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更年期障害

更年期の動悸や息切れの原因、対処法。症状セルフチェック法や不整脈など他の病気との違いも丁寧に解説。

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更年期を迎え、

「動悸や息切れが気になる」
「悪い病気なのではないかと不安」

このように感じておられる女性は多いです。

更年期障害の症状として動悸が生じることもあれば、何らかの病気のサインであることも考えられます。

動悸が続いているときは、「更年期や年齢的なものだろう」と放置せず、一度は調べてみて、適切な治療をしていただきたいです。今回は、更年期世代の女性が動悸を感じた場合に、疑わしい原因や対処法をお伝えします。

40歳前後からの動悸の原因は?

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動悸というのは、心臓の鼓動が強く感じられることや、急に「ウッ」と胸が苦しくなるようなことを指します。40歳代から始まった女性の動悸には、いくつかの原因が考えられます。

更年期障害の症状の1つ

動悸や息切れは、更年期障害の症状の1つです。
更年期は、閉経の前後5年ずつ程度の期間を指し、一般的には45〜55歳ごろが該当します。

女性ホルモンの分泌が減ると、「分泌量を増やせ」という脳からのシグナルを出しますが、更年期では女性ホルモンを分泌できず、低いホルモン状態に体はすぐに順応できません。その結果、自律神経の働きが不安定となります。自律神経は心臓や呼吸をコントロールする神経なので、自律神経の乱れが動悸や息切れにつながるのです。

歩いているとき、寝ているときなどに、急に動悸や息切れを感じると、不快なだけでなく、不安になったり、心配で眠れなくなったりと、影響が大きな症状といえます。

ただし、更年期障害が原因かどうかは、次にご紹介するような他の病気の可能性を否定しなければ診断はできません。「年齢的に、更年期だろう」とご自身で判断して放置していると、病気が進行してしまうかもしれませんので、一度は精密検査してみましょう。

甲状腺疾患

まず除外したいのは、「甲状腺」の疾患です。

とくに、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の場合は、動悸や息切れ、疲れやすさのほか、イライラする・汗をかくなど更年期障害と似たような症状が出ます。

甲状腺機能亢進症は男性と比べて女性に多く、女性全体では1000人中に2〜6人程度の割合で発症する疾患です。
症状が多様なので、診断されずに未治療のまま過ごしている方もいると推測されます。血液検査や甲状腺超音波検査で調べることができ、内服薬による治療で症状が改善することが多いです。

不整脈

不整脈により、動悸を感じる場合もあります。
最近では、「スマートウォッチに不整脈を指摘されて…」と医療機関を受診する方もいらっしゃるようです。

不整脈には、脈のスピードが早い・遅い、リズムが不規則になるなど多くの種類があり、危険性もさまざまです。「期外収縮」などほとんど健康への影響がない不整脈もありますが、中にはしっかり治療が必要な不整脈もあります。

不整脈を放置していると、「心不全」といって心臓の機能が低下した病態に進展することもありますので、動悸や息切れを感じたら、循環器内科を受診しましょう。

貧血

貧血により、酸素を体中へ十分に巡らせることができず、心臓の脈が早くなって動悸を感じている場合もあります。

貧血といえば鉄分不足とイメージする方が多いと思いますが、それだけではありません。
月経過多や頻発月経、子宮筋腫・がんなどによる慢性的な不正出血も、原因として考えられるでしょう。

採血や、必要に応じて超音波検査などをおこなって調べます。消化管出血の場合もあります。原因を見極め、適切な治療をおこなうことが大切です。もっと詳しく貧血について知りたい方は下記の記事もご覧ください。

女性の貧血の対処法などを女医が丁寧に解説!

カフェイン・アルコール・タバコ

更年期には、心身の不調からストレスが多くなり、カフェインやアルコール、タバコなどの量が増えてしまう方がおられます。

アルコールやタバコだけでなく、カフェインもとりすぎは健康を害する要因です。適量を守り、ストレス解消には別の方法を選びましょう。

更年期症状のセルフチェック

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とくに理由もなく動悸がしたり、息切れを感じたりといったことは、更年期の女性にはよくみられる症状です。

そのほかにも多彩な変化があり、「この症状も更年期のせいだったなんて」ということも少なくありません。

そこで、更年期障害の可能性がある方の受診目安のチェックに使うことができる「簡略更年期指数(SMI)」をご紹介します。

合計点が51点以上であれば、ぜひ婦人科の受診をしてください。

50点以下の方でも、生活する上でのつらさを感じる方はお気軽にご相談ください。

症状
強い
中くらい
弱い
なし
顔がほてる 10 6 3 0
汗をかきやすい 10 6 3 0
腰や手足が冷えやすい 14 9 5 0
息切れ・動悸がする 12 8 4 0
寝つきが悪い・眠りが浅い 14 9 5 0
起こりやすく、イライラする 12 8 4 0
くよくよしたり、憂うつになる 7 5 3 0
頭痛・めまい・吐き気がよくある 7 5 3 0
疲れやすい 7 4 2 0
肩こり・腰痛・手足の痛みがある 7 5 3 0

 

更年期の動悸・息切れの対処法・予防法

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ホルモン補充療法

ホルモン補充療法により、動悸や息切れ、ホットフラッシュなど、さまざまな不快症状を緩和させることができます。

子宮のある方はエストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤、子宮を摘出した方はエストロゲン製剤単独を使用し、内服薬や貼付薬、ジェルのタイプから合うものを選びます。

ただし、副作用として不正出血・胸の張り・頭痛なども少なくはありません。子宮体がんや乳がんもリスクが高まるため、定期的に検査をする必要があります。血栓症の合併症にも注意が必要です。

ほとんどの場合、保険適応になりますので、毎月のホルモン補充療法にかかる費用は2000円程度です。

漢方薬

動悸や息切れをはじめとして、更年期障害で生じる多彩な症状の緩和には、効果の期待できる漢方薬があります。

副作用が比較的少ないため、すぐに始めることができる治療です。ホルモン補充療法との併用も可能です。

子宮体がん、乳がんなど、一部のご病気をお持ちの方ではホルモン補充療法がおこなえません。そういった場合にも漢方薬をおすすめしています。体質や症状に合わせ、一人ひとりに適切な漢方薬をご提案いたします。

生活を見直す

更年期の時期は、心身の不調に加え、仕事や子育て、介護などさまざまなことが押し寄せ、つらい中で頑張っておられるという女性が多いです。

私がよくお伝えしているのは、「セットポイントをもともとの60%くらいに、肩の力を抜いて生活する」ということ。生活を整え、今までよりも少しゆったりと、自分を甘やかすようにしてみましょう。

食事の回数やバランスは十分ですか?
睡眠不足が続いていませんか?
ご自身のために運動やリラックスの時間を取れていますか?

生活を振り返り、心身への負担を減らせるように考えてみましょう。規則正しい生活で、体をいたわることが大切です。

更年期の動悸症状に関するQ&A

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誰にでも訪れる更年期ですが、人により症状はさまざま。動悸に関して、よく寄せられる質問にお答えします。

Q. 更年期の動悸はいつまで続きますか?

更年期に伴う動悸や息切れ症状が続く期間は、個人差が大きいです。2-3年くらいから、長い方では、50歳代後半、60歳ごろまで続くという方も稀におられます。

長く続いてしまう場合も少なくないため、我慢せずご相談いただきたいと思います。

Q. 動悸を感じたら、何科を受診すべきですか?

動悸以外に症状がないのであれば、まずは循環器内科がよいかもしれません。
ほかにも更年期障害のような症状があれば、婦人科で相談を受けることも可能です。専門的な治療が必要であれば、必要に応じて紹介いたします。

Q. 動悸がおさまらないときは、どうしたらいいですか?

急な動悸があらわれた場合、まずはゆっくり深呼吸をするなどして、落ち着くようにしましょう。可能であれば、座ってリラックスし、動悸がおさまるまで待ってください。
そのほか、カフェインのとりすぎ、ストレス、疲労といった「動悸の引き金」がないかどうか、考えてみるのもおすすめします。

治療をしているのに動悸が悪化してきた場合には、更年期障害ではなく、甲状腺や心臓の問題が生じている可能性もあります。改めて検査をすることも、必要かもしれません。

男性にも更年期障害

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男性の更年期障害、加齢性腺機能低下症も近年は注目されています。原因は、中年期以降に生じる男性ホルモン(テストステロン)の減少です。

なんとなく不調・疲れやすいといった症状から、発汗やほてり・動悸など女性の更年期障害と似たような症状からEDまでさまざまな症状が知られています。男性は特に不整脈が圧倒的に多いので、動悸と不整脈を鑑別することは重要です。

女性の更年期障害は50歳前後、閉経後数年で終わることが多いですが、男性更年期は50歳代後半からそれ以降にも発症することがあります。心血管疾患、認知症などとの関連もあるようです。

生活習慣を見直し、漢方薬や各症状に対する治療薬を使うことで、症状を緩和させることができます。男性ホルモン値が低く、症状も重い場合には、男性ホルモンの補充療法も選択肢となるでしょう。

まとめ

今回は、更年期(40歳代〜50歳代頃)に動悸や息切れを考えた場合に考えうる病態や、対応についてご紹介しました。

更年期症状の場合もありますが,甲状腺疾患や不正脈、貧血など別の疾患の可能性を調べることも大切です。更年期症状の場合も、いくつか治療法がありますので、お気軽にご相談ください。

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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