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モナリザタッチ(腟レーザー)

なぜ私は「3部位照射」へ進化したのか ― イタリアで学び、4,200例の患者さんが教えてくれたこと ―

医師になって30年以上になりますが、今でも患者さんから教えていただくことがあります。

モナリザタッチも、その一つです。

私は2019年にモナリザタッチを導入しました。

当時、日本ではまだ腟レーザー治療を行っている施設は多くありませんでした。

「本当に患者さんの役に立つ治療なのか。」

「海外で評価されている治療は、日本の女性にも有効なのだろうか。」

そんな期待と不安を抱えながら診療を始めたことを、今でもよく覚えています。

 最初は、私も「腟内」を治療していました

モナリザタッチが開発された当初から、多くの研究は**腟内への照射**を中心に行われていました。

閉経後のGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)では、

* 腟粘膜が薄くなる
* 潤いが減る
* 血流が低下する
* 性交時に擦れて痛む

という変化が起こります。

そのため、私も世界標準に従い、腟内を中心に治療を行っていました。

実際、多くの患者さんで、

「乾燥が楽になりました。」

「内診が痛くなくなりました。」

「性交時の擦れる感じが減りました。」

という嬉しいお声をいただくようになりました。

しかし、一方で、ある患者さんたちはこうおっしゃるのです。

「先生、まだ入口が痛いんです。」

「腟の中は楽になりました。」

「でも、入る瞬間だけはまだ痛いんです。」

最初は、なぜなのか分かりませんでした。

腟粘膜は以前より柔らかくなっている。

乾燥も改善している。

それなのに性交痛だけが残る。

「なぜだろう。」

その疑問が、私の診療を変えるきっかけになりました。

「どこが痛いですか?」という質問から始まった変化

それまでは、

「性交痛があります。」

という一つの症状として診ていました。

しかし、その頃から私は診察のたびに、患者さんへこう尋ねるようになりました。

「どこが痛いですか?」

すると返ってくる答えは、

「入口です。」

「ここです。」

患者さんは、ご自身の指で腟入口部を指してくださいました。

診察すると、そこには強い圧痛がありました。

腟の奥ではありません。

腟前庭部だったのです。

 「腟」だけでは説明できない

さらに症例を重ねると、別のことにも気付きました。

乾燥を訴える患者さんでも、

腟内が乾燥している方。

外陰部が乾燥している方。

尿道口周囲がヒリヒリする方。

前庭部だけが痛い方。

本当にさまざまでした。

患者さんは皆さん、

「腟が痛い」

「腟が乾燥する」

と表現されます。

しかし診察してみると、症状が起きている場所は同じではありませんでした。

私はそこで初めて、

「症状名で治療するのではなく、場所で診断しなければならない」

と思うようになりました。

イタリアで確信したこと

2026年、私はイタリアでモナリザタッチの開発者であるサルバトーレ教授から直接学ぶ機会をいただきました。

教授は、モナリザタッチによる組織再生の考え方や、これまで積み重ねてこられた研究成果について詳しく教えてくださいました。

そのお話を伺いながら、私は日本で診療してきた4,200例以上の患者さんの顔が次々と思い浮かびました。

「入口だけが痛い」と話された方。

「尿がしみる」と訴えられた方。

「乾燥は外側だけ」とおっしゃった方。

イタリアで学んだ科学と、日本で積み重ねた臨床経験が、一つにつながった瞬間でした。

私が感じたのは、

モナリザタッチは『腟を治療するレーザー』ではなく、『症状が起きている組織を評価して治療するレーザー』なのではないか

ということでした。

だから私は「3部位」を診るようになりました

現在、当院では診察の際に、

* 腟内
* 腟前庭部(腟入口部)
* 外陰部

この3つを分けて評価しています。

さらに、頻尿や尿道周囲の違和感がある方では、尿道口周囲の状態も確認します。

ここで大切なのは、

全員に3部位照射するわけではない

ということです。

診る部位は3つ。

治療する部位は患者さんごとに違います。

腟内だけで十分な方もいます。

前庭部への治療が必要な方もいます。

保湿だけで改善する方もいます。

レーザーより先に皮膚疾患を治療すべき方もいます。

4,200例が教えてくれたこと

私は、「4,200例治療しました」という数字を自慢したいわけではありません。

この4,200という数字は、

4,200人の女性が、

私にご自身の悩みを話してくださったという数字です。

乾燥。

性交痛。

尿漏れ。

かゆみ。

ヒリヒリ感。

「誰にも相談できませんでした。」

そうお話しくださる患者さんも少なくありませんでした。

その一人ひとりとの出会いが、私の診療を少しずつ変えてくれました。

だから現在の診療スタイルは、私一人が考えたものではありません。

患者さんが一緒に育ててくださった診療だと思っています。

レーザーを照射することが目的ではありません

診察で私は、患者さんへよくこうお話しします。

「今日はレーザーを受ける日ではなく、原因を探す日かもしれません。」

レーザーは、とても良い治療です。

しかし、

すべての乾燥。

すべての性交痛。

すべてのヒリヒリ感。

を解決するわけではありません。

だから私は、照射を急ぎません。

まず、

どこに症状があるのか。

なぜそこが痛いのか。

それを患者さんと一緒に確認します。

その結果、

レーザーを選ぶこともあります。

保湿だけで十分なこともあります。

ホルモン治療を選ぶこともあります。

あるいは、骨盤底筋へのアプローチが必要なこともあります。

その方に合った治療を選ぶことが、何より大切だと考えています。

私が目指しているのは「照射技術」ではなく「診断力」です

モナリザタッチという機械は、世界中にあります。

しかし、その機械をどこに、なぜ照射するのかを考えるのは医師です。

私はこれからも、海外の研究から学び続けます。

そして同時に、目の前の患者さんからも学び続けたいと思っています。

イタリアで学んだ医学と、日本で4,200例以上の患者さんが教えてくださった経験。

その両方を大切にしながら、一人ひとりに合わせた診療を続けていきたいと思います。

おわりに

私は、モナリザタッチを「レーザー治療」としてだけではなく、女性の人生の質を改善するための一つの選択肢として考えています。

大切なのは、「どの機械を使うか」ではありません。

「どこに問題があり、何がその方に必要なのか」を見極めること。

それが、私が4,200例の診療から学び、現在の「3部位評価・3部位治療」という考え方にたどり着いた理由です。

もし、乾燥や性交痛、ヒリヒリ感で悩み、「どこへ相談したらよいか分からない」と感じている方がいらっしゃいましたら、どうぞ一度ご相談ください。

まずは症状がどこから来ているのかを、一緒に確認するところから始めましょう。

私は、4,200例で完成したとは思っていません。5,000例、1万例と診療を重ねる中で、これからも患者さんから学び続け、診療を進化させていきたいと思っています。
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