聖心女子大学から始まる「オープンユース」への一歩|ユースクリニックと若者支援
更新日:2026.10.05
目次
若い女性が、自分の身体と心について安心して話せる場所を
東京都のユースクリニック事業に参加するにあたり、私は「オープンユース」をどのような形で開催すればよいのか、考え続けています。みんなで、年齢を問わず、自由に発言できる。ちょっと聞きにくい内容も笑顔で話せる。
先日、東京都福祉局の方とお話しする機会がありました。現時点では、オープンユースの開催は、大学などの公的・教育的な場で開催することが望ましい、というお話を伺いました。今回の事業は、高校生や大学生に非常に身近な問題なのではないかと思います。その教育の場で「オープンユースを開催する」というアイディアは素晴らしいと思いました。
若い方が性や身体について相談するために、最初から産婦人科の扉を開けるのは、まだとても勇気が要ることです。
しかし、普段通っている大学や学校の中に、気軽に立ち寄れて、話を聞いてくれる大人がいる場所があれば、その一歩はずっと小さくなります。
そこで、私が最初に相談したのが、25年以上にわたり同じ思いで仕事をしてきた神前裕子先生です。
25年以上、同じ思いで歩んできた神前裕子先生
神前先生とは、埼玉医科大学総合医療センターに勤務していた頃からのご縁です。
児童虐待やDVなど、医療だけでは解決できない問題を抱えた方々に出会ったとき、私たちは一緒に悩み、支援の方法を考えてきました。その後、神前先生はご家族でドイツへ移住されましたが、13年前に日本へ戻られ、当院の開業当初からクリニックを支えてくださいました。
長い年月の中で環境や立場が変わっても、困っている女性や子どもを支えたいという気持ちは、ずっと変わりませんでした。
現在、神前先生は聖心女子大学現代教養学部心理学科の准教授であり、臨床心理士・公認心理師として教育と心理支援に携わっていらっしゃいます。
今回の東京都ユースクリニック事業にも当クリニックの臨床心理士として参加してくださることになりました。また、この事業に大変関心を持ってくださり、聖心女子大学の社会連携部社会連携課やグローバル共生研究所との連携の可能性について、ありがたいお話をいただきました。そして、女子大学ならではの「女性のエンパワメント」を考える場として、オープンユースを活用してほしいと言っていただきました。
本当にありがたく、心強いことです。
オープンユースは、若者と医療をつなぐ入口
私が考えるオープンユースは、専門家の知識をお話ししていただき、婦人科特有の性病や妊娠についてのお話し、そして、妊娠を前向きにとらえる心理面のサポートを中心に構成したいと思っております。
気軽に立ち寄ることができ、月経、避妊、妊娠、性感染症、性交痛、デートDV、同意、人間関係、将来の妊娠や出産などについて、「こんなことを聞いてもよいのかな」と思うようなことも安心してお話しできればと思います。クリニックの診療室と同じ感じのおしゃべりになるといいのですが。
会場に来て、資料を見たり、ほかの人の質問を聞いたりしながら、「困ったときには相談できる場所がある」と知ってもらうこと自体に意味があります。聖心女子大学の近くには、白金高輪海老根ウィメンズクリニックがあります。困ったことがあれば、いつでもクリニックをご受診いただければと思います。
また、性の問題は婦人科だけで完結するものではありません。
身体のことは産婦人科医、心や人間関係については心理職、学校生活については教職員や養護教諭、危険や被害がある場合には行政や専門の支援機関へつなぐ必要があります。
オープンユースは、それらの専門家を若者の周りに集める「入口」になれるのではないかと思います。
まずは小さく、安心できる場から
2027年3月までに、まずは聖心女子大学で、オープンユースを開催できればと考えています。
最初から大きなイベントにするのではなく、学生の皆さんがどのようなことを知りたいのか、どのような場所なら相談しやすいのかを伺いながら、一緒につくっていくことが大切です。
そして、参加した学生の声をもとに、次の開催内容を考えていく。学生自身にも、テーマ選びや広報、場づくりに参加していただけたら、それこそが女性のエンパワメントにつながると思います。
「専門家が若者に教える場」ではなく、「若者と専門家が一緒に考える場」にしたいのです。
将来的には、聖心女子大学で生まれた取り組みが、ほかの大学、高校、地域施設、養護教諭、行政、医療機関へとつながっていくことを願っています。
小さな一歩から、大きな輪へ
振り返れば、神前先生と私が出会い、児童虐待やDVに苦しむ方々を支えようと一緒に考えてきた時間が、今回のオープンユースへとつながっているように感じます。
医療だけでは救えないことがあります。心理支援だけでも、教育だけでも、行政だけでも届かないことがあります。
しかし、それぞれの立場の人が同じ方向を向き、手を取り合えば、若い方を孤立させずに済むかもしれません。
性や身体について悩んだとき、安心して頼れる大人がいる。
心が苦しいとき、話を聞いてくれる人がいる。
医療が必要なときには、責められることなく医療機関につながることができる。
そのような環境を、若い方の身近な場所につくりたいと思っています。
聖心女子大学から始まる小さな一歩が、やがて学校、地域、行政、医療を結ぶ大きな輪になることを夢見ています。
神前裕子先生、そしてこの取り組みにご理解とご協力をいただける聖心女子大学の皆様に、心より感謝申し上げます。
2027年3月までに、どのようなオープンユースを実現できるのか。
若い方々の声を聞きながら、一つひとつ丁寧に形にしていきたいと思います。
一人で悩まず、ご相談ください
月経、避妊、妊娠、性感染症、性交痛など、婦人科に関するお悩みは当院でご相談いただけます。気になる症状や不安がある方は、まずはご来院ください。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。



