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デリケートゾーン

膣のかゆみはアレルギーかも?膣炎との違いと注意すべき症状を女医が解説!

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「デリケートゾーンがかゆい、ムズムズする

多くの女性が経験するこの不快な症状。

ほとんどの方が「また膣炎かな?」と考え、婦人科を受診されます。

しかし、そのかゆみの原因は、カンジダなどの感染症だけとは限りません。

ときには、普段使っているものへの「アレルギー反応」や、命に関わる危険な「アナフィラキシー」のサインとして、かゆみが現れている可能性があります。

これは見過ごされやすい重要なポイントです。

この記事では、膣のかゆみの原因の中でも特に「アレルギー」に焦点を当て、感染症との違いや病院を受診すべきタイミングを、分かりやすく解説します。

 

あなたのかゆみ、本当に「膣炎」?実はアレルギーかもしれません

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膣のかゆみといえば、カンジダ膣炎や細菌性膣症といった感染症が代表的です。

しかし一方で、おりものの状態はいつもと変わらないのに、急に強いかゆみが出てきた場合は、アレルギー反応の可能性を考える必要があります。

アレルギーによるかゆみは、赤みや腫れといった見た目の症状が膣炎と似ているため、ご自身で判断することが難しく、感染症と勘違いされやすいのが特徴です。

日常生活に潜むアレルギーの原因

デリケートゾーンのアレルギーは、私たちが普段何気なく使っているものが原因となることがあります。

例えば、コンドームによるラテックスアレルギー、生理用ナプキンやライナーの素材によるかぶれ、デリケートゾーン用の洗浄剤や石鹸が肌に合わないケースなどです。

また、パートナーの精液そのものがアレルゲンとなる「精液アレルギー」も存在します。

さらに、特定の薬や食べ物が引き起こす全身性のアレルギー反応の一部として、膣や外陰部にかゆみの症状が現れることもあり、注意が必要です。

【実際にあった症例】

症例1:外陰部の慢性的な痒み【20代女性】

外陰部の慢性的な痒みを主訴に来院。

いくつかの婦人科を受診するも「特に問題がない」と言われていました。痒みがどうしても良くならないため、当院を受診されました。

ここでいう「問題がない」とは、婦人科的に問題がない、つまり性病でもカンジダでも細菌性膣症でもない、という意味でした。

全身にアトピー性皮膚炎様の皮疹がありましたが、皮膚科を受診したことはありませんでした。抗アレルギー薬を処方し、血液検査を施行したところ、大豆・小麦・卵白のアレルギーがあることが判明しました。食事制限、抗アレルギー薬、ステロイドの外用薬により症状は軽快しました。

私自身も子供の頃に重症のアトピー性皮膚炎を患っておりました。チョコレートなどの刺激物、カップラーメンなどの添加物・化学調味料の除去、食物繊維の多い腸活、ストレス除去で良くなった経験があります。

生活習慣の見直しから、さまざまな治療をご提案させていただきます。

症例2:突発的な膣の痒み【30代女性】

突然発症した膣の痒みを主訴に来院されました。

強い痒みに耐えられず受診された様子でした。お話を伺うと、膣の痒みと同時に唇の腫脹が出現したとのことでした。皮膚科ではアレルギー検査を受けたものの、すべて陰性だったそうです。軽度の呼吸苦もありました。

マスクを外していただくと、明らかな口腔粘膜の腫脹があり、アナフィラキシーを生じていると考えられました。

膣炎の検査も行いましたが、同時にステロイドと抗アレルギー薬を処方しました。膣の痒みで患者様はご来院されますが、全身症状の確認も大切だと改めて感じました。

痒みといえば、婦人科ではつい「膣炎」と考えがちですが、丁寧な問診や視診が重要だと思いました。

 

アレルギーによるかゆみの特徴と、感染症との見分け方

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アレルギーが原因の場合、感染症とは異なるいくつかの特徴が見られます。

1.突然、強い症状が現れる

原因となる製品の使用後や性交後など、特定の「きっかけ」の直後に、急激なかゆみ、赤み、腫れが出ることが多いです。

2.おりものの変化が少ない

感染症ではおりものの色や量、においに変化が出やすいですが、アレルギーの場合はおりものの状態は正常なことが多いです。

3.全身症状を伴うことがある

最も注意すべきサインとして、膣のかゆみと同時に口の中の腫れ、充血、息苦しさ、全身のじんましんなどが見られることがあります。

膣のかゆみの鑑別診断一覧

感染によるもの

▼よくある原因
カンジダ膣炎、細菌性膣症、トリコモナス膣炎、クラミジアなど

▼症状の特徴
強いかゆみ、白いヨーグルト状のおりもの、におい、赤み。
→おりものの色・量・においに変化が出やすい

▼婦人科での治療
おりもの検査、飲み薬や塗り薬で治療

ホルモンの変化

▼よくある原因
閉経後や低用量ピルを長く使っている方の「萎縮性膣炎」

▼症状の特徴
乾燥、ヒリヒリ感、性交のときの痛み、出血
→乾燥感、性交時の痛み、出血などを伴うことがある

▼婦人科での治療
女性ホルモンの治療、保湿剤、腟レーザーなど

皮膚の病気

▼よくある原因
湿疹、乾癬(かんせん)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)など

▼症状の特徴
赤み、かさつき、広い範囲のかゆみ
→膣内より、外陰部全体にかゆみが広がる傾向がある

▼婦人科での治療
皮膚科と連携、塗り薬など

アレルギー

▼よくある原因
コンドームのゴム、洗浄剤やナプキン、精液など

▼症状の特徴
かゆみ、赤み、腫れ。重いときは息苦しさやじんましん(=アナフィラキシー)
→きっかけが明確で、全身症状を伴うことがある

▼婦人科での治療
原因を避ける、アレルギー薬。緊急時は救急対応

しこりやできもの

▼よくある原因
良性の腫瘍、まれに外陰がんなど

▼症状の特徴
長く続くかゆみ、ただれ、しこり
→長引くかゆみやただれ、しこりを伴う。まれに外陰がんのこともあるため注意が必要

▼婦人科での治療
組織検査や手術

婦人科を受診すべきタイミング

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少しでも「おかしいな」と感じたら、自己判断せずに婦人科を受診してください。特に、以下のような場合は早めの受診をおすすめします。

  • かゆみが数日以上続いている
  • おりものの色、におい、量がいつもと違う
  • 腫れや赤みがひどい
  • 【緊急】口の中の腫れ、息苦しさ、めまいなど全身症状があるすぐに救急外来を受診してください!

 

 よくあるご質問(Q&A

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食べ物が原因で膣がかゆくなることはありますか?

食べ物が直接膣炎を起こすわけではありません。しかし、食物アレルギーによる全身反応の一部として、外陰部や膣にかゆみの症状が現れることはあります。

かゆみだけなら、市販薬で様子を見てもいいですか?

市販薬は、原因が感染症なのかアレルギーなのかを判断できません。もし原因が違えば、症状が悪化する可能性もあります。自己判断で長引かせる前に、一度婦人科を受診してください。

アナフィラキシーの場合、どのような症状が出ますか?

膣のかゆみに加え、口の中の腫れ、息苦しさ、全身のじんましん、めまいなどを伴います。これは命に関わる危険な状態ですので、ためらわずに救急車を呼ぶなどの対応が必要です。

 コンドームやナプキンでかゆみが出る場合はどうしたらいいですか?

まずは原因と思われる製品の使用を中止することが基本です。婦人科にご相談いただければ、肌に合う製品の選び方についてアドバイスしたり、必要に応じて皮膚科やアレルギー科と連携して対応したりすることも可能です。

 

 まとめ

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膣のかゆみは「よくあること」と思われがちですが、その裏にはアレルギーや、時にはアナフィラキシーといった危険な状態が隠れているかもしれません。

特に、全身症状を伴う場合は命に関わるサインです。すぐに救急受診をしてください。

気になる症状があるときは、決して自己判断せず、お気軽に婦人科でご相談ください。

【当院での診療について】

白金高輪海老根ウィメンズクリニックでは、デリケートゾーンのかゆみに対し、感染症はもちろん、アレルギーや皮膚疾患の可能性も視野に入れた幅広い診療を行っています。

・検査

おりもの検査、超音波検査、皮膚所見の確認

アレルギーや炎症反応を調べる血液検査

血圧測定、脈拍測定、呼吸回数測定、経皮的酸素飽和度測定

・治療

抗菌薬・抗真菌薬の処方、抗アレルギー薬処方、ステロイド処方

【重症の場合】カテコラミンやステロイドホルモンの点滴、ホルモン補充療法

 ・自費診療

腟レーザー(モナリザタッチ)、良性腫瘍の切除など

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女医による丁寧な診察を心がけており、土日祝日も診療しております。
保険診療・自由診療ともに対応可能ですので、安心してご相談ください。

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。

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