乳房形成術前に乳がん検診
更新日:2024.04.22
今日、かわいい21歳の女性が、乳がん検診を受けに来た。若くて、症状のなくて、検診なんて偉いなあと思って、ちょっと聞いてみた。どうして乳がん検診受けに来たの?答えは、韓国で脂肪吸引するので、ついでにその脂肪を乳房にいれるので、その前に必ず乳がん検診受けるように指示されたとのこと。
偉い!
韓国の医師は、乳房形成術を乳がん患者に行うリスクを回避するため、脂肪注入の処置前に乳がん検診をやっておくようにと指導している。
偉くない!
ついでに入れるには(特に希望していないのに)、今後の妊娠や授乳や乳がん検診について教育していない。(妊娠したら乳腺が発達する、そして乳管が拡張して、母乳を分泌する。乳管をきちんと温存して形成術を施行してほしい。その後乳腺が萎縮する。この経過の中に乳がんが発生する人がいる)。
理想的な乳房形成術前に説明すること
1.術前に乳がん検診すること。その後乳房腫瘤が出現したときに、乳がんか脂肪注入か見分けがつきにくい。少なくとも注入前は乳がんを疑わす所見がないことを確認したい。
2.脂肪注入後に、どの位置に脂肪を注入したか超音波検査で確認しておくと、その後、乳がん病変か脂肪注入による高輝度エコーか見分けがつきやすい。
3.脂肪注入後は乳がんとの見分けがつきにくいので、必ず定期検診してほしい。
形成術を行う場合、婦人科領域も乳腺外科領域も、各臓器の機能性を失わず形成術をしてほしい。つまり、形成術を行う医師は、その科の専門医であってほしい。最近の形成外科術後の機能温存できていないというトラブルで来院する患者さんを診るたびに強く思う。
婦人科で特に気になっていることは、小陰唇縮小術を行うと、更年期以降に乾燥感が悪化することは特に覚えておいてほしい。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。