「妊婦さんへ早産のリスクを減らすために」切迫早産の理解と予防に関して(産婦人科医より)
更新日:2024.03.20
切迫早産は、出産月より前に子宮が収縮して、分娩を引き起こしそうになる病態です。
つまり、妊娠9か月未満の子宮収縮が定期的に起こると切迫早産。
切迫早産の原因は複数ありますが、その一部を以下に記載します。
ママの過度な労働
妊娠中に過度な身体的または精神的な負荷をかけることは、子宮の成長を妨げ、早期収縮を引き起こす可能性があります。
睡眠不足と栄養失調
十分な睡眠や栄養バランスの取れた食事がないと、子宮が充分に発育せず、切迫早産のリスクが高まります。
ストレス
ストレスは身体にさまざまな影響を与え、子宮収縮を引き起こす可能性があります。
妊娠中は特にストレスフリーの生活スタイルを心掛けましょう。
絨毛羊膜炎
ママの免疫が低下し、子宮内で細菌感染が生じることにより、絨毛羊膜炎が引き起こされます。さらに子宮収縮が生じで、早産のリスクが高まります。
子宮筋腫などの病気
子宮筋腫や双角子宮などの形態異常は、早産となる可能性があります。
特に、絨毛羊膜炎の合併には注意が必要です。
絨毛羊膜炎とは
ママの免疫が低下すると、腟内の環境が悪化し、細菌が増殖します。
これにより、白血球が細菌と戦いますが、その過程で増加するサイトカインという物質が子宮収縮を促進します。
絨毛羊膜炎の検査と治療
子宮収縮は、子宮頚部を柔らかくし、早産や破水を引き起こす可能性があります。
妊娠22週以降、子宮収縮の強い方は、超音波検査で子宮頚管長を測定し、炎症反応の指標である顆粒球エラスターゼや細菌検査を行います。
炎症がある場合、局所的に作用する抗生物質の腟内投与や、全身的に作用する抗生物質の内服投与、 さらに状況が厳しい場合は、入院して抗生物質の点滴投与が必要となることがあります。
どんな症状?「おりもの」の増加も大事なサイン
絨毛羊膜炎の症状は、子宮収縮だけでなく、おりものの増加もあります。
これらの症状があれば、病院を受診し、適切な治療を始めることが重要です。
まとめ
切迫早産は、早産だけでなく、赤ちゃんの健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため、治療が必要です。
色々、怖いことを書きましたが、ママが元気で、おいしいものを食べて、よく寝て、リラックスして、 免疫力アップ!!
ストレスフリー!!が一番の治療です。
バランスの取れた生活、良質な睡眠、栄養バランスの取れた食事、ストレスの管理は、切迫早産を予防するために重要です。
幸せな妊婦生活を送るために、仕事や家事に過度に頑張りすぎないようにしましょう。
自分の身体と赤ちゃんを大切にし、安心して過ごせるよう心がけましょう。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。