4歳・5歳の子どものおりもの|小学生でも増える?原因と対処法を婦人科女医が解説。
更新日:2025.03.19
お子様の下着に「おりもの」が付いているのを見て驚いたことはありませんか?
おりものは思春期以降に増えるイメージがありますが、実は4歳・5歳といった幼児期でも見られることがあります。
「小さいのにおりものが出るのは大丈夫?」
「どんな原因があるの?」
「受診するべき?」
こうした疑問をお持ちの親御さんも多いでしょう。
本記事では、幼児や小学生のおりものの原因や対処法、病院に行くべきタイミングについて詳しく解説します。
目次
おりものは何歳から出るの?

おりものは、初潮の1年ほど前から日常的に出てくるようになります。思春期に向かう小学生高学年12歳前後、10歳ごろから初潮を迎えるお子さんが増えてきますが、4歳や5歳の幼児でも見られることがあります。幼児期におりものが見られるのは珍しくありませんが、場合によっては何らかの炎症が原因となっている可能性があります。
初めてのおりものに戸惑うお子さんも多く、汚れた下着を長時間つけていたり、気にして洗いすぎたりすると、細菌性腟症やカンジダ膣症を引き起こすことがあります。そのため、おりものの役割や正しいケア方法について教えてあげることが大切です。
4歳・5歳の子どものおりものが増える原因

幼少期のおりものは、大人の女性とは異なる特有の理由で増えることがあります。
1.デリケートゾーンが炎症を起こしやすい
- 腟と肛門の距離が近く、細菌が入りやすい
- 腟内のラクトバチルス(善玉菌)が未熟で、細菌を防ぐ力が弱い
- ペーパーの切れ端が腟内に残ってしまう
- 排便後に正しく拭き取れず、雑菌が繁殖しやすい
2.外部からの刺激や異物混入
- 砂場遊びや海水浴で雑菌が付着する
- デリケートゾーンを頻繁に触ることで細菌が入り込む
- 興味から異物(食べ物など)を入れてしまう(※虐待の可能性もあるため注意が必要)
3.細菌やカビによる腟炎
お子様のおりものが増えて、かゆみやただれを伴う場合、以下の感染症が疑われます。
・細菌性腟症
膣内の善玉菌が減り、雑菌が異常繁殖することで起こります。おりものが灰色や黄色っぽくなり、悪臭を伴うことが特徴です。小児ではトイレ習慣や清潔ケアが不十分な場合に発症しやすくなります。
・カンジダ膣症
カビ(真菌)の一種であるカンジダが異常増殖することで発症します。強いかゆみと白くポロポロしたおりものが特徴です。抗生物質の使用後や免疫が一時的に低下した際に発症しやすくなります。
このような場合、放置すると症状が悪化することがあるため、産婦人科を受診することをおすすめします。
受診の目安は?

以下の症状がある場合は、産婦人科を受診しましょう。
おりものの量が急に増えた
黄色や緑色のおりもの、悪臭を伴う
かゆみや赤み、ただれがある
トイレの際に痛がる
何度も腟炎を繰り返す
小児科ではなく、産婦人科を受診するとより専門的な診察が受けられます。
産婦人科での診察・治療

クリニックでは、以下のような診察や治療が行われます。
1.視診
外陰部のただれやおりものの状態を確認します。
2.膣分泌培養検査
綿棒で外陰部に付着した帯下を採取して、細菌の有無を検査します。(結果がわかるまで約2週間)
3.治療・処方
症状に応じて、以下のような外用薬が処方されます。
- 細菌性腟症 → 抗生剤含有軟膏
- カンジダ膣炎 → 抗真菌薬含有軟膏
- ただれがひどい場合 → ステロイド含有軟膏
小児の場合、膣錠を使わず、外用薬だけで治るケースがほとんどです。
家庭でできる対策

おりものの増加やかゆみを防ぐため、家庭でできるケアを紹介します。
- 下着をこまめに交換(汗や汚れをためない)
- デリケートゾーン専用の低刺激ソープで優しく洗う
- トイレ後は前から後ろに拭く習慣をつける
- 洗濯洗剤が刺激になっている場合は種類を変える
- 入浴剤や香料入りの石鹸を避ける(刺激物が外陰部に触れないようにする)
- おりものシートよりも布ナプキンを使用(肌への刺激が少ない)
また、おりものの増加とともに膀胱炎を起こすお子様もいます。排尿時の痛みや頻尿の症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
まとめ
4歳・5歳の幼児や小学生でも、おりものが出ることは珍しくありません。ただし、かゆみやただれがある場合は、細菌性腟症やカンジダ膣症の可能性があるため、産婦人科を受診しましょう。
また、トイレ習慣やデリケートゾーンのケアを正しく行うことで、症状を防ぐことができます。お子様の健康を守るためにも、日常的なケアと適切な受診を心がけましょう。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。