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生理・妊娠

【妊娠初期に気をつけること完全ガイド】食事・薬・生活のOK/NGと「やってしまった」時の対処法

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ご妊娠おめでとうございます。

新しい命を迎えるよろこびの一方で、

「妊娠に気づかずお酒を飲んでしまった」
「市販薬を飲んでしまったけれど大丈夫?」

と、不安を抱えて検索される方はとても多くいらっしゃいます。

しかし、ネット上にさまざまな「やってはいけないことリスト」があふれており、必要以上に心配になってしまうことも少なくありません。

そこで、妊娠中に本当に気をつけたいポイントと、現実的な対処法・過ごし方について、医学的に整理して解説します。

参考にしてみてください。

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。もし気になる症状がある場合は、必ず、あなたの状態をよく知るかかりつけの医療機関にご相談ください。

 

目次

【まず安心してください】妊娠初期の時期別リスクと「全か無かの法則」

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※画像は成長の一般的なイメージで発達の時期や大きさには個人差があります(実際の超音波検査の見え方とは異なります)。

妊娠に気が付かない期間の行動で、胎児へどのような影響があるのか?

正しく知っておくことで、必要以上に不安にさいなまされることがなくなると思います。

妊娠超初期(〜妊娠4週頃/生理予定日頃):「全か無かの法則」の考え方

妊娠週数は「最終月経の開始日」を0週0日として数えますが、実際の受精(受胎)は多くの場合、妊娠2週頃に起こります。

受精から約2週間(妊娠週数でいうと妊娠3〜4週頃/生理予定日頃)までの時期は、医学的に「全か無かの法則(all-or-none)」が当てはまる時期と説明されることがあります。

これは「影響が非常に大きい場合は妊娠が継続しにくく(流産や着床不成立につながる可能性がある)、妊娠が継続する場合は重い形の影響(形態異常)が残りにくい」と考える説明です。

この時期は、まだ母親との血液交流がなく、主要な器官が作られる前段階で、受精卵が分裂しながら子宮内に着床していく過程にあります。非常に強い影響があれば着床が妨げられる一方、妊娠が継続する場合には形態異常につながりにくい、と説明されます。

そのため、「妊娠に気づかず薬を飲んでしまった」「お酒を飲んでしまった」ということがあっても、妊娠が継続しているからといって直ちに“赤ちゃんに影響が出た”と結論づける必要はありません。

Check point

一方で、影響は「何を・どれくらい・いつ」受けたかで評価が変わるため、不安がある場合は、服用した薬の名前・量・時期(飲酒なら量や頻度)を控えて、医師にご相談ください。

※「全か無か」はあくまで一般的な考え方で、脂溶性で体内に長く残る薬剤など一部は例外として個別評価が必要になることがあります。

妊娠初期(妊娠5〜10週頃):赤ちゃんの「器官」が作られる大切な時期

妊娠初期、とくに妊娠5〜10週頃は、赤ちゃんの心臓・脳・手足などの主要な器官が形づくられていく「器官形成期」にあたり、薬・感染症(ウイルスなど)・大量飲酒・喫煙などの影響を受けやすい時期とされています。

妊娠4週以降は、生理の遅れなどで妊娠に気づく方が増えてくるタイミングです。

「妊娠したかも?」と思ったり、検査薬で陽性が出たりしたら、そこから「妊娠モード」に気持ちを切り替えて、生活習慣を見直しましょう。

Check point「心配なことは医師にまず相談を」

もしかすると、

「気づく前に薬を飲んでしまった」
「お酒を飲んでしまった」

という方もいらっしゃるかもしれません。

内容により胎児への影響は異なりますので、「今日から生活習慣を整えること」が何より大切です。

そして、正しい知識を身に着けることが大切です。

この時期に特に気をつけたい薬や生活習慣については、自己判断で中止・再開せず、服用した薬の名前や時期を控えたうえで、医師に相談するようにしてください。

 

【早見表】妊娠初期に気をつけること|OK・NG・条件付きリスト

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この記事でご紹介する「妊娠中にOKなこと」「妊娠中は避けること」について、簡単な表を作成しました。

詳しいことは後ほど各章でご紹介しますので、該当の箇所をご覧ください。

:基本的に安心しておこなえること  :条件付きでおこなえること  ×:基本的には避けるべきこと
食べ物
×
基本的に安心
  • 加熱した肉や魚
  • よく洗った生野菜
  • プロセスチーズ(加熱済みのチーズ)
条件付き
  • 刺身や寿司(鮮度や頻度に注意)
×避ける
  • 生やレアの肉
  • 生ハム
  • ナチュラルチーズ(非加熱のチーズ)
飲み物
×
基本的に安心
  • 麦茶
  • ノンカフェインのコーヒーや紅茶
条件付き
  • カフェイン含有飲料(なるべく少なめに)
×避ける
  • 妊娠判明後のアルコールの大量飲酒
×
基本的に安心
  • 主治医が安全性を確認した薬
条件付き
  • 市販薬(医師に相談が必要)
×避ける
  • 自己判断での使用
  • 自己判断での持病の薬の中止
仕事
×
基本的に安心
  • デスクワーク
  • 体の負担が少ない作業
条件付き
  • 立ち仕事(こまめに休憩を)
×避ける
  • 重いものを持ち運ぶ
  • 無理な長時間や夜間勤務
運動
×
基本的に安心
  • 軽いストレッチ
  • 妊婦向けのヨガ
条件付き
  • ウォーキング
×避ける
  • 激しい運動
  • ジャンプ動作のある運動
  • 相手と接触するスポーツ
  • サイクリング
旅行
×
基本的に安心
  • 近場
  • 緊急時はかかりつけ医に行ける距離
  • 無理のないスケジュール
条件付き
  • 数時間のショッピング
×避ける
  • 体調不良時の旅行
  • 医師から安静指示があるときの旅行
  • 長距離の移動
美容
×
基本的に安心
  • ヘアカット
条件付き
  • 短い時間の温泉
×避ける
  • サウナや岩盤浴など高温環境

 

【食事・飲み物】ストレスなく気をつけるための現実的なライン

ざっくりお伝えしますと、「アルコールは避ける」「カフェインは少な目」「食中毒にならない感染症に気を付けている鮮度のいい刺身」は可です。

完璧を目指してストレスを溜めるより、「危険なポイントだけ押さえつつ、無理なく続けられる食生活」を意識することが大切です。

アルコール:なぜ「少量でもNG」と言われるのか

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妊娠が判明したあとは、基本的にアルコールは控えることが推奨されています。

その理由は、アルコールが胎盤を通過し、赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があるためです。

特に、「胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)」 と呼ばれる発達への影響が懸念されています。

ただしこれは、妊娠がわかってからも大量飲酒を続けた場合の話です。

飲酒量が多ければ多いほどリスクが高いと言われていますが、妊娠中の飲酒は「安全な量は分かっていない」ため、妊娠が分かったら禁酒が基本です。

ただし、妊娠に気づく前に飲んでしまうこと自体は珍しくありませんので、少ない量を飲んでしまったことは気にせず、まずは今日からやめることが最も大切です。つわりで飲みたくなくなる方がほとんどです。

妊娠に気づく前に少量のお酒を飲んでしまった程度で、赤ちゃんに重大な影響が出る可能性は高くありません。これは多くの妊婦さんに共通することで、医療機関でも「今後控えれば問題ありません」とお伝えするケースが大半です。

通常の家庭料理で使う程度の料理酒・みりん・アルコール入りソース等は、加熱でアルコール量が大きく減少し、一般的には過度に心配しなくてよいとされています。

ただし不安が強い場合は、心配な場合は「煮切る/ノンアル製品を選ぶ」などで調整しましょう。

カフェイン:コーヒー1日1〜2杯はOK

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妊娠中は「カフェインは絶対NG」と思われがちですが、世界的な基準では1日200mg程度までなら安全とされています。

カフェインを完全にゼロにこだわることはありません。

たとえば、カフェイン量はエスプレッソ1杯で70mg前後、ドリップコーヒー(150ml)で100mg前後が目安です。メニューにカフェイン量の記載があるコーヒーショップもありますので、参考にしながら、量を調整して楽しみましょう。

紅茶・緑茶にもカフェインが含まれます。

コーヒーを飲む日は緑茶をやめてお水にする、など総量で調整してください。

生もの・チーズ:食中毒(リステリア・トキソプラズマ)への警戒

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妊娠中は免疫がやや低下するため、普段より食中毒にかかりやすくなります。
特に注意したいのはリステリア菌とトキソプラズマです。

具体的には、以下のような食材は避けましょう。

・レア肉・生肉(ユッケ、レアステーキなど)

・生ハム、サラミ

・ナチュラルチーズ(加熱されていないチーズ)

・よく洗っていない生野菜

重要なのは、「新鮮ならOK」ではなく「加熱すればOK」 という基準です。

お刺身・お寿司

絶対NGではありませんが、妊娠初期はより安全性を優先し、「食べるなら頻度を減らす」「衛生管理のよいお店で」「体調がすぐれない時は避ける」といった判断が大切です。

▶リステリア菌感染症では、母親の調子が悪くなる前に胎児に影響することがあります。

▶トキソプラズマは、リンパ節の腫れや発熱で診断されることがあります。

栄養摂取:葉酸は必須、ビタミンAは過剰摂取に注意

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赤ちゃんのために、栄養面を気をつけたいと考える方はとても多いです。

・葉酸は必ず取り入れたい栄養素

妊娠を希望する時期〜妊娠初期(〜12週頃)は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防のために 葉酸サプリの摂取(400µg/日) が推奨されています。

通常の食事では必要量を満たしにくいため、サプリメントでの補充をおすすめします。

妊婦さん用の葉酸サプリメントなどを活用しましょう。

妊娠初期に特に大切なので、妊娠希望されたときからサプリメントを内服することをお勧めします。

・ビタミンAは「大量摂取しなければ大丈夫」

ビタミンAは赤ちゃんの発育に必要な栄養ですが、過剰摂取は胎児の先天異常リスクが指摘されている ため注意が必要です。

レバー・うなぎなどに多く含まれます。

「週に1回食べた」程度で過剰摂取になることはほとんどありません。

毎日大量に食べ続けないという現実的なラインを守れば、時々は楽しんでいただいてよいでしょう。

Check point「ニキビ治療のビタミンA誘導体」

ニキビの治療のビタミンA誘導体を使用している人は、胎児奇形を引き起こす可能性があるため、妊娠前に主治医と相談しましょう。

 

【薬・レントゲン・美容】自己判断せず医師に確認すべきこと

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妊娠中は、薬・歯科治療・レントゲン・美容施術などに関して「どこまで大丈夫なの?」とわからないことがたくさんあるでしょう。

「独断で中止・継続しない」「かかりつけの産科医に相談する」ことが最も大切です。

ここでは、わかりやすく基準をお伝えします。

薬:市販薬(風邪薬・鎮痛剤)の使用基準

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「熱があるとき」「頭痛のとき」など、薬を使いたいなと思うタイミングは度々あると思います。

解熱剤・鎮痛剤としては、妊婦さんには一般的に「アセトアミノフェン」という成分を処方します。

これは市販薬としても扱われているものです。
大きな有害事象はないのですが、妊婦さんの治療薬は主治医と相談しましょう。

主治医が妊娠の時期や胎児の状態によって、投薬を選択します。

花粉症などで抗アレルギー薬

また、花粉症などで抗アレルギー薬を使いたい方も多いです。妊婦さんでも使用できる成分はいくつかありますので、妊婦健診受診の際にかかりつけ医にご相談ください。

Check point「自己判断は避け主治医と相談」

市販薬の自己判断での購入は避け、かかりつけ医からのアドバイスをもとに購入するか、医療機関で処方してもらうことをおすすめいたします。専門医でも妊婦さんの薬の選択は非常に難しい場合があります。

妊娠がわかる前に使用した市販薬のことで不安がある場合は、お薬の名前(成分の書いてある箱などを持参いただくとわかりやすいです)や使用した量をお伝えください。

持病の処方薬

持病で元々飲まれている処方薬については、急な中断によるデメリットが大きいこともあります。妊娠がわかったら、早めにかかりつけ医へ報告し、お薬の調整が必要かどうかなど指示を仰ぎましょう。

レントゲン・歯科治療・予防接種

医療機関でおこなう検査や処置について、「妊娠中(または妊娠の可能性がある)けれど大丈夫?」と不安になる方もいらっしゃいます。

・レントゲン検査

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レントゲン検査は「被ばくで赤ちゃんに影響があるのでは?」という質問が多いですが、通常の診断目的の検査で大きな問題になるケースは多くありません。

胎児への影響は主に胎児線量(mGy)で評価され、器官形成期の被ばくによる奇形のしきい線量は100mGyとされています。

放射線診断で想定される胎児線量の例として、

腹部撮影 1.4mGy
腹部CT 8.0mGy
骨盤CT 25.0mGy

などが示されており、一般にこのしきい線量を大きく下回るとされています。

また国際的にも、胎児線量が100mGy未満であれば、放射線リスクのみを理由に妊娠中断を行うことは正当化されないと整理されています。

妊娠がわかってからは、検査前に必ず医療機関へ「妊娠中(または可能性がある)」と伝え、検査の必要性も含めて相談しましょう。母親の重篤な病気を診断するために、X線によるレントゲン写真を撮らなければならないこともあります。

・歯科治療

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妊娠中も大切です。

妊娠中は虫歯や歯周病が進行しやすいことや歯周病が切迫早産との関連性が高いこともよく知られております。

つわりが落ち着き体調が安定している時期に、検診や必要な治療を受けておくことをおすすめします。

受診時は妊娠週数を伝えてください。

Check 抜糸は特に注意を!

妊娠中は止血処置が難しいこともあるため、抜歯には注意が必要です。

・予防接種

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産科のかかりつけ医と相談しながら進めましょう。

日本小児科学会では、
妊婦への接種が推奨または考慮されるワクチンとして、

インフルエンザワクチン、RSウイルスワクチン、百日咳含有ワクチンなどがあります。

妊娠中に母親に接種することで、胎児に安全に抗体を届けることができます。

なお、妊娠中は生ワクチン(麻疹・風疹・水痘など)は原則接種できません。

ヘアカラー・ジェルネイル・マッサージ

美容院やサロンの施術は、薬剤の影響よりも次の2点に注意が必要です。

・においでつわりが悪化することがある
・長時間同じ姿勢でいると気分不良や貧血を起こしやすい

一般的に、ネイルの成分が吸収されて赤ちゃんに影響する可能性は低いとされています。

ただしヘアカラーはナノテクノロジーの出現により、カラー剤が胎児に届く可能性があります。

ジェルネイルや軽いマッサージは基本的には大丈夫ですが、体調が悪い日は無理をしない・長時間の施術は避ける など、体への負担を最優先に考えましょう。また、臭いに過敏になるので、サロンのにおいが気になる方もいらっしゃいます。

また、出産が近づいてきたら、ジェルネイルは外していただくことになります。

指先に機械をつけて酸素濃度を測るためには、ジェルネイルをオフする必要があるのです。具体的な時期については、かかりつけ医からの指示に従ってください。

 

【生活・仕事】無理をしないための判断基準

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「無理をしたらいけない」のはわかるけど、具体的にはどのくらいなら大丈夫なのかな…?というお悩みも、よく聞きます。

お腹の張りや腹痛・出血があれば、まずは仕事や家事を中断し、休むこと。

妊娠初期は無理が重なると体調を崩しやすいため、「頑張りすぎない」ことが大切ですね。

特に妊娠初期の無理は妊娠後期の切迫早産や妊娠高血圧症候群を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。

ここでは、一般的に皆さんに共通して言える基準についてお伝えします。

妊娠の状態はかかりつけの産科医が最もよくわかっていますので、個別の状況に合わせたアドバイスをもらってください。

仕事・通勤:休むべきサインは「お腹の張り」と「出血」

妊娠しても仕事を続ける方は多く、基本的には続けても問題ありません。

しかし、次の状況ではすぐに休む・医師に相談することが必要です。

・お腹が強く張る

・不正出血がある

・めまいやふらつきがある

・立っているのがつらい

立ち仕事・重い荷物を扱う仕事は負担がかかりやすいため、部署の調整や業務変更をお願いすることも考えましょう。

妊娠初期は、胎動が感じられないので胎児の状態がわかりにくく、胎児の状態を把握するには、産婦人科に受診をして超音波検査を行うのが大切です。

Check point「母性健康管理指導事項連絡カード」

「母性健康管理指導事項連絡カード」をご存じでしょうか?

働く妊産婦の方が、医師等から通勤緩和や休憩などの指導を受けた場合、その指導内容が事業主の方に的確に伝えられるようにするために利用するものです。

このカードの情報をもとに、勤務時間の短縮・休業・配置転換などを会社と相談できます。

無理をしないために、積極的に活用しましょう。

運動・自転車・旅行

運動・自転車の利用・旅行についても、ご質問が多いです。

それぞれに一般的なお答えをしていきます。

【運動】

妊娠の経過が順調であれば、軽いウォーキングやストレッチはむしろ推奨されることもあります。

体力の維持や、リフレッシュのために有効です。

ただし、現代女性はハードワーカーが多く、ゆっくりお休みをとる時間がない方が多いため、ウォーキングよりゆっくり横になってお休みすることをお勧めします。

妊婦健診で主治医や助産師などと相談しながら、妊娠経過や状態に合わせた運動をおこないましょう。

【自転車】

自転車は下腹部に振動が伝わりやすいので、切迫流産に影響する可能性があり、転倒や交通事故に巻き込まれると骨折や大量出血、胎児死亡や母体死亡につながることがあるため、使用はやめましょう。

とくに、お腹が大きくなってきてからは、バランスがとりにくくなるので非常に危険です。

また、雨の日や風が強い日など天候が悪いときは、転倒の危険性が高いので、自転車は絶対に避けましょう。

【旅行】

旅行自体は絶対NGではありませんが、どこへ行って何をしても良いとは言いにくいです。

以下のようなポイントをおさえておきましょう。

・なるべく近場(人ごみや渋滞は禁物)

・何か心配なことがあっても、主治医を受診できる範囲

・無理のない、ゆったりしたスケジュール

つわりが強い時期や、張り・出血がある場合、安静を指示されている場合などは、旅行を取りやめる決断も必要です。

一人ひとりの状態によっては、かかりつけ医から「旅行はやめてください」と言われることもあります。

観光地や温泉地で出血しても受診できる病院はなく、また、渋滞などで家に戻ることができない状態は心細いものです。

旅行先は十分に吟味して下さい。

タバコ(受動喫煙)とパートナーの協力

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喫煙はニコチンの影響で胎盤血流量の低下、一酸化炭素による酸素運搬能の低下、妊娠高血圧症候群リスク上昇などの理由により流産・早産・低体重児のリスクを高めることがわかっています。

また、乳幼児突然死症候群のリスクも上昇します。

妊娠中の女性が吸わなくても、受動喫煙で同様のリスクがあるため、周囲の環境づくりが重要です。

とくに、家庭内では、どれだけ気をつけても、受動喫煙は避けられません。

赤ちゃんを守るために、パートナーを含めた同居家族の方にも、禁煙の協力をお願いしましょう。出産後に、やけどのリスクやたばこを赤ちゃんが間違って口に入れてしまうという事故もあります。

妊娠をきっかけに、一緒に生活を見直す家庭も多くあります。

ご自分の意思だけで難しい場合には、禁煙外来という手段も考えてみてください。

 

【心のケア】妊娠初期の情緒不安定・つわりとの付き合い方

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妊娠がわかってうれしい気持ちがある一方で、体調の変化や先の見えない不安から、心が揺れやすくなるのが妊娠初期です。

とくに、つわりがつらい日が続いたり、体が思うように動かなかったりすると、気持ちも沈みがちになるもの。

「とにかく我慢して乗り越えなければ」と思う必要はありません。

心と体の変化を知り、変化を受け止めて、上手に付き合っていきましょう。

ホルモンバランスによる心の変化は「当たり前」

妊娠初期は、ホルモン(hCG・エストロゲン・プロゲステロンなど)が急激に変化するため、感情の揺れが起こりやすい時期です。

・イライラする

・涙もろくなる

・ふと不安でいっぱいになる

・眠れない、あるいは眠くて仕方ない

こうしたことは、あなたの性格の問題ではなく、妊娠による自然な変化です。

「こんなことで泣いてしまうなんて…」などと気にする必要はありません。

パートナーの方も、突然の変化に驚いてしまうことがあるかもしれませんが、「妊娠してわがままになった」「本性が出た」と感じる方がいるかもしれません。

これは、体調不良のために、対応できない状況が増えてしまっただけなのです。

また、これから変わる自分の生き方や体調、生活に不安を感じない妊婦さんはいないと思います。

また、つわりがつらい時期は、食べられない・眠れないといった身体的負担が心にも影響します。

つらい日は「できないこと」に目を向けるのではなく、そーっと嵐が過ぎ去るのを洞穴の中で待つ感じで、日常を過ごしてください。つらい時期は必ず過ぎます。

周囲の方も、「妊娠による自然な変化として、情緒が不安定になりやすい時期であること」を理解し、温かく黙って見守ってあげて下さい。

ネット検索をしすぎない

不安があると、ついスマートフォンを手に取り、「検索魔」になってしまう方が多いと思います。

しかし、妊娠中はどうしても 「不安を煽る情報」「最悪のケース」 が目につきやすく、読み続けるほど心が疲れてしまいます。

さらに、ネット上には医学的に正しくない情報、個人の体験談に過ぎないもの、例外的なケースだけを強調した内容も非常に多いと感じます。

もちろん、情報を知ること自体は悪いことではありませんが、次のようなルールを持つと、情報と正しい距離を保てるでしょう。

・情報源を信頼できる医療機関に絞る(自治体・公的医療機関、大学病院など)

・不安になったら検索を止める

・かかりつけ医に直接相談する

「検索疲れ」に陥っている方は多いです。
不安がふくらんでしまうときは、「今見ている情報は本当に必要?」「正しいとは限らない」と一度立ち止まり、自分の心の調子に合わせて距離を置くようにしてみてください。

一人で不安を抱え込まず、妊婦健診の際など、遠慮なくかかりつけ医や助産師に相談し、あなたの状態に合った適切なアドバイスをもらいましょう。

 

よくある質問(Q&A)

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Q1. 妊娠に気づくまで毎日コーヒー(カフェイン)を飲んでいました。赤ちゃんに影響はありますか?

妊娠中のカフェインは「完全に禁止」はつらい方もいるので、摂りすぎを避けることが基本です。

日本産婦人科医会のQ&Aでは、飲み過ぎによる不調にも注意しつつ、薄めのコーヒーで1日1〜2杯程度が目安としています。

妊娠に気づく前に飲んでいたことだけで、直ちに「影響が出た」と結論づける必要はありません。

これからは、コーヒーだけでなく、紅茶・緑茶・エナジードリンク等も含めて合計量”を意識して調整していきましょう。

Q2. 妊娠中は飲まないほうがいいサプリはありますか?

妊娠中は、サプリでも成分・用量によっては注意が必要です。

とくに、ビタミンA(レチノール)の高用量摂取は、先天異常リスクと関連しうるため、自己判断での高用量摂取は避け、処方医に相談しましょう。
「天然由来」「ハーブ配合」「ダイエット系」「複数成分の高配合(マルチ)」は、妊娠中のデータが十分でないこともあります。

飲んでいる/飲みたいサプリの“商品名”が分かるようにして、妊婦健診で相談してください。

Q3. 妊娠に気づかず泥酔してしまいました。大丈夫でしょうか?

まず、妊娠に気づく前に飲酒してしまうこと自体は珍しくありません。

ただし公的には、妊娠中の飲酒は「安全な量・安全な時期はない」として禁酒が推奨されています。

大切なのは、過ぎたことを責め続けるよりも、今日から飲まないことです。泥酔(短時間に多量)だった場合や、その後も飲酒が続いていた場合は、受診時に状況を共有して個別に評価してもらうのが安心です。

Q4. つわりで何も食べられません。赤ちゃんに影響しますか?

妊娠初期は、まず脱水を防ぐことが最優先です。水分は摂取できていますか?

食事が思うように取れない日があっても、いきなり「赤ちゃんに影響が出る」と決めつける必要はありませんが、ビタミンB1重度の欠乏症でウェルニッケ脳症という意識障害を呈する疾患となってしまうことがあります。

記憶障害が進行した症例を経験したことがあります。体重が5㎏以上減少する場合には、主治医に相談しましょう。

水分も取れない/尿が少ない・濃い/立ちくらみが強いなどは脱水のサインのことがあり、早めの相談が必要です。

以下に当てはまる場合は、我慢せず医療機関へ連絡してください。

  • 水分をほとんど受け付けない
  • 尿が極端に少ない、濃い
  • ふらつき・動悸・ぐったりが強い
  • 意識がもうろうとする

Q5. 妊娠初期に出血がありました。すぐに病院に行くべきですか?

妊娠初期の出血は、少量で止まるケースもありますが、流産や異所性妊娠などの可能性もあるため、自己判断は避け、医療機関へ受診するのが基本です。

特に、次がある場合は早めの受診を検討してください。

子宮外妊娠では、出血だけでなく腹痛や肩の痛みなどがサインになることがあります。

  • 生理2日目以上の出血量、塊が出る
  • 強い下腹部痛、片側の痛み、肩の痛み、冷や汗・ふらつき
  • 出血が増える/続く
  • 妊娠検査薬陽性だが、まだ受診していない
>>妊娠初期の出血・腹痛
詳しく見る


Q6. 妊娠に気づかず薬を飲んでしまいました。赤ちゃんに影響はありますか?

妊娠中に薬を飲んでしまうと不安になりますが、一般的な市販薬がそれだけで胎児奇形につながる可能性は高くないとされています。

特に、生理予定日前(妊娠4週未満)に市販の風邪薬を飲んでしまった場合は、過度に心配しすぎる必要はないケースが多いです。

ただし自己判断で「全部やめる/続ける」と決めず、処方薬は処方医へ、迷うときは産婦人科で相談しましょう。

妊娠週数によって注意が必要な薬もあるため、「いつ・何を・どれくらい」飲んだかを整理して伝えると安心です。

Q7. ナチュラルチーズや生ハムは食べてもいいですか?(未殺菌乳の見分け方は?)

妊娠中はリステリアなどの食中毒予防が大切で、ナチュラルチーズや生ハムは注意が必要な食品として挙げられます。

ただし「ナチュラルチーズ=全部NG」ではありません。

ポイントは未殺菌乳(unpasteurized)かどうかで、日本の国産品は殺菌乳が多い一方、輸入のソフトチーズなどは注意が必要です。迷う場合は十分に加熱(熱々まで)するか、控えると安心です。

未殺菌乳の見分け方

・パッケージに「未殺菌乳」「生乳(非加熱)」「unpasteurized」等の表示がないか確認
・表示が不明なら「加熱する/避ける」を選ぶのが安全側です

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>>妊娠初期症状の総合ガイド
【チェックリスト20】

>>妊娠初期のおりものについて

 

白金高輪海老根ウィメンズクリニックより|ひとりで悩まず相談してください

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妊娠がわかったばかりの頃は、体調の変化に加えて「薬を飲んでしまった」「仕事は続けて大丈夫?」「こんなことで受診していいの?」と、不安が次々に出てくるものです。

どうか「怒られるかもしれない」と心配せずにお越しください。

海老根ウィメンズクリニックは、妊婦さんが安心して話せる場であることを大切にしています。

お薬の相談、仕事の調整(母性健康管理指導事項連絡カードの発行)、家事や通勤の負担、日常生活の小さな不安まで、気になることは何でもお話しください。妊娠初期からの妊婦健診では、お身体の状態だけでなく、気持ちや生活面も含めてサポートできるよう体制を整えています。

なお当院は周産期セミオープンシステムを導入しており、妊婦健診は当院で、分娩は連携病院(愛育病院、日本赤十字社医療センター、順天堂大学病院など)で行う体制があります。

当院での妊婦健診は、原則として妊娠初期から行い、里帰り出産をご希望の方の健診は妊娠36週まで対応しています(状況によりご案内が異なる場合があります)。

海老根ウィメンズクリニックの妊婦健診では、生活やお仕事の状況も丁寧に伺いながら、「何にどの程度気をつけると安心か」という“あなたに合った目安”を一緒に整理していきます。

不安をひとりで抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。

院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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