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生理・妊娠

生理前の下痢・便秘・お腹の張り(ガス)はなぜ起こる? 原因と対処法、受診の目安を産婦人科医が解説。

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生理が近づくと、なぜかお腹の調子が悪くなる

キリキリしたり、逆に張って苦しかったり、毎月のこととはいえ、つらいですよね。

 

この記事では、多くの女性が悩むその不調について、

なぜ起こる?(原因)
今日できる対処(対処法)
病院へ行くべき?(受診の目安)

という3つのポイントに絞って、丁寧に、分かりやすく解説します。

ご自身の体の変化を正しく理解し、つらい症状を上手に乗り切るための具体的な方法を一緒に見ていきましょう。

【院長からのメッセージ】
「生理前のお腹の不調で悩む方は多く、『毎月のことだから』と我慢している、という声をよく聞きます。ですが、体質だと諦めずに、ご自身の体の変化を知ることから始めましょう。無理せず、必要なときは専門家にご相談ください。周期で繰り返す強い症状や生活に支障がある場合は、遠慮なくご相談ください。」
— 院長 海老根真由美

目次

まずはセルフチェック

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ご自身の症状に当てはまるか、確認してみましょう。

チェックが多いほど、黄体期の生理的変化(ホルモン・自律神経)の影響が強い可能性があります。

所見ガイド

チェックが多くついた方は、次の症状別 早見表具体的な対処法を優先的に実践してみてください。

「仕事や予定に支障が出ることがある」にチェックがついた方は、我慢せずに受診の目安の章を必ずお読みください。

 

【症状別】やる・避ける・受診「早見表」

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まずは症状別に「今すぐできること」「避けるべきこと」「受診の目安」を一覧で確認しましょう。
症状 やること(今すぐ) 避けること 受診の目安
下痢・軟便 常温の水や経口補水、スープで水分補給
おかゆ・うどん・白身魚など消化にやさしい食事
腹部を温める
脂っこい食事・冷たい飲食物
乳製品・アルコール・強い香辛料
自己判断の過度な下痢止め
血便/黒色便
高熱・脱水
夜間に目覚めるほどの痛み
1週間以上継続
便秘 水溶性食物繊維+水分
(海藻・果物・いも類・オートミール)
軽い運動
腹部の保温・入浴
刺激性便秘薬の連用
「食物繊維の食べ過ぎ」
長時間の座り姿勢
1週間以上排便なし+強い痛み・吐き気
便が急に鉛筆のように細くなる・血便
市販薬でも改善なし
張り・ガス 低FODMAPを一時的に意識
(豆類・玉ねぎ・小麦・果糖過多・炭酸を控えめ)
腹式呼吸・軽いストレッチ
姿勢を正す
炭酸飲料・早食い・ガム
前かがみ姿勢の放置
強い痛みや吐き気
食事に関係なく常時張る
他症状(下痢・便秘)も悪化

Check point

妊娠の可能性がある場合自己判断での下痢止め・刺激性便秘薬の使用はできるだけ避け、医師や薬剤師に相談してから使うようにしましょう。

また、腎機能に持病がある方は便秘薬に含まれる酸化マグネシウム等についても、自己判断せずに事前に医師・薬剤師へご相談ください。

 

生理前に起こる体の変化

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なぜ、生理前になるとお腹の調子が揺らぐのでしょうか。

それは、生理周期に伴うホルモンの変化が、腸の動きに直接影響を与えるからです。

特に「黄体期(おうたいき)」と呼ばれる時期は、腸がとても敏感になりやすいのです。

生理周期とホルモン

黄体期(おうたいき)とは?

排卵が終わってから、次の生理が始まるまでの約2週間のことです。

この時期は、女性の体が「妊娠の準備」をするために、特定のホルモンを活発に分泌します。

プロゲステロン(黄体ホルモン)とは?

この黄体期に多く分泌されるホルモンです。

本来は妊娠を維持するために子宮内膜を厚くしたり、腸の動きを緩やかにする(栄養をゆっくり吸収するため)働きがあります。

しかし、この「腸の動きを緩める」作用が、便秘や、便が長く留まることによるお腹の張り(ガス)の原因になってしまうのです。

プロスタグランジンとは?

生理が近づき、「妊娠しなかった」と体が判断すると、今度は生理を起こすために分泌される物質です。

主な役割は子宮をギュッと収縮させて経血を外に出すことですが、この収縮の刺激が隣にある腸にも伝わってしまいます(正確にはホルモンというより「ホルモン様の物質」ですが、ここでは分かりやすさのためにホルモンの一種として説明します)。

その結果、腸も過剰に動いてしまい、下痢やキリキリとした痛みを引き起こすのです。

Check point

つまり、生理前は「便秘に傾けるホルモン」と「下痢に傾けるホルモン」の両方の影響を受けやすく、非常に不安定な状態なのです。

さらに、冷え・ストレス・食事(脂っこいもの、乳製品、発酵しやすい糖質など)が加わると、自律神経が乱れ、症状がさらに強まることがあります。

生理前の不調は下痢や便秘だけではありません。

痛みが主症状の方は
→「生理前の腹痛・腰痛」もご参照ください。

出血が気になる場合は
→「生理前の出血(着床出血の見分け)」をご確認ください。

 

【症状別】今日からできる具体的な対処法

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症状ごとに対処法は異なりますが、すべての症状に共通して大切なのは「お腹を冷やさないこと」と「リラックスすること」です。

ホルモンバランスの乱れは自律神経にも影響します。また、腸はストレスの影響を受けやすい臓器です。

ゆっくりお風呂に浸かる、腹巻やカイロでお腹を温める、意識して深呼吸するなど、ご自身をいたわる時間を持つことが、腸の過敏な反応を鎮める第一歩です。

1.「下痢」がつらいときの対処法

下痢の時は、脱水症状を防ぐことと、腸を休ませることが最優先です。

水分補給

冷たい水は腸を刺激するので、常温の水や麦茶、経口補水液、温かいスープなどでこまめに水分を補給しましょう。

食事

おかゆ、うどん、白身魚、豆腐など、消化が良く胃腸に負担の少ないものを選びます。

脂っこい食事や香辛料、アルコールは腸を刺激するので避けてください。和食が望ましいです。

市販薬

一時的に市販の下痢止めを使ってもよい場合もありますが、すべての下痢を無理に止めてしまうと、かえって回復が遅くなることもあります。体内の不要なものを外に出そうとする「体の防御反応」の一つとして起こる下痢もあるため、使用は必要最小限にとどめるイメージでいてください。

とくに妊娠の可能性がある場合は、医師や薬剤師に相談したうえで使うと安心です。

2.「便秘」がつらいときの対処法

便秘の時は、腸の動きを助け、便を柔らかくすることが大切です。

水分補給

冷たい水は腸を刺激するので、常温の水や麦茶、経口補水液、温かいスープなどでこまめに水分を補給しましょう。

食事

食物繊維には2種類ありますが、まずは便を柔らかくする「水溶性食物繊維」を意識しましょう。海藻類(わかめ、もずく)、熟した果物、オートミール、いも類などがおすすめです。 これらと十分な水分を一緒に摂ることが快便のコツです。粉を使用した。クッキーやパンなどの水分含有が少ないものの摂取を避けましょう。

生活

ウォーキングやストレッチなど軽い運動は、腸の動きを活発にします。 お風呂にゆっくり浸かったり、お腹を「の」の字にマッサージしたりして、外から温めるのも効果的です。

市販薬

市販のビオフェルミンなどの整腸剤が有効な場合もあります。

便秘薬を一時的に使うこと自体は、問題ないことが多いです。 ただし、刺激性の便秘薬(腸を無理に動かすタイプ)は、連用すると効きにくくなるため、短期間の使用にとどめましょう。

妊娠の可能性がある方や、腎臓などの持病がある方・他に内服薬がある方は、自己判断で服用を続けず、購入前に医師に相談していただくと安心です。

3.「お腹の張り・ガス」がつらいときの対処法

ガスが溜まって苦しい時は、ガスの原因になる食事を一時的に減らし、姿勢を意識してみましょう。

食事(低FODMAP

ガスの原因になりやすい特定の食品(豆類、玉ねぎ、にんにく、小麦、牛乳など)を一時的に控える食事法があります。

【解説】低FODMAP(フォドマップ)とは?

FODMAPとは、特定の糖質の総称です。

これらは小腸で吸収されにくく、大腸で腸内細菌によって発酵しやすい性質があります。その発酵の際にガスが発生し、お腹の張りの原因になるのです。

これは体質によるもので、食品が悪いわけではありません。

完全に除去するのではなく、不調のある数日〜1週間だけ、これらの食品を「“軽い試行”として量を控えてみる」のがおすすめです。

生活

前かがみ姿勢を避け、姿勢を正し、腹式呼吸や軽いストレッチで腸の圧迫を和らげましょう

また、炭酸飲料や早食い、ガムを噛む習慣は、無意識に空気を飲み込みやすいため、控えてみてください。

 

見極めが肝心!病院へ行くべき受診の目安

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「毎月のことだから」と我慢しがちですが、

つらいお腹の不調が月経前症候群(PMS)の一環である場合、低用量ピルや漢方薬などで症状を和らげる治療ができる可能性もあります。

我慢せずにご相談ください。

ほとんどは生理周期に伴う一時的な不調ですが、中には注意が必要なケースや、別の病気が隠れている可能性もあります。

以下の目安を参考にしてください。

至急(すぐに医療機関へ)

これらは消化管出血や重い感染症などのサインかもしれません。

様子見は禁物です。

・血便/黒色便
・38度以上の高熱
・脱水症状
・夜間覚醒するほどの痛み
・急な体重減少

 数日以内(診療時間内に受診を検討)

・日常生活に支障が出ているなら、我慢する必要はありません。
・下痢と便秘を長期間(数週間〜)繰り返している
・症状のせいで仕事や学校を休むなど、日常生活に支障が出ている
・出血を伴う
・市販薬を試しても一向に改善しない

様子見でOK

上記のような危険なサインがなく、セルフケアで症状が和らぐ
生理が始まると症状が軽快する

ただし、症状が軽くても不安が強い場合は、一度受診して相談することをおすすめします。

 受診先の目安

婦人科

生理周期に関連した不調(PMS)、妊娠の可能性がある場合

消化器内科

血便/黒色便、長期にわたる消化器症状の場合

Check point

妊娠の可能性に不安がある方は生理がこない?妊娠検査と受診のフローもご参照ください。
判断が難しい場合はオンライン診察も可能です。

緊急時はお電話をご利用ください。

【土日祝日も診療】全ての医師やスタッフは女性です。ご安心してご来院ください。
平日受診できない方に通院していただきやすいよう、毎朝8時30分から診療を受け付けています。

 

妊娠初期症状との関係について

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症状だけで妊娠判定はできません

生理前の下痢や便秘は、実は妊娠初期症状と非常によく似ています。

これは、妊娠初期も黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が続くためです。

そのため、症状だけで「生理前だから」あるいは「妊娠したから」と見分けることは不可能です。

妊娠検査薬は生理予定日以降に

正しい結果を知るためには、市販の妊娠検査薬を使いましょう。
月経周期が安定している方であれば、妊娠検査薬は「生理予定日ごろ(妊娠40日)」から反応し始めることが多いとされています。

偽陰性には注意を!

妊娠していても陰性となる「偽陰性」は、いわゆる「フライング検査」が原因の一つです。生理予定日前〜予定日直後の検査では、尿中の妊娠ホルモン(hCG)の量がまだ不十分で、本来は妊娠判定が陽性となるはずなのに陰性と判定されてしまうことがあります。

「できるだけ正確に知りたい」という場合は、生理予定日から1週間ほどたってから検査してみるとよいでしょう。

陰性でも続くときは再検査受診検討

検査薬で陰性だったのに、生理が来ない、またはお腹の不調が続く場合は、数日後に再度検査するか、婦人科の受診を検討しましょう。

※総合比較は「生理前症状と妊娠初期症状の違い」で一覧できます。

>>生理前症状と妊娠初期症状の違いの徹底解説記事はコチラ

 

よくあるご質問(FAQ

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Q1. 生理前の下痢は何日くらい続きますか?

A1. 個人差が大きいですが、生理開始の13日前から始まり、生理が始まると共に軽快することが多いです。 もし1週間以上続く場合は、生理とは別の原因も考えられるため、ご相談ください。

Q2. 便秘が急に悪化しました。まず何をすべきですか?

A2. まずは水分を十分に摂り、お腹を温めること、軽い運動(ウォーキングなど)を試してください。 睡眠もよくとりましょう。ただし、強い腹痛や吐き気を伴う場合は、自己判断で下剤などを使わず医療機関を受診しましょう。

Q3. ガス・張りが辛い時の食事(低FODMAP)のコツは?

A3. 人によって合う・合わないの差が大きいです。 不調な時期だけ、以下の食品を控えめにしてみましょう。

【控えめリスト代表例】

豆類/玉ねぎ・にんにく/小麦/牛乳/はちみつ・果糖過多/炭酸

※大切なのは、完全に除去することではなく、あくまで量を控える意識で十分です。

Q4. 乳製品、カフェイン、炭酸飲料は控えるべきですか?

A4. これらは腸を刺激し、症状を悪化させる可能性があります。 特に下痢や張りが強い時期は、控えるか、ご自身の体調と相談しながら少量に留めるのが賢明です。

Q5. 市販の下痢止め・便秘薬は使ってもいいですか?

A5. 一時的な使用であれば問題ないことが多いですが、連用(続けて使いすぎること)は避けましょう。下痢止めや刺激性の便秘薬は、「困ったときに短期間だけ使う」くらいのイメージが安心です。妊娠の可能性がある場合は、すべての市販薬がダメというわけではありませんが、自己判断で飲み続けるのではなく、医師・薬剤師に相談したうえで使うことをおすすめします。

Q6. 血便や黒い便が出たときはどうすればいいですか?

A6. 胃や腸など消化管のどこかから出血しているサインです。 様子を見ずに、直ちに医療機関を受診してください

Q7. IBS(過敏性腸症候群)との違いは?

A7. IBS(アイビーエス:過敏性腸症候群)は、ストレスなどを引き金に、腹痛を伴う下痢や便秘が数か月以上、慢性的に続く病気です。 もし生理周期と関係なく症状が続くようであれば、IBSの可能性も考えられますので、受診を検討してください

Q8. 妊娠初期でも下痢や便秘は起こりますか?

A8. はい、起こります。 妊娠によるホルモンバランスの変化で腸の動きが不安定になるためです。ただし、前述のとおり症状だけで判断はできません。 まずは生理予定日から1週間後に妊娠検査薬で確認することが基本です。

 

毎月の「つらい」を諦めていませんか?

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記事でお伝えしたセルフケアを試しても改善が難しい場合、その不調は治療によって改善できる「PMS(月経前症候群)」かもしれません。

当院では、低用量ピルや漢方薬など、お一人おひとりの体質やライフスタイルに合わせたPMS治療をご提案しています。

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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