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腟内フローラ・ラクトバチルス

10代のためのフェムケア入門|初潮・月経・外陰部ケアを婦人科医が解説

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「初潮が来た」ということは、どのように考えますか?

「女性への第一歩」と思う方がいらっしゃると思います。そして、医学的には、さらに大きな意味があります。

子どもから大人へと成長して、親になり新しい赤ちゃんを迎えるための身体づくりが本格的に始まったということです。

もちろん、10代ですぐに妊娠や出産を考える必要はありません。しかし、女性の身体は初潮を迎えたその日から、将来の妊娠・出産に向けた準備を毎月繰り返すようになります。この仕組みを知ることは、自分の身体を大切にする第一歩です。

この記事でお伝えすること

  • 初潮と月経の医学的な意味
  • 10代から始めたいフェムケアの考え方
  • 月経痛や気分の変化との向き合い方
  • 月経用品の選び方
  • 外陰部の洗い方と腟内を洗いすぎない理由
  • ラクトバチルスと腟内環境の関係
  • 産婦人科に相談してよい症状

月経は、新しい命を迎えるための準備

月経は単なる性器出血ではありません。

脳の下垂体から「卵子を育てましょう」という命令が卵巣へ送られると、卵巣では卵胞が育ち始めます。そして卵胞から分泌されるエストロゲンによって、子宮の内側にある子宮内膜は少しずつ厚くなり、受精卵を迎える準備を始めます。

排卵後にはさらにプロゲステロンというホルモンが分泌され、受精卵が着床しやすい環境が整えられます。

もし妊娠しなければ、その月に準備した子宮内膜は役目を終え、一度きれいに剥がれ落ちます。これが月経です。

そして翌月には、また新しい子宮内膜を作り、新しい命を迎える準備が始まります。

月経周期

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つまり月経とは、「子宮をきれいに掃除する日」というよりも、新しい命を迎えるために毎月リセットし、新たなスタートを切る大切な日なのです。

女性の身体は、毎月休むことなくこの準備を続けています。これほど真面目に働き続ける仕組みを持っているのは女性だけです。

私は、この女性だけが持つ素晴らしい身体の仕組みを誇りに思ってほしいと願っています。

 

フェムケアの内容も成長とともに変わります

10歳頃までのフェムケアで最も大切だったことは、「清潔を保つこと」でした。

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排尿や排便の後に正しく拭くこと、外陰部を優しく洗うこと、皮膚を傷つけないことが中心になります。

しかし初潮を迎える頃からは、大切に清潔に保った女性器を妊娠できる健康な身体を育てるためのフェムケアという考え方が加わります。

女性ホルモンが分泌され始めることで、子宮や卵巣だけではなく、外陰部や腟にも大きな変化が起こります。

この頃から本格的なフェムケアが始まるのです。

初経の頃は腟炎になりやすいことがあります

初潮の前は、まだ女性ホルモンの分泌が十分に安定していません。

そのため、おりものが増えたり、腟内環境が不安定になったりして、細菌性腟症などを起こしやすくなることがあります。

「臭いが気になる」「おりものの色が変わった」「かゆみがある」「違和感がある」と感じたら、恥ずかしがらず婦人科を受診してください。小児科ではなく産婦人科で相談することが適している場合があります。

抗菌薬などで適切に治療すれば、多くは改善します。

月経周期が安定してくるにつれて、こうした腟炎を繰り返すことは少なくなります。

チェックポイント

腟炎を詳しく解説した記事は以下よりご覧ください。

腟炎とは?カンジダ腟炎・細菌性腟症などの原因、症状チェック法、受診有無などを解説

 

ラクトバチルスという一生のパートナー

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月経が始まる頃から、女性の身体にはもう一つ大きな変化が起こります。

それがラクトバチルス(乳酸菌)との共生です。

エストロゲンが分泌されるようになると、腟の粘膜は厚くなり、その細胞にはグリコーゲンという糖が蓄えられるようになります。

このグリコーゲンを栄養にして増えてくるのがラクトバチルスです。

ラクトバチルスは乳酸を産生し、腟内を弱酸性(pH3.8〜4.5)に保ちます。

この弱酸性環境によって、細菌性腟症の原因菌や病原菌、さまざまな雑菌が増えにくくなり、女性の身体は自然に守られています。

これを「腟の自浄作用」と呼びます。

つまり、ラクトバチルスは女性が健康に生活し、将来妊娠・出産できる身体を守るために働く、とても大切な存在なのです。

思春期はまだラクトバチルスが十分に増えていないため、腟内環境は不安定ですが、ホルモン分泌が安定するとともにラクトバチルスも定着し、女性の身体を守る力が少しずつ完成していきます。

 

月経痛や気分の変化も成長の一部

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初潮から数年間は、

  • 月経痛
  • 月経不順
  • 頭痛
  • 腹痛
  • 気分の落ち込み
  • イライラ
  • 強い眠気

などを経験する人も少なくありません。

これは女性ホルモンのバランスがまだ安定していないためです。

十分な睡眠、栄養バランスの良い食事、適度な運動を心掛けることで、身体は少しずつ成熟し、不快な症状も軽くなることが多くあります。

一方で、学校生活に支障が出るほど強い月経痛や、鎮痛薬が効かないほどの痛みがある場合は、子宮内膜症などの病気が隠れていることもあります。

「みんな我慢しているから」と思わず、婦人科へ相談してください。

身体を完成させる最も大切な時期

思春期は勉強やスポーツ、受験など忙しい時期ですが、医学的には骨や筋肉、子宮や卵巣が完成へ向かう大切な時期でもあります。

無理なダイエットは注意!

無理なダイエットは月経が止まる原因になり、女性ホルモンの低下によって骨密度が低下したり、将来の妊娠に影響する可能性があります。

この時期は、「痩せること」よりも「健康な身体を作ること」が何より大切です。

 

月経用品は自分に合ったものを選びましょう

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月経中に日常生活を送るためには、ナプキンが必要です。

紙ナプキンや布ナプキンは、人によって皮膚がかぶれることがあります。

こまめに交換し、自分の肌に合った製品を選びましょう。

タンポンや月経カップを使用する人も増えています。

最初は腟が狭く、うまく使えないこともありますが、身体の成長とともに自然に使用できるようになる人がほとんどです。

焦る必要はありません。
また、使用方法がわからない場合は、お母さまや使い慣れている友人、心配があれば産婦人科医に相談してもいいでしょう。

 

自分の外陰部を知ることもフェムケアです

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顔は毎日鏡で見るのに、自分の外陰部を見たことがないという女性は少なくありません。

もともと見えない場所にあるので、意識しないと確認しづらいですが、自分の性器の状態を確認することは大切です。

決して怖いことではありません。そして、外陰部にも個性があります。

一度鏡を使って、

  • どんな形なのか
  • 赤くなっていないか
  • 傷はないか
  • おりものはどうか

を確認してみましょう。

自分の「いつもの状態」を知ることが、病気の早期発見につながります。

外陰部を丁寧に洗おう

洗うときは、細かい形をよく理解して、丁寧に洗ってください。ゴシゴシ擦る必要はありません。

泡立てた弱酸性の洗浄料で外陰部を優しく洗えば十分です。

腟の中まで洗う必要はありません。

洗いすぎは、せっかく女性を守ってくれているラクトバチルスまで減らしてしまうことがあります。

困ったら産婦人科へ

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産婦人科は妊娠した人だけが行く場所ではありません。

月経痛、月経不順、おりもの、かゆみ、外陰部の痛み、タンポンが入らないなど、小さな悩みでも相談して大丈夫です。

最近ではユースクリニックなど、思春期の女性が安心して受診できる外来も増えています。

一人で悩まず、専門家を頼ってください。

 

ラクトバチルスは女性の一生を守る存在

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私はフェムケアを考える上で、ラクトバチルスは女性にとって「一生のパートナー」だと思っています。

初潮を迎える頃から女性ホルモンの働きによってラクトバチルスが腟内に住み始め、思春期、妊娠・出産、そして更年期まで、女性の身体を静かに守り続けます。

見えない存在ですが、感染を防ぎ、腟内環境を整え、女性が本来持っている力を支えてくれています。

だからこそ、必要以上に洗いすぎないこと、規則正しい生活を送ること、栄養と睡眠を大切にすることは、ラクトバチルスを育てることにもつながります。

フェムケアとは、美容のためだけでも、病気を防ぐためだけでもありません。

女性が本来持っている「守る力」を大切に育てることなのです。

10代から自分の身体を知り、月経を理解し、外陰部を優しくケアし、ラクトバチルスとともに健康な腟内環境を育てていくことは、将来の妊娠・出産、そして更年期まで続く女性の健康への大きな贈り物になります。

女性の身体は、一人で頑張っているわけではありません。

あなたの身体の中では、ラクトバチルスという小さな仲間たちが、今日も静かに、そして一生懸命あなたを守り続けています。

その大切なパートナーを育てることこそ、10代から始めるフェムケアの本当の意味なのだと、私は考えています。

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院長 海老根真由美

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)

産婦人科医師・医学博士

埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。

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