・効果が承認されていることは、分けて考える必要があります。

モナリザタッチの主な臨床研究

モナリザタッチを含むフラクショナルCO₂レーザーでは、腟内照射を対象とした観察研究、ヒト腟粘膜の組織学的研究、比較試験、無作為化比較試験、偽照射対照試験が報告されています。代表的な研究を以下に示します。

年・国 研究内容 主な評価項目・結果 研究の位置づけ
2014年・イタリア Salvatoreら 閉経後GSM・VVA女性50例。CO₂レーザーを4週間隔で3回、12週間評価 乾燥、灼熱感、かゆみ、性交痛、排尿痛、VHIS、QOLが有意に改善。84%が治療に満足 査読付き原著論文。前向きパイロット研究。対照群なしだが、症状と腟所見の両方を評価
2015年・イタリア Perinoら 閉経後VVA女性48例。3回治療 乾燥、灼熱感、かゆみ、性交痛、VHISが有意に改善。91.7%が「満足・非常に満足」 査読付き原著論文。前向き研究。対照群なし、短期評価
2016年・米国 Sokolら 閉経後GSM女性30例。3回治療後、症状と安全性を評価 乾燥、性交痛、腟萎縮症状、VHIS、性機能が改善。重大な有害事象なし 査読付き原著論文。前向き研究。1年後まで追跡した続報あり
2016年・ギリシャ Pitsouniら 中等度~重度GSM女性53例。3回治療 GSM症状、VHIS、性機能、性交痛、尿意切迫、尿失禁関連症状が改善 査読付き原著論文。前向き観察研究。性器症状だけでなく下部尿路症状も評価
2016年・イタリア Pieralliら 乳がん治療後のVVA・性交痛女性50例。ホルモン療法を使用しにくい患者が対象 VHISおよび性交痛が改善。平均約11か月の追跡で52%が治療に満足。重大な有害事象なし 査読付き原著論文。乳がんサバイバーを対象とした重要な研究。対照群なし
2017年・オーストラリア Behnia-Willisonら 中等度~重度GSM女性102例。12~24か月追跡 84%で症状改善。性交痛、性機能、性に関する困りごとの改善が長期追跡時にも確認 査読付き原著論文。比較的大規模で長期追跡を行った観察研究
2017年・ギリシャ Athanasiouら GSM女性を対象に、3回・4回・5回治療の効果を検討 回数を重ねることで、乾燥、性交痛、VHISなどが段階的に改善。重症例では追加治療の有用性を示唆 査読付き原著論文。治療回数を検討した前向き研究。無作為化比較ではない
2018年・コロンビア González Isazaら 軽度腹圧性尿失禁を伴う閉経後女性161例。初期4回+年1回の維持治療、最長36か月追跡 ICIQ-UI SFが12、24、36か月時点で改善。効果の長期持続を報告 査読付き原著論文。161例・3年追跡は比較的大規模。ただし対照群なし、維持治療を含む
2020年・米国(VeLVET試験) Paraisoら GSM女性69例をCO₂レーザー群と腟エストロゲン群に無作為割付。6か月評価 両群でGSM症状、腟所見、性機能、QOLが改善。レーザーは腟エストロゲンと概ね同程度の改善 多施設前向き無作為化比較試験。対照が実治療であり、偽照射対照ではない
2021年・イタリア Siliquiniら GSM女性135例。乳がん既往45例と非乳がん女性90例を比較。3~4回治療、12か月評価 両群で乾燥、性交痛、VHISが改善し、12か月まで持続。乳がん群では改善がやや緩やか 査読付き原著論文。乳がん群を含む比較的大規模な長期観察研究

代表論文

  1. Salvatore S, et al. A 12-week treatment with fractional CO₂ laser for vulvovaginal atrophy: a pilot study. Climacteric. 2014;17:363–369. PubMed
  2. Perino A, et al. Vulvo-vaginal atrophy: a new treatment modality using thermo-ablative fractional CO₂ laser. Maturitas. 2015;80:296–301. PubMed
  3. Sokol ER, Karram MM. An assessment of the safety and efficacy of a fractional CO₂ laser system for the treatment of vulvovaginal atrophy. Menopause. 2016;23:1102–1107.
  4. Pitsouni E, et al. Microablative fractional CO₂-laser therapy and the genitourinary syndrome of menopause: an observational study. Maturitas. 2016;94:131–136. PubMed
  5. Pieralli A, et al. Fractional CO₂ laser for vulvovaginal atrophy dyspareunia relief in breast cancer survivors. Arch Gynecol Obstet. 2016;294:841–846. PubMed
  6. Behnia-Willison F, et al. Safety and long-term efficacy of fractional CO₂ laser treatment in women suffering from genitourinary syndrome of menopause. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2017;213:39–44.
  7. Athanasiou S, et al. CO₂-laser for the genitourinary syndrome of menopause. How many laser sessions? Maturitas. 2017;104:24–28.
  8. González Isaza P, et al. Long-term effect of thermoablative fractional CO₂ laser treatment as a novel approach to urinary incontinence management in women with GSM. Int Urogynecol J. 2018;29:211–215. PubMed
  9. Paraiso MFR, et al. A randomized clinical trial comparing vaginal laser therapy to vaginal estrogen therapy in women with GSM: The VeLVET Trial. Menopause. 2020;27:50–56. PubMed
  10. Siliquini GP, et al. Fractional CO₂ vaginal laser for the genitourinary syndrome of menopause in breast cancer survivors. Breast J. 2021;27:448–455. PubMed

なお、2026年にはGSM症状のある閉経後女性72例を対象とした前向き観察研究も報告され、治療完了4週後に性交痛、腟乾燥、灼熱感、かゆみ、痛み、排尿時痛などの症状改善がみられました。ただし、偽照射群のない観察研究であり、効果の持続性や比較効果を判断するには追加研究が必要です。[40]

これらの研究から分かること

モナリザタッチに代表されるマイクロアブレイティブ・フラクショナルCO₂レーザーについて、これまでの研究から以下のことが示されています。

1.GSMの症状を改善する可能性がある

多くの研究で、次の症状の改善が報告されています。

  • 腟の乾燥
  • 灼熱感、かゆみ、刺激感
  • 性交痛
  • 排尿時の違和感や痛み
  • 腟の不快感
  • 一部の頻尿、尿意切迫、尿失禁症状

特に、腟乾燥と性交痛については、複数の研究で一貫した改善傾向が認められています。

2.主観的症状だけでなく、腟所見の改善も報告されている

患者さまの自覚症状に加えて、医師が評価するVaginal Health Index Score(VHIS)でも改善が報告されています。

  • 腟粘膜のうるおい
  • 腟分泌物
  • 腟粘膜の弾力性
  • 腟上皮の状態
  • 腟内pH

したがって、単に「患者さまが楽になった」という主観的評価だけでなく、腟粘膜の状態を含む客観的・半客観的な指標にも変化が認められています。

3.性機能と生活の質を改善する可能性がある

FSFIなどを使用した研究では、以下の改善が報告されています。

  • 潤滑
  • 性交時の痛み
  • 性的満足度
  • 性欲・興奮・オーガズムを含む性機能
  • 性生活に関する困りごと
  • QOL

GSM症状の軽減に伴って、性生活と日常生活への負担も軽くなる可能性があります。

4.乳がんサバイバーでも有用性が検討されている

乳がん治療後の女性では、ホルモン療法を使用しにくい場合があります。

そのような女性を対象とした複数の研究でも、腟乾燥、性交痛、VHIS、性機能の改善が報告されています。重大な有害事象は少なく、非ホルモン治療の選択肢となる可能性が示されています。

ただし、乳がん患者さまでは個々の病状や治療内容を考慮し、乳腺科・腫瘍科と連携して判断する必要があります。

5.腟エストロゲンと同程度の改善を示した比較試験がある

VeLVET試験では、CO₂レーザーと腟エストロゲンが無作為に比較されました。

6か月時点で、両群ともGSM症状、腟所見、性機能、QOLが改善し、レーザーは腟エストロゲンと概ね同程度の改善を示しました。

これは、モナリザタッチに観察研究だけでなく、標準的な治療と比較した臨床試験も存在することを示しています。

6.効果の持続と維持治療の可能性が示されている

一部の研究では、改善が12~24か月持続したと報告されています。維持治療を取り入れた研究では、最長36か月まで改善が報告されました。

一方、時間の経過とともに効果が弱くなる患者さまもいるため、治療後の状態に応じて、追加照射やメンテナンス治療を検討する必要があります。

7.治療回数は3回が基本だが、重症例では追加治療が考えられる

多くの研究では、4~6週間隔で3回程度の治療が行われています。

治療回数を検討した研究では、3回で十分な改善が得られない場合、4回目・5回目の治療によってさらに症状が改善する可能性が示されました。

したがって、一律に3回で終了するのではなく、症状、腟所見、治療後の反応に応じて回数を調整する考え方が合理的です。

8.報告された範囲では重大な有害事象は少ない

代表的な研究では、治療中の軽い痛みや違和感、一時的な出血・分泌物などが報告されていますが、重大な有害事象は多くありませんでした。

ただし、適切な診察、感染や悪性疾患の除外、機器の設定、施術者の経験、施術後の経過観察が重要です。

モナリザタッチに代表されるフラクショナルCO₂レーザーは、腟乾燥、灼熱感、性交痛などのGSM症状を軽減し、腟健康指数、性機能、QOLおよび一部の尿路症状を改善する可能性があります。

HIFUと比べ、査読付き原著論文、比較試験、乳がんサバイバー研究、長期追跡研究など、より幅広い臨床データが蓄積されています。一方で、偽照射との比較では結果が一定していないため、有効性が完全に確立した治療と断定せず、症状や治療希望に応じた選択肢の一つとして説明することが適切です。

モナリザタッチの料金・回数・持続期間

料金

モナリザタッチは自由診療のため、料金は医療機関や照射範囲によって異なります。今回の調査では、公式サイトで「モナリザタッチ」と明記され、通常の1回料金を確認できる医療機関を、病院・婦人科・美容婦人科をまたいで追加確認しました。2026年8月17日時点で確認できた国内12施設では、腟内のみとして明示された1回料金は15,000~88,000円で、このうち8施設が3万~5万円台でした。4万~5万円前後の料金設定も複数みられます。[28]-[35][41]-[44]

腟内に加えて外陰部まで照射する料金を確認できた11施設では、30,000~132,000円と幅があり、5万~8万円台の設定が複数みられました。[28]-[35][41]-[43]

診察料や麻酔料が別途必要な施設もあります。これらは全国平均ではなく、2026年8月17日時点で公式サイト上の通常料金を確認できた施設を横断した目安です。

1回の料金だけでなく、必要な施術回数、診察・麻酔などの追加費用、治療後の経過や維持治療の必要性まで含めて比較することが大切です。

施術回数

臨床研究では、約1か月間隔で3回施術する方法が多く用いられていますが、月1回の施術を5回行った研究もあります。必要な回数は症状や治療目的によって異なるため、一律の標準回数が確立しているわけではありません。[10][24][26]

持続期間

モナリザタッチを含むフラクショナルCO₂レーザーでは、12~18か月、2年まで追跡した研究が報告されています。症状の改善度や腟粘膜の状態を確認しながら、必要に応じて維持治療の時期を判断することが大切です。

モナリザタッチの世界的な導入状況

当院が国内販売元DKSHから直接提供を受けた情報によると、モナリザタッチは世界で6,000台以上導入されています。[15]

導入台数だけで治療効果や安全性が証明されるわけではありませんが、世界各地の医療機関で使用されてきた規模は、臨床での使用経験や研究の広がりを考えるうえで一つの参考情報になります。

腟のゆるみには、ほかの治療選択肢もあります

腟のゆるみを対象に研究されているエネルギーデバイスには、次のような方式があります。骨盤底筋の筋力低下が関係する場合には、エネルギーデバイスとは別に骨盤底筋への治療も検討します。

  • 腟HIFU
  • 非蒸散型Er:YAGレーザー(エルビウムヤグレーザー)
  • フラクショナルCO₂レーザー
  • 高周波(RF)

それぞれ、エネルギーの種類、作用させる組織、加熱方法、研究対象が異なります。

非蒸散型Er:YAGレーザーやRFにも、腟弛緩を主要な評価項目とした研究があります。

一方、現時点では、レーザー、RF、HIFUのいずれについても「腟のゆるみに最も有効な機器」と断定できる段階ではありません。

観察研究では改善が報告されていても、無作為化比較試験や偽照射試験では明確な差が示されないこともあります。

治療選択の考え方

「腟がゆるいから、最も深く届く機器を選ぶ」のではなく、何がゆるみ感の原因になっているのかを確認し、対象となる組織に合った治療を選ぶことが重要です。

Er:YAGレーザーやRFの特徴、研究、モナリザタッチとの違いについては、別の記事で詳しく解説します。

当院のモナリザタッチ診療の特徴

ここまでの比較では、条件をそろえるため、主として腟内へのモナリザタッチを取り上げました。

一方、実際の当院の診療では、乾燥やヒリヒリ感、性交痛などが腟内だけに現れるとは限らないため、症状が現れている場所を診察し、治療部位を検討しています。

当院4,300件超の施術経験と400例の臨床評価

当院では2019年11月の導入から2026年7月までに、モナリザタッチの施術を4,300件以上行っています。

これは同じ患者さまが複数回受けた施術を含む件数であり、患者数ではありません。

当院でまとめた400例の臨床評価では、性交痛、乾燥感、灼熱感、尿漏れなど複数の症状で改善傾向がみられています。ただし、院内データは無作為化比較試験ではなく、すべての患者さまに同じ結果を保証するものではありません。

症状が改善した後は、3か月、6か月、1年など状態に応じて治療間隔を空け、症状や腟粘膜の状態を確認しながら追加治療の時期を検討しています。[39]

腟内だけでなく、症状が現れる部位を分けて評価

当院では、腟内だけでなく、腟前庭部、外陰部、尿道口周囲など、症状が現れる部位を分けて評価および治療を行っております。比較パートとは分け、実際の診察では症状の場所や組織の状態に応じて照射部位、出力、回数を検討します。

当院では、症状・部位・出力・回数・経過を確認してきた経験を、治療選択と患者さまへの説明に活かしています。

当院がモナリザタッチを治療選択肢として採用している理由

院長の治療選択について

当院でも、腟HIFU機器の導入を検討したことがあります。

腟壁の深部組織へ切開せずに働きかけられることや、少ない回数で変化を得られる可能性には関心を持ちました。

一方、導入を判断するために臨床データを確認したところ、当時は研究数・症例数が少なく、最適な焦点深度、腟壁との接触、周囲臓器への影響、長期的な安全性を十分に判断できませんでした。

そのため、患者さまへ責任を持って積極的にご提案できる段階ではないと考え、導入を見送りました。

一方、モナリザタッチを含むフラクショナルCO₂レーザーでは、組織学的研究、前向き研究、無作為化比較試験、偽照射試験、システマティックレビューまで検証が進んでいます。

研究結果にはばらつきもありますが、作用する組織、改善が報告されている症状、効果が明確でなかった症状、リスク、限界を患者さまへ説明するための情報は、腟HIFUより多く蓄積されています。

さらに当院では、これまでの施術経験をもとに、患者さまごとに症状の場所と組織の状態を確認しながら、照射部位、出力、回数を検討し、患者さまから良い評価をいただいております。

当院の結論

現在利用できる医学的エビデンス、SmartXide Touchの技術基盤、世界的な使用経験、当院の臨床経験を総合し、当院ではモナリザタッチを治療選択肢の一つとして採用しています。

ただし、モナリザタッチをすべての患者さまへおすすめするわけではありません。診察の結果、保湿、局所ホルモン治療、感染症や皮膚疾患の治療、骨盤底筋治療、薬物治療などを優先する場合があります。

症状によって必要な治療は異なります

主な悩み 最初に確認したい原因 主な治療選択肢
腟・外陰部の乾燥、ヒリヒリ、灼熱感 GSM、感染症、皮膚疾患、摩擦、洗いすぎ 保湿、局所ホルモン治療、原因疾患の治療、適応があればモナリザタッチ
腟入口の性交痛 GSM、腟前庭部痛、炎症、裂傷、骨盤底筋の緊張 保湿、薬物治療、骨盤底筋への対応、腟前庭部を含む診察、適応があればモナリザタッチなどのレーザー治療
骨盤の奥の性交痛 子宮内膜症、子宮腺筋症、筋腫、卵巣疾患、癒着など 婦人科検査、保険診療による原因疾患の治療
咳・くしゃみで尿漏れ 骨盤底筋、尿道支持組織、GSM、骨盤臓器脱 骨盤底筋トレーニング、エムセラ、エリトーン、適応があればモナリザタッチなどのレーザー治療、必要に応じてGSM治療
急な尿意・頻尿 過活動膀胱、膀胱炎、GSM、尿路疾患 尿検査、生活指導、薬物治療、GSM治療
腟のゆるみ・お湯漏れ 骨盤底筋、腟壁・結合組織、骨盤臓器脱、出産後変化 骨盤底筋の評価・トレーニング、エムセラ、必要に応じた専門治療

大切な順番

「腟の悩みがあるから、腟へ照射する機器を選ぶ」という順番ではありません。

症状の場所と原因を確認したうえで、その組織に必要な治療を選ぶことが大切です。

症状に合わせて詳しく確認したい方へ

腟HIFUを受ける前に、症状の原因を確認したい方へ

他院で腟HIFUを勧められた方や、モナリザタッチとの違いを知ったうえで治療を選びたい方もご相談ください。

当院では、モナリザタッチを前提にするのではなく、次の点を確認し、必要な治療を整理します。

  • 腟粘膜や外陰部の状態
  • GSMの有無
  • 感染症や皮膚疾患
  • 骨盤底筋
  • 出産後の変化
  • 骨盤臓器脱
  • 尿漏れの種類
  • 痛みや乾燥がある場所

オンライン診療について

オンライン診療では、視診、触診、内診、検査、レーザー施術はできません。

出血、強い痛み、発熱、悪臭のあるおりもの、血尿、排尿困難、急な悪化がある場合は、対面診療をご検討ください。

当院のモナリザタッチ料金・主なリスクについて

以下は、当院でモナリザタッチを受ける場合の料金と主なリスクです。

モナリザタッチは自由診療の治療です。

当院の主な料金は、次のとおりです。

  • 1回:55,000円
  • 3回スタンダードプラン:149,400円

初診料6,600円、再診料3,300円、表面麻酔3,300円、シェービング3,300円が別途必要です。価格は税込みです。

施術後に、痛み、ヒリヒリ感、熱感、赤み、腫れ、分泌物の増加、少量の出血、排尿時の刺激感、かゆみなどが生じることがあります。

まれに感染、熱傷、びらん、瘢痕、色調変化、痛みや違和感の遷延などが起こる可能性があります。治療の効果には個人差があります。

よくある質問

腟HIFUとモナリザタッチは、結局どちらが効果的ですか?

両者を直接比較した質の高い臨床試験は確認できないため、すべての症状について、どちらが効果的とは断定できませんが、当院では、症状の場所と原因を確認し、GSMや粘膜の変化が関係していると判断した場合に、モナリザタッチを選択肢として検討します。

深い層まで届く腟HIFUの方が、腟のゆるみに向いていますか?

深く届くことだけで、適応や効果は判断できません。

腟のゆるみには、粘膜・結合組織、骨盤底筋、骨盤臓器脱、出産後の支持組織変化など、複数の要因があります。

また、腟壁の厚さには個人差・部位差があるため、固定された焦点深度がすべての患者さまで同じ組織に一致するとは限りませんので、医師が診察して判断します。

腟HIFUは危険な治療ですか?

腟HIFUが一律に危険であると断定することはできません。

小規模研究では、重篤な有害事象を認めなかった報告があります。

一方、研究対象者数が少ないため、まれな合併症、深度別のリスク、長期的な安全性を判断するためのデータは不足しています。

腟HIFUは1回で1年間持続しますか?

国内では1年程度と案内する施設もありますが、3~6か月と説明する施設もあり、統一されていません。

6か月まで評価した小規模研究や、より長期の改善を報告した国内研究はありますが、偽照射群や無治療群との比較がないため、平均的な持続期間は確立していません。

腟HIFUはモナリザタッチより高いですか?

一概には比較できません。どちらも自由診療で、施術範囲や照射条件、必要な回数などが医療機関によって異なるためです。

2026年8月17日時点で確認した公開料金では、腟HIFUは限られた範囲や1周で約5万~8万円台、腟全体や複数周回では10万円台から20万円を超える例があります。[13][14][16][17] 一方、今回公式サイト上の通常料金を確認できた国内12施設では、腟内のみのモナリザタッチは15,000~88,000円で、8施設が3万~5万円台でした。腟内+外陰部の料金を確認できた11施設では30,000~132,000円で、5万~8万円台の設定が複数みられました。[28]-[35][41]-[44]

ただし、両者では作用の仕組み、照射範囲、施術回数などが異なるため、1回の料金だけで費用対効果を判断することはできません。

腟HIFUを受けた後でも、モナリザタッチを受けられますか?

施術時期、機器名、焦点深度、照射範囲、現在の症状や腟粘膜の状態を確認したうえで、医師が判断します。

施術を受けた医療機関から、機器名、照射日、カートリッジ、照射条件などの情報を確認し、診察時にお伝えください。

尿漏れにはモナリザタッチ、腟HIFU、エムセラのどれが合いますか?

尿漏れの原因によって異なります。

骨盤底筋の筋力低下が中心なら、骨盤底筋トレーニングやエムセラが候補になります。

GSMによる粘膜・尿道周囲の変化が関係している場合は、局所ホルモン治療やモナリザタッチを検討することがあります。

骨盤臓器脱、過活動膀胱、膀胱炎などがあれば、それぞれの原因に応じた治療が必要です。

IntimaLase(インティマレーザー)やRF(高周波)との違いは何ですか?

IntimaLase(インティマレーザー)に用いられるEr:YAGレーザー(エルビウムヤグレーザー)や、RF(Radiofrequency:高周波)も、腟のゆるみを対象として研究されているエネルギーデバイスです。

それぞれ、使用するエネルギーの種類や、組織へのエネルギーの伝わり方、加熱方法、主に研究されてきた症状などが異なります。

現時点では、腟のゆるみに対して「どの方式が最も有効か」は確立しておらず、それぞれの医師が診察して判断いたします。

IntimaLase(インティマレーザー)やRF(高周波)については、それぞれの仕組みや研究、モナリザタッチとの違いを別の記事で詳しく解説します。

モナリザタッチは研究が多いので、必ず効果がありますか?

すべての患者さまに効果を保証できる治療ではありません。

研究が多いことの意味は、「必ず効果がある」ということではなく、どの症状で改善が報告されたか、どの試験では差が示されなかったか、どのような患者さまが対象だったか、どのようなリスクや限界があるかを検討できることです。実際は、医師の診察と判断が重要になります。

腟HIFUの研究から分かること

腟HIFUは、設定した深さに集束超音波の熱エネルギーを届け、腟壁の深部組織に働きかける治療です。これまでの小規模な研究では、腟の締まり感、腟弛緩、性機能、GSM、尿失禁などの改善が報告されています。また、報告された範囲では重大な有害事象は少なく、適切な機器と照射条件で実施すれば、危険性の高い治療とは考えられていません。

一方、現在の研究は9~46例程度の単群観察研究や学会抄録が中心で、使用機器、焦点深度、出力、照射範囲、治療回数も統一されていません。偽照射との無作為化比較試験や長期追跡研究も限られているため、どのような患者さまに最も適しているのかは、まだ十分に確立されていません。

腟HIFUは、特に腟のゆるみ感や深部組織の変化が症状に関係している患者さまに、効果が期待できる可能性があります。ただし、乾燥や性交痛の主な原因が腟粘膜の萎縮である場合や、尿漏れの主な原因が骨盤底筋の低下や骨盤臓器脱である場合には、ほかの治療の方が適していることがあります。

したがって、腟HIFUは危険な治療として否定するものではなく、症状の原因と標的となる組織を見極めたうえで選択する治療です。現時点では、幅広い症状に一律に行うというよりも、適応を慎重に選ぶことで患者さまのお役に立つ可能性がある治療と考えています。

モナリザタッチの研究から分かること

モナリザタッチは、フラクショナルCO₂レーザーを用いて、主として腟粘膜表層と粘膜固有層に働きかける治療です。これまでの研究では、腟の乾燥、灼熱感、かゆみ、性交痛、排尿時の違和感、性機能、GSM、一部の尿路症状などの改善が報告されています。報告された範囲では重大な有害事象も少なく、適切な診察と照射条件のもとで行う低侵襲治療の一つです。

研究には、前向き臨床研究、100例を超える研究、腟エストロゲンとの無作為化比較試験、乳がんサバイバーを対象とした研究、12~36か月の追跡研究があります。研究結果がすべて一致しているわけではありませんが、HIFUと比べると、対象患者、研究方法、評価項目、追跡期間の幅が広く、臨床データがより多く蓄積されています。

モナリザタッチは、特に閉経後の腟粘膜の萎縮、乾燥、灼熱感、性交痛など、GSMを中心とする患者さまに効果が期待されます。ホルモン療法を使用しにくい乳がん治療後の女性についても研究されており、非ホルモン治療を希望する患者さまに検討できる選択肢です。

モナリザタッチの価値は、機器を導入するだけで生まれるものではありません。医師が患者さまの訴えを丁寧に聞き、診察によって適応を判断し、症状や治療反応に合わせて照射部位・回数・追加治療を工夫し、継続して経過をみることが重要です。研究の蓄積に、医師の経験と治療への情熱が加わることで、より多くの患者さまのお役に立てる治療になると考えています。

当院の考え方

腟HIFUとモナリザタッチは、どちらかが絶対的に優れているという関係ではなく、主に働きかける組織と、研究されてきた症状が異なります。

腟HIFUは、腟のゆるみ感や深部組織へのアプローチが必要と考えられる、比較的限られた患者さまに適している可能性があります。一方、モナリザタッチは、乾燥、灼熱感、性交痛、かゆみ、頻尿、尿漏れなど、日常診療で多く遭遇するGSM症状について研究と臨床経験が蓄積されています。

当院では、モナリザタッチを単なる美容施術ではなく、女性が年齢を重ねても快適に生活するための婦人科治療の一つと考えています。患者さま一人ひとりの症状に向き合い、必要に応じて照射方法や治療回数、前庭部治療、保湿ケア、骨盤底筋治療などを組み合わせることで、より実際的に患者さまのお役に立てると考えています。

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13. 東京美容外科.ウルトラヴェラ(ヴィーナスハイフ膣)料金・施術情報(2026年8月17日確認).

14. A CLINIC.腟HIFU料金・施術情報(2026年8月17日確認).

15. 当院がDKSHマーケットエクスパンションサービスジャパンから提供を受けたモナリザタッチ世界導入台数情報。

16. にしたんクリニック.膣HIFU:ウルトラヴェラ/大陰唇タイトニング(2026年8月17日確認).

17. NEXUS CLINIC.膣HIFU(ウルトラヴェラ)/大陰唇タイトニング(2026年8月17日確認).

18. 新宿駅前婦人科クリニック.膣ハイフ/Iライン(大陰唇)照射(2026年8月13日確認).

19. 坂本レディースクリニック.yoniHIFU・yoniRFと腟のゆるみ治療(2026年8月13日確認).

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28. 相模原協同病院.モナリザタッチ料金(腟内のみ15,000円、腟内+外陰部30,000円、2026年8月17日確認).

29. あかほり女性クリニック.モナリザタッチ料金(腟内22,000円、腟内+外陰部40,000円、2026年8月17日確認).

30. 向ヶ丘遊園女性クリニック.モナリザタッチ料金(腟内のみ22,000円、腟内+外陰部36,300円、2026年8月17日確認).

31. 坂本レディースクリニック.モナリザタッチ料金(腟内33,000円、腟内+外陰部55,000円、2026年8月17日確認).

32. 池上レディースクリニック.モナリザタッチ料金(腟のみ33,000円、腟+外陰部55,000円、2026年8月17日確認).

33. あきこクリニック.モナリザタッチ料金(腟内44,000円、腟+外陰部66,000円、2026年8月17日確認).

34. 恵比寿みかレディースクリニック.モナリザタッチ料金(腟内のみ33,000円、腟内+外陰部60,500円、2026年8月17日確認).

35. 船橋中央クリニック.モナリザタッチ料金(腟内44,000円、腟内+外陰部77,000円、2026年8月17日確認).

36. Eder SE. Long-Term Safety and Efficacy of Fractional CO₂ Laser Treatment in Post-Menopausal Women with Vaginal Atrophy. Laser Ther. 2019;28(2):103-109. doi:10.5978/islsm.28_19-OR-06.

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41. Re:anne clinic銀座.モナリザタッチ料金(腟内49,800円、腟内+外陰部69,500円、2026年8月17日確認).

42. MET BEAUTY CLINIC.モナリザタッチ料金(腟内55,000円、腟内+外陰部88,000円、2026年8月17日確認).

43. 青山セレスクリニック.モナリザタッチ料金(腟内88,000円、腟内+外陰部132,000円、2026年8月17日確認).

44. うめきたウィメンズクリニック.モナリザタッチ料金(通常1回44,000円、3回セット110,000円、2026年8月17日確認).

45. HIRONIC. Ultra Vera / Doublo Gold Product Information(Ultra Vera単独の世界累計導入台数の記載は確認できず、2026年8月18日確認).

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。

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白金高輪 海老根ウィメンズクリニック
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