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性交中に奥が痛いのはなぜ?深部性交痛の原因・受診目安を産婦人科医が解説

性交中に腟の奥が痛む深部性交痛について解説するイメージ

「性交中に腟の奥が痛い」

「突かれると下腹部に響くように痛い」

「性交後もしばらくお腹の奥が痛む」

「子宮のあたりが痛い気がする」

このようなお悩みは、婦人科で相談できる症状です。

性交痛というと、腟の乾燥や入口の痛みをイメージされる方が多いかもしれません。

しかし、性交中に「奥が痛い」「下腹部に響く」「深く当たると痛い」と感じる場合は、腟の入口だけでなく、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫、感染症や骨盤内炎症、子宮頸部の炎症やポリープ、過去の手術後の癒着、骨盤底筋の緊張、便秘や腸の張り、膀胱まわりの不調、GSMなどが関係することもあります。

一時的な刺激や体勢によって痛みが出ることもありますが、繰り返す場合や、性交後も痛みが続く場合は、原因を確認しておくと安心です。

この記事では、性交中に奥が痛いときに考えられる原因、入口の痛みとの違い、受診の目安、婦人科での伝え方、オンライン診療と来院の使い分けについて解説します。

性交中に奥が痛いとき、まず知っておきたいこと

性交中に腟の奥や下腹部が痛い場合、医学的には「深部性交痛」と呼ばれることがあります。

深部性交痛は、深い挿入時や特定の体勢で起こりやすく、腟の奥、下腹部、子宮や卵巣のあたりに響くような痛みとして感じられることがあります。

腟の奥には子宮頸部があり、その周囲の骨盤内には子宮・卵管・卵巣があります。

腟の奥と子宮・卵巣の位置関係を説明するイメージ

深い挿入によってこれらの周辺が刺激されると、痛みを感じることがあります。骨盤内に炎症や癒着がある場合は、痛みが起こりやすくなることもあります。

原因は一つとは限りません。

乾燥や摩擦だけでなく、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫、感染症や骨盤内炎症、子宮頸部の炎症やポリープ、過去の手術後の癒着、骨盤底筋の緊張、便秘や腸の張り、膀胱まわりの不調、GSMなどが関係することもあります。

大切なのは、「どこが痛いのか」「いつ痛むのか」「痛みが繰り返しているのか」を整理することです。

深部性交痛とは?奥が痛い性交痛のこと

深部性交痛で腟の奥や下腹部に痛みを感じる女性のイメージ

深部性交痛とは、性交時に腟の入口ではなく、腟の奥や下腹部、子宮・卵巣のあたりに痛みを感じる状態を指します。

たとえば、次のような痛みがある場合は、深部性交痛として原因を確認した方がよいことがあります。

  • 深く挿入されたときに痛い
  • 突かれると下腹部に響く
  • 特定の体勢で奥が痛い
  • 性交後もしばらく下腹部痛が残る
  • 子宮のあたりが押されるように痛い
  • 片側の下腹部や卵巣のあたりが痛い気がする
  • 以前は痛くなかったのに、最近痛むようになった

一方で、深く当たったときに一時的に痛みを感じるだけで、すぐに落ち着く場合もあります。

そのため、痛みが一度あっただけで過度に不安になる必要はありません。

Check point

ただし、繰り返す場合や、生活・性交への不安につながっている場合は、婦人科で相談してよい症状です。

入口の痛み・奥の痛み・性交後の痛みは分けて考えましょう

性交痛の痛む場所について説明する婦人科医のイメージ

性交痛は、痛みの場所やタイミングによって考えられる原因が異なります。

入口付近が痛い場合は

腟前庭部、外陰部、腟の入口まわりの乾燥や炎症、皮膚トラブル、GSM、潤滑不足などが関係していることがあります。

奥が痛い場合は

子宮や卵巣、骨盤内の状態、骨盤底筋の緊張、腸や膀胱の不調などが関係していることがあります。

性交後の違和感の場合は

また、性交中ではなく、性交後に下腹部痛や違和感が残る場合もあります。この場合は、炎症、子宮内膜症、骨盤底筋の緊張、腸や膀胱まわりの不調などを含めて確認することがあります。

痛みの出方 よくある訴え 確認したいこと
入口が痛い 入れる時に痛い、ヒリヒリする、裂ける、しみる 腟前庭部痛、乾燥、GSM、炎症、皮膚トラブル、潤滑不足、腟炎、ヘルペスなど
奥が痛い 突かれると痛い、下腹部に響く、子宮のあたりが痛い 子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、骨盤腹膜炎、癒着、骨盤底筋の緊張など
性交後も痛い 終わった後も下腹部痛が残る、数時間〜翌日も違和感がある 炎症、子宮内膜症、骨盤底筋の緊張、腸や膀胱の不調、卵巣出血、卵巣嚢腫破裂など

入口の痛みと奥の痛みが同時に起こる方もいます。

そのため、「性交痛」とひとまとめにせず、痛みの場所とタイミングを分けて考えることが大切です。

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一時的な奥の痛みと、相談した方がよい痛みの違い

性交中の奥の痛みに不安を感じる女性のイメージ

性交中に奥が痛いと感じると、「病気なのでは」と不安になる方もいらっしゃいます。

ただし、すべての痛みがすぐに病気を意味するわけではありません。体勢、挿入の深さ、緊張、潤滑不足、便秘やお腹の張りなどによって、一時的に奥が痛く感じることもあります。

一時的に様子を見ることもあるケース

  • 特定の体勢や深い挿入で一時的に痛かった
  • 短時間で痛みが落ち着いた
  • 強い下腹部痛ではない
  • 繰り返していない
  • 性交後に痛みが長く残らない

ただし、痛みが軽くても「また痛くなるのでは」と不安が強い場合や、性交を避けるようになっている場合は、婦人科で相談してよい症状です。

相談を検討した方がよいケース

  • 奥の痛みを繰り返す
  • 毎回のように痛みが出る
  • 性交後も下腹部痛が続く
  • 月経痛や排便痛も強い
  • 性交後に出血することがある
  • 潤滑剤を使っても奥の痛みが変わらない
  • 以前は痛くなかったのに、最近痛むようになった
  • 痛みへの不安で性交を避けている
  • パートナーとの関係に影響している
  • おりものの様子がいつもと違う

「病院に行くほどではないかも」と迷う方もいますが、性交痛は婦人科で相談してよい症状です。

早めに受診した方がよいサイン

深部性交痛で早めに受診した方がよい症状を確認する女性のイメージ

次のような症状がある場合は、様子を見すぎず、早めに婦人科を受診してください。

症状 受診の目安
性交後の出血が続く 子宮頸部や腟、子宮内の状態を確認した方がよい場合があります
閉経後に出血がある 閉経後出血は、早めに婦人科で相談しましょう
強い下腹部痛がある 卵巣・子宮・骨盤内のトラブルが関係することがあります
急に痛みが悪化した 急性の炎症や卵巣のトラブルなどを確認した方がよい場合があります
発熱がある 感染症や骨盤内炎症が関係することがあります
悪臭のあるおりものがある 感染症や炎症が関係している可能性があります
血尿・強い排尿痛がある 膀胱炎や泌尿器の病気も含めて確認が必要です
吐き気・冷や汗・歩けないほどの痛みがある 早めに医療機関へ相談してください

特に、出血、強い痛み、発熱、急な悪化がある場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関で確認しましょう。

症状が続く・性交後も下腹部痛が残る方へ

奥の痛みを繰り返す場合や、出血・強い痛み・発熱を伴う場合は、原因を確認するために婦人科で相談することをおすすめします。どの診療に相談すべきか迷う方は、性交痛外来で症状を整理することもできます。

深部性交痛で考えられる主な原因

深部性交痛で考えられる原因について説明するイメージ

性交中に奥が痛い場合、考えられる原因はいくつかあります。

ここでは代表的な原因を整理しますが、症状だけで原因を断定することはできません。複数の要因が重なっていることもあります。

症状の特徴 考えられる背景
月経痛・排便痛もある 子宮内膜症など
経血量が多い・下腹部が重い 子宮筋腫・子宮腺筋症など
片側の下腹部が痛い 卵巣嚢腫、虫垂炎など
発熱・悪臭のあるおりものがある 感染症・骨盤内炎症など
性交後出血がある 子宮頸部の炎症・ポリープ・子宮腟部びらんなど
手術歴がある 癒着・術後変化など
痛みへの不安で力が入る 骨盤底筋の緊張など
便秘・頻尿・排尿痛がある 腸・膀胱まわりの不調など
更年期以降で乾燥もある GSM・腟の乾燥など
体勢によって痛みが変わる 子宮の向き・骨盤内の状態など

月経痛や排便痛もある場合:子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮の内側以外の場所にできる病気です。

月経痛が強い、排便時に痛い、慢性的な下腹部痛がある、性交時に奥が痛いといった症状と関係することがあります。

特に、深く挿入されたときに奥が響くように痛い場合や、月経時以外にも下腹部痛がある場合は、子宮内膜症を含めて婦人科で確認することが大切です。

ただし、奥の痛みがあるからといって、必ず子宮内膜症というわけではありません。症状、月経の状態、診察や検査結果を合わせて判断します。

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経血量が多い・下腹部の圧迫感がある場合:子宮筋腫・子宮腺筋症

子宮筋腫や子宮腺筋症では、月経量が多い、月経痛が強い、下腹部が重い、圧迫感がある、頻尿があるなどの症状がみられることがあります。

筋腫の位置や大きさ、子宮の状態によっては、性交時に奥の違和感や痛みとして感じられることがあります。

すべての子宮筋腫や子宮腺筋症が性交痛の原因になるわけではありませんが、症状がある場合は、超音波検査などで状態を確認することが大切です。

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片側の下腹部が痛い・急に強く痛む場合:卵巣嚢腫・虫垂炎など

卵巣嚢腫がある場合、下腹部の張り、違和感、片側の痛み、性交時の奥の痛みにつながることがあります。

また、急に強い下腹部痛が出た場合は、卵巣のねじれなど、早めの対応が必要な状態が関係することもあります。

片側だけが強く痛い、吐き気を伴う、歩くのがつらいほど痛い場合は、早めに医療機関で確認してください。

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発熱・おりもの異常・性交後出血がある場合:感染症や骨盤内炎症

性感染症、子宮頸管炎、骨盤内炎症、卵巣膿瘍などがある場合、性交時の痛みや性交後の出血、下腹部痛、おりものの変化などが起こることがあります。

骨盤内炎症は、腟や子宮頸部から細菌が上行し、子宮、卵管、卵巣周囲に炎症が広がることで起こることがあります。

性交痛だけでなく、発熱、悪臭のあるおりもの、下腹部痛、不正出血などがある場合は、感染症を含めた確認が必要です。

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性交後出血や奥に当たる感じがある場合:子宮頸部の炎症・ポリープなど

性交中に奥に当たる感じがある、性交後に少量の出血があるという場合、子宮頸部の炎症、ポリープ、腟や子宮頸部の変化、子宮筋腫などが関係していることがあります。

多くは診察で状態を確認しながら原因を整理しますが、出血が続く場合や閉経後の出血がある場合は、自己判断せず婦人科で確認することが大切です。

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手術歴がある場合:癒着や術後の変化

過去の婦人科手術、腹部手術、骨盤内炎症、子宮内膜症などの影響で、骨盤内に癒着が起こることがあります。

癒着は外から見えにくいこともありますが、性交時の奥の痛み、体勢による違和感、慢性的な下腹部痛として現れることがあります。

手術歴がある方は、性交痛の相談時にそのことを医師へ伝えると、原因を考えるうえで参考になります。

力が入ってしまう場合:骨盤底筋の緊張

性交時の痛みへの不安や、過去に痛かった経験があると、無意識に骨盤底筋に力が入ることがあります。

骨盤底筋がこわばると、挿入時や性交中に痛みが出やすくなることがあります。

これは「気持ちの問題」と片づけるものではありません。痛みが続くことで、身体が防御的にこわばってしまうことがあります。

痛みの原因を確認し、不安を減らしながら、必要に応じてケアを考えることが大切です。

便秘・腸の張り・膀胱症状がある場合

便秘や腸の張りがあると、骨盤内の圧迫感や下腹部の違和感につながることがあります。

また、膀胱炎のような症状、排尿痛、残尿感、頻尿、血尿などがある場合は、泌尿器系の不調が関係している可能性もあります。

性交痛と同時に排尿時の痛み、血尿、頻尿、強い残尿感がある場合は、婦人科だけでなく、必要に応じて泌尿器科的な確認が必要になることもあります。

更年期以降で乾燥もある場合:GSMが重なるケース

更年期以降は、女性ホルモンの低下により、腟や外陰部の乾燥、粘膜の変化、潤滑不足、ヒリヒリ感、性交痛、頻尿、尿もれなどが起こりやすくなります。

このような状態は、GSM、閉経関連泌尿生殖器症候群と呼ばれることがあります。

GSMでは、入口付近の痛みや乾燥感が目立つことが多いですが、性交時の痛みや違和感として感じられることもあります。

ただし、奥の痛みがある場合は、GSMや乾燥だけが原因とは限りません。子宮や卵巣、骨盤内の状態も含めて確認することが大切です。

更年期以降の乾燥・ヒリヒリ感がある方へ萎縮性腟炎とは?症状・放置リスク・治療法を解説

産後・授乳中・低用量ピルなどによる乾燥や違和感

産後や授乳中は、ホルモンの変化により腟まわりが乾燥しやすくなることがあります。

また、低用量ピルなどの使用中に、乾燥感や違和感を感じる方もいます。薬との関係は個人差があるため、自己判断で中止せず、気になる症状がある場合は医師に相談しましょう。

体勢によって奥に当たりやすい場合:子宮の向きや骨盤内の状態

体勢によって、奥に当たるような痛みを感じることがあります。

深い挿入になりやすい体勢や、骨盤の角度、子宮の向き、骨盤内の状態によって、痛みの感じ方が変わることがあります。子宮後屈などが関係する場合もあります。

一時的な痛みで自然に落ち着く場合もありますが、毎回のように痛む、性交後も下腹部痛が残る、出血を伴う場合は、婦人科で確認した方が安心です。

潤滑剤で楽になる痛みと、潤滑剤だけでは改善しにくい痛み

性交痛と潤滑剤の使い分けについて考える女性のイメージ

性交痛があると、まず潤滑剤やゼリーを使って対策しようと考える方も多いと思います。

乾燥や摩擦が原因の場合、潤滑剤が痛みの軽減に役立つことがあります。

一方で、奥の痛みがある場合は、潤滑不足だけでは説明できないことがあります。

痛みのタイプ 潤滑剤で楽になることがある痛み 潤滑剤だけでは改善しにくいことがある痛み
主な痛み方 入口付近の摩擦感、乾燥感、軽いヒリヒリ感 奥に突き上げるような痛み、下腹部に響く痛み、性交後も続く痛み
関係しやすい背景 乾燥、潤滑不足、GSM、軽い摩擦刺激 子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、骨盤内炎症、癒着、骨盤底筋の緊張など
相談の目安 使用して楽になる場合もあります 繰り返す場合や、痛みが続く場合は婦人科で確認しましょう

「入口は大丈夫なのに、奥だけ痛い」

「潤滑剤を使っても奥の痛みが変わらない」

「性交後も下腹部痛が残る」

このような場合は、セルフケアだけで様子を見続けず、一度婦人科で相談することをおすすめします。

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婦人科でどう伝えればいい?性交痛の相談時に伝えたいこと

婦人科で性交痛について相談する女性のイメージ

性交痛について相談するとき、「どう説明すればよいか分からない」「恥ずかしくてうまく話せない」と感じる方は少なくありません。

最初から正確に説明できなくても大丈夫です。医師が一緒に確認していきます。

相談時には、次のようなことを分かる範囲で伝えてください。

  • 入口が痛いのか、奥が痛いのか
  • いつから痛いのか
  • 性交中に痛いのか、性交後に痛いのか
  • 深く挿入されたときに痛いのか
  • 特定の体勢で痛いのか
  • 出血があるか
  • 月経痛が強いか
  • 排便痛があるか
  • 排尿痛、血尿、頻尿があるか
  • おりもの、におい、かゆみがあるか
  • 妊娠、出産、手術歴があるか
  • 閉経前後か
  • 潤滑剤や保湿ケアで変化があったか

メモに書いて持参しても問題ありません。

たとえば、次のように伝えるだけでも大丈夫です。

「性交中に奥が痛いです」

「突かれると下腹部に響きます」

「性交後もしばらく痛みます」

「病院に行くべきか迷っています」

性交痛は、婦人科で相談してよい症状です。

婦人科では何を確認するのか

婦人科で性交痛の原因を確認する診察のイメージ

婦人科では、まず問診で痛みの特徴を確認します。

痛みの場所、痛みが出るタイミング、出血の有無、月経痛や排便痛、排尿症状、出産歴、手術歴、閉経時期、ホルモン治療の有無などを確認します。

必要に応じて、次のような診察や検査を行うことがあります。

  • 視診
  • 内診
  • 超音波検査
  • おりもの検査
  • 感染症検査
  • 子宮や卵巣の確認
  • 子宮頸がん・子宮体がん検診
  • 必要に応じた追加検査

すべての検査を必ず行うわけではありません。症状や状態に応じて、必要な確認を行います。

内診に不安がある場合は、そのことも事前に伝えてください。痛みや不安に配慮しながら進めることが大切です。

受診したら、いきなり治療を決めるわけではありません

性交痛で受診することに対して、「いきなり内診されるのでは」「すぐに治療を決めないといけないのでは」「自由診療を勧められるのでは」と不安に感じる方もいらっしゃいます。

性交痛の診療では、まず症状を整理し、必要に応じて診察や検査を行い、原因を確認していきます。

そのうえで、原因や状態に応じて、保険診療で対応できるもの、自費診療が選択肢になるもの、日常のケアを見直すものなどを整理します。

受診したからといって、その場で治療を決めなければならないわけではありません。

まずは、「なぜ痛みが起こっている可能性があるのか」「どのような確認が必要か」「どのような選択肢があるのか」を知ることが大切です。

原因別の治療・ケアの考え方

深部性交痛の原因に応じた治療とケアのイメージ

性交中に奥が痛い場合、治療やケアは原因によって異なります。

原因・背景 対応の考え方
感染症・炎症 検査結果に応じて、薬による治療を検討します
子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣嚢腫など 超音波検査などで状態を確認し、症状に応じて治療方針を検討します
子宮頸部の炎症など 診察で状態を確認し、必要に応じて検査や処置を検討します
GSM・腟の乾燥 保湿、潤滑、局所ホルモン療法、自費診療などを状態に応じて検討します
骨盤底筋の緊張 痛みの悪循環を整理し、必要に応じてセルフケアや専門的な相談を検討します
便秘・膀胱症状 腸や泌尿器症状も含めて確認し、必要に応じて対応を検討します

深部性交痛では、「この治療をすればよい」と一つに決めることはできません。

痛みの場所、年齢、月経の状態、閉経前後かどうか、婦人科疾患の有無、手術歴、生活背景、パートナーとの関係性などを含めて、その方に合った選択肢を考えることが大切です。

GSMや腟の乾燥が関係している場合は、保湿ケア、潤滑ゼリー、局所ホルモン療法、必要に応じてモナリザタッチなどの腟レーザー自費診療が選択肢になることがあります。

ただし、モナリザタッチなどの治療は、すべての性交痛に適応となるわけではありません。症状や状態を確認したうえで、医師が適応を判断します。

保険診療と自費診療の考え方

性交痛の相談では、原因によって保険診療で確認・治療できるものと、自費診療が選択肢になるものがあります。

相談内容 主な考え方
感染症・炎症・婦人科疾患の確認 保険診療で検査・治療できる場合があります
子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫などの確認 状態に応じて保険診療での検査や治療を検討します
GSM・乾燥・萎縮性変化 状態に応じて保険診療・自費診療の選択肢を検討します
モナリザタッチなどの腟レーザー 適応を確認したうえで、自費診療の選択肢になることがあります
ホームケア 治療の代わりではなく、日常的なケアとして検討します

自費診療は、最初から前提になるものではありません。まずは症状や原因を確認し、必要に応じて選択肢を整理します。

オンライン診療と来院の使い分け

性交痛についてオンライン診療で相談する女性のイメージ

性交中に奥が痛い場合、原因確認のために内診、超音波検査、おりもの検査、感染症検査などが必要になることがあります。そのため、最終的には来院での確認が必要になるケースもあります。

一方で、すぐに来院すべきか迷っている方、症状をどう説明すればよいか分からない方、受診前に一度相談したい方にとって、オンライン診療は相談の入口として活用できます。

オンライン診療では、次のような相談ができます。

  • 症状の整理
  • 受診目安の確認
  • 来院が必要かどうかの相談
  • ホームケアや生活上の注意点の確認
  • 性交痛外来で相談すべきかの確認

ただし、出血、強い痛み、発熱、急な悪化、強い下腹部痛、血尿、排尿困難などがある場合は、オンラインだけで判断せず、来院での確認が必要です。

「まず相談したい」場合はオンライン診療、検査や治療を希望する場合は来院というように、症状に応じて使い分けましょう。

来院前にまず相談したい方へ

すぐに来院すべきか迷う方、症状をどう説明すればよいか不安な方は、オンライン診療で症状を整理することもできます。検査や診察が必要な場合は、来院での確認をご案内します。

痛みを我慢し続けないために

性交痛を一人で抱え込まず相談する大切さを表すイメージ

性交痛は、身体の痛みだけでなく、パートナーとの関係や自分の気持ちにも影響することがあります。

「痛いけれど我慢している」

「断るのが申し訳ない」

「また痛くなるのが怖い」

「年齢のせいだから仕方ないと思っている」

「相談するのが恥ずかしい」

このように感じている方も少なくありません。

痛みを我慢し続けることで、性交そのものへの不安が強くなったり、パートナーとの関係に悩んだりすることもあります。

性交痛は、一人で抱え込む必要はありません。原因を整理し、相談できる場所を持つことが大切です。

性交痛外来で相談できること

性交痛外来で相談できる内容を案内するイメージ

性交痛は、相談しづらく、我慢されやすい症状です。

しかし、痛みの場所や原因を整理することで、治療やケアの選択肢が見えてくることがあります。

性交痛外来では、入口の痛み、奥の痛み、性交後の痛み、乾燥、ヒリヒリ感、出血、GSM、更年期以降の変化、婦人科疾患の可能性などを含めて、症状に応じた確認を行います。

「うまく説明できない」

「恥ずかしくて相談しにくい」

「病院に行くほどなのか分からない」

「年齢のせいだと思っていた」

このような方も、まずはご相談ください。

性交痛は、婦人科で相談してよい症状です。

性交痛外来でご相談いただけます

入口の痛み、奥の痛み、性交後の痛み、乾燥、ヒリヒリ感など、性交痛に関するお悩みを相談できます。痛みの場所や背景を確認し、状態に応じた診療・ケアを検討します。

よくある質問

深部性交痛について婦人科医が回答するイメージ

Q. 性交中に奥が痛い場合、何科を受診すればよいですか?

婦人科で相談できます。子宮や卵巣、骨盤内の炎症、GSM、骨盤底筋の緊張などが関係していることがあるため、まずは婦人科で原因を確認することをおすすめします。排尿痛、血尿、頻尿、尿が出にくいなどの症状が強い場合は、必要に応じて泌尿器科的な確認が必要になることもあります。

Q. 奥が痛い性交痛は子宮内膜症の可能性がありますか?

可能性の一つとして考えられます。特に、月経痛が強い、排便痛がある、慢性的な下腹部痛がある、性交時に奥が響くように痛い場合は、子宮内膜症を含めて婦人科で確認することが大切です。ただし、奥の痛みの原因は子宮内膜症だけではありません。子宮筋腫、卵巣嚢腫、骨盤内炎症、癒着、骨盤底筋の緊張などが関係することもあります。

Q. 潤滑剤を使っても奥が痛いのはなぜですか?

奥の痛みは、乾燥や摩擦だけでなく、子宮や卵巣、骨盤内の炎症、癒着、骨盤底筋の緊張などが関係することがあります。潤滑剤で入口の摩擦が軽くなっても、奥の痛みが続く場合は、別の原因が隠れている可能性があります。繰り返す場合は婦人科で相談しましょう。

Q. 性交後に下腹部痛が続く場合は受診した方がよいですか?

性交後に下腹部痛が繰り返し続く場合は、婦人科で相談することをおすすめします。特に、出血、発熱、おりもの異常、強い痛みを伴う場合は、早めに確認しましょう。一時的な違和感で自然に落ち着くこともありますが、不安が続く場合や毎回のように痛む場合は、原因を確認すると安心です。

Q. 奥の痛みは更年期やGSMでも起こりますか?

更年期以降は、女性ホルモンの低下により、腟や外陰部の乾燥、潤滑不足、GSMによる性交痛が起こりやすくなります。ただし、奥の痛みがある場合は、GSMだけでなく、子宮や卵巣、骨盤内の状態も確認することが大切です。

Q. 体勢によって奥が痛い場合は病気ですか?

体勢によって奥に当たりやすく、一時的に痛みを感じることもあります。ただし、毎回のように痛む、性交後も下腹部痛が残る、出血を伴う、以前は痛くなかったのに痛むようになった場合は、子宮や卵巣、骨盤内の状態を確認した方が安心です。

Q. オンライン診療だけで相談できますか?

オンライン診療では、症状の整理や受診目安の相談ができます。ただし、性交中に奥が痛い場合は、内診、超音波検査、感染症検査などが必要になることもあります。出血、強い痛み、発熱、急な悪化がある場合は、オンラインだけで判断せず、来院での確認をおすすめします。

Q. モナリザタッチ(腟レーザー)は深部性交痛にも使えますか?

GSMや腟の乾燥が関係している場合は、治療選択肢の一つになることがあります。ただし、深部性交痛では、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、骨盤内炎症、癒着、骨盤底筋の緊張などが関係していることもあります。そのため、まず診察で原因や適応を確認することが大切です。

まとめ:奥の痛みは我慢せず、原因を確認しましょう

深部性交痛を我慢せず婦人科へ相談する女性のイメージ

性交中に奥が痛い場合、乾燥や摩擦だけでなく、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、骨盤内炎症、子宮頸部の炎症、癒着、骨盤底筋の緊張、便秘や膀胱症状、GSMなどが関係していることがあります。

一時的な痛みで自然に落ち着く場合もありますが、痛みを繰り返す、性交後も下腹部痛が続く、出血がある、発熱がある、急に悪化した場合は、婦人科で原因を確認することが大切です。

性交痛は、恥ずかしくて相談しづらい症状かもしれません。

しかし、我慢し続ける必要はありません。

「年齢のせいかもしれない」

「我慢するしかないのかもしれない」

「病院に行くほどではないかもしれない」

「どう説明すればよいか分からない」

そう感じている方も、まずは一度ご相談ください。

痛みの場所や原因を整理することで、今後の治療やケアの選択肢が見えてくることがあります。

性交痛は、痛む場所や一緒に現れる症状によって確認したい内容が異なります。現在のお悩みに近い記事からご覧ください。

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。

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