妊娠6週のあなたへ
更新日:2025.02.27
妊娠6週のあなたへ
超音波検査で、小さな赤ちゃんに心臓ができあがり、心拍が確認できる頃です。赤ちゃんの心臓ができあがると、赤ちゃんは血液を母体に送り出します。そして、母体から酸素や栄養を受け取ります。こうやって、母児の血液循環が始まります。このころは、胎盤がまだ発達していず、赤ちゃんの胎盤を発達させるHCGというホルモンがが、直接母体血流に入り込み、この影響でつわりが出現するといわれております。ということで、妊娠10~12週まで、だんだんつわりが厳しくなっていくと思います。気分が悪い一方、妊娠が継続している自覚にもなり、ちょっと安心という方もいらっしゃいます。突然つわりがなくなると、流産になってしまっているのではと不安になる方もいらっしゃいます。そんな時は、ぜひ、産婦人科を受診して、超音波検査で赤ちゃんの心拍を確認してください。とても、気が楽になると思います。
何を食べていいのが、とても考えてしまう時期です。食べてはいけないものというよりは、食べられるものを探す旅に出る感じです。何を食べてもおいしくないと思ってしまう時期です。ですが、一番とってほしいものは、水分。赤ちゃんに血液を渡す使命がありますので、水分摂取はとても大切です。
つわりの気持ち悪さは、二日酔いの感覚にちょっと似ていると思います。その症状がずーっと続く。とても恐ろしいですね。でもちゃんと終わりの時期が来ますので、ご安心を。そして、医者の視点からつわりを考えると、低血糖と低血圧が持続的に起こっている病態のように感じます。なので、つわりの時期は、糖分の薄い水分を持続的にとるのがいいかなあと思っています。スイカばかり食べたかったうちの母親の話は納得。薄いレモン水のようなものを私は飲んでいました。私の上司に訊くと、妻が冷えたおにぎりばかりを食べていたといっていました。これも納得。温かいおにぎりのにおいは嫌ですが、臭いのない薄い塩味のおにぎりは食べられました。そして、それとはまったく違って、食べたいものは、マックのポテトとカレー。ジャンクなものは食べたくなりました。塩分や脂質は欲しくなるのかもしれません。そして、変なミルクティーとトマトジュース。トマトジュースは丸ごとトマトミキサーにかけて飲んでいました。
産婦人科医は妊婦さんに向かって、「身体を大事にしなくてはならない」と何度も言うのに、私は妊娠しようと思ってすぐにつわりが来るとは認識していず、沢山の研究会や学会の仕事を入れたままにしておりました。すぐに妊娠するとは思わず、また、つわりでコンピューターの画面が見ることができないとは、想定外でした。非常に浅はかな考えの妊婦だったと思います。ですから、皆様にお伝えしたいことは、妊婦になったら何もできなくなるので、日常生活も送れなくなるので、極力予定は組まないこと。妊娠すると、つわりだけでなく、突然の出血や流産の可能性もあり、仕事には集中できません。大事な予定は入れないこと。また、旅行のキャンセルも手間がかかるので、予定しないこと。結婚式なんて、もってのほかです。かくいう私も、新婚旅行はキャンセルしなければならず、結婚式は笑顔のない写真が残るばかりで、とても困りました。今でも結婚式の写真を見るだけで、吐き気がします。困った思い出を暴露してしましました。
妊娠すると予定外のことがいっぱいあります。ですが、頑張って真面目に家で過ごし、10か月過ぎれば、赤ちゃんがやってきます。その姿を想像して、最初で最後の人生の夏休みと思ってゆっくり過ごしてください。二人目からの妊娠は、間違いなくバタバタした妊婦生活です。

白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。