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「ヘルペス=人生終わりではない!」恋愛、人間関係、妊娠出産、日常生活は?正しい知識と対処法を女医が解説。

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「ヘルペス=人生終わり」ではありません!

性器ヘルペス・口唇ヘルペスは、再発することも多く、痛みを伴う厄介な病気です。

適切なフォローアップが必要であるのは、間違いのないこと。

しかし、「ヘルペスになったら妊娠・出産ができない」「パートナーを作れない」と誤解をしてしまい、「人生終わったようなもの」と苦しんでおられる方が多いのかなあと感じます。

ヘルペスになっても、理想のライフプランを諦める必要はありません。

ちまたには、不正確な情報や、単に不安を煽ってしまうような情報も溢れています。ヘルペスについて、必要以上に苦しんでいる方の助けになればと思い、今回の記事を作成しました。

正しい知識を持ち、必要なタイミングで適切に対処していけば、ライフプランへの影響は最小限にとどめることができます。今回の記事で、ご自身とパートナーの方のヘルペスへの理解が深まれば幸いです。

 

ヘルペスとは?症状や感染経路を正しく理解しよう

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ヘルペスに振り回されないためには、正しい知識を持つことが何より重要です。

誤解している部分がないか、確認してみてください。

ヘルペスの原因と感染者数

口唇ヘルペス

主に単純ヘルペス(HSV1型)が原因で、唇や鼻の周囲に水疱ができる病態です。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルス(HSV 1型または2型)に感染したことが原因で、性器やその周辺に発症します。

性器ヘルペスは10人に1人、口唇ヘルペスは2人に1人が感染していると推定されています。日本国内では、約1000万人がヘルペスウイルスに感染している計算で、非常にありふれた感染症です。

無症状感染者(発症歴はないと認識しているが、体内にウイルスがある状態)の方も、多くいます。

ヘルペスの主な症状

じつは、ヘルペスは無症状の場合も非常に多く、約50〜70%程度は症状がありません。

感染してすぐに発症した場合(初感染初発症)と、感染は以前からしていたが何かの拍子に初めて発症した場合(非初感染初発症)とがあり、感染時期ははっきりとさせにくいです。

口唇ヘルペスも性器ヘルペスも、初感染初発症の方が、やや重篤になる傾向にあります。

【口唇ヘルペスの症状】

初発時

唇や鼻の周囲に、ピリピリとしたかゆみが前兆としてあらわれます。その後、赤く腫れ、小さな水疱が複数生じます。 治療をしなくても、1週間程度で自然とかさぶたになり、治癒します。軟膏の治療はよく効きます。水疱が破れて周囲に広がると感染が悪化するので、触らないように注意して下さい。 子どもの時期の初発だと、症状は軽いことがほとんどです。

再発時

疲れたとき、精神的なストレスにさらされたとき、風邪をひいたとき、強い紫外線を浴びたときなどに、唇や鼻の周囲に水疱ができます。比較的、軽微な症状が多いです。

【性器ヘルペスの症状】

初発時

外陰部に、強い痛み・かゆみのある水疱が多発し、数日後には水疱が破れて、ひどい場合には潰瘍(ただれ)となります。
症状のピークは1週間前後です。水疱のほか、足の付け根のリンパ節の腫れ、高熱、排尿困難、陰部の痛みで歩けないなどの症状が出ることもあります。

再発時

初発時と同じ部位に、やや軽度ではあるものの同じような症状が出ます。水疱ができるまえに、皮膚がピリピリ・チクチクするような前兆を感じる場合もあり、前兆の段階で治療薬を使用して対処できれば、ほぼ生活に支障なく過ごすことができます。

ヘルペスの感染経路

ヘルペスは接触感染です。

症状のある部位(性器の粘膜、分泌物、水疱)と直接的に触れることで、容易に感染します。とくに、水疱内の液体には多量のウイルスが含まれており、注意が必要です。

たとえば、お子さまの患部に外用薬を塗ってあげたあと、手を洗わずにご自身の粘膜に触れてしまうと、感染します。皮膚に傷があると、そこから感染する場合もあります。

タオルやコップ、バスチェア、便座などを介した感染も頻度は高くありませんが知られています。同居のご家族がいる場合、感染部位と触れるものを共用しないようにしてください。

【代表的な感染経路】

口唇ヘルペス

コップや食器の共有、タオルの共有、キス、オーラルセックス

性器ヘルペス

腟や肛門への挿入、性器へのタッチング、オーラルセックス、バスチェア
※性行為によるヘルペスウイルスの伝播は、女性から男性よりも、男性から女性の方が感染効率が高いことがわかっています。

 

「ヘルペス=人生終わり」と誤解してしまう要因

画像 ヘルペスで「もう人生終わりだ」というように、深刻に考えてしまう要因はいくつかあります。

「完治しない」という事実

ヘルペスが「完治しない」というのは、事実です。
再発を完全に抑制することはできません。ヘルペスウイルスは症状のない期間も神経の中に潜んでおり、一生涯、体からすべて排出するということができない性質があります。

ヘルペスへの偏見

とくに性器ヘルペスは、主に性行為により感染する「性感染症」の1つであるため、「性的に奔放」「経験人数が多い」「だらしない」のような偏見を持たれてしまうことがあるようですが、全くそのようなことはありません。

実際、口唇ヘルペスは半数もの方が保有しておりますし、キスや性行為によって口唇ヘルペスが性器へ感染するケースも多いです。ヘルペスは感染力が高く、性的なパートナーが1人だけだとしても、感染してしまう方はいらっしゃいます。

人間関係・恋愛へ影響する不安

ヘルペスは、非常に感染力が高く、水疱などがなく「無症状」の時期にも感染力を持つ場合があります。

そのため、正しい対策を教えてもらっていない場合、「ヘルペスを持っているから、もう性行為はできない」「パートナーになる人に申し訳ないから、誰とも恋愛できない」と思ってしまうようです。

実際は、多くの人がヘルペスに感染しており、パートナーも無症状感染者の可能性はあります。

特に、男性は女性に比べて性器ヘルペスの症状が軽微で、無症状感染者の方が多いです。

いつ・誰から感染したかも、はっきりさせるのは難しいため、「パートナーに何かあったら自分のせい」「二度と人と深い関わりを持てない」のように思い詰める必要はありません。

妊娠出産への影響

ヘルペスは、母子感染することも知られています。

新生児のヘルペスは、脳炎や髄膜炎などの重篤な状態を引き起こしたり、後遺症を残したりと、重篤化しやすいものであるため、油断できないことは確かです。しかし、母親ヘルペス既往があるからといって、出産が望めない、必ず母子感染するというわけではありません。

妊娠前からヘルペスを持っている場合、抗ウイルス薬での治療を行い、適切な管理をしていれば、新生児へのヘルペスウイルス伝播リスクは低いことがわかっています。

症状が出ていない状態なら、経腟分娩も可能です。

ただし、妊娠中は免疫力が低下し、ヘルペスの再発を起こしやすいため、無理のないような生活を送り、再発の前兆があればすぐに抗ウイルス薬のよる治療をお勧めいたします。

妊娠中でも、胎児に影響なくヘルペスの治療ができますので、ご安心ください。しかし、分娩の直前に症状が出て母子感染のリスクがあると判断された場合、安全のために帝王切開を選択するケースもあります。

分娩の前に治療をきちんと行うことが重要です。
慎重なフォローアップは必要ですが、ヘルペスの既往歴があっても、妊娠出産は可能です。

日常生活への影響

ヘルペスは、個人差があり、年に何度も再発を繰り返してしまうという場合もあります。

症状も決して楽ではありませんし、生活に支障がでることもあるでしょう。

何度も繰り返すうちに、「また再発して、つらい」「こんなことを一生繰り返すなんて、絶望的」と感じてしまうのも、理解はできます。

しかし、再発を抑制するための治療、重症化を抑えるための投薬方法もあり、日常生活への影響は最小限にとどめることが可能です。医師とよく相談の上、ご自身に合った管理方法を見つけましょう。

 

ヘルペスとうまく付き合う方法

画像 ヘルペスに煩わされずに、自分の望む人生を歩んでいくためには、適切な付き合い方を知ることが重要です。

症状が出たらすぐ治療

とくに性器ヘルペスは、症状が重篤化すると日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。

症状が出たらすぐに受診し、治療を始めましょう。

家の近く、職場の近くなど、すぐに受診できる場所にかかりつけのクリニックを持つことをおすすめいたします。 抗ウイルス薬の内服による早く治療を始めるほど、症状の重篤化を抑えることができます。

通常、抗ウイルス薬の内服薬を5日間服用し、外用薬を併用することもあります。 ごく軽度の口唇ヘルペスの場合は、市販の外用薬で対応することもできるでしょう。内服薬は、医療機関を受診しなくては手に入れられません。

前兆段階の早期対応で重症化予防

口唇ヘルペスも性器ヘルペスも、再発の前にはピリピリ・チクチクとした前兆を呈することがあります。

前兆がわかる方は、「PIT療法」が選択肢です。

あらかじめ抗ウイルス薬を手元に持っておき、前兆を感じてから6時間以内に1回目、その12時間後に2回目の抗ウイルス薬を服用します。前兆の段階で即座に抗ウイルス薬を服用することで、症状の出現自体を抑えたり、症状を軽度に抑えたりすることが可能です。

学業や仕事ですぐに受診しにくい方などには、非常に安心感もあり、有効な方法といえます。

再発抑制療法

再発の頻度を抑えたい方、症状が重い方は、抗ウイルス薬を半年〜1年間に渡って毎日服用しながら、性器ヘルペスの再発予防を目指す方法もあります。1年間に6回以上再発してしまう方には、保険適用です。

再発の回数を減らすことで、生活の質を高めることができます。再発が抑えられることで、同居しているご家族などへの感染リスクも軽減いたします。

再発抑制療法をおこなっている間に再発する方はわずかで、非常に有効な治療法です。体内のウイルス量を減らすことができるため、服用が終わった後も、再発の頻度は下がります。

再発予防のため生活習慣やストレスを見直す

ヘルペスには、免疫力の低下は大敵です。

毎日の習慣を見直し、ヘルペスの再発を起こしにくい生活を目指しましょう。

・規則正しい生活をする
・十分に睡眠をとる
・栄養バランスのよい食事をする
・アルコールはほどほどに
・他の性感染症にも注意する

月経の前後に再発を起こしやすい方もおられます。女性ホルモンバランスの変化が引き金になっていると思われます。そのような場合は、低用量ピルなどを用いた月経コントロールも合わせて検討しましょう。

 

ヘルペスに関するQ&A

画像 ヘルペスに関して、よくある質問にお答えいたします。

Q. パートナーがヘルペスだったら、キスや性行為は避けるべきですか?

口唇ヘルペス・性器ヘルペスのいずれでも、症状がある時期は、性行為・キス・タッチングなど、症状のある部位との接触を避けましょう。もし症状のある部位に触れてしまった場合は、石鹸を使用して、流水でよく洗い流してください。

感染歴のあるパートナーと性行為をおこなう場合、1年間の中で感染する確率は5〜10%ほどあると言われています。自覚症状がないときでも、神経を伝って皮膚や粘膜の表面にウイルスが出てきている場合があり、完全に予防するのは難しいのです。

妊娠を希望されていない場合は、男女どちらにヘルペスの既往があるとしても、コンドームを着用しての感染予防をおすすめいたします。

Q. ヘルペスのことを、パートナーになんと伝えれば良い?

あまり大事に捉えすぎず、「お互いの健康のために、情報を共有する」という気持ちで、シンプルに事実を伝えましょう。この記事をパートナーと一緒に読むのもよいと思います。

 

ヘルペスでも、大丈夫!

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ヘルペスウイルスに感染しても、適切な知識と対応があれば、大きな問題はありません。パートナーと深い関わりを持つことも、妊娠・出産をおこなうことも、もちろん可能です。

再発を抑えるための治療もあります。

「人生終わり」などと絶望的な気持ちで人生を制限する必要はないと思います。ウイルス感染症は治療薬がない場合が多いのですが、ヘルペスは抗ウイルス薬が有効です。

ヘルペスでも、理想のライフプランを叶えられます。「健康管理を見直すチャンス」と捉えて、ヘルペスの発症を抑えながら、日常生活を楽しく過ごしましょう。

繰り返しになりますが、正しい知識を持ち、速やかに対応して生活すれば、怖い病気ではありません。

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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