デリケートゾーンを洗いすぎるとどうなる?腟内フローラとラクトバチルスを守る洗い方
更新日:2026.07.03
「清潔にすること」と「守ること」は違います
「毎日きれいに洗っているのに、かゆい」
「ボディソープでしっかり洗っているのに、においが気になる」
「腟の中まで洗っているのに、おりものの違和感が続く」
婦人科外来では、このようなお悩みをよく伺います。
デリケートゾーンのトラブルというと、「汚れているから」「洗い方が足りないから」と考えてしまう方が少なくありません。しかし実際には、洗いすぎによって本来の防御機能が乱れていることがあります。
外陰部と腟の中は、分けて考えることが大切です
ここで大切なのは、洗いすぎを一括りにしないことです。
外陰部を洗いすぎることと、
腟の中まで洗ってしまうことは、
まったく別の問題です。
外陰部は洗う場所です
まず、外陰部は皮膚です。
汗、尿、月経血、皮脂、おりものなどが付着しますので、毎日やさしく清潔に保つことは大切です。
問題は「何で、どのように洗うか」です
ただし、問題は「何で、どのように洗うか」です。
昔ながらの石けんは、多くがアルカリ性です。洗浄力が高い一方で、皮膚表面の皮脂や酸性環境まで取り除いてしまうことがあります。
また、液体のボディソープには、泡立ちや洗浄力を高めるために界面活性剤が含まれています。界面活性剤は汚れを落とすために必要な成分ですが、洗浄力が強すぎると、デリケートゾーンに必要なうるおいや皮膚のバリア機能まで洗い流してしまうことがあります。
その結果、乾燥、かゆみ、ヒリヒリ感、赤み、色素沈着などにつながることがあります。
外陰部は「しっかり洗う場所」ではなく、こすらず、刺激を与えず、やさしく丁寧に洗う場所なのです。
ラクトバチルスについて詳しく知りたい方へ
ラクトバチルスの基本的な働き、腟内フローラ・子宮内フローラとの関係、サプリやヨーグルトの考え方については、ラクトバチルスとは?ラクトバチルス菌の働き・増やす方法で詳しく解説しています。
腟の中は洗う場所ではありません
一方で、腟の中は基本的に洗う場所ではありません。
腟の中には、もともと多くの細菌が存在しています。これを腟内フローラと呼びます。
健康な腟内では、ラクトバチルスという善玉菌が中心となって働いています。ラクトバチルスは、腟上皮に含まれるグリコーゲンを利用して乳酸を作り、腟内を酸性に保ちます。
正常な腟内pHは、一般的に3.8〜4.5程度とされています。
この酸性環境が、雑菌の増殖を抑え、腟内を守る天然のバリアになります。
つまり、腟の中は「洗って清潔にする場所」ではなく、ラクトバチルスが作る酸性環境によって自然に守られている場所なのです。
酸は女性を守る自然な防御機構です
「酸」と聞くと、刺激が強いもの、怖いものという印象を持つ方もいるかもしれません。
しかし、腟内の酸性環境は、女性の身体にとってとても自然で大切な仕組みです。
胃は胃酸で外から入ってくる細菌から身体を守っています。皮膚にも弱酸性の環境があります。涙は眼を守ります。そして腟では、ラクトバチルスが産生する乳酸によって、女性の身体が守られています。
この酸は、人工的に無理に作られたものではありません。ヒトに共生するラクトバチルスが作り出す、自然な防御機構です。
特に日本人女性の腟内環境においても、ヒト由来のラクトバチルスが産生する酸が、女性本来の酸性環境を支えていると考えています。
ラクトバチルスは乳酸だけで守っているわけではありません
ラクトバチルスの働きは、乳酸を作ることだけではありません。
過酸化水素やバクテリオシンによる働き
一部のラクトバチルスは、過酸化水素、いわゆるH₂O₂を産生します。過酸化水素には、雑菌の増殖を抑える働きがあります。
さらに、ラクトバチルスの中には、バクテリオシンと呼ばれる物質を産生するものもあります。バクテリオシンは、細菌同士の増殖を抑制するように働く抗菌性の物質です。
つまり腟内では、
- 乳酸による酸性環境
- 過酸化水素による抗菌作用
- バクテリオシンによる細菌抑制
- ラクトバチルス自体が腟内に定着することによる防御
これらが協調して、女性の腟内環境を守っています。
腟内フローラは、ただ細菌が存在しているだけではありません。女性の身体と微生物が共生しながら作り上げている、非常に繊細で高度な防御システムなのです。
腟内洗浄を繰り返すと何が起こるのでしょうか
ビデや腟内洗浄を習慣的に行う方がいます。
一時的にはすっきりしたように感じるかもしれません。しかし、必要以上に腟の中を洗ってしまうと、ラクトバチルスや酸性環境まで洗い流してしまう可能性があります。
酸性環境が壊れると、雑菌が増殖しやすくなります。
洗いすぎによって起こりうる症状
その結果、
- かゆみ
- におい
- おりものの増加
- 細菌性腟症
- 性交時の違和感
- 性感染症への抵抗力低下
などにつながることがあります。
「きれいにしたい」と思って行っている腟内洗浄が、かえって腟内フローラを乱し、トラブルを招くことがあるのです。
大切なのは「酸を壊さない洗い方」です
デリケートゾーンのケアで大切なのは、洗浄力の強さではありません。
大切なのは、女性の身体が本来持っている酸性環境を壊さないことです。
- 外陰部は、汚れをやさしく落とす。
- 腟の中は、基本的に洗わない。
- ラクトバチルスが作る酸を守る。
この考え方がとても大切です。
デリケートゾーンは、無菌にする場所ではありません。良い菌が働き、酸性環境を保つことで守られている場所です。
EBINEフェミニンムースを作った理由
私は長年の婦人科診療の中で、デリケートゾーンのかゆみ、におい、乾燥、おりものの悩みを抱える多くの女性を診てきました。
その中で感じてきたのは、女性たちが「洗うこと」は教わっていても、「守りながら洗うこと」は教わっていないということです。
- 石けんでゴシゴシ洗う。
- ボディソープでしっかり洗う。
- においが気になるたびに腟内を洗う。
こうしたケアが、かえって外陰部のバリア機能や腟内フローラを乱していることがあります。
そこで私は、汚れを落としながら、女性本来の酸性環境を壊さない洗浄を目指して、EBINEフェミニンムースを作りました。
EBINEフェミニンムースは、メッシュで作るきめ細かな泡で洗うことが特徴です。泡で包み込むように洗うため、ゴシゴシこする必要がありません。
摩擦を減らし、外陰部の皮膚に余計な刺激を与えず、やさしく洗うことができます。
また、腟内フローラを支えるラクトバチルスの働きに着目し、女性本来の酸性環境を守ることを大切にしています。酸性環境が保たれることで、雑菌が繁殖しにくい状態をサポートします。
EBINEフェミニンムースは、単に「洗う」ためのものではありません。
洗いながら、守る。
清潔にしながら、壊さない。
その発想から生まれたフェムケア製品です。
EBINEフェミニンムース
デリケートゾーンの洗い方を見直したい方、外陰部をこすらずやさしく洗いたい方へ。EBINEフェミニンムースは、泡で包み込むように洗うことを目指したデリケートゾーン用のケア製品です。
最後に
デリケートゾーンのケアは、たくさん洗えばよいわけではありません。
- 外陰部はやさしく丁寧に洗う。
- 腟の中は洗いすぎない。
- ラクトバチルスが作る酸を守る。
この三つがとても大切です。
腟内の酸性環境は、女性の身体が長い時間をかけて獲得してきた自然な防御機構です。その酸を壊してしまうと、雑菌が繁殖しやすくなり、かゆみ、におい、おりものの違和感につながることがあります。
本当の清潔とは、無菌にすることではありません。
女性の身体に必要な菌を守り、自然な酸性環境を保つことです。
これからのデリケートゾーンケアは、「強く洗う」から「守りながら洗う」へ。
毎日の小さな洗い方の見直しが、女性の快適さと健康を守る第一歩になると私は考えています。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
産前産後から更年期まで、女性のライフステージに寄り添う診療と情報発信に取り組んでいます。性交痛、外陰部・腟まわりの痛み、デリケートゾーンの違和感など、相談しづらいお悩みにも丁寧に対応しています。



