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セックスレスは“心の問題”だけじゃない。体の変化に向き合う女性内科の視点|性交痛・更年期・ホルモンの可能性も

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「夫婦関係が冷えてきた」
それ、あなたの“心”だけのせいではないかもしれません。

 

セックスレスは、多くのご夫婦が抱える悩みの1つです。

「セックスレス=気持ちや愛情の問題」

という認識でおられる方は、男女ともに多く、それ故にセックスレスは大きな悩みのタネになりがち。

 

「夫への愛情はあるけど、セックスは気乗りしない」

「以前ほどセックスを楽しめない」

「あまり考えたくない」

それは、女性の体に起きている変化が原因の場合があります。

原因に正しくアプローチすることで、セックスレスを解消できるかもしれません。

今回は、さまざまなセックスレスの原因、当院でできる対応についてご紹介いたします。

 

セックスレスは“心の問題”だけが原因ではありません

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セックスレスの原因には、関係性の問題、環境の問題など、さまざまな要因が関わっており、心の問題も関与しているのは事実です。

ただ、それがすべてではありません。

「愛しているのに、なぜセックスに応じてくれないのか」

とパートナーに責められ、つらい思いをしている女性がいることに、もどかしさを感じます。

女性の体は、ライフステージごとに大きく変化するものです。

その変化の中で、セックスを楽しめない・できない状態になってしまうのも、決して珍しいことではなく、中には医学的なアプローチで改善できるケースもあります。

もちろん、関係性が冷え込んでいるのに無理にセックスに応じましょうというのではありません。

パートナーとのセックスを望んでいるのなら、原因を探り、改善のためのサポートができればと思っております。

 

セックスレスの“身体的な原因”とは?

では、セックスレスにつながるような身体的な原因とはなんなのでしょうか。具体的に代表例を挙げて解説いたします。

① 性交痛(dyspareunia)

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性交痛のせいでセックスがつらいものとなり、セックスレスになってしまう方は多いです。

・腟の乾燥、粘膜の薄化

腟や粘膜の変化には、次で解説するようなホルモンバランスの変化が関与していることも多いです。

濡れにくくなったり、粘膜が薄く引き攣れるような感覚が出たりすることで、性行為で苦痛を感じてしまいます。

緊張や精神的な問題(パートナーとの関係性の悪化、ストレスなど)でも腟分泌液は出にくくなり、乾燥から性交痛につながってしまいます。

・子宮内膜症や腟炎などの疾患

子宮内膜症の方は、ピストン運動時など、振動で痛みを強く感じます。

こちらの記事 で、子宮内膜症と性交痛との関連について詳しくご紹介していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

腟カンジダ症・細菌性腟炎・性感染症によるものなど、腟炎が原因で性交痛を感じることもあります。

腟炎による性交痛の場合、挿入時や腟内が擦れたときに痛みを感じることが多いです。

・バルトリン腺の摘出後

バルトリン腺炎などを繰り返す方で、バルトリン腺を摘出する治療をした方は、腟分泌液が出なくなり、性交時に潤滑剤が必要になります。

潤滑剤を十分に使用しなければ、性交痛を感じてしまうでしょう。

・産後

産後は、会陰の傷の回復に時間がかかるほか、ホルモンバランスの影響で濡れにくさもあり、性交痛を感じやすいです。

・日々の疲れ

日常が目まぐるしく進む中、睡眠時間も十分に取れない、お食事をとる時間もないという時期に、性交渉は避けたいということもあるかもしれません。

こんな時に性交痛は悪化することがあります。

「性交痛」の詳細はこちら

② ホルモンバランスの乱れ

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ホルモンバランスの乱れにより、腟の乾燥や性欲低下が生じ、セックスレスに至ることもあります。女性のライフステージごとにみていきましょう。

・排卵期〜月経前(PMS)

排卵期の直前にエストロゲン分泌は最も高まっており、排卵後に急激に分泌が低下します。また、月経直前も、エストロゲンの分泌が低下する時期です。そのため、一時的に腟が乾燥しやすくなり、性交痛を感じることがあるようです。

また、PMSの症状(イライラ、乳房の張り、腰痛など)によって感覚が過敏になり、刺激を痛みとして感じやすいのではないかという説もあります。

・不妊治療後

不妊治療で排卵を促すホルモン治療をした、卵子凍結・卵子提供のためにホルモン治療をしたという場合にも、ホルモン分泌量の低下を生じることがあり、不妊治療後に腟の乾燥に伴う性交痛を訴える患者様に外来でお会いすることがあります。

・産後(授乳中)

産後は、母乳を分泌させるために、プロラクチンというホルモンが多く分泌されます。

プロラクチンは子育てホルモンともいわれますが、時には性欲を低下させる作用があるため、産後、とくに授乳中は、セックスをしようという気分になりにくいことがあります。

・更年期(エストロゲン分泌量の急激な低下)

エストロゲンの急激な低下により、コラーゲンの合成量が減り、腟の萎縮や乾燥が進みます。腟分泌液の量も減ってくるため、性交痛に繋がりやすいです。

③ 疾患や体調不良によるもの

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なんらかの疾患や不調が原因で、セックスレスにつながっている場合もあります。

・甲状腺機能異常

バセドウ病や橋本病では、妊娠・出産に影響があるということは、以前こちらの記事でもご紹介しました。

甲状腺機能異常により性欲の減退、性行為による満足度の低下、性交痛などを感じるケースもあり、セックスレスの原因となっている場合があります。

治療により甲状腺機能が正常化すると、こうした症状も改善することがほとんどです。

・自律神経失調(自律神経の乱れ)

女性が性行為で十分な満足感を得るためには、心身のリラックスが必要です。

自律神経が乱れ、交感神経が優位な状態が続いていると、性欲や性的な満足感を感じにくくなります。

不眠、頭痛、倦怠感、動悸、めまいなどは、自律神経が乱れているサインかもしれません。心身のストレスや疲れ、睡眠不足が慢性化していませんか?

また、更年期にはホルモンバランスの乱れから自律神経系も乱れやすいです。

④ 性欲の低下

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性欲が低下し、性行為に前向きになりにくいという方も少なくありません。性欲低下の原因としては、次のようなものが考えられます。

・乳がん治療

乳がん治療として、女性ホルモンの分泌を抑える「ホルモン療法」をおこなうことが多いです。

その影響で性欲が低下することが知られています。同時に、乳がん治療の過程で身体にできた傷の影響や、治療による体の疲労感などから、性行為に積極的になれないということもあります。

・卵巣がん、子宮体がん術後

卵巣がんや子宮体がん治療のため、卵巣や子宮を摘出し女性ホルモンの急激な低下を引き起こすことがあります。このことにより性行為に抵抗を感じる方もいらっしゃいます。

・抗うつ薬やピルの副作用

抗うつ薬や低用量ピルなど一部の薬の副作用により、性欲が減退することがあります。

また、低用量ピルを長期間服用している方の中には、萎縮性腟炎のような状態になっている方が時々おられます。濡れにくくなり、性交痛を感じるようです。

 

こんな症状があれば、婦人科・女性内科にご相談ください

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当院では、お子様からご高齢の方まで、すべての女性に対して積極的なケアを提供している点が特徴です。

性交痛がある、腟分泌液(アイ液)が出にくい、そういったお悩みのある方は、ぜひ婦人科・女性内科を併設している当院でご相談ください。

 

セックスが痛い、出血、違和感がある
触れられるのが不快に感じる
性欲が極端に低下している
出産後、授乳期に気持ちが変化した
閉経後に夫婦関係がギクシャクしてきた

 

こうした症状は、「気持ちの問題」「愛情がなくなった」などではなく、身体からのサインかもしれません。医学的なアプローチで、改善できる場合もあります。

前向きな気持ちで、パートナーとのスキンシップとして性行為を楽しめるよう、一歩を踏み出してみませんか?

 

当院でできる検査・治療

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当院でおこなっている検査や治療についてご紹介いたします。

1.血液検査

女性ホルモンの分泌状況を、血液検査で確認します。また、必要に応じて甲状腺ホルモン(TSH、FT3、FT4)などの項目を追加する場合もあります。

2.性交痛の診察・治療

性交痛の訴えがある場合、問診で痛みの程度や部位などをお伺いし、内診や超音波検査で卵巣や子宮、腟の状態を確認します。

腟炎や子宮内膜症、子宮筋腫があれば、原因に合わせた治療が必要です。

外陰部の萎縮や乾燥がみられる場合は、モナリザタッチの施術をとくにおすすめしております。また、保湿剤や潤滑剤の使用、腟ケア方法も指導いたします。

3.更年期症状の対応

検査の結果、更年期に伴うものだと判断した場合、更年期障害の治療をご提案いたします。

ホルモン補充療法は、ある程度効果もあり、さまざまな症状にアプローチできる点が強みです。

萎縮性腟炎だけの症状であれば、エストロゲンの腟錠で改善が期待できることがあります。当院では、腟レーザーのモナリザタッチの施術を併用される方も多いです。

漢方薬による治療もご相談ください。
ホルモン補充療法と併用することも可能です。食事や生活に関してのアドバイスも積極的におこなっております。

プラセンタ療法もおこなっております。ホルモン補充療法に抵抗を感じる方は、是非お試しください。

4.性に関する相談支援(セクシャルウェルネス)

性に関するお悩みは、なかなか人に話すことができず、一人で悩んでしまう方が非常に多いです。

日本には、「女性は性的に奥ゆかしいのが美徳」という考え方が古くからあることも、影響しているように思います。

当院では、フェムケアに力を入れており、その一環として、医師によるカウンセリングも可能です。性交痛、腟が濡れないこと、性欲が低下したことなどは、医学的なアプローチで改善できる場合があります。

我慢して性行為に応じることを繰り返していると、どんどん性行為へネガティブな気持ちが募り、悪循環に陥ってしまうでしょう。

性に関して「安心して話せる場所」「相談できる場所」として、当院を活用していただければと思います。

 

年齢・ライフステージ別のセックスレスの傾向と対応

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年齢やライフステージによって、セックスレスの原因には傾向があります。大まかにその傾向と対応についてご紹介いたします。

30代|妊活・産後・育児ストレスと性欲低下

妊活中であれば、タイミング法に対するプレッシャーで性行為を楽しめない、濡れないというのはよくあるお悩みです。

また、産後は授乳中のホルモン変化により、性欲が低下します。産後の傷の状態によっては性交時痛もあるため、さまざまな要因からセックスレスに陥りやすい時期といえます。

40代|プレ更年期・夫婦の距離の変化

40代はプレ更年期であり、少しずつエストロゲン分泌低下の兆しが見えてきます。性欲の変化、腟の乾燥、性交痛などを、だんだんと感じるようになってくるでしょう。

また、仕事や育児、親世代の介護など、心身の負担も大きな時期です。ストレスにより心身が緊張状態となり、「性行為どころではない」ように感じるのではないかと思います。

また、忙しさから夫婦関係が変わってしまったとお悩みになっている方も多いです。精神的に距離ができてしまえば、性行為が楽しめなくなるのも自然なこと。まずはお互いに会話を大切にすることや、思いやりを示すことが必要かもしれません。

50代|更年期と閉経後の変化

更年期には、エストロゲン急低下で腟の萎縮・性交痛・性欲減退など、さまざまな問題が生じます。エストロゲンの局所投与やモナリザタッチの施術などで、ある程度腟の状態の改善は見込めますので、お気軽にご相談ください。

「もう、卒業!」と自分にいいきかせるより、この時期を、「再びパートナーとの関係を見直す」タイミングとして捉えるのもよいと思います。腟への挿入だけがスキンシップではありません。二人に合ったスキンシップ方法を探してみましょう。

 

よくあるご相談(FAQ)

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性行為に関連してよく寄せられるお悩みについて、回答いたします。

Q1:婦人科でセックスレスの相談をしてもいいのでしょうか?

もちろん問題ありません。痛みのある場合は子宮内膜症腟炎性病などの婦人科疾患が原因かもしれませんので、調べておくべきです。腟の萎縮が原因の場合も、治療することができます。

当院では、モナリザタッチなど特徴的なレーザー治療の用意もありますので、お気軽にご相談ください。

Q2:セックス時に出血があり心配です。

出血がある場合、まず考えられるのは腟の萎縮や粘膜の薄化です。また、子宮頸がんや子宮体がんも鑑別しなければなりません。

内診やがん検診をおこない、原因に合わせた治療をおこないましょう。

「性行為後の出血」はこちら

Q3:性欲がなくなったのは年齢のせいですか?

年齢とともに、性欲の質は変わってきますので、年齢の影響ということもできるだろうと思います。ですが、今回ご紹介したように、年齢以外の原因もあります。

パートナーとのスキンシップとして性行為をしたいという気持ちがあるのにできない、という場合には、原因を突き止め、それに合った治療も検討してみましょう。

Q4:更年期による変化があるか知りたいです。

更年期には、デリケートゾーンも大きく変化します。更年期、とくに閉経後の女性のほとんどは、萎縮性腟炎の状態であり、治療により改善が見込めるということを知っていただきたいです。こちらの記事 で詳しく解説しています。

ホルモンレベルや腟の状態をチェックし、適切な治療をご提案いたします。

Q5:潤滑剤や腟ケア用品は処方してもらえますか?

潤滑剤や腟ケア用品は医薬品・医療機器ではないため、処方はできませんが、購入していただくことは可能です。

院長の私が監修した「EBINEジェル」や「EBINEセラム」を、ぜひお試しいただければと思います。市販のものを購入する場合は、刺激の少ない成分のものをおすすめしております。

Q6:妊活中でタイミングがプレッシャーになっています

タイミング法は、「今日性行為をしなければ、1か月の努力が無駄になってしまう」というプレッシャーで、濡れない・勃起しないと男女ともに悩んでいる方が多いですね。夫婦関係がギクシャクしてしまうというお話もよく聞きます。

リラックスすることが大切なので、妊活中も趣味や適度な運動をおこなって気分転換をするようにしましょう。「濡れなくてうくいかなかったら…」と緊張してしまうのであれば、はじめから潤滑剤を使ってしまうのも1つの方法だと思います。

 

【まとめ】

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セックスレスは、心だけの問題ではありません。

年齢やライフステージにより、女性の体は変化するものです。

その変化に合わせて、適切な医学的アプローチをすることで、性行為へ前向きな気持ちを取り戻せるもいらっしゃいます。

不安を感じずに、身体の状態を知ることからはじめてみませんか?

当院は、婦人科・女性内科を併設しており、性にまつわる身体的不調の解消に真剣に取り組んでおります。

カウンセリングも可能ですので、お気軽にご予約ください。

当院のスタッフは、医師を含め、すべて女性です。人には打ち明けにくいお悩みこそ、専門の医師へご相談ください。

オンライン診療もご利用ください

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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