【右下腹部の痛み】女性の右下腹痛の気になる症状や病気・診断・検査・治療法などを解説。
更新日:2024.02.22
婦人科にとってはちょっと悩ましいのが右下腹痛。
どうしてかといえば、虫垂炎(いわゆる盲腸)と卵巣嚢腫の見分けがつかないから。
女性に下腹部痛があると、まず気になるのが婦人科疾患。
真ん中なら子宮筋腫かなあ。
膀胱炎かなあ、右か左なら卵巣嚢腫かなあ。
右下腹部痛を突然感じるときには、卵巣嚢腫兼捻転(卵巣嚢腫がよじれてしまうこと)、卵巣嚢腫の破裂、右の尿管結石などが鑑別診断に挙げられます。
でも、なんとなく腹痛があり、徐々に右側が痛くなってきて、なんとなく吐き気も出てきて、便秘下痢となる。
こんな時には、虫垂炎を疑います。
婦人科的には、まず超音波検査。
卵巣嚢腫があるか、子宮筋腫があるか、疼痛がどの部位に一致しているかを探します。
内科外科の超音波検査はお腹から。
婦人科の超音波検査は膣から各臓器を確認します。
つまり、婦人科の超音波検査のほうが、お腹の中がよく見える。
おなかの超音波検査では皮膚、皮下脂肪、筋肉、筋膜、その下に膀胱、子宮、卵巣とちょっと距離が遠い。
経腟超音波検査では膣壁のすぐ隣に卵巣子宮がある。
ということで、下腹痛の原因は婦人科ではわかりやすい。
卵巣は腫れていないけど、その上のほうが痛い時には虫垂炎を疑います。CTをとることもありますが、妊婦さんの虫垂炎の場合、放射線被ばくが気になる方もいるので、超音波検査と血液検査の結果で手術方針を決めることもある。
抗生物質の内服や点滴療法で、症状警戒する場合もありますが、炎症反応が強い場合は手術療法が必要になる場合もある。
妊娠中の虫垂炎は、炎症反応が悪化すると早産のリスクも上がるため、外科産婦人科合同の手術を行うこともあります。
術後お腹が大きくなることで創部が離開することもあり、とても注意が必要な手術。
右下腹痛は、私にとって、ちょっと心配な症状です。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。