月経に関連した頭痛
更新日:2024.09.26
月経に関連した頭痛
PMSがひどいという患者さんの中に、片頭痛を訴える方がいらっしゃいます。
頭痛でいらっしゃる方に、月経周期に伴った頭痛か、月経に伴わない頭痛かにより、診療の手順が変わります。
まず、月経周期に関与しない頭痛の場合。
頭部MRI,MRAにて、脳血管に動脈瘤や血管奇形がないこと、採血にて貧血、肝機能、腎機能、甲状腺ホルモンをチェックして、大きな器質性疾患がないか確認します。それぞれ異常が買った場合は、その基礎疾患を治療します。
月経周期に関与する頭痛の場合。
月経周期のどの時期に頭痛が発症するか確認します。エストロゲン分泌量が急激に低下することにより血管収縮と拡張が生じて頭痛か起きやすくなると考えられています。このため、月経周期に関与する頭痛の場合、月経開始2日前から月経後3日が最も多いといわれております。多くは閃輝暗点を伴わない頭痛です。閃輝暗点の伴う頭痛か伴わない頭痛かを産婦人科医が心配するのは、エストロゲンの分泌量の増減をなくす治療法は低用量ピルの治療を行うのが有効だと考えられるからです。ただし、ピル処方の注意事項に、前兆のある片頭痛では処方が禁忌、前兆のない片頭痛では慎重投与とされております。脳梗塞のリスクをそれぞれ約6倍、約2倍といわれているようですが、基礎疾患のない若年女性にとって、脳梗塞のリスクは高くないと思います。この状況を十分に説明して、頭痛のため日常生活が送れない患者様にはピルの処方を行っております。
また、エストロゲンが減少するとセロトニンという脳内物質が減少することが知られております。セロトニンは血管収縮作用が知られており、分泌量が少なくなると脳内の血管を拡張させて頭痛が起こりやすいようです。このことからセロトニンが片頭痛を予防することから、セロトニンの作用を強める薬として開発されたトリプトファン製剤を使用することがあります。
スマトリプタン(イミグラン)
ゾル未トリプタン(ゾーミック)
エレトリプタン(レルパックス)
リザトリプタン(マクサルト)
ナラトリプタン(アマージ)などです。
安静、睡眠、鎮痛剤、葛根湯などの漢方の処方で症状が軽快しない場合には、ピルやトリプトファン製剤の使用を行っております。
頭痛を我慢せずに、婦人科医と脳外科医の診療ができる当クリニックにご受診ください。抗CGRP抗体と呼ばれる頭痛発作を抑制する薬剤の治療も可能です。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。