女性の顔(目・鼻・耳など)のヘルペスの原因・症状・治し方|妊娠・出産や生理時の注意点も女医が丁寧に解説。
更新日:2025.03.23

ヘルペスというと口唇や性器に発症するイメージが強いですが、実は顔のさまざまな部位に現れることをご存知でしょうか。特に女性は、ホルモンバランスの変化によって男性よりもヘルペスが発症しやすいといわれています。
この記事では、女性に特有のリスク要因も含め、顔の各部位に発症するヘルペスの原因、症状、治療法について詳しく解説します。
目次
女性がヘルペスになりやすい理由とは?

ヘルペスウイルスは一度感染すると体内に潜伏し、免疫力の低下などをきっかけに再活性化します。このウイルスは神経に沿って広がるという特徴があるため、顔のさまざまな部位に症状が現れることがあります。
女性特有のヘルペス発症リスク
女性がヘルペスを発症しやすい主な要因として、以下のようなものが挙げられます。
月経周期に伴うホルモンバランスの変化
特に生理前は発症リスクが高まります
妊娠によるホルモン変化と免疫力の変動
妊娠中は免疫システムが変化するため
出産後の疲労やストレス
睡眠不足や育児ストレスが引き金になることも
経口避妊薬(ピル)の使用
ホルモンバランスに影響を与える可能性があります
更年期の体調変化
エストロゲン減少による免疫機能への影響
一般的なヘルペス発症要因
女性特有の要因に加えて、以下のような一般的な要因も発症リスクを高めます。
免疫力の低下
過労やストレス、睡眠不足など
紫外線への過度な曝露
日焼けや強い日差しを浴びた後
発熱や風邪
体調を崩した際に発症しやすい
物理的な刺激
顔の皮膚が傷ついたり、強い摩擦が加わったりした場合
感染経路
感染者との直接接触(キスや肌の接触)だけでなく、タオルや食器の共有によっても感染する可能性があります。また、自分の口唇ヘルペスに触れた手で顔の他の部位をこすることで、自己感染(自家接種)を起こすこともあります。
ヘルペスが繰り返し発症するメカニズム
ヘルペスウイルスの厄介な特徴は、一度感染すると生涯にわたり体内に潜伏することです。ウイルスは通常、三叉神経節や頸部神経節などの神経節に潜伏しており、免疫力が低下すると再活性化して症状を引き起こします。
女性の場合、特に以下のタイミングで再発しやすい傾向があります。
生理前や生理中
エストロゲンとプロゲステロンのバランス変化時
妊娠初期・後期
急激なホルモン変化がある時期
ストレスが強い時期
仕事や家庭の負担が大きい時
睡眠不足が続いている時
育児や介護などで睡眠が不足している時
各部位のヘルペス症状と女性が特に注意すべきポイント

顔の各部位におけるヘルペスの症状と、女性が特に注意すべきポイントについて詳しく見ていきましょう。
1.目のヘルペス(ヘルペス性角膜炎)
目にヘルペスが発症すると、ヘルペス性角膜炎や結膜炎などを引き起こす可能性があります。特に角膜炎は視力に直接影響するため、早期発見・早期治療が非常に重要です。
主な症状
- 目の充血
結膜や角膜の炎症による充血 - 異物感・痛み
「目に砂が入ったような」不快感や痛み - 視界のぼやけ
角膜の炎症による視力低下 - まぶたの腫れ
炎症が周囲に波及することによる腫脹 - 光過敏
光に対する過敏反応(まぶしさを強く感じる) - 涙の増加
刺激に対する反応として涙が多く出る
女性が特に注意すべきポイント
・コンタクトレンズ使用者は特にリスクが高い
女性はコンタクトレンズ使用率が高く、角膜へのダメージリスクが増加
・アイメイク時の注意
目のヘルペスがある場合、メイクは避け、完治後もアイメイク道具は新しいものに交換する
・妊娠中は特に注意
妊娠中の目のヘルペスは治療薬の使用に制限がある場合も
2.鼻・鼻下のヘルペス(鼻ヘルペス)
鼻やその周辺に発症するヘルペスは、口唇ヘルペスと同じく単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が原因です。鼻の粘膜は非常にデリケートなため、痛みを強く感じることが多く、不快感も大きいのが特徴です。
主な症状
- 鼻の中や鼻周囲の水疱(水ぶくれ)
小さな水疱が集まってできることが多い - ピリピリとした痛みやかゆみ
発症初期に現れることが多い - 鼻粘膜の炎症
鼻の中が赤くなり、腫れることもある - かさぶた
水疱が破れた後、かさぶたになる - 鼻づまり
炎症による粘膜の腫れで鼻づまりを感じることも
女性が特に注意すべきポイント
・ファンデーションやコンシーラーの使用
患部を隠そうとして化粧品を使うと症状が悪化する可能性がある
・生理前は特に注意
多くの女性が生理前に鼻ヘルペスを発症しやすい
妊娠中は免疫力の変化で発症リスクが高まり、治療にも制限がある
3.耳のヘルペス(ラムゼイ・ハント症候群の可能性)
耳に発症するヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによるものもありますが、帯状疱疹ウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)による「ラムゼイ・ハント症候群」の可能性もあります。特に顔面神経に影響がある場合は、早急な対応が必要です。
主な症状
- 耳の中や周囲の水疱
小さな水ぶくれが集まってできる - 耳の痛みやかゆみ
激しい痛みを伴うことがある - 耳鳴りや難聴
内耳に影響が及ぶと聴覚障害が現れることも - めまい・平衡感覚の障害
前庭神経に影響がある場合 - 顔面神経麻痺
顔の片側が動かしにくくなる(ラムゼイ・ハント症候群の特徴的な症状)
女性が特に注意すべきポイント
・ピアスの使用
耳のヘルペスがある場合、ピアスは外し、完治するまで着用しない
・妊娠中の耳のヘルペス
内耳症状(めまいなど)がある場合、転倒リスクに注意 妊娠中も治療は可能です
顔面神経麻痺が出た場合の髪型のアドバイス
口唇ヘルペスと帯状疱疹の違い

顔に現れる水疱性の発疹として、口唇ヘルペスと帯状疱疹はしばしば混同されますが、原因となるウイルスや症状には明確な違いがあります。
特徴 |
口唇ヘルペス(単純ヘルペス) |
帯状疱疹 |
原因ウイルス |
単純ヘルペスウイルス(HSV-1) |
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV) |
発症パターン |
限局的(口唇など特定の部位) |
神経の走行に沿って片側に帯状に発疹 |
痛みの程度 |
比較的軽度 |
強い神経痛を伴うことが多い |
年齢層 |
全年齢 |
50歳以上に多い(若年者でも発症する) |
帯状疱疹は水痘(水ぼうそう)と同じウイルスが原因で、水痘に罹患した後、神経節に潜伏したウイルスが再活性化することで発症します。顔面神経に沿って発症した場合は、顔面神経麻痺を引き起こすことがあり、特に注意が必要です。
一方、単純ヘルペスは比較的症状が軽いケースが多いですが、免疫力が極端に低下している場合(HIV感染や抗がん剤治療中など)は重症化することもあります。
また、目に感染した場合は、適切な治療を行わないと視力障害の原因になる可能性があります。
妊娠中・出産後のヘルペス時の注意点

妊娠中や出産後のヘルペスは、通常よりも慎重な対応が必要です。
妊娠中のヘルペス治療について
妊娠中にヘルペスを発症した場合、胎児への影響を考慮した治療選択が必要になります:
薬剤選択の制限
妊娠中に使用できる抗ウイルス薬で治療します
産婦人科と皮膚科・眼科の連携
複数の専門医による協力体制が重要です
自然分娩への影響
特に性器ヘルペスの場合、分娩方法に影響する可能性があるので分娩時期前に治療することが大切です
妊娠中にヘルペス症状が見られた場合
必ず産婦人科医に相談し、適切な治療方針を相談しましょう。ヘルペスは妊娠中に治療できる疾患です。
出産後の注意点
出産後は疲労やホルモンバランスの急激な変化により、ヘルペスが発症するリスクが高まります。
新生児への感染予防
特に口唇や顔のヘルペスが出現する場合、赤ちゃんへの接触には注意が必要
授乳中の薬剤使用
抗ウイルス薬を使用します
免疫力を高める生活習慣
十分な休息、栄養バランスの良い食事、周囲のサポート
治療法と当院での対応

顔のヘルペスが疑われる場合の治療法と、当院での対応について説明します。
受診のタイミングは「できるだけ早く」
前駆症状の段階で受診できればベストです。水疱ができて何日も経過してから、かさぶたになってからでは、抗ウイルス薬の服用を開始するには効果が期待できない場合もあります。気が付いたら早めに受診しましょう。
顔のヘルペスは何科を受診すべき?
ヘルペスが発症する部位によって、適切な診療科が異なりますが、当院では総合的に対応いたします。重症度により、治療は異なります。生理周期に合わせた発症パターンの分析や、性器ヘルペス、妊娠中のヘルペス対策など、女性特有のお悩みを対応しておりますのでお気軽にご相談ください。
一般的な受診科について
発症部位 |
受診科 |
当院での対応 |
目(角膜・結膜) |
眼科 |
提携眼科医との連携診療 |
鼻・鼻下 |
皮膚科/耳鼻科 |
院内での対応 |
耳 |
耳鼻科/神経内科 |
院内での対応 |
口唇・顔の皮膚 |
皮膚科 |
院内での対応 |
当院で行うヘルペス治療と予防
・ホルモンバランスの評価
ヘルペスが繰り返し発生する場合、ホルモン検査を実施
・抗ウイルス薬による治療
症状に応じた適切な投薬
・妊娠中の安全な治療法
胎児への影響を考慮し、早めの治療が大切
・再発予防のためのケア
投薬および生活習慣の見直しや栄養指導
・美容面でのアドバイス
ヘルペス後の肌ケアや化粧法についてのアドバイス
ヘルペス予防のための女性ホルモンケア
当院では、ヘルペスの再発予防として、女性ホルモンバランスを整えるための以下のようなケアも提供しています。
- ホルモンバランスを整える漢方処方やピル
- ストレス軽減のためのカウンセリング
- 生理前のセルフケア指導
- 更年期の方へのホルモン補充療法の相談
番外編:ヘルペスに市販薬は有効か?

市販薬として、抗ウイルス成分の含まれた外用薬を購入することができます。成分は、医療用医薬品のものと同等ですので、「口唇ヘルペスの再発」の方に限り、使用可能です。
初発の方、口唇ヘルペスと診断を受けたことがない方、性器ヘルペスの方は、市販薬での対応はできません。
・ヘルペシアクリーム(大正製薬)
「アシクロビル」が含まれる外用薬で、1日3〜5回塗布します。
・アラセナS軟膏/クリーム(佐藤製薬)
「ビダラビン」が含まれる外用薬で、1日に1〜4回塗布します。
かさぶたができ、患部が乾燥して上皮化するまで塗布を続けましょう。
市販薬では対応できない医療機関の受診が必要な場合
目のヘルペス
視力障害のリスクがあるため、必ず眼科を受診
耳のヘルペス
神経症状を伴う可能性があるため、専門医の診察が必要
広範囲に広がるヘルペス
薬剤の全身投与を考慮し、医師の診察を受ける
痛みが強い・発熱を伴う
強い疼痛がある場合や発熱がある場合は早急に受診
子どもや高齢者、妊婦のヘルペス
重症化のリスクが高いため、医師の診察を受ける
市販薬の注意点
市販薬はあくまで再発の方で、軽度の症状に対する応急処置と考えましょう。
初発や症状が改善しない場合や悪化する場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。特に初めてヘルペスと思われる症状が現れた場合は、自己判断せずに医師の診察を受けましょう。
ヘルペスは完治する?

ヘルペスウイルスは一度感染すると体内(神経節)に潜伏し続けるため、現在の医学では完全に排除することはできません。しかし、適切な治療と予防策により、疼痛緩和や症状のコントロールは可能です。
ヘルペスの経過と予後
初回発症
早急に適切な治療を行えば、通常1〜2週間程度で症状は改善
再発率
ウイルスの種類や個人の免疫状態により異なるが、およそ30〜40%の人が再発を経験
再発の頻度
年に数回再発する人もいれば、数年~数十年に一度のみという人もいる
再発時の症状
一般的に初回より軽症で、治癒も早いことが多い
ヘルペスを早く治すには?医師のすすめるセルフケア
・疲労を溜めず、しっかり眠る
過労、睡眠不足などは、免疫力を低下させる原因となり、ヘルペスを長引かせたり、再発しやすくさせたりと悪影響です。顔のヘルペスができたということは、疲れている、体に無理をかけているということ。体を労り、しっかり休みを取るようにしましょう。
・日焼けを避ける
日焼けも、顔のヘルペスを引き起こすきっかけの1つです。紫外線が、皮膚の免疫細胞の働きを抑えると考えられています。早く治したい方は、日焼け止めを使う、帽子をかぶるなどの対策をとり、日焼けを避けてください。
・栄養バランスの良い食事を摂取する
野菜やタンパク質、ビタミンB群やビタミンCなど、バランスよく十分な量を3食摂取しましょう。
・患部の保湿・保護をおこなう
患部の保湿・保護が必要です。また、抗ウイルス薬の外用薬を気になったときに1日数回、塗布してください。口唇ヘルペスの場合、食事の前に塗布すると、食事の際に破れるのを防ぐことができます。
予防接種という選択肢(帯状疱疹)
現在、単純ヘルペスウイルスに対する予防接種は一般的には利用できませんが、帯状疱疹に対してはワクチン接種が可能です。50歳以上の方は、帯状疱疹の予防のためのワクチン接種を検討することができます。これにより、帯状疱疹の発症リスクや症状の重症度を軽減できる可能性があります。
Q&Aコーナー(女性からよくある質問)

女性から特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q:生理前に毎回ヘルペスができます。どうすれば予防できますか?
生理前にヘルペスが発症するのは、プロゲステロンの増加とエストロゲンの減少によるホルモンバランスの変化が影響しています。予防には以下の対策が効果的です。- 生理予定の1週間前からビタミンB群やビタミンCの摂取を増やす
- 十分な睡眠と休息を心がける
- ストレス管理に努める(リラクゼーション法など)
- 紫外線対策を徹底する
- 当院では生理前の免疫力サポートのためのサプリ相談も行っています
Q:妊娠中にヘルペスができた場合、赤ちゃんへの影響はありますか?
顔や口唇のヘルペスは、適切に管理していれば胎児への直接的な影響はほとんどありません。ただし、以下の点に注意が必要です。- 分娩時に性器ヘルペスが発症している場合は、帝王切開術を選択することもあるため、早期の治療が必要です
- 顔のヘルペスの治療薬は、医師に妊娠中であることを必ず伝えてください。治療薬を使用できます。判断が難しい場合は、産婦人科医に相談してください
- 出産後は赤ちゃんへの感染を防ぐため、患部に触れた後はしっかり手を洗う
Q:ヘルペスができたら化粧してもいいですか?メイクでカバーしたいのですが。
基本的には、ヘルペスの患部には化粧を控えるのがベストです。理由は以下の通りです。
- 化粧品に含まれる成分が患部を刺激し、症状を悪化させる可能性がある
- 化粧道具を介して他の部位にウイルスが広がるリスクがある
- かさぶた形成期に化粧をすると、治癒過程を遅らせることがある
どうしても化粧が必要な場合は、以下の点に注意しましょう。
- 患部を避けて化粧する
- 使い捨てのスポンジやコットンを使用する
- 使用した化粧品や道具は消毒する、または使い捨てにする
当院へのご相談について
顔のヘルペスでお悩みの方、特に生理周期や妊娠に関連したヘルペスの再発にお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。女性特有のヘルペスの悩みに対応いたします。
また、初めての妊娠で不安を感じる方や、更年期の体調変化でヘルペスが増えた方など、ホルモンバランスとヘルペスの関係について相談したい方もお気軽にご来院ください。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。