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院長ブログ

女性下腹部の痛み、生理・ピル・妊娠など婦人科系やチクチク・ズキズキする生理以外の下腹部痛の原因・症状・対処法まで解説。

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女性の皆さんにとって、「お腹が痛い」という症状があるときにどの診療科へ行くべきか?

という問題は、避けられないことと思います。

とくに下腹部であれば、婦人科系のトラブルが頭をよぎるでしょう。

女性が下腹部痛を感じた場合に、「どんな症状なのか?」「チクチクする痛み?」「ズキズキする痛み?」また「何が原因なのか?」「どんな対処をすべきなのか?」「それにより、どの診療科へ行くべきか?」を考えやすいよう、今回は女性の下腹部痛に着目し、原因や対処について詳しくお伝えします。

 

下腹部の痛みで考えられる原因臓器は?

「下腹部」は、おへそ周辺やそれよりも下の位置と考えてください。

下腹部の痛みでまず考えられる原因臓器は、腸系(小腸・虫垂・大腸)、尿路系(腎臓・尿管・膀胱、尿道)、婦人科系(子宮、卵管・卵巣・腟)です。

腸系(小腸・虫垂・大腸)

急性腸炎、便秘、虫垂炎(いわゆる盲腸)、腸閉塞(イレウス)、憩室炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、腹部大動脈瘤、上腸間膜動脈血栓症、大腸がんなど。

尿路系(腎臓・尿管・膀胱、尿道)

膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎、尿管結石など。

婦人科系(子宮、卵管・卵巣・腟)

月経痛、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮外妊娠、骨盤腹膜炎(クラミジア、淋菌など)、卵巣嚢腫、卵巣出血など。

女性の下腹部痛で悩んだら・・・

「下腹部が痛い」という訴えだけで、パッと思い浮かぶ原因はこれだけたくさんあります。

痛みのタイミングや性状から、ある程度、原因を推測することは可能です。

さまざまな原因疾患やその特徴、必要な対処について、解説していきます。

 

月経・月経周期に関連した下腹部痛

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月経に関連した下腹部痛と聞くと、月経痛だけを思い浮かべるかもしれません。

ですが、月経期間以外でも、月経に関連した下腹部痛を感じることはあります。

排卵痛

月経と月経のちょうど中間あたりで、1〜3日間程度の下腹部痛であれば、「排卵痛」が考えられます。

「激痛」になることは少ない印象です。
この時期のおりものは、少し粘つきがあります。少量の出血がある方もいらっしゃいます。激痛になる方の中に、卵巣出血の方もいらっしゃいます。

婦人科受診が必要です。

排卵痛を全く感じない方もいれば、強い痛みを感じる方もいて、月経痛と同じように個人差がある痛みです。排卵に伴って卵胞が破れ、このときに生じる卵胞液や血液が腹膜を刺激するために痛みが出るといわれています。

毎月あまりに排卵痛が強いという方には、次にお伝えする「子宮内膜症」の可能性もありますので、超音波検査にお越しください。

【痛みの特徴】

チクチクする痛み、お腹が張る、お腹が重いなど。

【その他の症状】

不正出血

【対処法】

排卵痛自体を起こさないようにする方法はありませんが、腹部を温めることや、必要なときには鎮痛剤をお使いになるのがよいでしょう。

子宮内膜症

子宮内膜症は、本来なら子宮の内側にあるべき子宮内膜組織が、それ以外の場所(腹膜、卵巣、卵管、腸、子宮筋層内など)に発生する病気です。

内膜症組織は、女性ホルモンの影響を受けて月経時に向けて増殖しますが、腟に開通していない部位に発生したものなので、月経時期に体外へ排出することはできません。 子宮以外の場所でたまった子宮内膜は、周囲の炎症や癒着を引き起こします。そしてその部位が動かされたとき、下腹部痛として症状を感じるのです。

子宮内膜症が進行してきた方は、月経とは無関係に、ウォーキングやランニング、性行為、排便などのちょっとした刺激や揺れでも強い痛みを感じるようになってしまいます。

【痛みの特徴】

締め付けられるような痛み、刺すような痛み、キリキリとした痛みなど。
月経が近くなると痛みが強くなる傾向にあります。排卵時期に疼痛がある場合もあります。

【その他の症状】

性行痛、便秘、下痢、排便時痛、腰痛など

【対処法】

疼痛コントロールには、鎮痛剤や漢方薬を使用することもありますが、ジエノゲストなどの第4世代黄体ホルモンを用いた治療、レゴリクスや低用量ピルをはじめとした薬物内服治療、GnRHアゴニストの注射療法、場合によっては手術が必要なこともあります。

月経痛が悪化してきた方、月経と無関係に下腹部痛がでてきて毎月疼痛がある方は、お早めにご相談ください。

子宮筋腫

子宮筋腫は、女性ホルモンの影響を受けて大きくなる、良性の腫瘍です。

30歳以上の女性の20-30%にみられ、多くの方が悩まされています。
筋腫のできる位置や大きさにより、多彩な症状が出るのが特徴です。 子宮筋腫はがんではありませんが、月経を重ねるにつれ大きさや症状が少しずつ悪化する病気です。

悪性ではありませんが、大きくなると妊娠や妊娠継続に影響することもあります。我慢をして様子をみるのではなく、結婚妊娠出産といったライフプランに合った治療を選択することが、非常に大切です。

閉経に近づくとともに症状は落ち着いていくことが多いです。

【痛みの特徴】

月経痛、下腹部の違和感、下腹部膨満感、下腹部のにぶい痛み、陣痛のように波のある痛みなど。

【その他の症状】

無症状の方もいらっしゃいますが、主に経血量が多い、腹部膨満感、月経以外でも下腹部痛がある、尿が出ない、頻尿、便秘、不妊症など

【対処法】

ホルモン内服治療、注射、点鼻薬、漢方、鎮痛剤などで症状を和らげます。

ピルを服用している方の下腹部痛

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月経痛の緩和、月経周期の安定化、避妊など低用量ピルを服用する理由はさまざま。

低用量ピルを服用していれば、基本的には月経痛は和らぎます。
とはいえ、完全にゼロにならない場合もあり、また、非常に稀ですが服用を続けていて下腹部痛が悪化してくる場合もあります。 低用量ピルの服用を始めてからの期間によって、原因が変わることが多いです。

いくつかご紹介します。

服用を始めて数か月までの時期

服用を始めて数か月の間は、まだ低用量ピルの「月経痛緩和」の効果が十分に発揮されていないことが考えられます。

下腹部痛が、月経(消退出血)に伴うものであれば、さほど慌てる必要はありません。 3か月程度は、24時間ごとの服用を続けてみることをおすすめします。ご不安のある方は、処方元の医師へ相談してみてください。

月経とは無関係に「急な強い腹痛」が起きたという場合には、卵巣嚢腫の破裂や卵巣嚢腫の茎捻転、腸閉塞(イレウス)や骨盤内腹膜炎の可能性も考えられます。頻度は稀ですが、緊急の対応が必要な場合もあります。

低用量ピルによる血栓症は、服用開始から3か月目までに45%、6か月目までに63%、1年目までに81%が起きています。
一旦服用を中止したあとに、再開した場合にも血栓症のリスクが高まります。非常にまれですが、骨盤内に血栓症が生じて腹痛を起こす場合があります。

また、肥満の方、精神疾患の内服治療中の方、喫煙者の方が低用量ピルを服用すると、血栓症のリスクが高いです。最近は、オンライン処方で低用量ピルの処方を受けられることから、リスクの高い方が副作用を熟知せず服用しているケースも見られます。

お腹や胸、足、頭などの強い痛みが急激に生じた場合は、緊急で医療機関を受診しましょう。
医療機関へかかった際には、低用量ピルを服用していることを必ずお伝えください。

長期間ピルを服用しているとき

ピルを服用していて、「月経痛が改善していたのに、だんだん月経痛が強くなってきた気がする…」「気分が沈む」「性交痛がある」「乾燥感がでてきた」「性欲がなくなった」という方も少なからずいらっしゃいます。

そういった場合は、低用量ピルの種類を変更してみるか、ジエノゲスト(黄体ホルモン製剤)を試してみるとよいかもしれません。

子宮内膜症などの病気がなくとも、ストレスで月経痛やPMS症状が強く出てしまうことがあります。
低用量ピルを服用していても、月経痛やPMS症状が十分に緩和されていないという方は、遠慮なく医師へ相談してください。

妊娠に関連した下腹部痛

画像 妊娠中に起こる下腹部痛は、心配になってしまうことも多いでしょう。いくつか、原因をご紹介します。

お腹の張りによる痛み

切迫流産、切迫早産の可能性があります。歩いたり立ったりの負担が大きかったとき、運動をしすぎたとき、ストレスを感じたときなどに、お腹が張り、下腹部痛を感じる場合がありますが、まず、楽な姿勢で安静にし、張りの変化をみてください。

お腹を締め付けない下着や服装で休みましょう。
お腹の張りが軽減しないときは、必ずかかりつけの産婦人科へご相談ください。

便秘による痛み

妊娠中は、妊娠を維持するためにプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が多くなります。プロゲステロンの作用により、大腸の動きが抑えられ、妊娠中は便秘になる方がとても多いです。

妊娠により、体の水分含有量は体液の30%も増加します。
水分摂取量が十分でない妊娠さんは、水分含有の少ない硬い便になることが多く、ご自身のいきみだけで排便するのが難しい場合も少なくありません。めったにありませんが、この治療に開腹手術が必要となることもあります。

妊娠中の排便コントロールは非常に重要です。
妊娠中でも安全に使用できる下剤がいくつかございますので、産婦人科でご相談ください。

赤ちゃんの胎動による下腹部痛

赤ちゃんは、お腹の中で元気に動き回りますので、妊娠20週以降には、赤ちゃんが動いたり蹴られたことによる鈍い痛みや、引っ張られるような痛みを感じます。

胎動に伴う痛みであれば、大きな問題はありませんが、子宮収縮と見分けがつかない場合はかかりつけの産婦人科を受診しましょう。

切迫流産・切迫早産

切迫流産は、妊娠22週未満でお腹の痛みや出血が起こって、悪化すると流産を引き起こす病態ですが、赤ちゃんの心拍は確認できており、子宮頚管も閉じた状態のことです。妊娠22週〜36週で同様の症状がある場合は、切迫早産と呼びます。

子宮頚管が短縮したり、破水したりした場合には早産を引き起こします。母子ともに重症管理ができる周産期センタ-での入院管理が必要です。

【痛みの特徴】

月経痛に似た痛み、腟の奥が引き連れる感じ、子宮が重く張ったような痛みなど。鈍い痛みで、周期的なものは流産や早産の危険性が高いです。

【その他の症状】

出血、水っぽいおりもの、お腹の張り、腰痛

【対処法】

切迫流産・切迫早産と診断された場合は、とにかく入院を指示されたと思って、自宅で「安静」に過ごします。
家事やお買い物なども極力減らして横になっていることが大切です。必要に応じて、内服薬や入院管理により点滴療法を行い、子宮の収縮を抑えて出産時期を待ちます。

異所性妊娠(子宮外妊娠)

本来であれば子宮内に着床して育っていくはずの受精卵が、卵巣・卵管・頚管・腹腔内など子宮以外の場所へ着床した状態です。

残念ながら、妊娠を継続することはできないことがほとんどです。

異所性妊娠の場合でも、妊娠検査薬が陽性となり、つわりも生じます。ですから、超音波検査で検査しなければ、ご自身の症状で異所性妊娠か正常な妊娠かを区別するのは難しいです。妊娠自体に気がついていないということもあり、出血や腹痛で気づく場合もあります。

特に、狭い卵管内に着床した受精卵が少しずつ大きくなり、ある日卵管が破裂して強い腹痛が起こるという場合、緊急手術が必要で、死亡することもありますので、非常に重篤な病態です。

【痛みの特徴】

初期の場合、腹部違和感や軽度の疼痛のこともあります。破裂した場合、激しい腹痛(話ができないほど、立っていられないほどの痛みが急に起こる)やショックで意識がなくなることがあります。着床部位の圧痛を感じることもあります。

【その他の症状】

不正出血

【対処法】

激しい腹痛が急激に起きた場合は、卵管破裂など緊急の状態であることが考えられます。手術などの対応ができる医療機関へかかる必要があります。

検診などで「異所性妊娠の可能性がある」と言われていた場合は、救急車を要請する際に子宮外妊娠の診断を伝えてください。

月経・妊娠以外の婦人科系トラブルによる下腹部痛

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婦人科系のトラブルは、月経や妊娠に関連したものだけではありません。

それ以外に考えられる原因をご紹介します。

クラミジアや淋菌の感染

クラミジアや淋菌といった細菌感染により、下腹部痛を生じることもあります。いずれも性感染症で、性行為でパートナーへも感染しますから、一緒に治療をおこなうことが大切です。

クラミジアや淋菌の感染症は、初期には多くの方で無症状です。気が付かないまま、治療をしないまま時間が経過すると、クラミジア原虫や淋菌が子宮や卵巣など奥の方まで入り込んでしまい、子宮頚管炎・子宮内膜炎・卵管炎と波及していき、腹部全体に炎症を引き起こす骨盤腹膜炎になる場合もあります。

【痛みの特徴】

下腹部全体の痛み、まれに、右上腹部が強く痛むこともある

【その他の症状】

おりものの量・匂いの変化、性交時痛、性交時の出血など (男性の場合:排尿時痛、尿道からの分泌物)

【対処法】

適切な抗菌薬で感染症の治療をしなければなりません。
早期であれば治療期間も短くすみますが、お腹全体など感染が広がっている場合には点滴での治療のため入院になる場合もあります。原因に有効な薬物を同定することが大切です。

腫瘍(がん)

子宮がん、子宮頸がん、卵巣がんなど、腫瘍による下腹部痛も起こり得ます。

がんそのもので痛むわけではなく、がんの広がりや、それにより神経など周囲の組織を圧迫した結果として痛みが出ます。

【痛みの特徴】

重い感じ、鈍痛、ズキズキ、チクチク、ビリビリなどさまざま。

【その他の症状】

不正出血、性交時や運動時の出血、性交時痛、便秘、下腹部膨満感、足のむくみ、貧血、嘔気など

【対処法】

定期的に、がん検診を受けましょう。
進行するほど多彩な症状を呈します。頻繁な不正出血がある場合には、婦人科をご受診ください。

卵巣捻転

卵巣が何かの拍子にねじれてしまい、激しい痛みが出ます。卵巣嚢腫など、卵巣が大きくなっている方に起きやすい病態です。

運動や性行為など、激しい動きに誘発される場合もありますが、きっかけなく起こる場合もあります。 ねじれた状態のままにしておくと、血流が途絶えて卵巣が壊死してしまいます。

【痛みの特徴】

突然の痛み、差し込むような痛み、数日〜数週間続くこともある

【その他の症状】

吐き気や嘔吐

【対処法】

ねじれを解消するために緊急手術を施行して血流開始ができれば、卵巣機能は温存されることがあります。発症から時間が経過して卵巣が温存できない状況では、卵巣や卵管の摘出が必要になります。卵巣が大きくなっている原因(卵巣嚢腫など)そのものの治療も大切です。

子宮頚管炎

子宮頚管炎とは、腟の奥に位置する子宮の腟側に炎症が生じているものです。

クラミジアや淋菌、マイコプラズマなどの性感染症が原因となっている場合もあります。免疫力の低下や細菌性腟症、加齢による萎縮など、原因は多岐に渡ります。

【痛みの特徴】

違和感のみで、激痛となることは少ないです。

【その他の症状】

おりものの増加や性質の変化、不正出血、頻尿、排尿時痛、不妊

【対処法】

感染が原因の場合、原因菌に合わせた抗菌薬治療をおこないます。

その他の臓器による下腹部痛

画像 婦人科系ではない、その他の臓器が原因となって下腹部痛を生じるパターンとして、いくつかご紹介します。

急性腸炎

細菌やウイルスなどが原因で起こります。風邪でおなかを下す、食中毒などが急性腸炎に該当します。

【痛みの特徴】

グルグル、キリキリとした感じなど。

【その他の症状】

下痢、吐き気、嘔吐

【対処法】

症状があまりひどくない場合には、ご自宅で安静に過ごしてください。十分な休息と水分補給は重要です。

原因となっているウイルスが腸管から排出されるの伴い、自然と症状が改善していきます。
ただし、水分も取れない、意識がぼーっとしてきた…という場合には、脱水の治療が必要ですので、医療機関へかかりましょう。

感染による下痢の場合、下痢止めで止めてしまうと排菌できないことがあるので、下痢止めはおすすめしないことがあります。細菌性の場合、必要に応じて、抗菌薬を使うこともあります。

虫垂炎(盲腸)

右の下腹部にある虫垂に細菌が繁殖し、炎症を起こした状態です。10〜20歳代の若い方に比較的多いですが、もっと幼い方や高齢の方に生じる場合もあります。初期の症状は、疼痛の位置が定まらないことが多く、徐々に右下腹部に集中します。

【痛みの特徴】

みぞおちやお臍周辺から右下腹部へ痛みが動き、症状が進行すると右下腹部の圧痛、歩行などの振動で響くような痛みとなります

【その他の症状】

お腹が固く張る、吐き気、食欲低下など

【対処法】

食事を控え、抗菌薬の点滴で治療をおこないます。
膿が溜まっている場合や、虫垂が破れてしまった場合など、炎症がコントロールできない場合は、開腹手術となります。

便秘

頑固な便秘によって強い腹痛が生じてしまう場合もあります。

女性はそもそも便秘がちな方が多いのに加え、妊娠中はさらに便秘になりやすいですし、年齢を重ねるごとに水分の含有量の低下や筋肉の衰えなどにより便秘が悪化することも多いです。

あまりに長期間にわたって便秘が続いてしまうと、ご自身のいきみだけで排便を起こせないことも少なくありません。

「便秘くらいで病院なんて」と躊躇してしまうかもしれませんが、便秘がちな方は早いうちにご相談いただくのがよいと思います。痔や子宮脱予防のためにも、排便コントロールは重要です。

内科、消化器内科、女性の方は婦人科でもご相談可能です。

過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病

過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病といった「炎症性腸疾患」も下腹部痛の原因として考えられます。

若い方に多く、近年少し増えてきている疾患です。 肛門からの出血を「痔だろう」と考えている方の中には、炎症性腸疾患が原因の方もおられます。排便の調子が悪い方で肛門から出血している方は、痔なのかそうでないのかをはっきりさせることも大切です。

【痛みの特徴】

便秘や下痢に伴う腹痛、差し込むような痛み、鈍痛

【その他の症状】

下痢や便秘を繰り返す、下血(肛門からの出血)、ガスが溜まる、お腹が張る、発熱、体重減少、倦怠感など

【対処法】

大腸カメラ検査などをおこなって診断し、適切な薬物治療をおこなえば、症状を抑えることができます。
便秘や下痢を繰り返している方、肛門からの出血がある方は、医療機関を受診しましょう。消化器内科、肛門外科(肛門科)などであれば大腸カメラ検査まで対応しているところがあります。

憩室炎

憩室というのは、大腸など消化管の一部が外側に袋のように飛び出た箇所のことです。

通常は憩室があってもなんの問題もありませんが、便が詰まるなどして細菌が繁殖して炎症が起きると「憩室炎」を起こします。 加齢や食物繊維摂取不足、免疫力の低下が原因と考えられていますが、予防法などはなく、誰にでも起こりうる病態です。

【痛みの特徴】

痛みの強さに波のあることが多い

【その他の症状】

発熱、下痢、血便

【対処法】

内服薬または注射薬の抗菌薬で治療をおこないます。場合によって、膿を出す治療や手術が必要です。

膀胱炎・腎盂腎炎

膀胱炎や腎盂腎炎といった尿路の感染症でも、下腹部痛を感じることがあります。

女性は男性と比べて尿路が短く、膀胱炎を起こしやすいです。水分摂取量が少なく、さらにトイレへ行くのを我慢する習慣があると膀胱炎を繰り返し、難治性となってしまいます。

【痛みの特徴】

チクチクする痛み、ぎゅーっと締め付けられるような痛み、排尿時にヒリヒリするような痛みなど。

【その他の症状】

頻尿、尿が出にくい、排尿時痛、排尿時の灼熱感(ヒリヒリ)、背中の痛み、突然の発熱など

【対処法】

軽度であれば水分摂取により自然に治っていくこともありますが、そうでなければ抗菌薬の治療が必要です。
日頃から気をつけることとして、水分をよくとること、トイレに行くのを我慢しないことも意識しましょう。

腎結石・尿路結石

腎結石や尿路結石は、男性に多い病気というイメージかもしれませんが、女性にも起こります。水分摂取が少ない方、生活習慣病のある方、肥満の方、妊娠中の方などは、少しリスクが高いです。

【痛みの特徴】

脇腹〜下腹部・鼠径部・外陰部などに強い痛みが出る。左右どちらかであることが多い。

【その他の症状】

血尿、冷や汗、排尿時痛、尿の濁り

【対処法】

小さな結石であれば、自然に流れ出るのを待つこともできますが、ある程度の大きさがある場合は、超音波で結石を破砕する治療をおこないます。結石に細菌が繁殖して感染症となることもあり、その場合は抗菌薬での治療が必要です。

激痛の場合には、すぐに病院を受診しましょう。

どの診療科へ行くべきか

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どの診療科へ、いつ行くべきか?迷った際の参考にしてください。あまり長く我慢せず、早めに受診することをおすすめします。

以前からの痛み、急な悪化がない場合

以前から続いている痛みや、痛みに急な悪化がない場合、基本的には診療時間内にご相談ください。診察時間外は、できる検査が限られることが多いです。

【婦人科/産婦人科】月経や妊娠に関連した下腹部痛の場合

婦人科や産婦人科がよいでしょう。婦人科系の疾患(子宮内膜症、子宮頸がんなどの既往)をお持ちの方も、まずは婦人科でご相談されるのがよいと思います。

【泌尿器科】排尿時痛がある場合

尿が濁っている場合などには、泌尿器科も選択肢です。婦人科や内科でも膀胱炎等の対応をしている場合は多いです。

【内科・消化器内科】慢性的な便秘や下痢、肛門からの出血、吐き気などがある場合

内科または消化器内科を標榜する医療機関がよいでしょう。大腸カメラ検査のできる医療機関であれば、詳細な検査までおこなえます。

急激に悪化した痛みの場合

急激な痛み、強い痛みの場合は、夜間であっても医療機関へかかりましょう。

強い炎症、血栓症、破裂など激烈な症状は緊急の対応が必要なことがあります。

以下のような症状は、緊急性があると判断する目安になります。

・痛みで冷や汗が出る
・立っていられない、歩けないほどの痛み
・話もできないほどの痛み ・出血量が多い
・痛みが時間ごとに増している
・意識がぼーっとしてきた

まとめ

女性は、さまざまな要因で下腹部痛を生じます。

たとえ月経中であっても、ほとんど月経痛のない日常生活に支障のない状態が理想です。

女性のQOLを大切にしたいと思って診療しております。

ご心配あれば、いつでもご来院くださいませ。

院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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