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外陰部のしこり・腫れは腫瘍?脂肪腫・線維腫から外陰がんの見分け方と治療・受診の目安を婦人科医が解説。

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体に、なかなか消えない

「できもの」を見つけたとき、

「悪いものなのでは?」
「もしかして、がん…?」

と不安になってしまう方は多いと思います。

じつは、デリケートゾーン(外陰部)にも、腫瘍(しゅよう)ができることは少なくありません。

 

外陰部の「できもの」は、炎症や感染症によるもの、腫瘍(良性・悪性)によるものに大きく分けられます。

必ずしも「できもの=がん」ではありませんが、どのような「できもの」であっても、医師による診察と適切な治療が重要です。

 

「腫瘍」は、自立性に増殖するできもののことを指します。

そのうち、離れた部位に転移する性質を持つものが「悪性腫瘍」です。

見た目だけで良性・悪性を判断することは難しいため、できものを見つけたら放置せず、早期の受診をお願いします。

今回の記事では、外陰部にできるさまざまな腫瘍についてまとめました。

 

腫瘍について

腫瘍とは

腫瘍(しゅよう)とは、体の中の細胞が異常に増えて、かたまり(組織のふくらみ)をつくった状態を指します。

本来、体の細胞は古くなれば壊れて、新しい細胞と入れ替わるというサイクルで増殖がコントロールされています。ところが、この仕組みが乱れると、細胞が必要以上に増え続け、腫瘍となります。

外陰部にできる腫瘍の多くは、良性の腫瘍です。

腫瘍の種類

腫瘍には大きく分けて良性腫瘍と悪性腫瘍(=がん) があります。

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※イラストはイメージです

・良性腫瘍

  • 増殖はゆるやか
  • 周囲に広がらず、転移もしない
  • 命に関わることは少ないが、大きくなると圧迫や症状を引き起こすことがある
    (例:子宮筋腫、脂肪腫)

・悪性腫瘍(がん)

  • 増殖が速い
  • 周囲の組織を壊して侵入する
  • 血液やリンパを通じて全身に転移する
  • 放置すると命に関わる

腫瘍と「できもの」の違い

「腫瘍」と「できもの」は同じ意味で使われることもありますが、一般に「できもの」は 皮膚や体表に見えるしこりやふくらみの総称 で、炎症や膿がたまったものも含みます。

一方で「腫瘍」は医学的には 細胞の異常な増殖による組織のかたまりを指す専門用語です。



外陰部にできる代表的な良性腫瘍

外陰部にできる良性腫瘍の種類や特徴についてお伝えします。

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脂肪腫

増殖した脂肪組織が腫瘍化したもので、痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどありません。

ニキビ程度の小さなものから、数センチ以上の大きなものまで、サイズはさまざまです。触ると柔らかく、しこりのように感じられます。健康上の影響はないものの、徐々に大きくなり、歩きにくさ、座った時の違和感などが気になる方もおられます。

気になる場合は、手術で取り除くことも可能です。

稀ではありますが、傷ができたことをきっかけに線維組織が増殖した線維腫、また、数か月程度の短いスパンで急激に大きくなった場合は、肉腫のケースもあります。「大丈夫だろう」と自己判断せず、ご相談いただくことが大切です。

線維腫

脂肪腫とは異なり、硬めのしこりです。

褐色で数ミリ〜数センチ程度で痛みやかゆみはなく、増大のスピードも遅いですが、細長く垂れるように大きくなって歩行時などの違和感につながることがあります。

VIOのムダ毛を自己処理しようとして傷を作ってしまった経験のある方もいるでしょう。そうした傷をきっかけにして、線維細胞が増殖して線維腫が生じます。

健康上の問題にはなりませんが、自然治癒はしませんので、大きくなっていくようであれば切除が必要になってくることもあります。

筋腫(平滑筋腫)

「筋腫」と聞くと、女性なら子宮筋腫を想像する方が多いのではないでしょうか。

子宮筋腫と同じように「平滑筋」から発生する筋腫が、外陰部に生じることもあります。陰唇や陰核(クリトリス)などにコリコリと硬いしこりを感じたら、早めにご相談ください。

頻度としては稀であり、症状がなければ経過を見ていくことも可能ですが、大きくなれば歩行や性行為で違和感が出てくるかもしれません。

血管腫

毛細血管の拡張によって生じる良性腫瘍です。女性の場合は、陰唇に生じることがあり、赤紫色のしこりや血豆のように見えます。大きさは数ミリ程度で、表面はカサカサしていることが多いです。時々、かゆみを感じる方もおられます。

加齢やホルモン変化が主な原因と考えられており、悪性化(がん化)の心配は大きくありませんが、出血したり、数が増えたりすることはあります。優しく洗うこと、下着の摩擦で出血することがあるので締め付けの少ない下着・衣服を選ぶことを意識しましょう。

特に治療の必要性はありませんが、見た目上の問題や、出血が気になる場合には、切除が可能です。

皮膚付属器腫瘍(汗腺腫・皮脂腺腫など)

ごく稀なものですが、汗腺や皮脂腺などから発生する良性腫瘍があります。発生部位としては大陰唇が最も多く、小陰唇、会陰部(腟〜肛門の間)、肛門周囲の順になっており、大きさは多くが2センチ以内です。

圧迫による違和感や痛み、痒み、分泌物が出るといった症状を呈することもあります。目立つため、受診につながるケースは多いです。外陰がんや尖圭コンジローマとの鑑別のため、病理検査をおこなう必要があります。

 

腫瘍性だがウイルス由来の病変

ウイルス由来の腫瘍性病変として、尖圭コンジローマがあります。

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尖圭コンジローマ(HPV感染)

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)6型・11型が原因の性感染症です。

外陰部や肛門周辺に、イボのようなできものが生じます。良性の疾患ですが、再発しやすく厄介です。

初期段階では小さな突起が数個できる程度ですが、放置すると大きくなり、数も増えていくことがあります。色は白っぽいものからピンク、茶色、黒までさまざまです。

腟や会陰の内側、肛門周囲など広範囲に発生し、表面がややザラザラとしているのが特徴です。

あまり痛みやかゆみはありませんが、腟前庭乳頭症やヘルペスの初期、梅毒などでも似たような見た目の症状が出るため、適切な治療のためにも、早期の受診が必要になります。

稀に、長期的な経過で尖圭コンジローマから外陰がんを発生するため、切除した組織は病理検査をおこないます。
治療法は、外用薬塗布または切除の2つです。

「尖圭コンジローマ」について>

 

外陰部にできる悪性腫瘍

続いて、悪性腫瘍の例をご紹介します。いずれも、早期の発見が非常に重要です。
外陰部にできるがんの種類はいくつかあり、それぞれに特徴があります。

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扁平上皮がん

外陰部にできるがんの約90%が扁平上皮がんです。

大陰唇・小陰唇・陰核(クリトリス)などに発生し、かゆみや熱感、痛み、出血などの症状があります。基本的に進行はゆっくりですが、進行すると、太ももの付け根の鼠蹊リンパ節へ転移することが多いです。

扁平上皮がんのうち、とくに上皮内にとどまっているものを外陰上皮内腫瘍(VIN)と呼びます。VINの中には、HPV(ヒトパピローマウイルス)に関連するものも知られています。

若い方に生じるVINはHPVが関わっているものが多く、自然に消えるものもありますが、がん化するものもあるため、慎重な経過観察が必要です。中高年の方に生じるVINは、HPVとは無関係なことが多く、悪性度が高い傾向にあります。

外陰がんでは切除が基本ですが、リンパ節への転移の状況、年齢などを総合的に考え、放射線治療や抗がん剤治療も選択肢となりますので、担当医とよく相談することが大切です。

リンパ節郭清をおこなうと、術後にリンパ浮腫が生じます。がんの浸潤により尿道を切除すると、排尿トラブルも起こりえます。放射線治療では、皮膚炎が避けられません。

非常にまれな疾患ですが、できるだけ早期に発見することで、治療に伴うトラブルを減らすことができます。
しこりを感じたらすぐに婦人科を受診してください。

メラノーマ(悪性黒色腫)

メラニン色素を作る細胞ががん化したもので、黒いしこり、ホクロのような見た目をしています。

皮膚がんの一種で、外陰部にできる場合があります。外陰部にできるがんの約5%をしめます。

元々は欧米人に多いがんでしたが、ここ数十年で日本人にもメラノーマは増えてきました。若い方から高齢者までさまざまな年代の方に生じます。

初期の頃はあまり盛り上がっておらず、ホクロというよりはシミのような印象を持つかもしれません。だんだんと大きく盛り上がるようになり、形は綺麗な円状ではなく、ふちがギザギザと不規則になっているのが特徴です。

メラノーマは、小さくても血液やリンパを介した転移が起きやすいという性質を持っています。病気の進行はとても早く、数か月程度でも急速に大きくなっていくため、早期発見・早期治療がとても重要です。

有棘細胞がん

表皮の中間にある「有棘層」の細胞から発生する皮膚がんの一種で、高齢者に多いです。

顔や手足などにできる有棘細胞がんは紫外線の影響が大きいのですが、外陰部に発生するものはHPVが関与していると考えられています。

初期は湿疹のように見えることも多いです。徐々に盛り上がり、浸出液が出たり、潰瘍になったり、出血したりといった症状が出てきます。また、独特の悪臭を伴うことも大きな特徴です。

治療の基本はやはり手術で、抗がん剤治療や放射線治療と組み合わせることもあれば、そういった治療の難しい方には外用薬を使って症状緩和をする場合もあります。

乳房外パジェット病

60代以上の方に発生することが多い、アポクリン腺に由来する皮膚がんの一種です。

女性の場合、外陰部や肛門周囲にできることが非常に多く、初期は赤い斑点・皮膚の色が白く抜けた湿疹のような見た目をしています。進行すると、皮膚が硬く盛り上がって結節になり、かゆみを伴うことがあります。

皮膚炎や感染症として治療をしていたものの改善せず、最終的に乳房外パジェット病と診断されるケースが少なくありません。なかなか治らない「湿疹」のようなものがあれば、早めに受診してください。

遠隔転移がなければ、手術が基本です。がんの広がりによって切除範囲も大きくなり、排尿時の不便(排尿時に尿が広がって太ももや衣服を濡らしてしまう)、腟が露出することによる炎症、子宮脱・膀胱脱など、合併症のリスクが高くなってしまいます。早期の発見が重要です。

 

バルトリン腺に関連する腫瘤

バルトリン腺は、腟の左右・後ろ側(肛門側)にある小さな腺のことで、通常は、見たり触ったりしても場所はわかりません。超音波検査にて、腫瘤性病変を描出することができます。

症状がなければ、経過観察いたします。

バルトリン腺嚢胞

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バルトリン腺には分泌液を出すための小さな穴があります。

この穴がなんらかの理由で閉じてしまい、分泌液が内側にたまり、袋状に腫れた状態が「バルトリン腺嚢胞」です。腫瘍ではありませんが、「しこりがある」と心配されて受診されるケースによく出会います。

バルトリン腺に細菌が入り込んだ「バルトリン腺炎」や、炎症が悪化して膿が溜まった「バルトリン腺膿瘍」にも注意が必要です。腫れ・痛みなどの原因となり、日常生活に支障をきたすケースもありますので、早めの対処が望ましいでしょう。

症状がある場合は中の液体や膿を抜く、または、バルトリン腺の開口部を外陰部に開ける開窓術もおすすめです。

稀ではありますが、悪性のバルトリン腺がんとなるケースもあります。

「バルトリン腺嚢胞」について>

 

治療法

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治療法は腫瘍の種類や大きさ、症状により異なりますが、良性腫瘍は切除を選択することが多く、悪性腫瘍は専門的な治療が必要です。

良性腫瘍であろうと思われる場合は、局所麻酔での日帰り切除をおこない、念のため、切除した検体は病理検査に提出します。当院でも実施しております。

悪性腫瘍の場合

悪性腫瘍が疑わしい場合は、専門的な病院での検査・治療が必要です。

悪性黒色腫や乳房外パジェット病などの場合、皮膚科と婦人科とが連携して治療にあたるケースもあります。病理診断後、病状や年齢などに合わせて手術・放射線治療・抗がん剤治療などが選択されるでしょう。

外陰部腫瘍はまれであり、良性悪性の診断が視診だけでは難しいため、組織を確認するために病理検査を行って治療方針を決定します。

日帰り手術

バルトリン腺嚢胞、尖圭コンジローマは、当院でもレーザー治療、外用薬による治療をおこなっております。
粉瘤や脂肪腫なども、日帰り手術が可能です。

 

受診の目安

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外陰部の状態は、なかなかご自身の目で確認するのは難しいものです。

定期的に、できもの・しこり・違和感はないかな?

と注意しながら、ご自身のデリケートゾーンに触れてみるとよいと思います。

  • しこりやできものを見つけた
  • 外陰部から頻繁に出血がある
  • 外陰部にただれがある
  • 外陰部にシミやホクロのような、色の異なる部分がある
  • しこりやできものが、大きくなってきた


など、何か異変があればすぐにご相談ください。

「痛みやかゆみなどの自覚症状がないから」と放置するのは危険です。

 

ためらわず、受診を

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当院は、お子様からご高齢の方まで、すべての女性のためのクリニックです。

婦人科は、妊娠希望の方や月経のある方だけの場所ではありません。デリケートゾーンのお悩みは、ご家族や親しいご友人にも話しにくいからと、お一人で悩まれる方がとても多いです。

些細なことでも、女性ならではのお悩みを相談する場として、気軽に婦人科へきていただければと思います。

当院の医師・スタッフは女性のみ、土日祝日も診療しておりますので安心してご来院ください。

デリケートゾーンのできもの、痛み、ニオイ、おりものの変化などは、病気のサインの可能性があります。

どんなことでも、プロの目線でお伺いします。

ご予約をとっていただき、問診票(WEB問診)にお悩み・気になる症状などを記載してください。
ご来院いただいたら、追加の問診・内診・検査などをおこないます。

 

まとめ

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今回は、外陰部の腫瘍に着目して解説をいたしました。

外陰部にできる「できもの」は、良性の腫瘍や炎症によるものから、悪性腫瘍まで多様です。見た目や症状だけで良性・悪性を判断することは難しく、放置すると治療が遅れてしまうこともあります。

多くは良性であり心配のいらないケースも多い一方で、メラノーマなど早期発見が重要な病気も存在します。

「大丈夫だろう」
「恥ずかしいから、受診はもう少し待とう」

と自己判断せず、
しこりや出血、色調の変化など異常を感じたら、早めに婦人科を受診することが大切です。

当院では、女性医師・女性スタッフが丁寧に対応いたします。

日帰り手術も可能です。安心してご相談ください。

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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