女性の尿が飛び散る・二股になるのはなぜ?考えられる原因と更年期・GSMとの関係
更新日:2026.08.12
「最近、おしっこがまっすぐ出なくなった」
「尿が二股になったり、横に飛び散ったりする」
「便器だけでなく、太ももや外陰部に尿がかかることがある」
このような変化が気になっていませんか。
人には相談しづらく、「私だけなのでは?」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、尿が二股になる、複数方向へ飛び散るという症状は、医学的にも知られている排尿症状の一つです。
欧州泌尿器科学会(EAU)の女性下部尿路症状ガイドラインでは、「splitting or spraying of the urinary stream(尿線が分かれる・飛び散る)」は、尿の勢いが弱い、途中で途切れる、いきまないと出ないなどと並ぶ「排尿症状」として分類されています。[1]
一方で、「なぜ女性の尿が飛び散るのか」という原因については、まだ十分に分かっていない部分があります。
尿道口や外陰部の状態、尿の勢い、排尿時の筋肉の働き、加齢による外陰部や尿道周辺の変化など、複数の要素が関係している可能性があります。
当院でも、尿の飛び散りそのものを主訴として来院される方は多くありませんが、GSMなどで診察している50代以降の患者さんから、「最近、尿が飛び散るようになった」「以前と尿の出る方向が違う」といったお話を伺うことがあります。
この記事では、海外の研究報告も踏まえながら、現時点で分かっていることと、まだ分かっていないことを分けて解説します。
海外研究から見えてきた3つのこと
- 「尿が飛び散る・二股になる」は国際的にも認識されている排尿症状
EAUガイドラインでは、splitting / spraying of the urinary streamとして排尿症状の一つに分類されています。[1] - 一般婦人科受診女性を対象とした研究では約67%がsprayingを経験
2023年の研究では333人中222人が経験していました。ただし一般人口の有病率を示す研究ではなく、「女性の67%に起こる」と一般化はできません。[2] - 閉経後には小陰唇など外陰部の形態変化が確認されている
閉経前後の比較研究・MRI研究では外陰部の形態変化が報告されています。一方、その変化が尿の飛び散りを直接起こすという因果関係はまだ確認されていません。[5][6]
女性の尿が飛び散る・二股になるのは珍しいこと?
実は、女性の「尿が飛び散る」という症状は、思っているほど珍しくない可能性があります。
2023年に医学誌「Urogynecology」に掲載された米国の研究では、一般婦人科を受診した妊娠していない成人女性355人を対象に、排尿に関するアンケート調査が行われました。
尿の飛び散りについて回答した333人のうち、222人、約67%が尿のspraying(尿線の方向がずれる・飛び散ること)を経験していると回答しています。そのうち53%は少なくとも多少は気になると回答し、中等度以上に困っている人は17%でした。[2]
この結果からは、「経験している女性は少なくないものの、それだけを理由に病院を受診する人は多くない」症状である可能性が考えられます。
ただし、この研究は一般人口を対象とした疫学調査ではなく、婦人科を受診した女性が対象です。また、年齢中央値は43歳で、閉経後女性は28%でした。そのため、この数字から「女性の67%に起こる」「更年期になると増える」とまでは言えません。
それでも、「尿が飛び散る」という悩みが決して特殊なものではないことを知る一つの参考になる研究です。
実は「なぜ尿が飛び散るのか」は、まだ十分に分かっていません
ここは、とても重要なポイントです。
尿が飛び散る・二股になることは医学的に認識されている症状ですが、「この症状の原因は○○です」と一つに特定できるほど研究が進んでいるわけではありません。
先ほどの海外研究も「尿が飛び散る女性がどのくらいいるのか」を調べたものであり、その原因を解明する研究ではありませんでした。[2]
そのため、「小陰唇が小さいから」「骨盤底筋が弱いから」「更年期だから」「GSMだから」など、一つの理由だけで説明するのは正確ではありません。
現時点では、尿の出口である尿道口、その周囲の外陰部、尿そのものの勢い、尿道の抵抗、排尿時の筋肉の働きなどを総合的に考える必要があります。
「飛び散る」「尿が弱い」「排尿後に垂れる」は少し違います
「尿の出方がおかしい」と感じていても、実際にはいくつか異なる症状があります。
| 気になる症状 | どのような状態? | 主に確認したいこと |
|---|---|---|
| 尿が飛び散る | 横・前後など複数方向へ広がる | 尿道口・外陰部・姿勢など |
| 尿が二股になる | 尿線が2方向以上に分かれる | 尿の出口周辺など |
| 尿が細い・弱い | 尿の勢いそのものが弱い | 尿道・膀胱・排尿機能 |
| 尿が途中で止まる | 出たり止まったりする | 排尿機能 |
| 排尿後に垂れる | 排尿後や立ち上がった後に尿が出る | 排尿後尿滴下など |
| 残尿感がある | 出し切れていない感じがする | 残尿・排尿機能 |
EAUのガイドラインでも、尿線が飛び散ること、尿勢低下、尿線途絶、終末時滴下、排尿後尿漏れ、残尿感などは異なる下部尿路症状として整理されています。[1]
そのため、「尿が飛び散るだけ」なのか、「尿そのものが出にくくなっている」のかを分けて考えることが大切です。
女性の尿が飛び散るときに考えられる原因・背景
原因が完全に解明されているわけではありませんが、これまでの研究や排尿の仕組みから、いくつか考えられることがあります。
1.尿道口から出た尿が外陰部に当たり、方向が変わる
女性の尿道口は、外陰部に囲まれています。
そのため、尿道口から出た尿が周囲の組織に当たれば、左右に分かれる、前後へ飛ぶ、シャワーのように広がる、太もも側へ流れるなど、尿の方向が変わることは物理的には考えられます。
ただし、「小陰唇が大きい女性は尿が飛び散る」といった関係を直接証明した質の高い研究は、現時点では十分ではありません。外陰部の大きさだけではなく、尿道口との位置関係や、その時の外陰部の状態なども含めて考える必要があります。
2.尿道口周辺に変化がある
尿の出口周辺に何らかの変化がある場合も、診察では確認します。例えば、尿道カルンクル、尿道口周辺の炎症・腫れ、尿道周囲のできもの、外陰部の癒着などです。
ただし、尿道カルンクルについても、「カルンクルがあるから尿が飛び散る」とまでは言えません。
尿失禁のある女性232人を調査した研究では、50人に無症候性の尿道カルンクルが確認されましたが、カルンクルの有無によって下部尿路症状や尿流動態に明確な影響は認められませんでした。[3]
つまり、尿道カルンクルは診察時に確認するポイントの一つですが、尿の飛び散りの主要な原因と断定できる根拠はありません。
一方、非常にまれですが、Skene腺管嚢胞など尿道口近くの病変によって尿が飛び散った症例は海外で報告されています。[8] このことからも、尿道口周辺の形態が尿線に影響するケースがあることは分かります。
3.尿の勢い・尿道の抵抗が変化している
「方向がおかしい」だけではなく、尿の勢いが弱くなった、尿が細くなった、排尿に時間がかかる、尿が途中で止まる、お腹に力を入れないと出ない、強い残尿感があるという場合は、別の視点が必要です。
尿道が狭くなっていたり、膀胱から尿を押し出す力や尿道の開き方に問題があったりするなど、排尿機能そのものを評価する必要があります。
腹圧性尿失禁などに対して中部尿道スリング手術を受けた女性106人を調査した研究では、術後1週間に41.5%がsplitting/sprayingを経験し、6か月後には9.4%まで低下していました。[4]
この研究は加齢による尿の飛び散りを調べたものではありませんが、尿道周辺の状態や尿道抵抗が変わることで、尿線のパターンも変化し得ることを示す興味深い報告です。
4.排尿時の骨盤底筋や尿道周囲の筋肉の働き
「骨盤底筋が弱くなったから尿が飛び散るのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
ただし、現時点では、骨盤底筋の筋力低下そのものが尿の飛び散りを起こすという直接的な証拠は十分ではありません。
排尿では、膀胱が尿を押し出すだけでなく、骨盤底筋や尿道周囲の筋肉が適切に緩むことも必要です。そのため、単純な「筋力の低下」だけではなく、尿道を支える構造、排尿時の骨盤底筋の緩み、膀胱と尿道の協調なども含めて考える必要があります。
尿が飛び散るという症状だけを理由に、すべての方が骨盤底筋トレーニングをすれば改善するというものではありません。
50代・更年期以降に尿が飛び散るのはなぜ?
当院では、尿の飛び散りだけを主訴として受診する方は多くありません。
一方で、GSMなどで診察している50代以降の患者さんから、「最近、尿が飛び散るようになった」と伺うことは珍しくありません。
では、更年期と尿の飛び散りには関係があるのでしょうか。現時点では、「更年期になると尿が飛び散るようになる」と直接証明した研究はありません。
閉経後は小陰唇など外陰部の形態も変化する
2008年に発表された研究では、閉経前女性50人と閉経後女性50人の外陰部を実際に計測しています。
小陰唇の平均幅は、閉経前17.9±4.1mm、閉経後15.4±4.7mmで、閉経後女性の方が有意に小さくなっていました。また、腟の長さも閉経後女性で短いことが確認されています。[5]
MRIを用いて閉経前後の女性器を比較した別の研究でも、閉経後女性では小陰唇の幅、前庭球の幅、腟の幅、腟壁の厚さなどに違いが確認されています。[6]
つまり、更年期以降は「乾燥する」だけではなく、外陰部・腟などの形態にも変化が起こることが分かっています。
小陰唇の萎縮で尿道口周辺の「カバー」が変わる?
閉経後に小陰唇が萎縮して小さくなれば、尿道口周囲の組織の位置関係も変化します。その結果、これまで尿の流れを一定方向にしていた外陰部の形態が変わり、尿が拡散しやすくなることはないだろうか、という考え方です。
閉経後に小陰唇などが小さくなること自体は海外研究で確認されています。[5][6]
一方で、「小陰唇の萎縮 → 尿道口周囲のカバーが減る → 尿が飛び散る」という一連のメカニズムを直接検証した研究は、現時点では確認できません。今後検証していく価値のあるテーマだと当院では考えています。
GSMと尿の飛び散りは関係する?
GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)は、閉経前後の女性ホルモン低下に伴って起こる、外陰部・腟・尿路などの変化をまとめた概念です。
AUA/SUFU/AUGSのGSMガイドラインでは、外陰部・腟の乾燥・灼熱感・刺激感などに加え、尿意切迫、頻尿、排尿時痛、反復性尿路感染症などの尿路症状もGSMに関連する症状として整理されています。[7]
ただし、「尿が飛び散る」こと自体はGSMの代表的症状として確立されているわけではありません。そのため、尿が飛び散る=GSMとは考えません。
一方で、50代以降になって尿の出方が変わったことに加えて、外陰部が乾燥する、ヒリヒリする、性交痛がある、頻尿になった、尿もれもあるといった複数の症状が重なっている場合には、GSMを含めて身体の変化を確認する意味があります。
関連して確認したいページ
尿の飛び散りと一緒に、このような症状はありませんか?
更年期・GSMに関連する症状
- デリケートゾーンが乾燥する
- ヒリヒリ・しみる
- かゆみがある
- 性交時に痛い
- 性交後に痛みが続く
- 尿道口周辺に違和感がある
こうした症状を伴う場合は、GSMや外陰部・腟の状態も婦人科で確認できます。
詳しく知りたい方へ: GSM治療について詳しく見る
排尿に関する症状
- 尿の勢いが弱くなった
- 尿が細い
- 尿が出にくい
- 排尿に時間がかかる
- 強い残尿感がある
- 頻尿
- 尿もれ
- 膀胱炎を繰り返す
この場合は、尿の方向だけではなく、膀胱や尿道など排尿機能の評価も必要になることがあります。
排尿症状も気になる方へ
更年期の頻尿は何科?GSM・過活動膀胱・膀胱炎の見分け方尿が出にくい・残尿感がある場合は別の確認が必要です
尿が少し飛び散るだけの場合と、「尿が出にくい」「残尿感が強い」場合は分けて考えます。
EAUの女性下部尿路症状ガイドラインでは、女性の下部尿路症状を評価する際、問診・診察に加え、尿検査や排尿後残尿量の測定などを用いることが推奨されています。必要に応じて尿流測定などで尿の勢いや排尿パターンを評価する場合もあります。[1]
当院でも、尿の飛び散りだけではなく、出にくさや残尿感など明確な尿トラブルがある場合には、必要な尿路の評価を行います。
尿が飛び散るときに自宅で確認してほしいこと
尿の飛び散りが気になる場合は、まず次の点を確認してみてください。
- いつ頃から始まったか
- 毎回なのか、ときどきなのか
- 急に変わったのか
- 尿の勢いは以前と同じか
- 尿が細くなっていないか
- 排尿に時間がかかっていないか
- 排尿後も残っている感じがないか
- 排尿時に痛みがないか
- 血尿がないか
- 頻尿や尿もれを伴っていないか
- 外陰部に乾燥・ヒリヒリ・かゆみがないか
- 性交痛がないか
- 外陰部に腫れ・できもの・ただれなどがないか
「どちらへ尿が飛ぶか」だけではなく、以前との変化や、一緒に起こっている症状を確認することが診断のヒントになります。
自分でできる対策はある?
尿が飛び散る原因は一つではないため、すべての方に共通する治療法やセルフケアがあるわけではありません。
- 便座に安定して座る
- 中腰で排尿しない
- 身体を過度に緊張させない
- 無理にお腹へ力を入れて尿を押し出さない
- 外陰部への強い摩擦や刺激を避ける
姿勢によって尿の方向が変わるのであれば、一時的な排尿姿勢などが関係している可能性もあります。
ただし、出にくさや残尿感、痛みなどを伴う場合は、自己流の骨盤底筋トレーニングなどを続けるより、一度原因を確認することをおすすめします。
婦人科と泌尿器科、どちらを受診すればいい?
迷う方も多いと思います。一つの目安として、次のように考えてみてください。
| 一緒にみられる症状 | 相談先の目安 |
|---|---|
| 外陰部の乾燥・ヒリヒリ | 婦人科 |
| 性交痛・性交後の痛み | 婦人科 |
| 更年期以降の外陰部・尿症状 | 婦人科 |
| 尿道口周辺の腫れ・できもの | 婦人科・泌尿器科 |
| 尿の勢いが弱い・出にくい | 泌尿器科 |
| 強い残尿感 | 泌尿器科 |
| 頻尿・尿もれ | 婦人科・泌尿器科 |
| 血尿・強い排尿時痛 | 泌尿器科を含め早めの対面受診 |
| どちらへ行くべきか分からない | 婦人科で相談することも可能 |
特に50代以降で、「尿の飛び散りだけでなく、乾燥・ヒリヒリ・性交痛・頻尿なども気になっている」という方は、婦人科で一度まとめて相談してみるとよいでしょう。
性交時の痛みもある方へ: 性交痛外来について詳しく見る
尿の出にくさ・残尿感などが気になる方へ: 当院の泌尿器科について確認する
尿が飛び散る場合、病院では何を確認する?
症状について確認
- いつから変わったか
- 尿の方向
- 尿の勢い
- 残尿感
- 頻尿・尿もれ
- 排尿時痛
- 更年期症状
- 外陰部症状
- 性交痛
外陰部・尿道口周辺を確認
- 外陰部の状態
- 萎縮性変化
- 尿道口
- 尿道カルンクルなどの病変
- 炎症・腫れ
尿トラブルがあれば必要な検査
尿が出にくい、残尿感がある、排尿時痛があるなどの場合には、尿検査や残尿量の確認などを行い、必要に応じてさらに詳しい評価を検討します。
尿の飛び散りにはどのような治療をする?
大切なのは、「尿が飛び散る」という症状そのものに、一律の治療を行うわけではないということです。
原因や一緒に起きている症状によって対応が変わります。
| 状態 | 対応の考え方 |
|---|---|
| 排尿姿勢など一時的な影響 | 姿勢を見直して経過を確認 |
| 外陰部・尿道口周辺の炎症 | 原因に応じた治療 |
| 尿道口周辺の病変 | 状態を確認し必要な治療 |
| GSMによる乾燥・痛みなど | GSMに対する治療 |
| 頻尿・尿もれ | 原因に応じた治療 |
| 尿が出にくい・残尿が多い | 排尿機能を評価して治療 |
特にGSMの場合も、「尿の飛び散りを治すためにGSM治療をする」のではありません。乾燥、ヒリヒリ、性交痛、頻尿など、実際にみられるGSM症状や診察所見を確認したうえで治療を考えます。
こんな症状がある場合は早めに受診してください
尿が飛び散るだけで、痛みや排尿困難などがなく、症状も悪化していない場合には、すぐに重大な病気を疑う必要はありません。
一方で、次のような症状がある場合は早めに対面で相談してください。
- 尿がほとんど出ない
- 急に尿が出にくくなった
- 血尿がある
- 強い排尿時痛がある
- 発熱や悪寒がある
- 強い残尿感がある
- 腰や背中に強い痛みがある
- 外陰部に強い腫れ・ただれ・しこりがある
- 症状が急に悪化している
尿の方向だけではなく、「出せているか」「痛みがないか」「血が混じっていないか」も重要です。
よくある質問
尿が二股になるだけなら病気ではありませんか?
尿が二股になるだけで、痛み、血尿、尿の出にくさ、強い残尿感などがなければ、必ずしも病気とは限りません。ただし、以前はなかったのに毎回起こるようになった場合や、ほかの尿症状・外陰部症状を伴う場合には一度相談してみてもよいでしょう。
尿が横に飛ぶのは小陰唇が原因ですか?
小陰唇など外陰部の組織に尿が当たることで方向が変化することは考えられます。ただし、小陰唇のサイズだけで尿の飛び散りが決まることを示した十分な研究はありません。「小陰唇が小さいから」と自己判断せず、気になる場合は尿道口を含めた外陰部全体の状態を確認することが大切です。
50代になって尿が飛び散るようになることはありますか?
当院では、50代以降の診察時に「以前より尿が飛び散るようになった」というお話を伺うことがあります。また海外研究では、閉経後に小陰唇など外陰部の形態が変化することが確認されています。[5][6] ただし、加齢や閉経によって尿の飛び散りが増えることを直接証明した研究はまだありません。
更年期やGSMで尿の方向も変わりますか?
GSMでは外陰部・腟・尿道周辺の変化や、頻尿、尿意切迫、排尿時痛などの尿症状が知られています。[7] 一方で、「尿が飛び散る」は現在のところGSMの代表的症状として確立されていません。ただし、尿の飛び散りに加えて乾燥、ヒリヒリ、性交痛、頻尿などがある場合にはGSMも含めて確認します。
骨盤底筋トレーニングをすれば改善しますか?
尿もれの種類によっては骨盤底筋トレーニングが重要ですが、尿が飛び散るという症状だけから「骨盤底筋が弱い」と判断することはできません。排尿時には骨盤底筋を適切に緩めることも必要です。尿が出にくい、力まないと出ない、残尿感がある場合には、自己流でトレーニングを続ける前に一度ご相談ください。
GSM治療をすると尿の飛び散りも改善しますか?
GSM治療は、乾燥、ヒリヒリ、性交痛、頻尿など、その方にみられるGSM症状の改善を目的として行います。GSM治療によって尿の飛び散りが改善することが確立しているわけではありません。尿の飛び散りとGSMがどの程度関係しているのかについては、今後さらに研究が必要なテーマです。
まとめ|「尿の飛び散り」から身体の変化に気づくこともあります
「尿が飛び散る」「二股になる」「以前よりまっすぐ出なくなった」という症状は、決して特殊なものではありません。海外研究でも、多くの女性が経験していることが報告されています。[2]
一方、なぜ尿が飛び散るのかという本当の原因は、まだ十分には解明されていません。
尿道口や外陰部周辺の状態、尿の勢い、尿道の抵抗、排尿機能、加齢による外陰部や尿道周辺の変化など、複数の要素が関係している可能性があります。
特に50代以降では、デリケートゾーンの乾燥、ヒリヒリ・違和感、性交痛、頻尿、尿もれ、繰り返す膀胱炎など、GSMを含む複数の症状が重なっていることがあります。
「年齢だから仕方がない」と我慢する必要はありません。尿の出方の変化をきっかけに、ご自身の外陰部や尿まわりの変化にも目を向けてみてください。
当院では、尿の方向だけでなく、外陰部・尿道口の状態、乾燥や性交痛、頻尿・尿もれなどもあわせて確認し、その方に必要な診療やケアを考えていきます。
尿の出方や、外陰部・更年期の症状が気になる方へ
症状が続く場合や、乾燥・ヒリヒリ・性交痛・頻尿・尿もれなども気になる場合は、ご相談ください。
参考文献・ガイドライン
- European Association of Urology (EAU). EAU Guidelines on Non-neurogenic Female Lower Urinary Tract Symptoms. 2026.
EAU公式ページ - Hicks C, Hare AM, Pruszynski JE, Rahn DD. Prevalence and Bother of Postvoid Dribbling and Urine Spraying or Splitting: Survey of a General Gynecology Population. Urogynecology. 2023;29(4):397-403. doi:10.1097/SPV.0000000000001277.
論文情報を確認する - Ozkurkcugil C, Ozkan L, Tarcan T. The Effect of Asymptomatic Urethral Caruncle on Micturition in Women with Urinary Incontinence. Korean J Urol. 2010;51(4):257-259. doi:10.4111/kju.2010.51.4.257.
論文情報を確認する - Rechberger T, Wróbel A, Ziętek A, et al. Transobturator midurethral sling: What should patients expect after surgery? Int Urogynecol J. 2018;29(1):55-61. doi:10.1007/s00192-017-3408-2.
PubMed - Basaran M, Kosif R, Bayar U, Civelek B. Characteristics of external genitalia in pre- and postmenopausal women. Climacteric. 2008;11(5):416-421. doi:10.1080/13697130802366670.
PubMed - Suh DD, Yang CC, Cao Y, Garland PA, Maravilla KR. Magnetic resonance imaging anatomy of the female genitalia in premenopausal and postmenopausal women. J Urol. 2003;170(1):138-144.
PubMed - American Urological Association / SUFU / AUGS. Genitourinary Syndrome of Menopause Guideline. 2025.
AUA公式ガイドライン - Skene's duct cyst. Case report associated with spraying of the urinary stream during voiding. PMID: 6708238.
PubMed
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。



