【妊娠5週のあなたへ】妊娠5週に知っておきたい症状と注意点|胎嚢の確認・つわりの兆候・栄養管理のポイントを産婦人科医が解説。
更新日:2025.03.15
目次
妊娠5週の体の変化と赤ちゃんの成長
妊娠5週目に入ると、産婦人科の超音波検査で胎嚢(たいのう)が確認できることが多く、1cmほどの大きさに成長しています。赤ちゃんはまだ小さな粒のように見えますが、確かにお腹の中で育っています。この瞬間を迎えることで、「本当に妊娠しているんだ」と実感し、喜びを感じる方も多いでしょう。つわりの症状はまだ出ていない方が多いですが、眠気や疲れやすさを感じることが増えてくる時期です。無理せず、休息をしっかりとることが大切です。
妊娠の報告タイミングについて
「家族や職場に妊娠をいつ伝えよう?」と迷っている方もいるでしょう。妊娠6〜8週になると、つわりの影響で体調が不安定になることが多く、不機嫌に見られることもあります。そうなる前に、職場の上司や親しい友人に早めに伝えておくと安心です。また、妊娠初期には不正出血が最も多い症状の一つです。もし出血があると、流産の心配から病院を受診する必要が出てきます。急な体調の変化に備えて、周囲に妊娠を伝えておくのも一つの方法です。
出産予定日の計算方法
出産予定日は、最終月経の初日を妊娠0週0日として計算し、妊娠40週0日を目安とします。すべての赤ちゃんがぴったり40週で生まれるわけではありませんが、妊娠37週0日から41週6日までが「正期産」とされ、この期間内に生まれるのが理想的です。特に初産の方は、予定日より少し遅れる傾向があります。また、日本では近年、出生体重が少しずつ減少傾向にあり、現在の平均出生体重は約3,000g程度です。今から30年前の教科書では、赤ちゃんの平均出生体重は3200gでした。低出生体重児を防ぐためにも、妊娠中はしっかりと栄養を摂ることが重要です。
妊娠初期に必要な栄養素
妊娠初期の葉酸摂取は必須です。
妊娠を考えた時から早めに葉酸サプリを飲むことをお勧めしております。
赤ちゃんの二分脊椎という病気予防のためですが、実際は心室中隔欠損症や心房中隔欠損症などの先天性心疾患や自閉症など様々な疾患の予防に栄養が関係していることがわかってきております。ビタミンDやカルシウムの摂取もお勧めしております。赤ちゃんの先天性疾患だけでなく、ママの産後の圧迫骨折予防にも必要と思っております。
さらに、ビタミンDやカルシウムの摂取も大切です。赤ちゃんの骨や歯の発達をサポートするだけでなく、産後のママの骨の健康維持にも役立ちます。
妊娠中の食事とカフェイン摂取について
妊娠初期には「お寿司を食べてもいいですか?」といった質問をよくいただきます。基本的に食中毒や感染症のリスクがなければ問題ありませんが、妊娠中は免疫が低下しやすいため、新鮮で衛生的なものを選びましょう。また、「カフェインは摂っても大丈夫ですか?」という疑問もあります。大量のカフェイン摂取は控えるべきですが、適量であれば問題ありません。
つわりが出るまでは、バランスよくいろいろなお食事をとって下さい。
時々、好きでなかったものが食べられるようになるという方がいらっしゃいます。私もそうでした。その時の好きなものを気にせず召し上がってください。少々、ジャンクなものが食べたくなるものですが、仕方ないと思っています。
妊娠中の体調管理と休息
妊娠5週目は特に眠気が強くなる時期です。特に夜10時から深夜2時までは免疫が低下しやすい時間帯なので、夜更かしせずしっかりと休息をとりましょう。また、妊娠中のコロナ、インフルエンザ、風邪は内科では困りものと扱われてしまうので、何か心配あれば産婦人科にご相談ください。
妊娠中の薬の服用について
妊娠初期に飲んではいけないお薬についてもよく訊かれますが、一般的な市販薬が胎児奇形を引き起こす可能性は非常に低いと思っています。病院で処方されたお薬は、処方した医師と相談するのがいいと思います。
そして、よくわからなければ、産婦人科の主治医にご相談ください。たとえ、喘息でも、てんかんでも、心臓病でも産婦人科医は対応します。妊娠中どの時期でも産婦人科の主治医は大切です。
あえて言うなら、妊娠後期の痛み止めの内服は注意が必要ですので、疼痛が出現した時には、主治医にお伝え下さい。
助産師学生さんのための大学の講義で、よく薬剤のお話をします。「妊婦さんは、お薬を内服してはだめですか?」と訊くと、どの学生さんも首をかしげて、答えます。「多分、だめだと思います」。どうしてダメなのでしょうか?妊婦さんは病気になってはいけないのでしょうか?
ひと昔前は、薬で胎児奇形になった報告がありました。
有名なのは、サリドマイド児。
妊娠初期にサリドマイドを服用した妊婦さんのお子様の腕がない状態で生まれたことがありました。腕が出来上がる時期にサリドマイドを飲んだことが原因でした。今は、日本にサリドマイドを輸入するのはたとえ研究者であったとしても、とても難しくなりました。このような催奇形性の強い薬剤は、今は簡単に入手できない時代になりました。
どの病気であっても、治療薬はあります。
喘息で呼吸できないと、まず最初に赤ちゃんが死亡します。喘息発作の薬は、赤ちゃんの生存のため、ママの生存のために積極的に使用すべきです。心配いりません。
もちろん、様々な注意点がありますから、心配あればまず産婦人科主治医に。これが、とても大切です。
まとめ
妊娠5週目は、妊娠の実感が湧き始める大切な時期です。
体の変化に耳を傾け、無理をせず過ごしましょう。栄養バランスの良い食事を心がけ、葉酸やビタミンDを意識的に摂取することが大切です。
妊娠に関する疑問や不安があれば、自己判断せずに産婦人科の医師に相談してください。安心して妊娠生活を送るためにも、信頼できる情報をもとに適切なケアを行いましょう。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。