子どものおりものが増えたら、婦人科を受診しましょう
更新日:2025.02.03
お子様のおりものが増えたら、産婦人科を受診しましょう
月経発来前の幼少期は、あまりおりものがでないというイメージがありますが、おりものが増えてかゆい、ただれてしまった、ということがよくあります。一番多いのは細菌性腟症、その次にカンジダ膣症です。4~5歳の子どもから、よく聞かれる症状です。
大人の女性とは違った小児特有の理由から、デリケートゾーンに炎症を起こしてしまうことがあります。
・腟と肛門の距離が近い
・腟内のラクトバチルスが未熟
・排便のあとに上手に拭き取れない
・陰部が気になって触ってしまう
・興味から陰部に食べ物や異物を入れてしまう(虐待の可能性があるので注意が必要です)
・お砂場遊びや海水浴などで腟に雑菌が入ってしまう
トイレ排泄が自立してできるようになったタイミングなどに、比較的起こりやすいように思います。排泄後のペーパーの使い方を、正しく教えてあげましょう。前から後ろに拭くことが大切です。
クリニックでは検査を行い、外用薬を処方します。
視診:外陰部のただれ、および、帯下の状態を確認します。
膣分泌培養検査:綿棒で外陰部に付着した帯下を採取して、検査を行います。約2週間で結果が確認できます。
処方:細菌性膣症が疑われたときは抗生剤含有軟膏、カンジダ外陰膣炎が疑われた場合は抗真菌薬含有軟膏、ただれがひどいときにはステロイド含有軟膏をさらに処方します。膣錠を使用しなくても、小児の場合は外用薬でほぼ症状がなくなります。治療が必要な細菌が検出された場合には、結果を確認後抗生物質の内服薬を使用する場合もありますが、非常にまれです。
かゆみを伴うときは、下着をまめに取り換える、外陰部専用の低刺激のソープで洗浄する、洗濯洗剤でかぶれている場合は洗剤を変えてみる、入浴剤などによる外陰炎の可能性もあるので、なるべく化学物質が外陰部に触れないことをお勧めします。月経発来前にもおりものシートを使用して、かぶれがひどいお子様も時々見受けられます。かぶれる場合には、おりものシートより布製のナプキンをお勧めしております。また、おりものシートを使用するほど帯下が多い場合には、一度婦人科を受診して、細菌性膣症の検査もお勧めします。
また、腟炎を繰り返すお子様の中には、同時に膀胱炎を起こすことがあります。ご心配あれば、小児科ではなく産婦人科受診をお勧めします。
細菌性腟症や腟カンジダ症は、性交経験の有無とは関係がないこともありますので、お気軽にご相談ください。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。