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更年期障害

【更年期障害】ホットフラッシュの原因と治療法を女医が丁寧に解説!

ホットフラッシュ 更年期障害の代表的な症状である「ホットフラッシュ」についてご存じでしょうか?

更年期障害は、人によって症状も程度もさまざまで、日常生活に大きく支障が出てしまうこともあります。「年齢的なものだから、仕方がない」と我慢を続けていらっしゃる方もいるのではないでしょうか?

ホットフラッシュは、年単位で長く続くこともありますので、体に合う治療を見つけ、楽に過ごせるように治療できればと思います。

今回は、ホットフラッシュの原因や症状について詳しくお伝えし、治療法をいくつかご紹介します。

ホットフラッシュとは?

まずは、ホットフラッシュの症状やメカニズムを解説いたします。

ホットフラッシュの症状

ホットフラッシュというのは、更年期障害の血管調整能障害に伴う顔のほてりやのぼせ症状です。

血管運動神経症状と呼ばれるもので、一般的に、前触れなく症状があらわれて数分〜30分程度でおさまります。1日に何度も起こる場合もあれば、週に何回かだけの場合もあり、頻度は個人差がたいへん大きいです。

ホットフラッシュのほか、更年期障害では以下のような症状が起こります。
汗が増える
不眠
動悸
吐き気、胃もたれ、便秘や下痢
不安、イライラ、気持ちの落ち込み
肩こり、頭痛、腰痛、体の痛み
尿失禁
性交痛
更年期障害では全身にさまざまな症状が出ますので、「この症状がまさか更年期障害の影響とは思わなかった」ということも珍しくありません。

40代、50代で「なんとなく体が変だ」と感じておられる方は、一度婦人科へ相談にいらしてください。血液検査で、女性ホルモンの状態を評価することができます。

ホットフラッシュが起こる原因

ホットフラッシュが起こる主な原因は、卵巣機能が低下することにより、排卵が不安定になり、エストロゲン分泌量が減少していくことです。 エストロゲンは本来、下垂体という脳からの指令で調整され、卵巣から分泌されます。

更年期が近づくと、脳は卵巣へ「エストロゲンを出すように」と命令を出すのですが、卵巣はエストロゲンを分泌する機能が落ちているため、十分に分泌することができません。卵巣からエストロゲン分泌されないとさらに脳からの刺激ばかりが強くなり、エストロゲン分泌量にゆらぎが生じます。

さらに脳の下垂体の上位のコントロールを行う視床下部では、女性ホルモンだけでなく、自律神経のコントロールもおこなっています。自律神経は、血圧や心拍、発汗、血管の収縮などを調節する神経です。 更年期になると下垂体が過剰に反応することにより、視床下部からのホルモン分泌のコントロールも悪くなり自律神経のコントロールも悪くなります。

その影響で発汗や血管運動の調節が乱れ、急に汗が吹き出してきたり、ホットフラッシュが生じたりするのです。 また、エストロゲン分泌量の低下だけでなく、心身のストレスや環境、ご自身の性格なども密接に関わり、更年期障害の症状を悪化させることがあります。

40代〜50代は、仕事や家事、育児、親の介護問題など、さまざまなことで忙しく、ご自身のケアを後回しにしてしまいがちな時期です。更年期障害による症状は、多くの方で1〜3年、長い方では5年以上も続く方もいらっしゃるようです。いったんおさまったように思われても、環境の変化などで再度症状が出ることもあります。

つらい期間が長くなってしまうと、うつ状態など精神面にも影響が出てしまうかもしれません。
お一人で悩んだり我慢したりせず、早いうちにご相談ください。

ほかの疾患との見極めも大切

40代、50代になり、ホットフラッシュのような「のぼせ・ほてり」が出た場合、一度全身の健康チェックをおすすめしております。

女性の40代以降は、更年期障害だけでなく、さまざまな病気を発症しやすい時期。
本当に更年期障害による症状なのか、しっかり確認しましょう。

ホットフラッシュと似たような症状が出る疾患をいくつかご紹介します。
痛みを伴わない疾患なので、発症が気づかれない場合があります。

内科でも、産婦人科でも診断ができる疾患なので、機会をみつけて検査することをおすすめします。

甲状腺疾患

甲状腺機能亢進症では、体のほてりや動悸、疲れやすさ、発汗、手の震え、体重減少といった症状が出ます。20〜50代の女性に30〜60人に1人ほどの割合で発症する、比較的女性に多い疾患です。血液検査で診断が可能です。

高血圧

血圧が上がることで、顔が赤くなったり、顔や体のほてり、頭が重い、頭に血がのぼるといった症状が出ることがあります。女性は、エストロゲンの分泌量が低下する更年期の時期に動脈硬化が進行し、血圧が上がりやすくなるため、高血圧にも注意が必要です。毎日、自宅での血圧測定も診断に重要です。

糖尿病

糖尿病でも、ほてり症状を感じることがあります。 糖尿病は、太っている方の病気と思われがちですが、日本人は痩せ体型でも糖尿病を発症する方が多いです。少食で、運動不足(筋肉が少ない)の女性は、閉経前後での糖尿病発症リスクが高いといわれています。 ほてり以外に、頻尿、喉が渇く、疲れやすい、手足の感覚が鈍い、目がかすむといった症状があれば、糖尿病かもしれません。血液検査や尿検査で診断が可能です。

ホットフラッシュの治療法

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ホットフラッシュの症状は、適切な治療をおこなえば和らげることができます。

ホルモン補充療法

ホットフラッシュに特に有効性が高いのが、ホルモン補充療法です。 ホットフラッシュや寝汗(ナイトスウェット)の頻度・程度を大きく軽減できるだけでなく、骨密度の維持や心血管疾患のリスク低減など、副次的な効果も得られます。

ホルモン補充療法には、エストロゲンだけ補充する場合とプロゲステロンも一緒に投与する場合とがあります。エストロゲンだけを補充すると子宮内膜増症を起こすリスクがあるため、子宮がある方はプロゲステロンも合わせて補充します。

子宮を摘出している方は、エストロゲンだけの補充で問題ありません。 飲み薬・貼り薬・塗り薬とさまざまなタイプがございますので、お一人おひとりに合ったものをご提案します。

<ホルモン補充療法による有害事象>

不正出血
ホルモン補充療法では、月経が止まっていた方も、再度月経がはじまる方もいらっしゃいます。
不定期に性器出血が生じることがあります。このため、ホルモン補充療法を行う際には、事前に子宮頚がん検診、子宮対がん検診、子宮筋腫や卵巣腫瘍を確認する超音波検査を行うことをおすすめします。

旨の張り
10%ほどの頻度で起こります。長期に内服することにより、徐々に症状は軽快してくることが多いです。
乳がんの場合、ホルモン補充療法することにより悪化する可能性があるため、ホルモン補充療法を行う際には、マンモグラフィーや乳腺超音波検査で乳がんの確認は必須です。
血栓症
エストロゲンを投与するホルモン補充療法を行う場合、血栓症となることがあります。
頻度は高くありませんが、発症すると重症管理が必要となり、ICUでの血栓溶解剤を緊急に必要となる場合があります。年齢が高いことや肥満も血栓症のリスクを高めます。リスクに応じて、適切な薬をご提案します。

漢方薬

漢方薬も、ホットフラッシュをはじめとして更年期障害のさまざまな症状の緩和に使われます。
ホルモン補充療法と併用することもできますし、ホルモン補充療法ができない方・体に合わなかった方も漢方薬をお試しいただけます。

プラセンタ療法

プラセンタ療法も選択肢となります。
プラセンタは胎盤からの成長因子を集めた製剤で、ホットフラッシュのほか、頭痛や不眠、気分の落ち込み、イライラなど、更年期障害でみられる多様な症状に効果的です。週に1〜2回の注射剤の投与で、症状を軽減できることが多いです。

ただし、注射剤はヒトの胎盤から抽出している血液製剤となり、使用後は献血ができなくなります。ブタやウシ、ヒツジから抽出した内服薬のプラセンタも使用できますが、保険診療適応外のため、やや高価です。

ホットフラッシュが起きたときの対処法

治療をしていても、ホットフラッシュが起きることはあります。
ホットフラッシュが起きたときは、次に紹介するような対策をとってみてください。一時的に症状を緩和できるかもしれません。

体を冷やす

ホットフラッシュが起きたときは、ハンディファンや冷却剤などを用いて、顔や首周りを冷やしましょう。冷たい飲み物のペットボトルを首筋に当てる、冷たいものを飲むのも効果的です。酸っぱい食べ物が効果的という方もいらっしゃいます。 ホットフラッシュの頻度が多い方は、体を冷やすためのグッズを持ち歩いてはいかがでしょうか。

洋服で調整する

ホットフラッシュは、気温とは無関係に前触れなく生じます。そのため、ホットフラッシュが起きた場合に体温調節がしやすいように、洋服を工夫しましょう。 とくに冬は厚着をしますので、調節を意識して洋服を選ぶことが大切です。

たとえば、タートルネックのニットを着ていると体温調節が難しいことはイメージできますね。首元は、ストールやマフラーを使ってみましょう。 また、汗をかいたときのため、通気性のよい素材の服を選ぶようにしてください。

ホットフラッシュの予防法

ホットフラッシュを軽減するために、よいとされる生活習慣を2つご紹介します。

適度に運動する

有酸素運動をおこなうことで、血流障害が緩和され、ホットフラッシュの頻度や程度を軽減できることがあります。1回30分、息が弾んで汗ばむくらいを目安にしてください。 ウォーキング、サイクリング、ピラティス、キックボクシングなど、ご自身の生活でできそうなもの、やってみたいものに取り組んでみましょう。

運動をすることで、ストレス解消になる、血圧が下がり心血管疾患のリスクが低下するなど、ホットフラッシュの対策以外にもメリットがあります。大きな疾患がない場合は、積極的にお勧めしております。

アルコール、刺激物を減らす

アルコール、スパイシーな食べ物は、体温上昇や血流増加により、ホットフラッシュの引き金になる可能性があると考えられています。これらを摂取したときに症状が悪化される方は、すこし減らして、変化をみてはいかがでしょうか?

まとめ

更年期障害なのかでも、比較的頻度の高いホットフラッシュついてご説明させていただきました。

ちょっと熱く感じる方から、びしょびしょになるくらい発汗する方まで、程度は様々です。生活が難しくなるようなことがあれば、すぐにでも治療をおすすめします。

また、症状があまり強くならない場合、自然に消失してしまう人もいますので、個人差の多いこの症状の時期をうまく乗り越えてください。

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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