性交痛の患者様の治療内容や診察の流れ
更新日:2024.12.22
性交痛でいらっしゃる患者様にどの様な診療を行っているか、お伝えします。
1.問診
初めに、どのようなタイミングで性交痛があるかについての問診を行います。
性交の最初に痛いのか、挿入後の膣の奥が痛いのか、体位で変わるのか。また、いつの時期から疼痛が出現したかで原因治療が異なりますので、詳しいお話を聞かせていただきます。
2. 疼痛部位の確認
【大陰唇】ヘルペス、バルトリン線膿瘍、外陰部膿瘍、バルトリン線炎、毛嚢炎
全体的に痛い、発熱かある時はヘルペスの可能性が高いです。皮膚に水疱がある、または、水ぶくれが破れて潰瘍化(口内炎のような粘膜のえぐれ)することが多いです。
左右どちらかに腫れが認められる場合、バルトリン線膿瘍が多いです。また、位置が少し異なるのですが、外陰部膿瘍のこともあります。膣口の両側に腫れているだけ、または疼痛だけの時はバルトリン線炎のこともあります。
また、毛嚢炎の時もあります。視診では特に大きな問題はないのですが、乾燥での疼痛や違和感がある方もいらっしゃいます。
【小陰唇】ヘルペス、膿瘍
小陰唇の縁にヘルペスができることがあります。小陰唇の表面の内側、下着に挟まれた場所に膿瘍ができることが比較的多いです。小陰唇の内側に疼痛があり、膿瘍がある場合もあります。
また、下着が擦れたり、挟まったりすることで疼痛が出ることがあります。
【膣口】処女膜強靭症、会陰部裂傷、膣炎
性交痛で最も多い疼痛は、挿入時の膣口の疼痛です。
処女膜強靭症を疑う場合もありますが、頻度はそんなに高くはありません。細菌性膣症やカンジダ膣炎の場合、細菌や真菌が膣口に付着して痛みやかゆみを生じることがあります。
会陰部の6時方向は組織学的に比較的脆弱で、性交渉時に裂傷ができてしまうことがあります。更年期以降の患者様には、乾燥感による性交渉時の擦過傷も多いです。
【肛門周囲】ヘルペス、毛嚢炎、痔瘻(じろう)
肛門周囲の疼痛に多いのはヘルペスによる感染症です。また、毛嚢炎も発症しますが、何度も同じ位置の毛嚢炎を繰り返す場合には、痔瘻(じろう)の可能性もあるので、肛門外科での精密検査をお勧めします。
【膣内・骨盤内】子宮筋腫、卵巣嚢腫、卵管水腫・卵管膿瘍、骨盤内腹膜炎
超音波検査で子宮、卵巣、卵管の状態を確認します。疼痛が強い場合は、抗生剤の投与や手術も考慮します。
3. 検査
部位を確認して、それぞれを確定する検査を施行します。それぞれの検査は、結果まで約2週間くらいです。
4. 治療と症状チェック
それぞれの婦人科的治療を行い、2週間後、症状を確認します。乾燥が強い場合は、保湿剤のケアで症状改善されるかを確認します。
5.レーザー治療
基礎疾患がなく、婦人科疾患の治療と保湿で症状が軽快しない時には、膣レーザーの施術を検討します。
性交痛の治療をご希望の患者様へ
これらの順で診察しますので、診察時には保険証をお持ち下さい。
保険診療でお悩みが解決しない場合は、自費診療での膣レーザー、エムセラ、ハイドラクール、エレクトロポレーション、プラセンタ注射などをご紹介させていただきます。
なお、すでに婦人科疾患が他院で否定されている場合は、当日より海老根ウィメンズクリニックの自費の施術を受けることも可能です。モナリザタッチ希望でいらっしゃる患者様にも、性交痛が強い場合は、婦人科疾患の精密検査やその治療から開始する場合があります。
お気軽にお問い合わせください。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。