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生理・妊娠

妊娠初期の不安で泣く・眠れない、危険サインと相談先(周産期カウンセリング)を産科医が解説。

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妊娠初期(とくに4〜10週前後)は、うれしいはずなのに、あるいは戸惑いの方が大きくて、突然不安が強くなったり、涙が止まらなかったり、眠れなくなったりすることがあります。

「私がおかしいのかな」「母親になれないのかな」

と不安を感じてしまう方も少なくありません。

 

でも、まず知ってほしいのは、妊娠初期の不安は“珍しくない”ということです。

体調も生活も気持ちも、大きく揺れやすい時期です。

そしてもう一つ。
不安の中には、早めに専門家の支援や医療につながった方がいいサインもあります。

 

このページは、妊娠初期の不安を「安全に・迷わず」整理するために、

不安のサイン → 不安の種類 → 相談先(産科・周産期カウンセリング等)の順で、やさしくまとめました。

>当院の周産期カウンセリングについて

 

夫やパートナー、ご家族、友人の方へ

また、この記事は不安を抱えるご本人だけでなく、夫やパートナー、ご家族、近しい友人(経産婦の知人も含む)にも向けています。

不安が強いとき、本人ひとりで動けないのは自然なことです。

もしできれば、誰かと一緒に読んで、一緒に話し合える形をつくってください。

 

目次

まず最初に

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チェック①

まずは 妊娠早期に専門家の対応が必要な「心の危険サイン」 がないかを確認します

チェック②

次に、不安の理由を確認します(複数あってOK)

チェック③

そして、不安の相談先を 「産科(医師・助産師)→周産期カウンセリング→精神科/心療内科」 の順で考えましょう

Check point

「読んだけど動けない」
「何をどうしたらいいか決められない」

そんなときも大丈夫です。

・病院や産院

・区役所や市役所・保健センター

・東京都であれば妊娠相談ホットライン
03-5339-1133

※月曜日から日曜日:午前10時から午後10時

・各自治体の「妊娠・出産・子育て総合相談窓口」

など、妊娠した女性を支える仕組みはちゃんとあります。

補足

  • 妊娠初期は心が揺れやすい時期です(あなたの性格の問題ではありません)
  • 経験のない妊娠出産育児が不安なのは、みんな同じです
  • ただし、心の危険サインがある場合は
    「我慢せず、母親や夫や友人、そして産婦人科医や助産師・心理士、必要あれば専門の精神科へ」

迷ったときのガイド

・メンタル不安(希死念慮/数日眠れない/パニックが強い)

→ 精神科・心療内科

・妊娠不安(つわり/出血・痛み/分娩恐怖/赤ちゃんの不安)

→ 産婦人科

・社会的不安(仕事・育児・孤立・制度が分からない)

→ 会社に妊娠の制度や産休育休の制度を確認、自治体の母子保健など公的窓口に相談

・金銭的不安(健診・出産費用・産後の生活)

→ 自治体の窓口+会社に健康保険の給付金確認+産婦人科で妊婦健診費用や出産費用を確認

・メンタル不安か分からない

→ 周産期カウンセリングで一緒に考えてみましょう

>当院の周産期カウンセリングについて

 

危険サイン(早めに医療・専門家につながった方がいいサイン

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妊娠初期の不安はよくありますが、まずは安全の確認から始めます。

以下に当てはまる場合は、ためらわずに医療機関へ相談してください。

体の危険サイン(産科の緊急度が高い)

  • 強い下腹部痛、片側だけの強い痛み
  • 出血が増える、鮮血が続く、大量出血
  • 失神、立っていられないほどのふらつき
  • 水分が取れないほどの嘔吐(脱水が疑われる)
  • 強い発熱や激しい腹痛など、いつもと明らかに違う状態
ポイント

妊娠の可能性がある場合、症状の原因は一つではありません。
「妊娠だから仕方ない」と決めつけず、安全確認を優先してください。夜間・休日を問わず、できるだけ早く産婦人科へ連絡してください(救急受診が必要になることもあります)。

心の危険サイン(専門ケアが優先になるサイン)

  • 「消えたい」「いなくなりたい」など、希死念慮がある
  • 赤ちゃんがかわいいと思えない
  • 数日眠れず、生活が回らない(食事・仕事・家事ができない/メイクができない等)
  • 強い不安を感じ、外出や受診も困難
  • 現実感の崩れ(普段と明らかに違う混乱が強い等)
ポイント

以上の場合は、すぐに精神科を受診してください。
ひとりで決められない場合は、夫、母親・友人など、信頼できる人に「一緒に行ってほしい」と頼んでみてください。

重要
精神科・心療内科に通院中/既往が強い場合
すでに精神科・心療内科に通院中の方や、強い症状がある場合は、かかりつけの精神科/心療内科を受診し、妊娠したことを伝えましょう。妊娠に対する影響を考慮して薬が変更になる場合もあります。妊娠中は循環血液量の増加のため、投薬量の調整が必要になることがあります。

 

妊娠初期に不安が強くなる理由(ホルモン+生活変化+情報過多)

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妊娠初期は、心身の負荷が一気に増えます。

・ホルモン変化や自律神経の揺れ
・つわり・眠気・頻尿・体のだるさなど身体症状
・仕事・家計・将来・パートナー関係などの生活変化
・検索・SNSで情報が増え、かえって不安が増幅する情報過多
Check point

こうした要因が重なるため、不安が強くなっても不思議ではありません。

「私の気持ちが弱いから」ではなく、不安が出やすい条件が揃っている時期です。

セルフケアの“限界”と、自分を責めるループに注意しましょう

妊娠初期の不安に対して、「パートナーと話す」「友人と話す」「家族と話す」「気分転換する」「散歩する」「リラックス法を試す」といったセルフケアはとても役に立ちます。

ただ、セルフケアで何とかしようとしてうまくいかないと、「できない自分」をさらに責めてしまい、不安が強まることがあります。

そうなる前に、専門家に心の整理を手伝ってもらう(産科+周産期カウンセリング)ことで、負のループを脱出する糸口がわかるようになってきます。

合わせて読みたい関連記事

妊娠初期の生活・薬・食事のOK/NGも、不安を減らす助けになります。

参考:妊娠初期の生活・薬・食事のOK/NG の見極め方

 

不安が強いときは、できれば“誰かと一緒に”

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不安が強いときは、頭では分かっていても、

「予約したほうがいいかわからない」
「予約ができない」
「どこに相談していいのかわからない」
「外に出られない」
「説明がまとまらない」

ことが起きやすいです。

これは怠けではなく、不安の強さが体にも頭にも影響してうまく判断ができない状態です。

もしできれば、

夫・パートナー、家族、近しい友人(経産婦の知人でもOK)に、どこに相談に行った方がいいかを一緒に考えてもらって、「一緒に行ってほしい」と頼んでみてください。

 

同行者(夫・家族・友人)へ:付き添いで“助かること“

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付き添いは、「正しいことを言う」よりも、一緒に寄り添って、傾聴共感するだけで十分です。

受付での一言(そのまま使えます)

「妊娠初期で妊娠に関する不安が強く、本人がうまく説明できないとこもあり同行いたしました。今日は先生に不安の内容をお伝えしたいです。」

声かけ例(寄り添いの言葉)

  • 「今日は結論を出さなくて大丈夫。先生に話しに行こう」
  • 「うまく話せなくても大丈夫。必要なら私が説明するよ」
  • 「今つらいんだね。まず一緒に相談しよう」

避けたい言い方(つらさが増えることがあります)

  • 「考えすぎ」「大丈夫だよ」「気にしすぎ」
  • 「母親になるんだから」
  • 「病院行けば?」(突き放された感じになりやすい)

付き添いのコツ(3つだけ)

その①
移動と予約を代わりに引き受ける(本人がしんどい時期ほど助けになります)

その②
医療者の話をメモして、帰宅後に一緒に確認する。本人がうまく話せないようであれば、話の補足をする。今の状況を説明する

その③
診察後、「どうする?」ではなく、選択肢を少なくして「どれならできそう?」と聞く(選びやすくなります)

不安の4分類(複数あってOK)

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妊娠初期の不安は、体調の変化・生活の変化・情報の多さが重なって、いくつかが同時に起きやすいのが特徴です。

そのため

「何が原因か分からない」
「どこに相談すればいいか分からない」

と迷いやすくなります。

ここでは、
不安を メンタル/妊娠/社会/金銭 の4つに分けて考えます。

これは診断ではなく、相談先を選びやすくするための整理です。

複数当てはまってOK。
メンタルと妊娠が混ざって分けにくいときは、周産期カウンセリングで一緒に整理できます。

なお、社会的不安・金銭的不安は、使える制度や支援が分かるだけで解決しやすいことも多い不安です。

 

① メンタル不安(涙・不眠・焦り・パニック)→ 精神科医/周産期カウンセリング

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理由のない不安で悩んでいませんか?

「理由が分からないのに不安」
「涙が出る」「眠れない」

妊娠初期にはとてもよくあります。
不安は“原因探し”を始めるほど増えることもあるため、最初は「原因を急いで決めない」ことが大切です。

もしよければ、まずはこれだけでも大丈夫です。

「今いちばんつらいのは、涙/不眠/焦りのどれか」を、短い言葉でメモする
できれば、身近な人に「今つらい」と一言だけ共有する(解決の話までしなくてOK)

Check point

大事なのは、「不安を消す」より先に、不安を“解決できる形”にすることです。

そして、もし可能なら ひとりで頑張らず、誰かと一緒に相談へ向かう形をつくってください。

周産期カウンセリングでは、体調(つわり・睡眠・疲労)や生活の負荷を整理し、「いま何を支えると楽になるか」を一緒に考えていきます。

以下で症状別に詳しく解説します。

・涙が止まらない/情緒不安定

妊娠初期は、睡眠不足やつわり、疲労、孤立が重なると、気分の波が大きくなることがあります。

大事なのは、“涙=ダメ”と決めつけないことです。

涙は、自律神経が切り替わり、オキシトシンやエンドルフィンなどの安心感に関係する物質が増える可能性も言われております。

  • 眠れていない
  • 食べられない
  • 相談できる人がいない

これらが重なるほど、気持ちは揺れやすくなります。もしよければ、メモはこれだけで大丈夫です。「涙が止まらない/眠れない/食べられない」言葉がまとまらなくても、そのままで大丈夫です。

※「消えたい」気持ちがある、眠れない日が続いて生活が回らない場合は、危険サインのこともあり早めに受診してください。

・眠れない/検索が止まらない

「調べ続けてしまう」のは、不安を下げるための自然な反応です。

ただ、情報が増えるほど「例外」や「怖い話」にも触れやすくなり、不安が強まることもあります。

もしよければ、順番を変えてみてください。

先に「リアルに相談できる先」を確保してから、検索量を減らす方が、心が落ち着きやすいです。(例:夜は検索しない/30分で切る/寝る前は見ない)「相談できる先がある」と分かっただけで、安心して、睡眠が守られやすくなります。

・動悸・息苦しさ(パニックっぽい)

不安が強いと、動悸や息苦しさを感じることがあります。

一方で、妊娠初期は体調が揺れやすく、貧血や脱水、睡眠不足など体の要因が重なって症状が出ることもあります。

そのため、「不安のせい」と自己判断で決めつけず、必要に応じて医療者のサポートを見つけて、心の整理することが大切です。

受診では、妊娠経過の確認に加えて、貧血や脱水など体調要因の有無も含めて確認できます。

もしよければ、これだけメモしてみてください。

・いつ/どれくらい/何をしていたとき

そして、水分を少しずつ取り、座って呼吸を整えてください。

※胸の痛み、失神しそう、症状が強く続く/繰り返す場合は、危険サインのこともあり、早めに受診へ。

>当院の周産期カウンセリングについて

 

② 妊娠に関する不安(妊娠中の体調の変化・分娩恐怖・赤ちゃんに関する不安)→ 産婦人科

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妊娠に関する不安は、妊娠中の変化がよくわからない場合ほど大きくなる場合が多いです。

不安を考えないようにすることより、不安の原因(分からない部分)を少なくしていくと気持ちが楽になります。

・つわりが怖い

つわりへの不安は、「いつから始まり、いつまで続くのか」と終わりの見えないことへの不安感だと思います。

体調が崩れると、それだけで不安が増幅しやすい日常と変わらず、つわりがつらいときほど “心”も揺れやすいのは自然です。つわりは妊娠12週頃にピークは越えますので、それを目安に過ごしてください。

赤ちゃんが心配で、沢山栄養を摂りたいのに摂れないのは、本当に苦しいですよね。

水分が取れない、吐き続けている、体重が5㎏以上減った場合は、早めに産婦人科へ相談してください(点滴などの対応で、体調が楽になることもあります。)

つわりの状況やその程度、日常生活への影響や注意点もクリニックで相談できます

「つらさを我慢しなければ」と思う必要はありません。「つらさが続きそうな気がしたら」、相談してください。

会社を休む時は、診断書や母性健康管理指導事項連絡カードを医療機関で記入してもらうと、会社への連絡がスムーズになります。

・出産したいのに不安(うれしいのに怖い)

「産みたい気持ちはあるのに産むのが怖い」は、経験がないので当然のことです。

不安は、漠然としていることがほとんどですが、少し自分の心の声に耳を傾けてください。

  • 妊娠がどのようのものかがわからなくて怖い
  • 妊娠中自分がどのように変化していくのかわからなくて怖い
  • 妊娠中の体型の変化が怖い
  • 自分でコントロールできない感じが怖い
  • 血液検査の採血や超音波検査などの医療処置が怖い
  • 赤ちゃんの合併症が怖い
  • 赤ちゃんが無事生まれてくれるか心配

Check point

怖いものはいくつでも自由にお話しください。

産科の相談や周産期カウンセリングでは、怖さを共感して、ゆっくりと「安心が増える状態」に向かうようにお話いたします。

・分娩恐怖(出産が怖い)

出産の恐怖は、「よくわからない」と「どのような痛さかわからない」ことで増えやすいものです。

教育課程の中に分娩に関する教育はされていず、いろいろな偏った情報から出産は自己コントロールできないほど痛いということをイメージして、知らず知らずのうちに恐怖に感じてしまっているかもしれません。

ほとんどの初産婦の方が、妊娠の経過と出産を知らないことが多いと思います。

まず大切なのは、自然な形で赤ちゃんと妊婦さんが育っていき、その完成形として赤ちゃんが生まれる分娩の過程を知ることです。

それを理解すると、自然と恐怖は少なくなります。

  • 「分娩はどのように始まる?」
  • 「いつ入院したらいいの?」
  • 「陣痛って何?」
  • 「どのくらいの時間で分娩は進むの?」
  • 「分娩って、痛いの?」
  • 「どうやったら分娩は楽に進むの?」
  • 「パパに立ち会ってもらいたいけど、どうやってできますか?」
  • 「出産が終わったら、楽になるの?
  • 「授乳はいつからはじまるの?」

Check point

妊婦健診の時に医師や助産師に相談しましょう。

また、1周産期カウンセリングでは、ゆっくり妊婦さんの感情をお聞きして、怖さの内容に寄り添い、出産へ向かうお気持ちをサポートいたします。

・赤ちゃんが怖い/好きじゃない気がする(罪悪感が強い)

「赤ちゃんをかわいいと思えないかもしれない」「赤ちゃんが怖い」と感じてしまう妊婦さんに、体調不良や睡眠不足、生活の変化などが原因の方、抑うつ傾向にある方、成育歴に心配がある方がいらっしゃいます。

是非、周産期カウンセリングをお勧めいたします。

“どうしてかわいいと思えないか”ではないかと悩んでしまう方もいらっしゃいますが、周産期カウンセリングでは、心の深い場所にあるお気持ちを大切にして、お話を聞かせて頂きます。

※もし「消えたい」「自分を傷つけたい」などつらいお気持ちががある場合や、心の危険サインに当たる可能性があるときは、早めに精神科などの専門の医療機関へ相談してください。

>当院の周産期カウンセリングについて

 

③ 社会的不安(仕事・制度・育児支援・孤立)→ 公的支援が受けられやすい

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妊娠初期の不安は、体調そのものに加えて、

「仕事を続けられる?」
「体調不良で仕事を休んだら収入はどうなる?」
「産後の支援はある?」
「相談できる人がいない」

といった生活の見通しが立たないことで強くなりがちです。

制度を知って、ママと赤ちゃんが健やかに暮らせる“見通し(地図)”を先に作るだけで、不安が現実的に下がることが多い領域です。

まず知ってほしい:働く妊婦さんの「休み」と「お金」

不安の中心になりやすいのは、「いつ休めるか」「休んだ間のお金」です。

代表的な制度は次のとおりです。

産前産後休業(産休)

出産予定日の6週間前から取得可能(多胎妊娠は14週間前から)です。また、出産後は8週間の休業が法律で保障されています。

出産手当金(健康保険)

会社員・公務員など健康保険加入者が対象。産前42日(多胎98日)+産後56日の休業期間に、原則として賃金の約3分の2相当が支給されます。

育児休業(育休)

原則1歳まで(保育園に入れない等の理由があれば最長2歳まで延長)。男女とも取得でき、分割取得も可能です。

育児休業給付(雇用保険)

給付額は原則、開始から180日までは67%、181日目以降は50%が目安です。

※対象・支給額・手続きは、雇用形態や加入状況等で変わります。「私は何が対象か」を先に確認するのがいちばん確実です。

“迷わないための”確認先【誰に、何を聞けばいい?】

制度は多く見えますが、確認先は整理できます。

勤務先(人事・総務)

産休・育休の申請スケジュール/必要書類/社内手続き

健康保険(協会けんぽ・健保組合)

出産手当金の要件・申請方法

雇用保険(原則は会社経由+ハローワーク)

育休給付・新制度の要件

※ここが整理できると、「今すぐ結論を出さなきゃ」という焦りが落ち、現実的な選択がしやすくなります。

2025年4月から増えた支援

最近は、育休や時短の“目減り”を抑える制度も増えています。

出生後休業支援給付金(雇用保険)(2025年4月〜) 条件を満たすと、育休給付に上乗せ(給付率13%/最大28日)され、家計の落ち込みを抑える設計です。

育児時短就業給付金(雇用保険)(2025年4月〜) 2歳未満の子を養育するために時短勤務を選び、賃金が低下するなど要件を満たすと給付対象になります。

※新制度は要件が細かいので、「自分のケースで使えるか」は勤務先(人事)経由で確認するのが安全です。

仕事を継続できない不安(キャリアを失うこと・復職の不安)

仕事の不安は、妊娠判定が陽性になって間もなく、つわりで体調が崩れ、普段の業務に支障が出るところから始まりやすいものです。つわりが重いと、妊娠・出産の見通しがまだ固まらないまま、パートナーや家族と十分に話し合う時間もないままに、職場の上司や同僚へ早めに報告せざるを得ないこともあります。

「今すぐ決めること」は増えるのに、妊娠・出産の方針は自分ひとりでは決められず、夫や家族との調整にも想像以上に時間がかかります。だからこそ妊娠初期は、結論を急がなければならない状況自体が、とても負担になりやすい時期です。

キャリアを積みたいと思う方は、まず、今の最小限の仕事をきちんとこなす、又は、できないようであれば早めに上司のサポートを求めることをお勧めします。仕事ですので、きちんと遂行することは大切ですが、赤ちゃんにとって妊娠をママ以外に代わりに行うことはできません。

今の仕事は、周囲への負担をできるだけ小さくできるように工夫しながら、数か月後にお休みに入ることを見据えて、早めに現実的な計画を立てておきましょう。引き継ぎを丁寧に進められれば職場での信頼につながり、復職もスムーズになりやすくなります。産休・育休・時短などの制度も早めに確認し、使えるものは活用してください。

そして、妊娠中の体調に合わせた配慮を会社に伝えやすくするために、「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」があります。

母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)を、知っていますか?

働く妊産婦の方が、医師などから「通勤の緩和」「休憩」「勤務の調整」などの指導を受けたとき、その内容を事業主に正確に伝えるためのカードです。

このカードをもとに、会社と 勤務時間の短縮・休業・配置転換などを相談しやすくなります。「我慢して限界になる前に」使ってよい仕組みです。

母健連絡カードの解説はこちら

育てていけるか不安(どのようなことをしたらいいのか・支援が見えない)

育児不安は、真面目で責任感が強い方ほど出やすい傾向があります。

「育てられないかも」という感覚は、あなたの能力というより、子育てがどのようなものか理解できないということが原因であることが多いです。子育て経験のあるお母様、ご友人などとお話ししてみるといいでしょう。

また、妊娠した女性を支える仕組みは、いろいろあります。

  • 市区町村の母子保健(保健師相談など)の相談窓口
  • 産後のお母様を支える仕組みとしては
  • 産後ケア(宿泊型・デイサービス・訪問など)
  • 保育園や一時預かり(自治体により条件あり)
  • 家族以外の支援(地域の支援団体など)


周産期カウンセリングでは、育児経験のある助産師、心理士が育児相談も踏まえて、「何をどこまで抱えるか」「どこから手を借りるか」を具体化し、孤立を減らしていきます。

参考例(港区の場合):港区公式サイト

港区おとなの子育て相談ねっと

産前産後家事・育児支援サービス

子育て・教育について

手当て・助成について

 

④ 金銭的不安(妊婦健診・出産費用・産後生活)→ 公的支援で解決しやすい

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金銭的不安は、「いくらかかるのか」「何が助成されるのか」が見えないほど大きくなりやすい不安です。

ただ、妊娠・出産・産後には使える制度があり、全体の見通し(地図)が一度つくだけで不安が軽くなることも少なくありません。

なお、支援の内容は自治体ごとに異なります。

ここでは「まず何を確認すればよいか」を整理したうえで、港区の例を紹介します。

お金の不安を軽くする3ステップ

ステップ1

自治体で「妊婦健診の助成」「出産費用の助成」「妊娠・出産に関する給付」「産後の支援」をまとめて確認する

ステップ2

産婦人科で「出産費用の目安(自己負担の概算)」を確認する

ステップ3

産後に使える支援(産後ケア等)まで含めて、生活の見通しを立てる

まずは早わかり(港区の具体例)

港区:まずは早わかり(費用と支援の見取り図)
妊婦健診
受診票(補助券)で一部助成
公式ページで最新を確認
出産費用
出産育児一時金(原則50万円)+(条件により)区の助成
港区の助成(要件・期限あり)
高額になりそうなとき
高額療養費/限度額適用認定証で負担を抑えられる場合
※保険適用外(差額ベッド代等)は対象外の場合
産後の支援
産後ケア(デイ/訪問/宿泊)など、困る前に窓口だけ先に確認
現金/クーポン給付(港区の例)
妊娠中5万円+出産時 子ども1人5万円(案内あり)
妊婦のための支援給付(最新は公式)
タイミング
妊娠が産婦人科でわかったら
もらえる/使える支援(例)
妊婦健診:受診票で助成(円は自治体公式で確認)
どこに確認
自治体の妊婦健診案内
タイミング
妊娠中
もらえる/使える支援(例)
妊婦のための支援給付:妊娠1回につき5万円(港区例)
どこに確認
自治体の支援給付
タイミング
出産時
もらえる/使える支援(例)
出産育児一時金:原則50万円/子(全国共通の制度)
どこに確認
健保/医療機関
タイミング
出産後
もらえる/使える支援(例)
妊婦のための支援給付:子ども1人につき5万円(港区例)
どこに確認
自治体の支援給付
タイミング
出産後
もらえる/使える支援(例)
産後ケア:デイや訪問など(港区は回数枠あり)
どこに確認
自治体の産後ケア
タイミング
万が一(入院・手術)
もらえる/使える支援(例)
高額療養費+限度額適用認定証(※保険適用の医療費が対象)
どこに確認
健保
タイミング
経済的に厳しい
もらえる/使える支援(例)
助産制度(対象条件あり)
どこに確認
自治体窓口

【妊婦健診】受診票で助成(港区の場合)

妊婦健診は妊娠24週まで4週に1回、それ以降妊娠36週まで2週間に1回、それ以降は出産まで毎週の受診となります。

多くの自治体で妊婦健診の費用の一部助成があり、受診票(補助券)で助成を受けられます。港区でも妊婦健康診査について費用の一部助成があり、受診票を使用することで一定金額を上限として助成を受けられます。

※助成対象や条件は更新されることがあるため、最新は港区の案内で確認してください。

【参考】港区の妊婦健診(受診票・助成の案内)

【出産費用】出産育児一時金(分娩一時金)+自治体の助成(港区の例)

出産費用一時金

出産にあたっては健康保険等から出産育児一時金(いわゆる分娩一時金)が支給され、原則として子ども1人につき50万円です。

Check point

※医療機関によっては直接支払制度を利用でき、一時金が医療機関に直接支払われるため、出産費用を全額立て替えずに済む場合があります。

※出産費用は、分娩施設・分娩方法(無痛分娩、帝王切開など)・個室希望などで変わります。早めに産婦人科で「自己負担の目安」を確認しておくと、不安が短くなりやすいです。

【港区の具体例】出産費用の助成(自己負担が下がる可能性) 港区では、出産にかかった分娩費・入院費等

区が定める算出上限額(例:1人81万円)または実費のいずれか低い額から、出産育児一時金等を差し引いた金額を助成する制度があります(最大助成額の目安:1人31万円)。

【参考】港区:出産費用の助成について

※対象要件(港区に一定期間居住している等)や申請期限(出生日から1年以内)があります。

【高額療養費】もし入院・手術などで医療費が高額になりそうなとき

切迫流産・早産、妊娠高血圧症候群、帝王切開などで入院や治療が必要になり、医療費が高額になる場合は、高額療養費制度で自己負担が一定額に抑えられることがあります。

事前に限度額適用認定証を申請しておくと、窓口での支払い負担を軽くできる場合があります。

※高額療養費の対象は主に健康保険が適用される医療費です。
※正常分娩や差額ベッド代など、保険適用外の費用は対象外となる場合があります。

【助産制度】経済的に出産費用の準備が難しいとき

経済的な理由で出産費用の準備が難しい場合は、自治体に相談すると助産制度を利用できることがあります(対象条件あり)。

「該当するか分からない」段階でも、住民票のある自治体窓口で確認してみてください。

※対象や自己負担の有無は状況で異なります(生活状況の確認が必要です)。

【産後】産後ケア等の支援も含めて見通しをつくる(港区の場合)

産後は自治体により、産後ケア(宿泊型/デイサービス/訪問)や家事・育児支援、相談支援などが用意されていることがあります。

港区では、1回の出産につきデイサービス6回、乳房ケア6回(外来と訪問それぞれ選択可能)までと案内されています(条件あり)。

妊婦のための支援給付(現金/電子クーポン)/港区の具体例

港区では「妊婦のための支援給付」として、

・妊娠中:妊娠1回につき 5万円
・出産時:子ども1人につき 5万円

現金または電子クーポンが案内されています。

※対象条件・申請方法は更新されることがあります。最新情報は港区の案内をご確認ください。

港区:妊婦のための支援給付(最新)

>>支援給付情報はコチラ

▼最初のステップ/最初にここだけ確認しよう

ステップ1:自治体の公式サイトをチェック

住民票のある自治体の公式ページで、「妊婦健診」「出産費用の助成」「支援給付」「産後ケア」をまとめて確認する(港区なら港区公式サイトでチェック)

ステップ2:出産予定の産婦人科に問い合わせ

産婦人科で、自己負担の目安を聞く(個室・無痛分娩・予約金/保証金の有無)

ステップ3:健康保険に問い合わせ

入院や帝王切開などが少しでも心配なら、加入している健康保険に 「限度額適用認定証」を事前に申請できるか確認しておく

ステップ4:産後支援のことも事前にチェック

産後の支援(産後ケア等)は、困ってから探すより、先に「窓口」と「条件」だけ押さえておく

負担が少ない進め方

point1

自治体窓口に「妊娠した。費用や支援をまとめて知りたい」と伝えて、一覧を一度にもらう(港区なら (母子保健/子育て支援の窓口) が窓口にもなっています)

point2

つらいときは、家族・友人に「電話だけお願いできる?」と頼む

point3

周産期カウンセリングでも、何を確認すれば安心が増えるかを一緒に整理し、パートナーと話すための材料も整えられます

病院受診でサポートしてもらえること

妊娠初期の不安は、「不明」や「見通しのなさ」で増えやすい一方、受診で整理できることが多いです。

・妊娠週数の確認、経過の見通し
・体調(脱水・貧血など)や必要な検査の判断
・眠れない・不安が強いときの相談(支援の選択肢の整理)

受診は「結論を出す場」というより、いま起きていることを一緒に整理して、安心が増える形をつくる場です。

また、「受け入れられない」「気持ちが追いつかない」悩みが中心の方は、別ページでより丁寧に扱っています。

【参考記事】「妊娠を受け入れられない」気持ちを深く整理したい方はこちら

 

周産期カウンセリングでできること(当院の考え方)

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周産期カウンセリング(妊娠・出産・育児に特化した心の相談)は、多くの方が妊娠をきっかけに感じる不安を傾聴共感し、可能なサポートをご提案いたします。

「がんばって乗り切る」よりも、

不安を整理して、少し楽に過ごせる時間を増やすことを目的にします。

こんな方に向いています

・不安の理由がうまく説明できない(頭の中がぐちゃぐちゃ)

・自分を責めてしまう(「母親失格かも」と感じる)

・どこに相談すればいいか分からない/迷って動けない

・ひとりで抱え込みやすい(できれば誰かと一緒に来たい

周産期カウンセリングでできること

・不安の正体を言語化し、「いま一番つらい」を一緒に見つける

・結論を押し付けず、「決める前の整理」をする

・罪悪感・孤立・恐怖のループを短くし、日常を立て直す

・パートナーや家族に伝えるための言葉を整える(話し合いの準備)

重要:専門ケアが優先になることがあるケース

すでに精神疾患の治療中の方や、症状が強い場合は、精神科/心療内科のケア(必要に応じて産科と連携)が優先になることがあります。

これは「相談してはいけない」という意味ではなく、あなたにとって最も安全で負担が少ない順番につなぐための考え方です。

相談先の目安(迷ったときの順番)

迷ったときは、この順番で考えると安全です。

ステップ1
産科(体の安全確認・週数/体調の整理。医師・助産師)

ステップ2
周産期カウンセリング(不安の整理:恐怖・自責・孤立・現実不安)

ステップ3
精神科/心療内科(危険サイン・既往・強い症状がある場合) + 今すぐ話したい場合は、公的・地域の相談窓口も活用してください(市区町村の母子保健・子育て支援など)

>当院の周産期カウンセリングについて

 

当院の連携フロー(産科外来×周産期カウンセリング)

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当院では、産科で体の安全を確認したうえで、必要に応じて周産期カウンセリングへ連携し、「いま何を支えると楽になるか」を一緒に整理します。

連携フロー(図解)

① 産科外来(妊娠週数・体調の確認)  

↓↑

② 不安のタイプを整理(何が一番つらいかを言語化)  

↓↑

③ 周産期カウンセリング(不安・恐怖・自責・孤立の整理)  

↓↑

④ 必要に応じて連携(専門ケアの案内/他科紹介)

 

受診前メモ(コピペしてご使用ください)

受診や相談の前に、下をそのままコピペしてメモしておくと、診察・相談がスムーズです(空欄OK)。

――

【コピペ用】

・最終月経(最終の生理開始日):
・妊娠検査薬:いつ( / )/結果(陽性・陰性・未実施):
・妊娠週数の目安(分かれば):
・いま一番つらい症状(例:不眠/涙/動悸/息苦しさ/つわり):
・いつから( 日/週ごろから):
・不安タイプ(該当するもの):涙・不眠/お金/出産/育児/仕事/赤ちゃん/その他(     )
・睡眠:眠れている( )/眠れない( )※「何時間くらい」:
・食事・水分:取れている/取れない(量の目安:     )
・相談できる人:いる(誰:    )/いない
・既往歴・服薬(精神科含む):
・これだけは確認したいこと(質問3つまで):


――

 

よくある質問(FAQ)

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Q1. こんなことで受診していいの?

はい。妊娠初期の不安は、我慢して強くしてしまうより、専門家とお話しするほうが安心です。「何が怖いのか自分でも分からない」段階でも大丈夫です。

Q2. 相談したら、無理に結論を出させられますか?

基本的に、周産期カウンセリングは結論を出しません。不安の正体を言語化し、安心が増える形を一緒に考えます。

Q3. 不安が続くと赤ちゃんに影響がありますか?

眠れない・食べられない状態が続く場合は、早めに治療を使うことが大切です。 強い不安や睡眠不足が長く続くと、体調面の負担が増えることがあります。つらいときは早めに相談して、休める状態を作ることが大切です。お母さんがケアを受けることは、赤ちゃんにとっても“より安心できる環境”を整えることにつながります。

Q4. パートナーに言えません(言うのが怖い)

言えない背景に「責められる不安」や「安全の不安」がある場合は、まずあなたの安全が優先です。安全な環境にいてください。DVや支配が疑われるときは、警察や婦人相談センターに早めに相談してください。

Q5. 精神科に行くべき目安は?

「心の危険サイン」に当てはまる場合や、すでに治療中・既往が強い場合は、精神科/心療内科が主導になることがあります。 迷う場合は、まず医療機関に相談して「安全な順番」を一緒に整理するのが安心です。

まとめ

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泣きながらでも、うまく話せなくても大丈夫です。

妊娠初期の不安は、安心して話せるサポーターをみつけ、少しでも楽に過ごせる時間を増やす方が、結果的に楽になることが多いです。

「泣く」「眠れない」「怖い」「お金が不安」「赤ちゃんへの気持ちが分からない」 どの妊婦さんも多かれ少なかれ、思うことです。不安になりすぎずに相談しましょう。

ひとりで抱え込まないでください。 病院、市区町村、支援の窓口、そして周産期カウンセリングという選択肢もあります。 もし可能なら、夫・家族・友人など、信頼できる人に「一緒に行ってほしい」と頼んでみてください。

あなたの不安を、ひとりにしないための助けになります。

当院の周産期カウンセリングについて

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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