脂肪注入の豊胸術(乳房形成術)前に知っておきたいリスクと対策を婦人科医師が解説。
更新日:2025.01.04
豊胸術(乳房形成術)を希望する際、手術前に乳がん検診を受けることが推奨されています。
この記事では、その背景や注意点について解説します。
豊胸術(乳房形成術)前に乳がん検診を受ける理由
先日、かわいい21歳の女性が乳がん検診を受けに訪れました。症状がないにもかかわらず検診を受ける姿勢に感心しました。理由を尋ねると、「韓国で脂肪吸引を予定しており、その脂肪を乳房に注入する豊胸術も受けるため、事前に乳がん検診を受けるよう指示された」とのことでした。
このように、韓国の医師は豊胸術(乳房形成術)におけるリスクを回避するため、脂肪注入前に乳がん検診を推奨しています。しかし、ついでに入れるには(特に希望していないのに)、今後の妊娠や授乳や乳がん検診について教育していない。
・妊娠したら乳腺が発達する、そして乳管が拡張して、母乳を分泌する。
・乳管をきちんと温存して形成術を施行してほしい。
・その後乳腺が萎縮する。
・この経過の中に乳がんが発生する人がいる。
術後の妊娠や授乳、さらには将来的な乳がん検診についての十分な説明が行われていないケースも見られるので十分に注意する必要があります。
理想的な豊胸術(乳房形成術)前に知っておくべきこと
豊胸術(乳房形成術)を安全に受けるためには、以下の点に注意する必要があります。
1.術前の乳がん検診の重要性
脂肪注入後に乳房腫瘤が発生した場合、乳がんなのか脂肪によるものなのか判別が難しくなることがあります。そのため、注入前に乳がんの兆候がないことを確認することが重要です。
2.脂肪注入後の超音波検査
脂肪注入後は、どの部位に脂肪が注入されたのかを超音波検査で記録しておくと、その後の乳がん検査時に区別がしやすくなります。
3.定期検診の継続
脂肪注入後は、乳がんとの見分けが困難になる場合があるため、定期的な検診を怠らないようにしましょう。
形成術における機能温存の重要性
豊胸術(乳房形成術)だけでなく、婦人科や乳腺外科領域での形成術を行う際は、臓器の機能を損なわない手術が求められます。
術後のトラブルを防ぐためにも、専門知識を持った医師による適切な対応が必要です。最近の形成外科術後の機能温存ができていないというトラブルで来院する患者さんを診るたびに強く思う。
特に婦人科領域では、小陰唇縮小術が更年期以降の乾燥感を悪化させることがあるため、このリスクについても事前に説明を受けるべきです。
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まとめ
豊胸術(乳房形成術)を計画している方は、術前の乳がん検診や術後の定期検診が重要です。また、機能を損なわないためにも、専門医による施術を選択することをお勧めします。安全で満足のいく結果を得るために、事前に十分な情報を集め、納得した上で手術を受けましょう。
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白金高輪海老根ウィメンズクリニック院長
海老根 真由美(えびね まゆみ)
産婦人科医師・医学博士
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターでの講師および病棟医長の経験を積み、その後、順天堂大学で非常勤准教授として活躍。
2013年に白金高輪海老根ウィメンズクリニックを開院。
女性の人生の様々な段階に寄り添い、産前産後のカウンセリングや母親学級、母乳相談など多岐にわたる取り組みを行っています。更年期に起因する悩みにも対応し、デリケートなトラブルにも手厚いケアを提供しています。