腟の乾燥・ヒリヒリにモナリザタッチは合う?|GSMとの関係と、症状に合わせた治療の選び方
更新日:2026.07.31
「最近、腟や外陰部が乾燥するようになりました」
「下着が触れるだけでヒリヒリします」
「性交時に擦れて痛み、少量の出血があります」
「保湿剤を使っても、すぐに乾燥してしまいます」
更年期以降の患者さんから、このようなご相談を多くいただきます。
腟や外陰部の乾燥、ヒリヒリ感、灼熱感、性交痛などは、閉経前後のホルモン変化によって起こるGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)の症状であることがあります。
腟粘膜の乾燥や萎縮が症状の中心であれば、モナリザタッチは治療選択肢の一つになります。
ただし、乾燥やヒリヒリ感がある方すべてに適するわけではありません。感染症、外陰部の皮膚疾患、洗いすぎによる刺激、腟前庭部痛、神経過敏などが原因の場合は、レーザーより先に原因に応じた治療が必要です。
大切なのは、「乾燥している」という症状だけで治療を決めず、外陰部・腟入口部・腟内のどこに変化があるのかを確認することです。
この記事では、更年期の腟の乾燥やヒリヒリ感に焦点を絞り、モナリザタッチを検討しやすい場合と、ほかの治療を優先する場合について解説します。
更年期の腟の乾燥・ヒリヒリとGSMの関係
GSMとは、閉経前後にエストロゲンが低下することで、外陰部、腟、尿道、膀胱などに症状が生じる状態です。
エストロゲンが低下すると、腟や外陰部の組織が薄くなり、水分や弾力、血流が低下します。摩擦で傷つきやすくなるため、乾燥、ヒリヒリ感、灼熱感、性交痛、少量の出血などが現れることがあります。
頻尿、排尿時の違和感、尿漏れ、膀胱炎を繰り返すなど、尿路の症状を伴うこともあります。
GSMの症状・検査・治療を確認したい方へ 当院のGSM治療 外陰部・腟・尿路の症状をまとめて確認し、原因や状態に応じた治療をご案内しています。「腟が乾燥する」と感じても、症状の場所は同じではありません
患者さんは、外陰部から腟入口部までをまとめて「腟」と表現することがあります。しかし、実際には症状が生じている場所によって、確認すべき原因や治療が異なります。
外陰部
皮膚の乾燥、洗浄剤やナプキンによる刺激、皮膚炎などを確認します。
腟前庭部・腟入口部
発赤や菲薄化、圧痛、亀裂、挿入時の痛みなどを確認します。
腟内
腟粘膜の萎縮や脆弱性、乾燥、分泌物、感染症の有無などを確認します。
同じ「乾燥」「ヒリヒリ」という訴えでも、問題のある場所は患者さんごとに異なります。症状の場所を確認することが、治療を選ぶ第一歩です。
腟の乾燥にモナリザタッチを検討しやすいケース
モナリザタッチは、フラクショナルCO₂レーザーによる微細な刺激を利用し、その後に起こる組織の修復・再構築を促すことを目的とした治療です。
診察によって腟粘膜などの萎縮や脆弱性が確認され、感染症やほかの疾患が除外された場合には、次のような症状に対して治療選択肢として検討することがあります。
- 閉経前後から腟の乾燥が強くなった
- 腟粘膜が薄く、摩擦で傷つきやすくなっている
- 性交時に腟内が擦れて痛む
- 内診器の挿入で腟内が痛む
- 保湿剤や潤滑剤だけでは症状の軽減が不十分
- ホルモン治療を希望しない、または選択が難しい
これらに該当すれば必ず治療効果が得られるという意味ではありません。症状の原因、萎縮の程度、痛む場所、既往歴などを確認したうえで適応を判断します。
治療内容を確認したい方へ モナリザタッチ治療概要 治療の仕組み、当院の診療方針、治療回数、費用、注意点をまとめています。ヒリヒリ感があるとき、レーザーより先に確認すること
ヒリヒリ感はGSMだけでなく、感染症や皮膚疾患、日常的な刺激などでも起こります。次のような場合は、レーザーを前提にせず原因の確認を優先します。
- おりもの・悪臭・強いかゆみがある:カンジダ、細菌性腟症、性感染症などの検査を検討します。
- 白い変化・亀裂・ただれがある:接触皮膚炎、硬化性苔癬などの皮膚疾患を確認します。
- 洗浄後やナプキン使用時に悪化する:洗いすぎ、洗浄剤、香料、摩擦などの影響を見直します。
- 軽く触れただけで強く痛む:腟前庭部痛、神経過敏、骨盤底筋の緊張などを評価します。
- 原因の分からない出血がある:子宮頸部、子宮内膜、腟、外陰部などに病気がないかを確認します。
閉経後の出血を「乾燥によるもの」と自己判断しないでください。
乾燥や摩擦によって出血することもありますが、ほかの病気が隠れていないか確認することが大切です。
保湿・ホルモン治療・レーザーは、症状に合わせて選びます
外陰部の軽い乾燥や洗いすぎ、摩擦が中心の場合には、まず洗浄方法の見直し、保湿、下着やナプキンの調整、性交時の潤滑剤などから始めることがあります。
GSMによる腟粘膜の萎縮が確認された場合には、局所エストロゲン療法などのホルモン治療を検討することがあります。モナリザタッチは、ホルモン治療を希望しない方や、保湿だけでは症状の軽減が不十分な方などに対し、特徴と注意点を説明したうえで自由診療の選択肢として検討します。
一つの治療だけで対応するのではなく、症状の場所や原因に合わせて複数の方法を組み合わせることもあります。
治療の違いを詳しく知りたい方へ GSMのホルモン治療と腟レーザーはどう使い分ける? 日本で使用されるエストリオール腟錠とモナリザタッチの特徴、選び方を整理しています。 毎日のケアを見直したい方へ デリケートゾーンのホームケア 洗浄・保湿・腟内環境など、症状や目的に合わせたホームケアをご案内しています。腟の乾燥・ヒリヒリ感の診察では何を確認しますか?
診察では、症状が始まった時期、月経・閉経の状況、ホルモン治療歴、妊娠・出産歴、婦人科手術歴、がん治療歴などを伺います。
さらに、乾燥・痛み・ヒリヒリ感の場所、かゆみや分泌物、尿漏れや頻尿、性交痛の有無、使用している洗浄剤や保湿剤などを確認します。
そのうえで必要に応じて、外陰部、腟入口部・腟前庭部、腟内、子宮頸部、骨盤底筋を分けて評価し、保湿、ホルモン治療、感染症・皮膚疾患の治療、モナリザタッチなどから治療の順番を考えます。
内診に不安や痛みがある方へ
症状が強く内診が痛い場合には、無理に診察を進めません。最初はお話と外陰部の確認だけにし、症状を整えてから腟内を評価することもできます。診察前に遠慮なくお伝えください。
このような乾燥・ヒリヒリ感は一度ご相談ください
- 閉経前後から腟や外陰部の乾燥が強くなった
- 外陰部がヒリヒリして、下着やナプキンが触れると痛い
- 性交時に腟内が擦れて痛む
- 性交後に少量の出血がある
- 保湿剤を使っても症状が続く
- 自分にホルモン治療が適しているか分からない
- モナリザタッチが自分の症状に合うか診察してほしい
最初からモナリザタッチを受けると決めて来院する必要はありません。診察の結果、保湿ケアや感染症・皮膚疾患の治療など、レーザー以外の方法をご提案する場合もあります。
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参考にした主な医学情報
まとめ|乾燥・ヒリヒリの原因を確認して治療を選びましょう
更年期の腟や外陰部の乾燥、ヒリヒリ感は、GSMによって起こることがあります。腟粘膜の萎縮や脆弱性が症状の中心であり、感染症や皮膚疾患などが除外された場合には、モナリザタッチが治療選択肢の一つになります。
一方、ヒリヒリ感の原因が感染症、皮膚炎、洗いすぎ、摩擦、腟前庭部痛、神経過敏などであれば、レーザーより先に原因に応じた治療が必要です。
大切なのは、「乾燥しているからレーザー」「更年期だから仕方がない」と決めつけず、症状の場所と原因を確認することです。
当院では、モナリザタッチを希望される場合でも、最初から施術を前提にはしていません。保湿が適しているのか、ホルモン治療を検討するのか、感染症や皮膚疾患の治療が必要なのか、レーザーを選択肢とするのかを一緒に整理します。
「この程度で婦人科へ相談してよいのだろうか」と我慢せず、ご相談ください。
症状の場所と原因を確認し、必要な治療を一緒に考えます
保湿、ホルモン治療、感染症・皮膚疾患の治療、モナリザタッチなどから、診察所見とご希望に合わせて治療方針をご提案します。
出血、強い痛み、しこり、急な悪化、悪臭のある分泌物、排尿困難などがある場合は、触診や検査が可能な対面診療をご検討ください。オンライン診療では、症状や不安の整理、来院の必要性についてご相談いただけます。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。



