妊娠初期のお腹の張りは大丈夫?危険サインと原因(便秘・ガス/右下腹部の痛みも)を解説。
更新日:2026.01.01
妊娠がわかって嬉しい反面、お腹が「張る」「パンパンする」「チクチク痛む」といった症状が出ると、「赤ちゃんは大丈夫かな?」と不安になってしまうものです。
妊娠初期の「お腹の張り」は、便秘やガスなどの膨満感から、子宮や卵巣の変化、まれに妊娠以外の病気まで、原因が重なって見えやすい症状です。
周産期診療の現場で多様なケースを経験してきた視点から、受診の目安をわかりやすく整理します。
【結論】
-
多くは生理的な変化や腸の不調によることがあります
便秘・ガス、子宮を支える靭帯の引っ張り、血流増加などが主な原因として挙げられます。
-
注意が必要
出血+強い痛み、片側だけの激痛、発熱・吐き気、休んでも悪化する場合は早めに相談を。
-
迷ったら
まずは以下のチェック表と「場所別リスト」でセルフチェックし、不安なら受診しましょう。今のその症状が「すぐに受診すべきもの」か「様子を見ても良いもの」か、確認してください。
関連記事:妊娠初期症状の総合ガイド
>>妊娠初期症状いつからいつまで?【症状チェックリスト20】
目次
【受診目安チェック表】今の症状はどれ?
| 判定 | チェック項目(当てはまればこの判定) | 推奨アクション |
|---|---|---|
| 至急 (今すぐ相談/受診) |
|
かかりつけに連絡・受診 (夜間・休日は救急相談も含め検討) |
| 当日~数日以内に相談 |
|
診療時間内に産婦人科へ相談 |
| 様子見 (セルフケア) |
|
安静+便秘・ガス対策 改善しなければ相談 |
- 出血が増える(生理2日目以上の量に近い)
- 血の塊(レバー状)が出る/出血が止まらない
- 立っていられないほどの激痛がある
- 安静にしていても痛みが悪化する
- 右下腹部の強い痛み+発熱や吐き気がある
- めまい、失神しそう、冷汗がひどい(体調の急な悪化)
推奨アクション
(夜間・休日は救急相談も含め検討)
- 張りや痛みが繰り返し増えている
- 以前より強い、または頻度が多い
- 少量でも出血を伴う
- 片側だけの痛みが続いている
推奨アクション
- 横になって休むと落ち着く
- 痛みは軽く、気にならない程度
- 便秘やガスの膨満感が中心
- 出血はない
推奨アクション
改善しなければ相談
※この表は目安です。少しでも「おかしいな」と感じたり不安な場合は、迷わずかかりつけ医に連絡してください。
【夜間・休日で迷うとき】
出血が増える、強い痛み、発熱・吐き気、冷汗やめまいなどがある場合は、夜間・休日でも我慢せず医療機関への相談を検討してください。
かかりつけに連絡がつかない場合は、自治体の救急相談窓口や救急外来の受診も選択肢になります。
妊娠初期の「張り」は多くが心配しすぎなくてよい?
妊娠初期にお腹の張りを感じると、「流産」という言葉が頭をよぎるかもしれません。
しかし、結論から言うと、妊娠初期の張りの多くは、子宮が大きくなろうとする生理的な変化や、腸の不調によるものが多く、過度に心配しすぎる必要がないケースもあります。
【この時期の「張り」の正体】
妊娠初期に感じる「張り」は、お腹が硬くなる子宮収縮だけでなく、「便秘・ガスの膨満感」「靭帯がつっぱる痛み」「子宮が大きくなる違和感」などを含めた体感であることが多いです。
いわゆる陣痛のような「規則的で強い収縮」が続く場合や、出血を伴う場合は別の対応(赤旗)が必要になります。
・妊娠初期は、陣痛のような強い規則的収縮は多くない
妊娠初期は、いわゆる陣痛のような規則的で強い子宮収縮は一般に多くありません。一方で、子宮の血流増加や靭帯の引っ張られ感、腸の不調などを「張り」と感じることはよくあります。
子宮そのものの収縮よりも、子宮を支える靭帯が引っ張られたり、子宮の血流が増えたりすることによる違和感を「張り」と感じていることが多いのです。
・「張る」の言い換え⇒つっぱる/パンパン/生理痛みたい/チクチク/膣の奥が痛い
患者様が訴える「張り」の感覚は人それぞれです。
- 「お腹がパンパンで苦しい」
(ガスや便秘による膨満感に近い) - 「足の付け根がつっぱる感じ」
(靭帯が引っ張られている) - 「生理痛のような重だるさ」
- 「チクチク、キリキリする痛み」
- 「膣の奥が痛い」
Check
このように表現される症状のすべてが危険なわけではありません。
しかし、中には見過ごしてはいけない「危険サイン(赤旗)」も隠れています。
【最重要】危険サイン(赤旗)チェック:この場合は自己判断しない
妊娠初期の腹部症状は「妊娠のせい」と思い込みやすい一方で、臨床では便秘などの胃腸症状に加え、子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣嚢腫などの既往、妊娠に伴う卵巣(黄体)の腫れ、虫垂炎(いわゆる盲腸)などが紛れていることもあります。
すぐに相談すべき症状セット(例)
以下のような症状の組み合わせがある場合は、自己判断せず早めに相談してください。
- 「生理2日目以上の出血」+「強い下腹部痛」
(切迫流産だけでなく、進行流産の可能性も) - 「右下腹部の強い痛み」+「発熱・吐き気」
(虫垂炎などの可能性) - 「突然の激痛」+「冷汗・めまい・肩の痛み」
(異所性妊娠などの可能性) - 「片側だけの強い痛み」+「休んでも悪化する」
出血が増える・激痛がある場合は注意
お腹の張りに加えて「出血」がある、うずくまるほどの激痛がある場合は、妊娠経過の確認が必要な状態(切迫流産など)や、流産が進行している状態(進行流産)の可能性もあります。
出血量が
・生理2日目以上に増える
・痛みが強くなっていく(波のように繰り返す)
・血の塊(レバー状)が出る
このような場合は、自己判断せず早めに医療機関へ連絡してください。
※妊娠週数が進んだ時期に同様の経過となる場合、医学的には死産として扱われることがあります(本記事は妊娠初期を主に扱うため、ここでは流産として説明します)。
特に異所性妊娠(子宮外妊娠)では、お腹の痛みだけでなく、出血や「肩の痛み」などがサインになることがあります。
腹痛以外の症状もチェック(脱水など)
また、つわりや胃腸炎で水分がとれない、尿が極端に少ない・濃い、ふらつきが強い、体重が極端に減ったといった場合は脱水のサインのことがあり、早めの相談が必要です。
排尿時の痛みや頻尿がある場合は膀胱炎なども疑われます。下腹部痛の原因は妊娠以外も含めて幅があるため、あわせてこちらも参考にしてください。
下腹部痛全体の原因と見分け方も確認
以下の記事をご覧ください。
【チクチク・ズキズキ痛い女性の下腹部痛を解説】生理・妊娠・ピル・痛む部位毎の原因や対処法
妊娠初期にお腹が張る(パンパン・チクチク)主な原因:5分類で整理
危険なサインがない場合、お腹の張りの原因は以下の5つのパターンのいずれか、または複数が重なっていることが考えられます。
「どこが、どう痛むか」によって、ある程度原因を推測することができます。
【早見表】痛む場所・症状別の主な原因と目安
| 痛い場所 | 症状・体感 | よくある原因(可能性) | 受診の目安 |
|---|---|---|---|
| お腹全体 みぞおち |
パンパン・苦しい 食後に増える |
便秘・ガスだまり 食べ過ぎ・胃腸炎 |
様子見(セルフケア) (辛ければ相談) |
| 足の付け根 下腹部の両端 |
つっぱる・チクチク 動くと痛む |
円靭帯の痛み (子宮を支える靭帯) |
様子見(セルフケア) (安静で軽快なら) |
| 下腹部の中央 | 生理痛のような持続痛 重だるさ |
子宮の成長・充血 膀胱炎(生理的な変化) |
様子見(セルフケア) 医療施設を受診(出血なしなら) |
| 右下腹部 | 強い痛み/歩くと響く 押すと痛い |
虫垂炎(盲腸) 卵巣トラブル |
当日~数日以内に相談 (発熱・吐き気あれば至急) |
| 左右どちらか (片側) |
持続する痛み 急な激痛 |
卵巣の腫れ(黄体嚢胞) 子宮外妊娠など |
当日~数日以内に相談 (激痛なら至急) |
受診の目安
(辛ければ相談)
受診の目安
(安静で軽快なら)
受診の目安
医療施設を受診(出血なしなら)
受診の目安
(発熱・吐き気があれば至急)
受診の目安
(激痛なら至急)
① 便秘・ガスの膨満感(最も多い):「パンパン」の正体
実は、妊娠初期の「お腹の張り」で最も多い原因の一つが便秘やガスだまりです。
妊娠すると分泌が増える「プロゲステロン(黄体ホルモン)」には、腸の動きを弱める作用があります。そのため、便秘になったり、ガスがお腹に溜まって「パンパン」に張ったような苦しさを感じやすくなります。
便秘・ガスと「子宮の張り」の見分け方
- 便秘・ガス
ゲップやおならが出る、食後に張りが増す、排便すると楽になる感覚がある。
- 子宮の張り・靭帯痛
足の付け根がつっぱる、体勢を変えるとピキッと痛む、排便とは関係なく続く。
② 子宮が大きくなる/靭帯が引っ張られる:つっぱり・チクチク
妊娠すると、子宮は急速に大きくなり始めます。
この時、子宮を支えている「円靭帯」などが引っ張られることで、足の付け根や下腹部に「つっぱるような痛み」「チクチクした痛み」を感じることがあります。
こうした痛みは、子宮が大きくなる過程で起こることがあり、基本的には心配のない生理的な痛みです。
③ 動きすぎ・立ちっぱなし・ストレスで一時的に感じる
仕事で長時間立ちっぱなしだったり、無理に動いたり、強いストレスを感じたりすると、お腹が張りやすくなります。
これは体が「少し休んで」とサインを出している状態です。
④ 既存の婦人科疾患(子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣嚢腫)があると張りを感じやすい
妊娠前から子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣嚢腫などがある場合、妊娠に伴う子宮や卵巣の変化で、お腹の張りや痛みを感じやすくなることがあります。
また、これらは自覚症状が乏しいこともあり、妊娠をきっかけに健診(超音波)で初めて指摘されるケースもあります。
痛みが局所的に強い、触れると痛い、発熱を伴う、急に悪化する場合は、自己判断せず早めに相談しましょう。
⑤ 妊娠初期の卵巣(黄体)の腫れ:黄体嚢胞/ルテイン嚢胞
妊娠初期には、黄体がホルモンを分泌する過程で卵巣が一時的に腫れて見えることがあります(黄体嚢胞/ルテイン嚢胞)。
胎盤が完成してくる妊娠10〜12週頃を目安に、自然に小さくなることが多いです。
ただし、腫れが大きい場合、まれに卵巣がねじれる「茎捻転(けいねんてん)」を起こすと激痛が生じます。
強い片側痛や急な激痛がある場合は早めに相談が必要です。
【注意】不妊治療(体外受精・排卵誘発)を受けた方へ
採卵や排卵誘発を行った直後の妊娠では、妊娠することにより卵巣が過剰に反応して腫れやすくなること(卵巣過剰刺激症候群:OHSS)があります。
- お腹が急にパンパンに膨らむ
- 息苦しい、尿が減る
- 体重が急増した(数日で2kg以上など)
- おなかが痛い
といった場合は、早めにかかりつけ医に連絡・相談してください。
妊娠初期のお腹の張りはいつから?いつまで?
個人差はありますが、妊娠が分かる4週頃から、ホルモンバランスの変化や便秘・ガスの影響で張りを感じる方がいます。胎盤が完成してくる12〜16週頃を目安に落ち着くこともありますが、子宮が大きくなることによる違和感は妊娠中期以降も続くことがあります。
出血を伴う、痛みが強い、休んでも悪化する場合は時期に関わらず早めに相談してください。
時期別の目安
・妊娠4〜6週頃
ホルモンバランスの急激な変化で腸の動きが鈍り、便秘やガスの張りを感じやすくなります。着床に伴うチクチクした違和感が出る方もいます。
・妊娠7〜10週頃
黄体ホルモンの分泌がピークを迎え、卵巣(黄体)が腫れて違和感が出やすい時期です。子宮も徐々に大きくなり、靭帯の痛みも出始めます。
・妊娠12〜16週頃(安定期へ)
胎盤が完成に近づき、黄体由来の卵巣の腫れは落ち着いてくることが多いです。つわりが治まると同時に、張りが楽になる方も増えてきます。
妊娠初期に「お腹が硬い」感じがするのは張り?
妊娠初期に触って「お腹が硬い」と感じる場合、子宮そのものの硬さというよりも、便秘・ガスでお腹全体が張っている(膨満感)ケースが多いです。
食後や姿勢、緊張でも硬さの感じ方は変わるため、触った感覚だけで「子宮が張っているか」を判断するのは難しいことがあります。また、骨盤内に血液が集まって、おなかが硬いと感じる場合もあります。
一方で、子宮の張りに近い場合は「お腹が一時的にキュッと固くなる」「しばらくすると戻る」と感じる方もいますが、個人差があります。
ただし、カチカチの状態が続く/痛みが強い/出血を伴う/規則的に繰り返す・休んでも悪化する場合は、自己判断せず早めに産婦人科へ相談しましょう。
お腹が張るときの過ごし方(仕事・運動・入浴の目安)
妊娠初期の生活全般(食事・薬・仕事・運動・旅行など)のOK/NGは、別記事「妊娠初期に気をつけること完全ガイド」でまとめています。
本記事では、“お腹が張る/痛むときに、症状を悪化させないための目安”に絞って整理します(出血や強い痛みがある場合は、この章より前の「受診目安チェック」を優先してください)。
・仕事・家事
張りが軽く、休むと落ち着く場合は、無理のない範囲で行いましょう。
ただし「動くと増える/繰り返す」場合は、休憩を増やし、必要に応じて受診で相談しましょう。母性健康管理指導事項連絡カードを記入して、休職することも考慮しましょう。
妊娠初期に気をつけること完全ガイド(仕事調整・連絡カードについて)
・自転車
張りや痛みがある時期は、振動により流早産の原因になったり、転倒・事故のリスクもあるため、控えるのが安全です。判断に迷う場合は主治医の指示を優先してください。
・外出・旅行
旅行自体が一律にNGとは限りませんが、張りや出血がある、安静指示がある場合は中止も含めて慎重に判断します。無理のない日程と、いつでも医療機関を受診できる範囲が安心です。
・入浴・温泉・サウナ
体調が安定していれば短時間の入浴でリラックスになることもありますが、張りが強い日は無理をせず、入浴は控えましょう。血圧が低くなる時期なので、めまいや転倒に注意しましょう。サウナなど高温環境は控えるようにしましょう。
・市販薬(痛み止め・下剤など)
妊娠中の薬は、自己判断で「飲む/増やす/連用する」を決めず、かかりつけ医に相談しましょう。
症状別:自宅でできる対処とNG行動
自宅でできる対処(OK行動)
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まず休む(横になる・締め付けを解放する)
お腹の張りを感じたら、まずは楽な姿勢で横になりましょう。
ガードルやストッキング、きつめのズボンなどが血流を悪くして「張り感」に繋がっていることもあります。下着やボトムスの締め付けを緩めるだけでも楽になることが多いです。
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便秘・ガスの対処
水分摂取、食物繊維、無理のない範囲での歩行などで腸を動かします。
-
医師に相談して薬を使う
改善しない場合は、酸化マグネシウムや妊娠中でも飲める便秘薬や整腸剤を処方してもらいましょう。さらに強い便秘の場合は、その他の下剤を処方してもらえます。
やってはいけないこと(NG行動)
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× 張りが強いのに我慢して動き続ける
休んでも悪化する場合は、無理をせず早めに相談を。
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×腹圧がかかる動作を続ける
重い物を持つ、強い運動やストレッチなどは控え、まずは安静を優先します。
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× 自己判断で薬を足す・増やす(鎮痛薬/下剤など)
妊娠中は成分や量の判断が難しいため、医師・薬剤師に確認してから使用しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1:チクチクするのは着床痛ですか?
医学的に「着床痛」という明確な定義はありませんが、着床の時期(生理予定日前後)にチクチクした痛みや違和感を感じる方はいます。この時期は体の変化が重なり、軽い張りや違和感として感じる方もいますが、症状だけで正常・異常を判断することは難しいため、出血や強い痛みがなければ経過を見ることが多いです。
Q2:便秘でお腹がパンパン、ガスが苦しいです。
妊娠初期はプロゲステロンの影響で腸の動きが鈍りやすく、便秘やガスだまりが起こりやすい時期です。我慢が続くとつらさが増したり、痔が悪化することもあるため、早めに産婦人科で相談し、整腸剤や下剤を処方してもらうことをお勧めします。Q3:右側が痛いのは大丈夫?
右側には盲腸(虫垂)があるため、右下腹部が強く痛む場合は虫垂炎の可能性も否定できません。また、右側の卵巣が腫れている可能性もあります。痛みが続く場合は我慢せず、医療機関へ相談してください。超音波検査や血液検査で早期診断が大切です。
Q4. 妊娠初期に「お腹が硬い」感じがするのは張り?
妊娠初期に触って「硬い」と感じる場合、子宮そのものよりも、便秘・ガスでお腹全体が張っている(膨満感)ケースが多いです。
ただし、カチカチが続く/痛みが強い/出血を伴う/休んでも悪化する場合は自己判断せず、早めに産婦人科へ相談しましょう。
Q5. 出血がないなら様子見でいいですか?
出血がなくても、強い痛みや片側だけの激痛、発熱・吐き気、安静でも痛みが増えるなどがある場合は、早めの相談が必要になることがあります。
「出血がない=必ず安全」とは限らないため、まずは受診目安チェック表で当てはまる項目がないか確認してください。
Q6. お腹の張りが「続く/繰り返す」のは大丈夫?
休むと落ち着き、痛みも軽い場合は、便秘・ガスや疲れが影響していることもあります。
一方で、張りが以前より強い/頻度が増える/日常動作に支障がある/少量でも出血を伴う/片側の痛みが続く場合は、早めに産婦人科へ相談しましょう。
Q7. 便秘薬(下剤)や痛み止めなど、市販薬は使っていい?
妊娠中は、自己判断で市販薬を「飲む/続ける」を決めず、かかりつけ医に相談するのが安心です。特に、張りや痛みがあるときに我慢して対処を続けると、相談のタイミングが遅れることがあります。薬の考え方は、別記事で詳しくまとめています。
Q8:出血と強い下腹部痛があるとき、流産が進んでいる(進行流産)可能性はありますか?
あります。出血量が多い(生理2日目以上に近い)、痛みが強くなっていく、血の塊が出る場合は、妊娠経過の確認が必要になります。夜間・休日でも我慢せず、かかりつけ医や救急病院を受診しましょう。
>> 妊娠初期の腹痛・出血は流産のサイン?「大丈夫な痛み」の見分け方と受診の目安
受診・相談前の準備
「こんなことで受診していいのかな?」と迷う必要はありません。
不安を抱えたまま過ごすことは、お母さんにとっても赤ちゃんにとってもストレスになります。
受診前にメモしておくと安心(可能な範囲で)
受診の際、以下をメモしておくと医師への伝達がスムーズです。
- 出血の量(ナプキン何枚/血の塊の有無)
- 痛みの場所(中央/右下腹部/片側など)と強さ、続き方
- 発熱・吐き気・下痢・排尿痛の有無
- 便通(最後に出た日、ガスが出るか)
- 水分摂取・尿の状況(水分がとれているか、尿が極端に少なくないか)
必要に応じて診察・検査
問診の内容に基づき、経腟超音波(エコー)で赤ちゃんの心拍や子宮の状態、卵巣の腫れがないかを確認します。
また、必要に応じて炎症反応を見るための血液検査などを行うこともあります。
もし便秘やガスだまりが主な原因と分かれば、少なくとも緊急性の高い病気の可能性が下がり、安心材料になることが多いです。
【まとめ】ひとりで悩まず相談してください
妊娠初期のお腹の張りは、子宮の成長やホルモンの影響、便秘などが原因であることが多く、すべてが危険なわけではありません。
しかし、中には治療が必要なトラブル(赤旗)が隠れていることもあります。
妊娠初期は「薬を飲んでしまった」「こんな些細なことで受診していいの?」と不安になるものです。
当院では、お身体の診察だけでなく、生活の不安や仕事の調整(母健連絡カード)も含めてサポートしています。
「怒られるかもしれない」と心配する必要はありません。赤ちゃんとママの安心のために、気になることは何でもご相談ください
※当院はセミオープンシステムを導入しており、分娩は連携病院(愛育病院、日本赤十字社医療センター、順天堂大学病院など)で行う体制も整えています。
ご予約について
予約制となっております。
【土日祝日も診療】全ての医師やスタッフは女性です。ご安心してご来院ください。
平日受診できない方に通院していただきやすいよう、毎朝8時30分から診療を受け付けています。
※最新の診療情報は「お知らせ」よりご確認ください
オンライン診療も対応しておりますので遠方の方やご来院が難しい方は是非ご利用ください。
オンライン診療も実施中
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。




