ホルモン補充療法とは？メリットデメリットや治療内容、治療に伴うリスクについて女医が丁寧に解説。

ホルモン補充療法とは？

ホルモン補充療法（HRT）は、以前は日本ではあまり知られていない更年期障害の治療法でした。しかし、最近では更年期障害が話題に上がることが増え、この治療法も徐々に日本でも浸透してきた印象があります。

更年期症状に有効なホルモン補充療法

主に女性ホルモンの減少によって引き起こされる様々な症状を緩和するために行われる治療です。

更年期に特有の症状には、ホットフラッシュや頭痛、肩こり、関節痛、不眠、気分の落ち込みなどがあります。加えて、特に注意すべきは「骨粗しょう症」です。

骨粗しょう症は痛みがないまま進行し、骨折のリスクを高め、その後の回復が難しくなることで寝たきりになる可能性があります。これらの症状を予防・緩和するために、ホルモン補充療法は非常に有効です。

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ホルモン補充療法のタイミング

月経の周期が不規則になってきたタイミングで、女性ホルモンの検査と合わせて骨密度検査も行うことをお勧めします。骨密度が低下している場合、更年期障害の進行を防ぐためにホルモン補充療法やカルシウムやビタミンDを摂取する食事療法、日光浴や適度な運動が大切です。

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治療の仕組み

ホルモン補充療法では、主にエストロゲンという女性ホルモンを補充します。骨の構成成分であるカルシウムはエストロゲンとビタミンDにより骨を構築し、更年期の症状を緩和します。しかし、エストロゲンを長期間単独で使用すると、子宮体がんや血栓塞栓症のリスクが高まるため、プロゲステロンというホルモンも併用します。

治療方法と費用

ホルモン補充／エストロゲンの投与方法には、内服薬、貼り薬、ジェルなどがあり、プロゲステロンとエストロゲンが組み合わさった合剤も存在します。これらは、患者様の症状に合わせて選択されます。

保険適用で治療ができる

ほとんどの場合、ホルモン補充療法は保険適用となり、月にかかる費用はおおよそ2,000円程度です。

ホルモン補充療法のリスクと重要な検査について

ホルモン補充療法は有効な治療法ですが、慎重に行う必要があります。
その理由は、ホルモン補充によって合併症が発生する可能性があるためです。そのため、治療を始める前にはいくつかの検査を受けることが推奨されます。

１．乳がん検診

乳がんは女性が最もかかりやすいがんの一つであり、ホルモン補充によってがんが進行するリスクがあります。ホルモン補充療法を開始する前に、マンモグラフィや超音波検査を受け、乳がんがないことを確認しましょう。定期的な検診は、乳がんの早期発見にも役立ちます。

２．子宮がん（特に子宮体がん）検診

子宮がんといえば、子宮頸がんを一般的に示している場合があり、子宮の内腔にある子宮内膜細胞のがん、子宮体がんは比較的見落とされがちながんです。女性ホルモンによりがん化することが知られており、ホルモン補充前に子宮体がん検診を行うことは必須です。婦人科以外の医師からホルモン補充を提案された場合、必ず婦人科で検査を行いましょう。

３．血栓リスクの確認

血栓傾向がある方には、ホルモン補充療法を慎重に行う必要性があります。
血栓傾向のあるなしを予め把握することは難しいですが、年に1回の凝固因子を含めた血液検査をお勧めします。投薬は忘れず毎日行いますので、ほかの薬剤と同様、副作用のチェックは必要です。
投薬中に足が痛い部分が出現した、足の血管が白くなって痛い、赤くはれている、突然息苦しくなったなどの症状が生じたときには、速やかに、主治医に相談しましょう。緊急の場合、ICUでの血栓溶解剤は有効です。

４．禁忌事項

大きな子宮筋腫、大きな卵巣嚢腫、妊娠など血管を圧排している可能性がある疾患、がんや血管内皮障害がある場合は、投与は禁忌です。つまり、健康チェックを行ってからでないとホルモン補充療法はできません。
このように少しハードルの高い側面を持った治療法ですが、これらの検査を行うことにより、乳がんの早期発見、子宮がんの早期発見などに役立った経験があります。

ホルモン補充療法は何科を受診すればいい？

ホルモン補充療法を試みたいと思ったら、まず婦人科医に相談しましょう。

私たちが治療の提案を通じて、少しでも快適な生活を送れるようにサポートいたします。

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